
昇給予定企業が殆ど!賃上げ時代を乗り切るためには支援策を活用
株式会社エフアンドエムが実施した『中小企業の昇給予定実態調査(2023年度)』の調査結果によると、今年度は大多数の企業が昇給をおこなう予定です。
企業は助成金の活用などで賃上げによるコスト上昇に対応することが必要です。
目次[非表示]
- 1.昇給制度の運用状況
- 1.1.正社員の昇給制度は88%が実施
- 1.2.非正規社員については59%
- 1.3.業種別の特徴
- 1.4.従業員数別の特徴
- 2.2023年度の昇給予定
- 2.1.昇給実施予定は76%
- 2.2.不定期昇給企業も昇給実施予定
- 2.3.昇給額(月給ベース)にはばらつき
- 2.4.昇給率5%未満が殆ど
- 2.5.業種別の特徴
- 2.6.従業員数別では昇給率に差
- 3.賃上げは補助金・助成金を活用
- 3.1.賃上げに対応する生産性向上は補助金で投資
- 3.2.賃上げ・働き方改革は助成金を利用
- 3.3.助成金は就業規則の改正に注意
- 4.補助金申請はF&Mがサポート
- 5.まとめ
昇給制度の運用状況
回答企業1,873社においては多くの企業が昇給制度を導入しています。
正社員の昇給制度は88%の企業が導入しており、非正規社員についても59%が導入しています。
正社員の昇給制度は88%が実施
正社員に対する昇給制度は88%の企業が導入しています。
定期昇給(『毎年決まった時期に昇給を実施している』)企業は59%、不定期昇給(『不定期に昇給を実施している』)企業は29%となっています。
非正規社員については59%
パート・アルバイトなどの非正規社員について昇給制度を導入している企業は59%です。定期昇給制度を導入している企業(27%)よりも、不定期昇給の企業の割合(32%)が高くなっています。
業種別の特徴
正社員の定期昇給を導入している企業を業種別にみると、最も導入されている業種は情報通信業(84%)、次いで医療・福祉業(68%)や製造業(65%)などが続きます。最も低い業種は運輸業(39%)です。
運輸業は不定期昇給制度の導入割合が36%と全業種の中でも最も高くなっています。
非正規社員の昇給制度については不定期昇給を実施する企業が多く、サービス業(43%)、医療・福祉業(45%)において特に高くなっています。
従業員数別の特徴
従業員数別でみると、定期昇給導入企業は従業員数が多いほど高くなっています。
従業員数301名以上の企業においては正社員について80%、非正規社員についても45%の企業が導入しています。
従業員数10名以下の企業においては、正社員の定期昇給制度導入企業は45%、非正規社員については16%となっています。
2023年度の昇給予定
今年度の昇給予定の有無についても大多数の企業が昇給予定であることがわかりました。物価高騰の影響を考慮して、多くの企業が賃上げを実施予定です。
昇給実施予定は76%
今年度の昇給を「実施する」企業は76%(1,432社)となり、「実施しない」12%(118社)を大きく上回りました。
不定期昇給企業も昇給実施予定
昇給制度についての設問において「不定期に実施する」としていた企業についても63%(351社)が今年度は昇給を「実施する」と回答しています。
昇給額(月給ベース)にはばらつき
昇給を「実施する」と回答した企業(1,432社)における月給ベースでの平均昇給額は次のとおりです。
昇給金額でみると、昇給額1,000円から10,000円までの間で幅広く分散しています。
「1,000円超~3,000円未満」20%(287社)
「3,000円超~5,000円未満」19%(277社)
「5,000円超~10,000円未満」19%(270社)
昇給は実施予定であるが金額は「未定・わからない」と回答した企業は31%(438社)となっています。他社の昇給予定を考慮すると、1,000円~10,000円での昇給をおこなう企業が多いと推測されます。
昇給率5%未満が殆ど
昇給金額を決定済の企業(994社)の昇給率をみると、昇給率5%未満が大半を占めています。
「1%未満」10%(98社)
「1%超~3%未満」51%(509社)
「3%超~5%未満」27%(266社)
「2023春季生活闘争方針」(春闘)要求である約5%の賃上げを下回る企業が大多数です。
業種別の特徴
定期昇給導入企業が多かった情報通信業においては、「1%超~3%未満」と「3%超~5%未満」の合計で53%(26社)を占めています。
不定期昇給の割合が高い運輸業においては「1%超~3%未満」24%(25社)が最も多く、次いで「3%超~5%未満」が12%(12社)となっています。
従業員数別では昇給率に差
従業員数別に昇給率をみると、従業員数31名以上の企業の約半数が昇給率「1%超~5%未満」となる一方、従業員数10名以下では37%に留まっています。
賃上げは補助金・助成金を活用
今年度に昇給を実施する予定の企業は76%に上りますが、昇給率は5%未満であることが殆どです。
一方、2023年4月の消費者物価指数は105.1と高止まりしているため、今後も物価高が続く場合は更なる賃上げが必要となる可能性があります。
企業においては引き続き業績改善をおこなうことで、賃上げにより従業員を維持できるだけの体力をつける必要があります。
【参考】2020年基準 消費者物価指数 2023年4月分|総務省
賃上げに対応する生産性向上は補助金で投資
賃上げによるコスト上昇を補うためには生産性の向上が必要です。生産性を向上するためには、販売や生産を高付加価値化するとともに、総務なども自動化する投資を検討します。
生産性向上のための投資は、補助金や助成金などの公的支援策を活用します。
生産性向上を支援する代表表的な補助金として以下の支援策などがあります。
- 事業再構築補助金の成長枠・グリーン成長枠における大規模賃金引上促進枠・事業再構築補助金の「成長枠」と「グリーン成長枠」については、この2つの補助枠のへの上乗せ枠である「大規模賃金引上促進枠」があります。大規模賃金引上促進枠とは、成長枠またはグリーン成長枠の要件に加えて、次の2つの要件を充たす事業者について、上限3,000万円の補助が上乗せされる制度です。
- 補助対象となる事業の終了後3から5年間で、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる
- 補助対象となる事業の終了後3から5年間で、従業員数を年率平均1.5%以上(最低事業期間×1名以上)増員させる
賃上げ・働き方改革は助成金を利用
働き方改革における対応や賃上げをおこなう企業を優遇する代表的な制度として以下の支援策などがあります。
-
賃上げ促進税制
中小企業が前年度より従業員の給与を増額した場合に法人税の税額控除を受けられる制度です。基本的な要件である①と、上乗せ要件である②と③があります。
- 給与など(賞与を含めます)の増額幅が1.5%以上の場合は、増加額の15%が税額控除されます。
- 給与など(賞与を含めます)の増額幅が2.5%以上の場合は、上記①の税額控除率15%に加えてさらに15%上乗せされ、30%の税額控除となります。
- 従業員のスキルアップのための外部研修費用など教育訓練費を前年度と比べて10%以上増加させた場合は、税額控除率をさらに10%加算します。
上記①と③の場合は税額控除率が25%、上記②と③の場合の税額控除率は40%となります。ただし税額控除できる額は法人税額または所得税額の20%が上限となることに注意が必要です。
【引用】中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック|中小企業庁
-
業務改善助成金
生産性を向上させるための設備投資をおこなうとともに、事業場内の最低賃金を30円引き上げる事業者に対して、投資額の一部として60万円から最大600万円の助成金を受けることができる制度です。
最低賃金の引上幅と賃上げ対象となる従業員数によって助成額が異なります。
助成金は就業規則の改正に注意
助成金の申請時は就業規則の添付を要求されることが多くあります。自社の就業規則が最近相次いでいる労働法の改正に準拠していない場合、助成金の申請が採択されない可能性があります。
助成金の申請前に、自社の就業規則を確認しましょう。
補助金申請はF&Mがサポート
補助金や助成金の申請はF&Mがサポートします。
F&Mは中小企業のバックオフィス業務の生産性向上を支援するサブスクサービス『F&M Club』を運営しています。
F&M Clubは月額30,000円(税抜)の定額で、補助金申請や資金繰り改善をサポートする34のコンテンツが使い放題であり、累計38,000社が利用しています。
F&M Clubの『補助金・助成金サポート』なら、支援策探しのお手伝いから申請書作成の支援まで、忙しい経営者の皆様をサポートします。
- 『マンスリーチェック』
1社1社様に応じたレポートを作成します。
- 『助成金診断報告書』
簡単なアンケートで、自社が該当する可能性がある助成金を診断します。
種類が多く複雑な厚生労働省が取り扱う助成金を効率よく確認できます。
「就業規則診断」
就業規則が現行の労働法などに合致しているか、労働トラブルを防ぐことができるかなどを診断します。
最近の法令に準拠したマイカー通勤規程など諸規定のドラフトも利用できます。
まとめ
今年度は大多数の企業が昇給を実施予定です。昇給幅や昇給額には幅がありますが、多くの企業が昇給することにあわせて、自社の昇給も検討する必要があります。
人手不足や賃上げなど人件費などの上昇が予想される中、経営者はコスト上昇を生産性の向上によりカバーすることが求められます。
生産性向上のための投資や賃上げに伴う人件費の増加は、補助金や助成金を上手に活用しましょう。
「どの補助金・助成金が自社で使えるかわからない」
「どのような書類を準備すればよいかわからない、書類の準備が大変」
公的支援策の申請のサポートはF&Mへお気軽にご相談ください。