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中小企業なら加入したい倒産防止共済とは?メリットや加入に向けた流れを解説

倒産防止共済とは、中小企業において取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐために設けられた制度です。取引先が倒産してしまうと、キャッシュフローに大きな問題が生じ連鎖倒産が発生する可能性があります。しかし、倒産防止共済に加入していると無担保で借り入れることが可能です。
また、共済への掛け金は法人の損金や個人事業主の必要経費として計上でき節税にも効果があると考えられています。中小企業ならば加入しておきたい、倒産防止共済とはどのような仕組みであるのか解説します。



目次[非表示]

  1. 1.中小企業向けの倒産防止共済とは
  2. 2.倒産防止共済へ加入しておくメリット
    1. 2.1.倒産防止に向けて無利子・無担保の借入が提供される
    2. 2.2.一時貸付金の制度を利用できる
    3. 2.3.損金への参入で節税効果がある
    4. 2.4.解約手当の設定がある
  3. 3.倒産防止共済へ加入するデメリット
    1. 3.1.40ヶ月以内の解約は手数料が発生する
    2. 3.2.借入額の10%が積立金から控除される
  4. 4.倒産防止共済へ加入する基本的な流れ
    1. 4.1.加入要件の確認
    2. 4.2.必要書類の準備
    3. 4.3.窓口での手続き
  5. 5.実際に加入する際の掛金設定
    1. 5.1.5,000円から任意に設定可能
    2. 5.2.変更や前払いにも対応
  6. 6.まとめ

中小企業向けの倒産防止共済とは

中小企業倒産防止共済制度とは、経営セーフティ共済とも呼ばれるもので、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための共済制度です。毎月、共済に対して掛金を支払っておくことで、取引先の倒産など有事の際に運営者である「独立行政法人中小企業基盤整備機構」から借入ができます。
一般的な金融機関からの融資とは異なり、無担保かつ高速で融資を受けられることが特徴です。金融機関の融資は審査などに時間を要してしまい、途中で倒産してしまうかもしれません。そのため、中小企業倒産防止共済制度では、速やかに融資を受けられる仕組みが整えられています。


倒産防止共済へ加入しておくメリット

中小企業が倒産防止共済に加入しておくメリットは以下のとおりです。


倒産防止に向けて無利子・無担保の借入が提供される

倒産防止共済に加入しておくことで、取引先の倒産などにより債権を回収できなくなった場合は、素早く無利子で融資を受けられます。なお、共済から借入を受けられる取引先の倒産とは以下の状況です。
●  法的整理
●  取引停止処分
●  でんさいネットの取引停止処分
●  私的整理
●  災害による不渡り
●  災害によるでんさいの支払不能
●  特定非常災害による支払不能

なお、倒産に類似する行為として「夜逃げ」が挙げられますが、こちらは正式な手続きを踏んでいないため倒産防止共済の適用対象外です。
条件を満たしている場合、無担保・無利子で掛金総額の10倍を上限に借り入れが可能です。ただ、回収困難となった売掛債権の額がこれよりも小さい場合は、回収困難な額を上限として借入できます。
また、借り入れてすぐに返済が始まるのではなく、6ヶ月の措置期間が設けられています。ある程度、資金繰りを改善してから返済が開始する仕組みです。


一時貸付金の制度を利用できる

倒産防止共済には、一時的に現金が不足した際に利用できる「一時貸付金」と呼ばれる制度も用意されています。貸付金の額は掛金の納付期間によって変化し、最大で解約手当金の95%まで借入が可能です。取引先が倒産していなくとも、中小企業は資金繰りに困ることが考えられるため、非常に魅力的な制度といえます。
なお、一時貸付金の制度を利用するためには、最低でも12ヶ月以上、掛金を納めていなければなりません。つまり、倒産防止共済に加入してから一定期間は、利用できない制度です。
また、取引先が倒産した場合とは異なり、一時貸付金には金利負担が求められます。具体的に設定される金利は、金融情勢に応じて変動するため、利用する際に確認しなければなりません。


損金への参入で節税効果がある

中小企業が倒産防止共済へ支払う掛金は、法人ならば損金として個人事業主ならば必要経費として認められます。つまり、法人でも個人でも利益から差し引くことが可能であり、節税効果が期待できるものです。
もちろん、掛金を支払っているため、手元から現金が減ってしまうことには違いがありません。ただ、損金や必要経費として認められるため、税制的なメリットも大きいと考えて良いでしょう。また、そもそも上記で解決したとおり有事に備えられるため、倒産防止共済への加入自体が大きなメリットです。


解約手当の設定がある

倒産防止共済は掛け捨ての保険ではなく、解約時に解約手当金を受け取ることが可能です。掛金を12ヶ月以上納めていることが条件とはなりますが、支払った金額の一部が戻ってくることは魅力的でしょう。解約手当の内容は、解約の種類と納付した機関によって変化します。
まず、解約の種類は「任意解約」「みなし解約」「機構解約」の3種類です。契約者の都合で解約することもあれば、法人の解散などによって解約されることもあります。また、掛金の納付が止まったなどの理由で、機構から解約を通達されることもありえます。
また、最低でも12ヶ月以上納めていることが条件であり、40ヶ月以上納めると最大の100%を受け取ることが可能です。中長期的に加入すれば、掛金総額がそのまま戻ってくるため、これも非常に大きなメリットだと考えられます。


倒産防止共済へ加入するデメリット

小企業が倒産防止共済へ加入することにはデメリットもあります。


40ヶ月以内の解約は手数料が発生する

メリットの言い換えにはなりますが、40ヶ月以内に解約すると実質的に手数料が発生します。解約手当金は、40ヶ月以上納めることによって100%の払い戻しとなるため、それより早く解約すると手元に残るお金が減少する仕組みです。
解約手当金の設定はメリットではありますが、短期的な解約ではデメリットになりかねません。中小企業が倒産防止共済へ加入する際は、40ヶ月以上の加入を前提に考えておいた方が良いでしょう。


借入額の10%が積立金から控除される

取引先の倒産によって資金を借り入れた場合、今までの積立金から融資額の10%が控除されます。例えば、積立金が500万円で1,000万円の融資を受けると、100万円が控除されて積立金は400万円に減少する仕組みです。
積立金が減少してしまうと、解約時に受け取れる金額が変化します。上記の例ならば、500万円で計算されるはずの解約手当が400万円で計算されてしまいます。借入にあたっては無担保かつ無利子ではありますが、実質的には金利のような負担が必要です。金利が10%と考えると金融機関の融資と比較して決して安くはありません。


倒産防止共済へ加入する基本的な流れ

倒産防止共済へ加入したいならば、以下の3つのステップを進めていきましょう。


加入要件の確認

中小企業倒産防止共済は加入条件が定められていて「1年以上継続して業務を営んでいる会社や個人、一定の組合」かつ「業者や資本金で加入条件を満たしている」場合です。具体的には以下を満たさなければなりません。

業種

資本金の額
または出資の総額

常時使用する従業員数

製造業、建設業
運輸業その他の業種

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

小売業

5,000万円以下

50人以下

ゴム製品製造業
(自動車または航空機用タイヤ
およびチューブ製造業
ならびに工業用ベルト製造業を除く)

3億円以下

900人以下

ソフトウェア業
または情報処理サービス業

3億円以下

300人以下

旅館業

5,000万円以下

200人以下

また、経理内容が不透明であったり税金を滞納していたりするなど、特定の条件に合致する場合は加入できません。


必要書類の準備

倒産防止共済へと加入する際には、以下の書類を準備しなければなりません。
法人の場合
●  商業登記簿謄本または登記事項証明書
●  法人税の確定申告書(直近の決算書等の添付書類を含む)
●  法人税を納付したことを証する書類

個人事業主の場合

●  所得税の確定申告書
●  所得税を納付したことを証する書類
●  確定申告時の帳簿

共通
●  契約申込書
●  掛金預金口座振替申出書
●  重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書

公的機関で発行してもらう書類と中小機構のフォーマットで用意する書類があります。発行してもらう書類については、準備に時間を要する可能性があるため、計画的に揃えていくと良いでしょう。


窓口での手続き

加入手続きは中小機構と業務委託契約を結んでいる団体や金融機関の窓口でおこないます。郵送での手続きには対応していないため、窓口に出向くしかありません。
窓口での手続きが完了すれば、約2ヶ月後に中小機構から加入に関する書類が届きます。こちらを受け取り、手続きが完了です。


実際に加入する際の掛金設定

倒産防止共済へ加入する際の掛け金は、加入者が選択できます。制度を理解して、無理のない掛金を設定するようにしましょう。


5,000円から任意に設定可能

毎月納める掛金は、5,000円から20万円まで5,000円単位で任意に設定できます。最初から高額な掛金を設定すると、資金繰りに悪影響を与えかねません。無理のない金額を設定するようにしましょう。
また、事前に届け出た口座から引き落としされるため、支払い手続きを意識する必要はありません。問題なく引き落としてもらうため、残高には注意しておきましょう。


変更や前払いにも対応

毎月の掛金は、減額したり増額したりできます。経営状況などを踏まえて、変化させられるようになっています。金額を変更したい場合は、書類を提出して受理してもらわなければなりません。引き落としに反映されるタイミングが決まっているため、できるだけ早く提出しておくと良いでしょう。
また、金額の変更だけではなく、掛金の先払いにも対応しています。資金に余裕がある状況で、掛金を先払いしておけば、中小企業として万が一の状況へ備えやすくなります。
なお、掛金総額は800万円が上限です。変更や前払いに際して、この上限を超えてしまう手続きは認められません。


まとめ

条件を満たした中小企業だけが加入できる、倒産防止共済について解説しました。毎月掛金を納めていると、取引先の倒産など有事の際に無担保かつ無利子で、素早く貸付を受けられます。これにより、資金不足が原因の連鎖倒産を回避できる仕組みです。
また、倒産防止共済の掛金は、損金や必要経費として認められます。結果、節税効果も生み出してくれる点が魅力的です。

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