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中小企業投資促進税制を有効活用しましょう

中小企業向けの優遇税制のうち中小企業投資促進税制は、利用できる業種の幅も広く、多くの中小企業に活用のチャンスがある制度です。

対象となる一定の固定資産を取得すると、特別償却か税額控除を利用でき、投資額の一部が税金を通して返ってくる仕組みと言えます。本記事を読んで、今後の設備投資の計画に役立ててください。

目次[非表示]

  1. 1.経営者が知っておくべき中小企業投資促進税制とは
  2. 2.中小企業投資促進税制でできること
    1. 2.1.中小企業投資促進税制の2種類のメリット
    2. 2.2.特別償却
    3. 2.3.特別控除
  3. 3.2023年の適用期限後に考えておきたいこと
  4. 4.設備入れ替え後(買い替え後)の課題とは


経営者が知っておくべき中小企業投資促進税制とは

中小企業投資促進税制は、中小企業における生産性の向上などを図るための優遇税制です。対象となる中小企業が一定の設備投資を行った場合に、特別償却(30%)または税額控除(7%)の適用を認めるものです。

対象者や業種、対象となる設備、そして優遇税制の概要は、以下の通りです。

対象者

資本金額1億円以下の中小企業者、農業協同組合、商店街振興組合等

従業員数1,000人以下の個人事業主

対象業種
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業および沿海運輸業、内航船舶賃貸業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業およびサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業
対象設備

以下の新品の資産

機械および装置【1台160万円以上】

測定工具および検査工具【1台120万以上、1台30万円以上かつ複数合計120万円以上】(製品の品質管理の向上等に資するもの)

一定のソフトウェア【一のソフトウェアが70万円以上、複数合計70万円以上】(複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは除く)

貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)

内航船舶(取得価格の75%が対象)

優遇措置

資本金3,000万円以下の中小企業と個人事業主: 30%特別償却か7%税額控除(税額控除は法人税額の20%相当額が限度で、控除しきれない金額は翌年に繰越し可能)

資本金3,000万円超の中小企業: 30%特別償却

【参考】中小企業投資促進税制における認証製品リストの公開

対象設備のうち間口の広い資産は「機械および装置」と「一定のソフトウェア」でしょう。機械および装置のカテゴリーに入る資産であれば、金額が160万円を超えている限り、優遇税制を適用することができます。

またソフトウェアも、多くの中小企業が使うものであり、利用しやすいと言えます。独立行政法人の情報処理推進機構のウェブサイトには、一部の対象製品のリストが出ているので、参考にするとよいでしょう。

なお、中小企業のうち優遇税制を利用できる「中小企業者」は、資本金が1億円以下であることに加え、以下の条件を満たす必要があるので、注意してください。

  • 青色申告法人であること
  • 直近3事業年度の所得金額の年平均が15億円以下であること
  • 大規模法人に株式の2分の1以上を保有されていないこと(大規模法人とは、主として、資本金が1億円以上の法人や資本金5億円以上の大法人の完全子会社を指します)
  • 複数の大規模法人に株式の3分の2以上を保有されていないこと

【参考】中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)│国税庁


中小企業投資促進税制でできること


中小企業投資促進税制を利用すれば、何年かに一度かしか行わないような設備投資も、実施しやすくなります。

ここでは、税制メリットの内容をもう少し詳しく解説していきます。

中小企業投資促進税制の2種類のメリット

上述の通り、中小企業投資促進税制には特別償却と特別控除の2つの優遇措置があります。資本金3,000万円超の中小企業は、30%の特別償却のみが利用できます。それに対し、資本金3,000万円以下の中小企業と個人事業主は、30%の特別償却と7%税額控除のどちらか一方を選択適用できます


特別償却

まず特別償却は、対象資産を取得した年度において、通常の減価償却に加えて、30%の償却を追加で適用できる制度です。これにより、取得した年度に多額の償却を利用できるため、取得年度の課税所得がその分だけ圧縮され、法人税が削減されます。

ただし、減価償却においては、最終的には取得価額相当額までしか費用化ができません。特別償却を使えば償却のペースが早くなるものの、将来に償却できたものを前倒しで償却しているだけのため、償却期間全体では法人税の総額は減りません。

とはいえ、特別償却を利用すれば、先に出ていくお金が減るため、資金繰りは改善します。その点を重視すれば、メリットが大きい制度と言えます。


特別控除

特別控除は、当期の課税所得に対する法人税を計算した後に、対象資産の取得価額の7%相当額を法人税から控除できる制度です。取得価額の7%相当額の法人税を減らせるので、実質的には、7%引きで資産を買ったのと同じ効果を得ることができます。

このように、特別控除には確実に法人税を減らす効果があります。したがって、特別償却と特別控除を比較するなら、基本的には特別控除が有利になります。

そのため、資本金3,000万円以下の中小企業であればどちらかを選択適用できますが、基本的には7%の税額控除を利用したほうが有利になります。



2023年の適用期限後に考えておきたいこと


中小企業投資促進税制は、租税特別措置法において期限付きで設けられている優遇税制です。

既に長い歴史のある優遇措置ですが、期限が近づくたびに2年間などの期限付きで延長が繰り返され、内容を少しずつ変えながら存続しています。

直近では2021年3月31日までとされていたのが、令和3年度(2021年度)税制改正において2年間延長され、2023年3月31日までとなっています。

この延長の際に、不動産業・物品賃貸業、商店街振興組合等などが対象業種に追加されました。

これまで長きに渡って存続してきた経緯を考えると、2023年3月31日をもって中小企業投資促進税制がなくなる可能性は高くないでしょう。

とはいえ、平成29年度税制改正においては、一定の電子計算機やデジタル複合機などが対象資産から外されるなど、過去には延長の際に対象範囲を縮小した例もあります。

そのため、現行の中小企業投資促進税制の対象資産の投資を検討している中小企業であれば、2023年3月31日までに設備投資を行っておくのが確実です。


設備入れ替え後(買い替え後)の課題とは

設備入れ替え後の一番の課題は、購入した設備を実際に業務に生かすことです。不慣れな設備のため事業に生かしきれないと、せっかくの投資が無駄になってしまいます。

もうひとつは、会社としての利益を計上することです。新型コロナウイルスの影響で、業種によっては、これまでのように利益を上げるのが難しくなっている会社もあると思います。

しかしながら、会社としてあまり利益が上がっておらず、そもそも法人税がゼロになっている状況であれば、特別償却や税額控除を適用しても法人税を減らせず、メリットを享受できません。

しっかりと計画を立てて設備投資を行うことにより、資産を事業に役立てるとともに、税制上も最大限のメリットを得られるようにしましょう。


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