人件費負担が重い赤字経営からV字回復。
飲食業(ラーメン店)の再生に学ぶ
「撤退と集中」の経営判断

原材料費の高騰、人手不足、電気・ガス代の上昇。飲食業界を取り巻く環境は、コロナ禍以降も依然として厳しく、店舗の淘汰が加速しています。

帝国データバンクの調査*では、2024年の「飲食業倒産件数」は前年を上回るペースで推移しており、特に人件費率の上昇による収益圧迫が大きな要因となっています。原材料費の高騰だけでなく、最低賃金引き上げや人手不足による採用難が経営の重荷となり、採算割れの店舗閉鎖が増加しているのが実情です。

本記事では、F&M Clubの支援を受け、2店舗経営から1店舗体制への再編によって黒字化を実現したラーメン店A社の事例を紹介します。

*参考:「飲食店」の倒産動向調査(2024年)|帝国データバンク


監修:金井弘一朗(元大手信用調査会社調査員)

新卒で大手信用調査会社へ入社し、調査部で延べ1,000社以上の企業を担当。業種別分析・財務評価・信用格付け・面談・レポーティングを通じ、企業の経営課題を可視化。その後関西学院大学客員研究員として、企業分析・リサーチの研究を行った後、株式会社ケイ・ブリッジを設立。経済産業省アクセラレーションプログラム「EXIT」に選定されたほか、経済産業省からの認定も受けるなど数多くの賞を受賞。

現在は中小企業を中心に、経営分析・戦略立案・マーケティング支援の伴走も行っている。

また、「パソコン博士の知恵袋」や「建築現場の知恵袋」など複数の専門メディアで記事監修を務めるなど、幅広い監修実績を持つ。


はじめに:赤字続きの2店舗経営、打開策が見えない状況

A社は、地方都市でラーメン店を2店舗運営していました。

しかし、片方の店舗は売上が伸び悩み、人件費が業界平均を大きく上回る水準となり、採算が取れない状態でした。

もう一方の店舗の利益で赤字店舗を補填している状態で、全体で営業赤字が続く状況でした。

経営者は「売上を上げなければ」と考えつつも、広告費・人件費・仕入れをどこから手をつけるべきかわからず、迷走していました。

企業概要

  • 業種:飲食業(ラーメン店)
  • 従業員数:65名

金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:

飲食業においてはFLコストと言われる材料費と人件費の合計額がどれくらいの割合に抑えられるかというところが鍵になります。ラーメン店においてはウクライナの影響で小麦の価格が高騰していることから原材料費が高騰しており、A社のように人件費率が高い飲食業は非常にリスクが高いといえます。

銀行の与信判断では「損益分岐点比率」「限界利益率」を見ますが、そこが高止まりしていると、追加融資は極めて厳しいです。

この段階で経営者が「どこを削るか」ではなく「どこに集中するか」を見極められるかが再生の分かれ目です。

転機:F&M Clubが導いた「数字で見る経営」

F&M Clubの担当アドバイザーは、まず飲食業界全体の指標を用いた比較分析を実施しました。

飲食業界の平均原価率・人件費率・利益率を基準にA社の数値を照らし合わせ、現状を可視化。その結果、赤字店舗が抱える構造的な課題が数値の面から明確になりました。F&M Clubの担当コンサルタントは、まず同業他社との比較分析を実施しました。

業界平均の原価率・人件費率・利益率をもとに、A社の問題点を数値で可視化。

結果、赤字店舗の構造的な問題が明確になりました。

【F&M Clubのコンサルタントによる主なサポート】

  • 原価・人件費比較資料を作成し、経営課題を見える化
  • 利益目標を設定し、原価低減・シフト管理・スタッフ教育の方針を策定
  • 赤字店舗の閉鎖を決断し、経営リソースを集中
  • 格付診断レポートを活用し、金融機関と建設的な借入交渉を実現

金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:

財務分析では「1店舗あたり損益」を正確に把握することが最も重要です。

赤字店舗を抱えたままでは、どれだけ売上を上げてもキャッシュフローは改善しません。

F&M Clubの分析ツールを用いて、原価率・人件費率・粗利率を店舗単位で可視化できることは極めて重要で、数字に基づいた判断を下しやすくなります。

また、格付診断を用いることで、金融機関に「再建計画の根拠ある説明」ができ、資金調達の交渉余地が広がります。

成果:1店舗体制で黒字化、安定経営へ

A社は、採算が取れない1店舗を閉鎖し、利益率の高い店舗に経営資源を集中しました。

従業員配置を最適化し、シフトの見直しで残業時間も削減。

原価率は5ポイント、人件費率は7ポイント改善し、営業利益が黒字化しました。

閉鎖によって売上規模は縮小したものの、キャッシュフローは大幅に改善し、金融機関との関係も再構築。経営者は「数字を見ながら安心して判断できるようになった」と語っています。

金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:

撤退判断は経営者にとって最も難しい決断です。

しかし、信用調査の立場から見ても、「早期に不採算部門を整理できる企業」は将来的に自己資本比率が回復しやすく、格付が改善しやすい傾向があります。

A社はF&M Clubを通じて数値管理を定着させることで、経営の安定性が高まりました。

今後は1店舗あたりの利益率をさらに高める「集中戦略」によって、投資余力を生み出せるフェーズに入ります。

教訓:撤退は「終わり」ではなく「再設計」の始まり

この事例から導かれる教訓は3つです。

  1. 他社比較により「自社の課題」を客観視すること

  2. 撤退判断は「損切り」ではなく「利益構造の再設計」

  3. 金融機関とは“数字”を共通言語に信頼を築くこと

まとめ:数字に基づく経営が再生の第一歩

ラーメン業界のような低利益構造のビジネスでは、勘や経験に頼る経営には限界があります。

A社のように、数字を見える化して冷静に判断できる体制こそが、持続的な黒字経営への道です。

金井弘一朗(元大手信用調査会社)のコメント:

「撤退=失敗」と捉えるのではなく、「再設計=成長の起点」と考えることが重要です。

不採算店舗を早期に整理し、利益率の高い店舗に集中する。

F&M Clubの財務分析支援は信用協会の評価基準をベースにしていることから、金融機関の評価に直結します。信用調査機関も計数面が不得手かどうかはしっかりみており、“数字で語れる経営者”は安心できます。

今回の事例では、F&M Clubは業界平均値や格付データをもとに財務状況を客観的に分析し、経営課題を「単価」「原価」「効率化」の3つの視点から可視化しました。

さらに、F&M Clubは補助金の活用支援や資金繰り改善、労務体制の最適化までをワンストップでサポートしています。こうした総合的な支援により、累計48,000社を超える中小企業が再現性のある経営改善を実現しています。

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