【最新】ハラスメントの種類一覧!経営者がおさえたい具体例と予防策も解説
近年はハラスメントの発生が社会的な問題になっています。時には大きな問題に発展するため、企業としてハラスメントを防止することが大切です。今回はハラスメントの種類や具体例を一覧で解説し、それらを防ぐための基本的な予防策についても解説します。
目次[非表示]
- 1.ハラスメントの法的な定義はあいまい
- 2.【最新】ハラスメント14種とその具体例を紹介
- 2.1.セクシュアル・ハラスメント
- 2.2.パワー・ハラスメント
- 2.3.マタニティ・ハラスメント
- 2.4.パタニティ・ハラスメント
- 2.5.ケア・ハラスメント
- 2.6.アルコール・ハラスメント
- 2.7.モラル・ハラスメント
- 2.8.ジェンダー・ハラスメント
- 2.9.テクノロジー・ハラスメント
- 2.10.リモート・ハラスメント
- 2.11.ソーシャル・ハラスメント
- 2.12.リストラ・ハラスメント
- 2.13.スメル・ハラスメント
- 2.14.セカンド・ハラスメント
- 3.ハラスメントの予防策3選
- 4.まとめ
ハラスメントの法的な定義はあいまい
意外かもしれませんが「ハラスメント」は法律で明確に定義されたものでもありません。一般的にはどのような行為が該当し、法律ではどのように定められているのか理解しておきましょう。
「不法行為」になり得るものがハラスメント
ハラスメントとは「不法行為」として認められる可能性があるもの全般を指します。被害者が加害者を訴えた場合、法的な裁きを受ける可能性があるものは、ハラスメントに該当する可能性があると考えましょう。
ただ、日本には非常に多くの法律があるため、状況によってはさまざまな行為が不法行為として認められます。そのため、どのような行為がハラスメントに該当するのか、一概には言い切れない状況です。時にはハラスメントと認められ、時には認められない可能性があります。
最終的に、受けた行為が「ハラスメント」であるかは、裁判所など第三者が判断しなければなりません。ここでは、警察沙汰や裁判に発展する可能性がある「不法行為」を他者に向けることが、ハラスメントに該当すると理解しておきましょう。
法的に定義されているものは一部のみ
ハラスメントの中には、法令によって定義され、企業として防止措置が義務付けられているものがあります。具体的には以下の5つです。
● セクハラ
● パワハラ
● マタハラ
● パタハラ
● ケアハラ
これらについては、ハラスメントの内容が法令によって定義されています。また、具体的にどのような防止措置が必要かも定められているため、特に注意しなければなりません。
【最新】ハラスメント14種とその具体例を紹介
ハラスメントには多くの種類があるため、代表的なものと具体的に該当する行為を解説します。
セクシュアル・ハラスメント
身体的な接触はもちろん、発言を含めた「性的な嫌がらせ全般」を指します。また、このような行動や発言に対して拒否や抵抗した際に、報復的な行為をおこなうことも含まれます。
具体例
● 挨拶の際に必要なボディタッチを繰り返す
● 性的な要求を拒否した従業員を報復的に異動させる
● 職場など他の従業員の前で卑猥な言葉を投げかける
パワー・ハラスメント
職場での上下関係を中心に、優越的な立場を悪用したハラスメントです。一般的には、立場の高い人が低い人に対し、業務上必要ない言動によって、心身を害したり業務を阻害したりすることを指します。
具体例
● 業務上必要な範囲を超えて、暴言を吐いたり叱責したりする
● 資料の内容が誤っている際に、その資料やクリアファイルなどで殴る
● 意図的に仕事を与えず「給料泥棒」などと悪役に仕立てる
マタニティ・ハラスメント
女性従業員に対して、妊娠や出産を理由に嫌がらせをすることを指します。また、育児中であっても内容によってはマタニティ・ハラスメントに該当するかもしれません。育児休業者への不利益や妊娠や出産に対する暴言などが該当します。
具体例
● 育児休暇の取得者に対して減給を命じる
● 時短勤務の希望者へ「辞めても良い」などと退職を勧告する
● 仕事場のミスを「妊娠しているから」などと妊娠のせいにする
パタニティ・ハラスメント
育児に関連して、男性従業員が受けるハラスメントです。女性従業員と男性従業員では、表現が異なっています。男性従業員の育児休暇申請や育児に対する暴言などです。
具体例
● 育児休暇の取得や時短勤務を理由に評価を下げる
● 男性が育児することに対して否定的な発言を投げつける
ケア・ハラスメント
従業員が家族を介護することを理由としたハラスメントです。介護を理由とした休暇や時間制度の利用によって不利益を与えたり、業務に差し支えたりする行動を起こすことを指します。
具体例
● 「本当に介護しているのか」などと介護を否定する言葉を投げつける
● 介護制度の適用を理由に本人の能力とはまったく異なった部署へ移動させる
アルコール・ハラスメント
主に飲酒に関連した嫌がらせや不適切な言動を指します。上下関係に依存するなど、パワハラに近いものも含まれますが、飲酒に関するものはアルコール・ハラスメントと理解しましょう。
具体例
● 飲み会の場でアルコールが苦手な人にお酒を飲むことを強要する
● 「俺の酒が飲めないのか」などと自分で注いだお酒を飲ませようとする
● 女性社員に無理やりお酌をさせようとする
モラル・ハラスメント
モラル(倫理・道徳)に反する言動によって、相手の精神を害するハラスメントです。コミュニケーションを拒絶したり、相手の考え方を拒否したりするなど、該当する行為は多岐に渡ります。
具体例
● 「〇〇は頭が悪い」などと本人および他の従業員に聞こえるように発言する
● 理由なくアサインされている仕事から外す
● 見た目や日ごろの行動などを否定する
ジェンダー・ハラスメント
性別を理由とした嫌がらせや差別が該当します。「男だから」「女だから」という差別はもちろん、本人の性自認を否定することもハラスメントに該当する行為です。
具体例
● 「この仕事は女性向けではない」などと性別で与える仕事を差別する
● 「男だから重い荷物を運びなさい」と性別を理由とした作業を指示する
テクノロジー・ハラスメント
テクノロジーについて詳しい人が、そうではない人に対して暴言を吐いたり嫌がらせしたりすることです。主にパソコンやスマートフォンに関するハラスメントですが、社内で利用する機器なども該当します。
具体例
● 「まだ新しい業務アプリを使いこなせないですか」とスキルについて嫌味を言う
● 専門用語を多用して「こんなことも理解できないですか」と暴言を吐く
リモート・ハラスメント
リモートワークにおいて発生する、固有の嫌がらせなどを指します。「対面の業務では発生しないが、リモートワークでは起きるハラスメント」だと理解してください。
具体例
● Web会議において特定の従業員だけ招待しない・入室申請を許可しない
● 部屋の掃除度合いなどを執拗に指摘する
● Webカメラで周囲を写すように強要する
ソーシャル・ハラスメント
FacebookやInstagram、LINEなどのSNSで嫌がらせをおこなったり、それを目的としてアカウントを聞き出そうとしたりすることです。実際に嫌がらせすることはもちろん、本人が拒否しているにもかかわらず、アカウントを聞き出すこともハラスメントに該当します。
具体例
● InstagramやLINEで執拗にコミュニケーションを求める
● 職場内で「◯◯さんはLINEのアカウントを教えてくれない」などと発言する
● SNSに掲載されていた内容を本人に無断で公開する
リストラ・ハラスメント
企業がリストラに代えて、仕事の少ない部署へと異動させたり意味のない仕事を押し付けたりする行為です。日本ではリストラや解雇のハードルが高いため、自主的な退職を目的とした嫌がらせ行為だと考えられます。
具体例
● 仕事のやりがいを奪うためにいわゆる「窓際部署」へと異動させる
● 同僚と比較して圧倒的に容易な仕事だけを依頼する
● 「退職した方が、生活が充実する」などと退職を執拗に勧める
スメル・ハラスメント
タバコや香水など、臭いが原因で周囲に不快感を与えることです。ハラスメントは被害者が1人というイメージがあるかもしれませんが、スメル・ハラスメントは加害者が1人で被害者が複数になる可能性があります。なお、本人が自覚しないケースが多いため、注意しなければなりません。
具体例
● 休憩時間に多くのタバコを吸うことで衣服に臭いが染み付き、居室内で不快感を与える
● 出勤時に香水を多く付けることで、エレベーターなどの密室で強烈な臭いを発する
セカンド・ハラスメント
何かしらのハラスメントを受けた人が、そのハラスメントを周囲に相談することで、さらなるハラスメントにつながることです。個人情報が守られずハラスメントの詳細が周知されたり、被害者が逆に悪者として扱われたりします。守られるべき被害者が、さらなる苦痛を受けてしまうハラスメントです。
具体例
● ハラスメントが発生した事実を多くの従業員へと言いふらす
● ハラスメントを窓口へ相談したことを「我慢できないのか」などと叱責する
ハラスメントの予防策3選
ハラスメントの発生は、企業に甚大な損害を与えかねません。そのため、ハラスメントの発生を予防することが非常に重要です。
社内でのルール制定
ハラスメントを防止するためには、ハラスメントを明確に禁止するルール作りが重要です。ハラスメントの具体例や処分の内容を明記して、従業員に周知していきましょう。
具体的なルールがなければ、従業員はハラスメントについて正しく理解できないかもしれません。また、処分を含めたルールの存在は、ハラスメントの発生を抑止することにつながるでしょう。
研修・啓発活動
研修や啓蒙活動を通じて、ハラスメントへの理解を深めることが大切です。
近年はハラスメントが多様化し「ハラスメントに該当するとは考えていなかった」というケースが増えています。これは、ハラスメントを根本的に理解できていないことが原因でしょう。研修などを通じて従業員の認識が改められれば、自ずとハラスメントを予防できるはずです。
窓口の設置
ハラスメントに対する取り組みの一環として、相談窓口を設けておきましょう。窓口を設置することは「すぐに相談できる環境を提供している」ということを意味し、ハラスメントを許さず、会社として従業員を守ることを示せます。
加えて、万が一ハラスメントが発生しても、相談してもらうことでいち早く対処できるようになり、被害の拡大を防止するという観点でも大きな意味を持ちます。
まとめ
ハラスメントにはどのような種類があるのか、最新情報を具体例とともに紹介しました。明確な定義が存在しないため、捉え方次第ではさらに増える可能性はあります。
ハラスメントの発生は、企業に甚大な被害を与えられません。そのため、ハラスメントの予防する仕組み作りや従業員への周知が非常に重要です。