事業継続力強化計画認定制度とは?特徴やメリットを徹底解説
地震や台風が頻繁に発生する日本では、自然災害による被害が深刻な問題となっています。
事業継続力強化計画認定制度とは、自然災害による被害を受けても企業が事業を存続していけるように、事前準備(計画)を施した企業が国から補助支援を受けられる制度です。
事業継続力強化制度の特徴やメリットを解説します。
事業継続力強化計画認定制度とは
事業継続力強化計画認定制度とは、中小企業が自然災害に備えて防災・減災の事前対策に関する計画をおこない、経済産業大臣より認定を受けた中小企業は、税制措置や補助金の加点などの支援を活用できる制度です。
認定対象事業者
認定対象事業者とは、防災・減災に取り組む中小企業、小規模事業者を指します。
事業継続力強化計画(申請書)に記載する項目
事業継続力強化計画には、以下のポイントをおさえて記載します。
事業継続力強化の目標
事業継続力強化に取り組む目的の明確化 |
企業が事前対策計画に取り組む理由、取り組みが必要な理由を明確に記載します。 |
想定されるリスクの記載
ハザードマップなどを活用し、自然災害のリスク認識と被害想定策定 |
自然災害によってどのような被害が想定されるか、リスクを認識し明記します。 |
発災時における対応 |
災害が発生した時における対応(安否確認、被害の確認など)を策定します。 |
事業継続力強化の内容
具体的な対策 |
企業のヒト、モノ、カネ、情報を災害から守るための具体的な対策例を策定します。 |
計画体制 |
事前対策の取り組み体制を(経営層のコミットメント)記載します。 |
計画・取り組みの実効性
訓練実施や計画の見直しなど事前対策に対する実効性を確保できる取り組みを記載します。
事業継続力強化計画認定制度のメリット
認定を受けた企業はさまざまな支援策を活用できます。
金融支援
日本制作金融金庫の低利融資や信用保証の別枠など計画の取り組みに関する資金調達の支援を受けられます。
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金融支援についての詳細は、中小企業庁の概要をご参照ください。
【参考】 中小企業等経営強化法(事業継続力強化計画策定の手引き)| 中小企業庁
税制優遇
認定された計画に従い、認定日から1年以内の取得等をした対象設備について、取得価格の20%(令和5年4月1日以後に取得等をする設備については18%)の特別償却を受けることができます。
対象設備
【原価償却資産の種類(取得価格要件):対象となるものの用途または細目】
機械および装置(100万円以上) |
自家発電設備、浄水装置、揚水ポンプ、排水ポンプ、制電・免震装置(これらと同等に、自然災害の発生が事業活動に与える影響の軽減に資する機能を有するものを含む) |
器具および備品(30万円以上) |
自然災害の場合、すべての設備 |
建物付随設備(60万円以上) |
自家発電設備、変圧器、貯水タンク、防水シャッターなど(これらと同等に、自然災害の発生が事業活動に与える影響の軽減に資する機能を有するものを含む) |
適用要件
認定対象期間内に事業継続力強化計画の認定を受け、適用対象期間内に対象設備を取得または製作・建築することが必要です。
予算支援
計画認定を受けた事業者は、ものづくり補助金等の一部の補助金において審査の際に加点され、補助金の優先採択支援が受けられます。
認定ロゴマーク
認定ロゴマークは、事業継続力強化計画の認定を受けた場合または制度の周知などに協力した企業が使用できるマークです。
認定ロゴマークは会社案内や名刺に掲載し、PRできます。
【参考】 事業継続力強化計画認定制度の概要 | 中小企業庁
【参考】 中小企業等経営強化法 (事業継続力強化計画策定の手引き)| 中小企業庁
リスクマネジメント
申請書(計画書)を作成することで、実際に自然災害が起きた時のリスクを再認識でき、企業のリスクマネジメントにもつながります。
従業員との信頼関係にもつながる
計画書の作成は、業者に依頼すると約10万円の費用がかかりますが、従業員の有事に備えることができます。
万が一の災害に備えた労働環境の整備は、安心して働くことのできる労働環境づくりとして、従業員からの信頼関係へとつながります。
企業の取り組み事例
災害に備え、さまざまな企業で実行性のある取り組みがおこなわれています。
製造業(従業員数130名) |
「大切な従業員の命を守り、地域の暮らしの活力、地域経済力を守る」ことを目的に設定。
この目的の設定は、従業員の定着率の向上にも貢献することとなりました。
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生花店(従業員数5名) |
過去の水害被害を踏まえ、冷蔵庫用の電気設備を高所に配置。 豪雨により、店舗は浸水したものの、電気設備は被害を受けず、 早期に営業再開することができました。 |
食品加工業(従業員数197名) |
地震保険にあらかじめ加入していたことで、津波の際、大きな被害を受けたものの、保険によって復旧費用を確保できた。
安心して働ける環境が新入社員確保にもプラスにつながることとなりました。
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災害に備えてあらかじめ事前対策を講じておくことで、万が一災害の被害を受けた場合でも、営業における被害を最小限にとどめ、従業員が安全に働くことができる職場環境の整備は、従業員から企業への信頼にもつながります。
補助金制度を最大限活用するためには早めの情報取得
事業継続力強化制度をはじめ、国による補助金制度は多数あります。
補助金制度を知っているか知らないかで、受けられる支援に差が生じます。
支援をうまく活用し、企業経営に役立てるためにも、習慣的に補助金制度や労働に関するさまざまな情報を得ることが大切です。
まとめ
日本の企業は、常に自然災害の被害に遭うリスクと隣り合わせの状態です。
災害に備えて、事前準備・対策を講じることで受けられる支援制度があります。
国からの支援制度は、日頃から情報収集をすることと、制度について理解しましょう。
万が一に備えて対策することで、リスクマネジメントができるだけでなく、国からの支援も受けられ、従業員も安心して働くことができます。