労務管理が後手に回ると、助成金は「制度としては使えるのに実務上は使えない」状態になります。
とくに道路貨物運送業のように人の出入りが多く、時間外や深夜勤務が発生しやすい業種では、就業規則・勤怠・賃金台帳・入社時の説明が一つでも欠けると、その時点で申請が止まります。
実際、厚労省系の助成金(キャリアアップ助成金・両立支援等助成金など)は、要件自体は“中小企業でも取れるように”設計されていますが、下記のどれかがあるだけで「今回はやめておきましょう」となってしまうことが多いのが実情です。
本記事では、F&MClubとの継続支援をきっかけに、労務の土台を一から整え、キャリアアップ助成金・両立支援等助成金に申請できるレベルまで持っていった埼玉県の道路貨物運送業A社の事例を紹介します。
延べ1,000社以上を調査してきた元信用調査会社・金井弘一朗氏が「なぜ労務整備が“財務的な信用”につながるのか」を解説します。
監修:金井弘一朗(元大手信用調査会社調査員)
新卒で大手信用調査会社へ入社し、調査部で延べ1,000社以上の企業を担当。業種別分析・財務評価・信用格付け・面談・レポーティングを通じ、企業の経営課題を可視化。その後関西学院大学客員研究員として、企業分析・リサーチの研究を行った後、株式会社ケイ・ブリッジを設立。経済産業省アクセラレーションプログラム「EXIT」に選定されたほか、経済産業省からの認定も受けるなど数多くの賞を受賞。
現在は中小企業を中心に、経営分析・戦略立案・マーケティング支援の伴走も行っている。
また、「パソコン博士の知恵袋」や「建築現場の知恵袋」など複数の専門メディアで記事監修を務めるなど、幅広い監修実績を持つ。
F&MClubを導入前のA社は、就業規則が古く、実態に合っていない状態でした。
企業概要
業種:道路貨物運送業
所在地:埼玉県
従業員数:80名
勤怠も部署ごとに管理方法が違い、賃金台帳もきれいに整っていない。つまり「普段の業務は回っているが、外部に見せられる書類になっていない」典型的な中小の運送会社の姿でした。
そこに「助成金を受給したい」というニーズが出てきたことで、課題が一気に顕在化します。
助成金の申請要件を確認すると、
法律を遵守した就業規則があること
勤怠・賃金が規定どおりに管理されていること
正社員化や非正規の処遇改善などのルールが明文化されていること
このような“当たり前の土台”がそろっておらず、このままでは申請に進めない状況でした。
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
運送業は安全面や労働時間に関する規制が多く、監督官庁からのチェックも比較的入りやすい業種です。そこで就業規則が古いままだったり、労務管理が属人的だったりすると、「管理レベルが低い会社」とみられます。
これは金融機関・リース会社・元請けの大手荷主にも伝播します。つまり、労務の乱れはそのまま“信用の乱れ”として認識されるということです。
定期的に採用があり、ドライバーの働き方も多様。そうした会社ほど、就業規則・勤怠・賃金が後追いになりやすく、助成金の要件に乗りにくくなります。
A社では、F&MClubに入会したタイミングを起点として、「助成金申請に向けた労務整備」を一気に進めました。
【F&M Clubの専門アドバイザーによる主なサポート】
就業規則の最新化と“改正に追随する”体制づくり
現行の就業規則を確認し、法改正に合っていない部分を修正。
以後、改正があるたびに変えていけるように“更新する前提の規則”にしました。
勤怠管理・賃金台帳の見直し
助成金で求められる「労働時間と賃金が対応していること」がわかるよう、勤怠と給与を紐づけ。
紙やExcelでバラバラに保管されていたものを、提出に耐えられる形に整理しました。
新入社員にも適用できる運用へ標準化
入社時の説明・雇用契約書・賃金テーブルなどをセットにしておき、誰が入ってきても同じ書類が出せるようにしたことで、
助成金の“2人目・3人目”も取りやすい状態をつくりました。
サービスセンターへの問い合わせを通じた助成金の特定と申請支援
キャリアアップ助成金や両立支援等助成金など、
同社が該当するものをサービスセンター側で調査し、申請に必要な書類や進め方を企業に共有。
実際の申請は、F&MClubが紹介する社会保険労務士に任せました。
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
ここで重要なのは「助成金に合わせて会社をいじった」のではなく、「会社の実態を助成金に乗る水準まで引き上げた」という順番です。
助成金だけを狙って制度をつくると1回きりで終わりますが、労務の標準化→制度更新→助成金という流れを持てた会社は、その後に別の制度が出てもキャッチしやすくなります。結果的にキャッシュインの機会が増えるので、これは財務的にもプラスです。
整備の結果、A社は以下を実現しました。
助成金申請に必要な労務書類がそろった
キャリアアップ助成金・両立支援等助成金といった代表的な制度に申請できた
以降も法改正のたびに就業規則を更新できる体制になった
新入社員にも同じルールで対応できるようになり、社内説明のバラつきが解消された

ここまで来ると、助成金は「何かあったら相談する」ではなく、「毎年どれを取りにいくかを選べる」状態に変わります。
これは、単に20万・30万をもらえたという話ではなく、資金面での“前倒し”ができるようになったということです。
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
調査の現場で感じるのは、“労務がきれいな会社は資金繰りの計画もきれい”という相関です。就業規則・勤怠・賃金が整っていると、固定的に出ていくお金の読みが立つので、補助金や助成金が出たときにどれだけキャッシュに余裕が出るかも試算しやすくなります。
金融機関に説明するときも、「こういう制度に、このスケジュールで、このくらい入金があります」と言える会社のほうが、運転資金の話をしやすい。助成金は額の大小よりも“管理のレベル”を示すシグナルになるんです。
この事例からの学びは次の3つに整理できます。
就業規則が古いと、その時点で助成金は遠のく
勤怠・賃金台帳を整えれば、運送業でも助成金は十分に狙える
定期的にサービスセンターやコンサルタントにあたっておけば、新しい制度も取りこぼしにくい
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
とくに運送業のように人が増減しやすい業種は、1回の申請で終わりではなく「入社があったらまた取る」「正社員化があったらまた取る」というリズムをつくれるかどうかがカギになります。
このA社は、F&MClubと6年かけて、労務の整備→制度の更新→助成金申請という一連の流れを社内に根づかせました。
金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:
外から見ると「助成金をいくつか取った会社」に見えますが、信用調査の立場で見ると、
「法改正に追随できる管理体制がある」
「人の入れ替わりがあっても書類が揃う」
「公的制度をキャッシュ化する仕組みが社内で回っている」
という、長く取引するうえで安心できる企業像が浮かびます。
F&M Clubでは、“労務・財務・補助金を一体で整える仕組み”をワンストップで提供しており、累計48,000社以上の中小企業が継続的に活用しています。
制度が変わっても、相談先が一本化されていれば、今回のA社のように「整備できていたから取れた」という状態を再現しやすくなります。
「自社の就業規則や勤怠管理が助成金に対応できているか不安」という方は、ぜひF&M Clubにご相談ください。
専門アドバイザーが、労務整備から助成金の申請支援まで一貫してサポートします。