資金繰りが厳しいとき、経営者の多くは「売上を増やす」「借入を増やす」という発想をしがちです。
しかし実際には、“手元に戻るべきお金が戻っていない”ことが最大の要因であるケースも少なくありません。
*帝国データバンクの調査によると、2024年度は取引先の経営悪化に伴う「売掛金の回収遅延」や「連鎖倒産」など、資金繰り悪化を要因とする倒産が増加傾向にあります。
売掛金の管理体制が甘いことは、単に事務処理上の問題ではなく、「資金の流れを見失う経営リスク」そのものなのです。
本記事では、愛知県で製造業を営むA社が、F&MClubの支援を通じて売掛金1億円の回収漏れを特定し、資金繰りを改善した実例を紹介します。
監修:金井弘一朗(元大手信用調査会社調査員)
新卒で大手信用調査会社へ入社し、調査部で延べ1,000社以上の企業を担当。業種別分析・財務評価・信用格付け・面談・レポーティングを通じ、企業の経営課題を可視化。その後関西学院大学客員研究員として、企業分析・リサーチの研究を行った後、株式会社ケイ・ブリッジを設立。経済産業省アクセラレーションプログラム「EXIT」に選定されたほか、経済産業省からの認定も受けるなど数多くの賞を受賞。
現在は中小企業を中心に、経営分析・戦略立案・マーケティング支援の伴走も行っている。
また、「パソコン博士の知恵袋」や「建築現場の知恵袋」など複数の専門メディアで記事監修を務めるなど、幅広い監修実績を持つ。
A社は、愛知県に本社を置く従業員66名の製造業。堅実な経営で業績は安定していたものの、社長には常に「資金繰りが苦しい」という感覚がありました。
企業概要
業種:製造業
所在地:愛知県
従業員数:66名
F&MClub利用歴:2年目
決算書上は黒字。売上も増加している。にもかかわらず、手元資金が思うように増えない。原因ははっきりせず、現場では「なぜかお金が足りない」という状況が続いていました。
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
信用調査の現場では、「黒字倒産」予備軍の典型的な特徴として“売掛金の膨張”が挙げられます。
経営者の多くは「売上=入金」と無意識に考えていますが、実際には「請求したが回収できていない」「売掛金の中身が不明」といったケースが珍しくありません。
財務諸表だけでは見抜けない「お金の滞留」がどこにあるのか。そこを突き止めるのが、再建の第一歩です。
A社では、売上高に対して売掛金の比率が高く、同業他社と比べて売掛金の回収期間が異常に長いという状況が続いていました。
この“数字の違和感”を起点に、F&MClubの専門アドバイザーが分析を開始します。
F&MClubはまず、財務格付診断を活用して金融機関視点でA社の財務構造を数値化。
同業他社の平均と比較したところ、業界平均の売掛金回収期間が30日前後であるのに対し、A社は72日と倍以上の水準にあることが判明しました。
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
この「回収期間の長さ」は、信用調査では非常に重要な警戒指標です。
平均30〜60日のサイトが業界の平均である中、72日となれば“資金回転効率が少し悪い会社”と判断されます。
銀行は、営業利益よりも先にこの“資金回収の遅れ”を見ます。なぜなら、それは資金ショートの予兆だからです。
F&MClubの専門アドバイザーは、格付診断の分析結果をもとに売掛金の内訳を徹底的に洗い出すよう提案しました。
その過程で、「実際の回収期間は平均27日程度」と判明。つまり、決算書上の72日は“見えない未回収金”が膨らんでいたことを意味していました。
詳細を追うと、原因は海外工場向けの取引で発生していた1億円分の未回収金。
現場では誰もその所在を明確に把握しておらず、債権管理の属人化が問題の根底にあったのです。
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
「1億円の未回収」は、単なる会計上の数字ではなく、“企業体力の損失”そのものです。
売掛金は回収できて初めて利益になります。どんなに売上を上げても、入金されなければ資金は枯渇します。また、未入金であるにも関わらず売上計上している限り法人税や消費税の対象となってしまいさらに痛手を負ってしまうこともあります。
A社のケースは、財務データを精査することで“数字の裏に隠れていた問題”を顕在化させた好例です。
A社は、売掛金の整理と並行して、資金繰り表の作成を導入しました。
さらに、F&MClubが提供する「未来予測図サービス」を活用し、資金収支の先読みを行う体制を整備。
これにより、いつ・どの取引で・どのタイミングで、どれだけ資金が動くのかを把握できるようになり、経営判断が数値ベースで行えるようになりました。
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
資金繰り表を作ることで、初めて“時間軸でお金を見る”ことができます。
信用調査では、単年度の利益よりも「資金の流れが見える会社」を高く評価します。
特に未来予測を取り入れている企業は、金融機関から見てリスク管理能力が高いと判断され、格付改善にもつながりやすいのです。
売掛金の内訳を明確にしたことで、未回収1億円の存在を特定。
この発見が、資金繰り改善の出発点となりました。
さらに、資金繰り表の導入により、現金の流れをリアルタイムで管理できる体制が整備。
経営層と現場の間で「数字をもとに話す文化」が根付きつつあります。
A社は、F&MClubの支援を通じて“感覚で動く経営”から“数値で判断する経営”へと転換し、金融機関からの信頼回復にもつながりました。

A社の事例が示す教訓は、極めてシンプルです。
売掛金は「資産」ではなく「リスク資産」でもある。
放置すれば利益を食い潰す要因になる。
数字の違和感を放置しない。
“おかしいと思ったら、精査する”姿勢が経営危機を防ぐ。
資金繰りは「過去を見る帳簿」ではなく「未来を見る設計図」。
先読みの仕組みを整えることで、安心して攻めの経営ができる。
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
資金繰りが悪化しても、会社がすぐに倒産するわけではありません。
本当に危ないのは、「原因がわからないまま放置すること」です。
A社のように“数字の整合性”を突き詰める姿勢が、経営再生の第一歩になります。
F&MClubのような支援パートナーを活用してでも、詳しく資金繰りを考えることが大切です。
A社が資金繰りを改善できた最大の理由は、“数字を疑う力”を持てたことでした。
売掛金1億円という“眠っていた資金”を掘り起こしたことで、会社全体の資金循環が正常化し、信用格付も改善の兆しを見せています。
こうした「数字を基盤にした経営体制」を整えるために、F&MClubでは財務・労務・補助金・経営支援をワンストップで提供。
すでに累計48,000社を超える中小企業が利用し、再現性のある資金改善・信用力向上を実現しています。