有利子負債とは?有利子負債からわかる企業の財務状況を解説
企業が良好な経営状況を保持するためには、財務状況を把握し、必要に応じて適切に改善していく必要があり、特に、先行投資などで、負債を抱えている企業は、将来を見据えた計画的な資金繰りが重要です。
また、自社の抱える負債がどのように影響しているかを把握しておくことが、健全な財務状況を保つためにも鍵となります。
財務指標のひとつである「有利子負債」を解説します。
目次[非表示]
- 1.有利子負債とは
- 1.1.有利子負債に該当するもの
- 1.2.有利子負債に該当しないもの
- 2.有利子負債にはメリットもあります
- 2.1.金融機関からの信用がある
- 2.2.先行投資により企業の成長性が見込まれる
- 3.有利子負債比率とは
- 3.1.有利子負債比率の計算式
- 3.2.有利子負債比率の標準値
- 3.3.有利子負債比率が高い場合
- 4.有利子負債比率を改善する方法
- 5.早めの財務対策が重要!
- 6.F&M clubの財務改善サービス
- 7.まとめ
有利子負債とは
有利子負債とは、企業が利息を付けて返す必要のある負債です。
有利子負債が多いと、利息の返済額が企業にとって負担となるため、企業の健全な財務状況を図る指標としても、有利子負債の数字が用いられることもあります。
有利子負債に該当するもの
- 金融機関からの短期・長期借入金
- 社債
- コマーシャル・ペーパー
など、利息を払う義務が生じる負債
有利子負債に該当しないもの
- 支払手形
- 買掛金
- 未払金
など、利息を支払う義務が生じない負債
有利子負債にはメリットもあります
有利子負債は、簡単にいえば「借金」であるため、有利子負債が多いと企業にとってマイナスイメージが強いですが、有利子負債は必ずしも「デメリット」だけであるとは限りません。
金融機関からの信用がある
有利子負債を抱えている企業は、金融機関から信用が得られている証拠であり、企業の成長が期待されている証です。
ある程度の事業基盤が構築され、収益性が見込まれているからこそ、金融機関からの融資を受けられます。
先行投資により企業の成長性が見込まれる
企業のさらなる発展や成長のためには、設備投資が必要であり、必要な資金は、金融機関からの借入金などで補います。
事業拡大をしたくても、資金が間に合わない企業などは、借入金を用いた先行投資をおこなうことで、財務状況に与える影響リスクを抑えたうえで、新たな事業務拡大計画などに挑戦できます。
有利子負債を抱えている企業は、必ずしもマイナスであるとは限りません。
しかし、あまりにも多く抱えている場合などは、財務状況を大きく左右させることとなるため、将来性に見合わない負債を抱えることは避けましょう。
有利子負債比率とは
有利子負債比率とは、自己資本における有利子負債の比率のことを指し、企業の財務状況の健全性などを示す指標のひとつとして用いられます。
有利子負債比率の計算式
有利子負債比率(%)=有利子負債÷自己資本×100 |
有利子負債率は数値が高いほど、利息負担が大きくなるため、一般的に、有利子負債比率は低いほど、財務状況の健全性が高く、安定していると判断されます。
有利子負債比率の標準値
有利子負債比率の適正数値(標準値)は、中小企業の場合、100%以下が標準であるとされています。
有利子負債比率が高い場合
有利子負債比率が100%を超えるような場合、自己資本で有利子負債を賄えない状態であることを示し、場合によっては、金融機関からの追加融資などが受けられなくなる可能性も生じます。
有利子負債比率が100%を超えている原因には、
- 金融機関からの借入金が運転資金に回っている
- 設備導入などの費用を上回る収益が獲得できておらず、先行投資がうまく機能していない
などが考えられます。
有利子負債比率を改善する方法
有利子負債比率の数値が高く、危険な状態にある場合、早めの財務改善が必要です。
自己資本を増やす
有利子負債比率を改善するためには、「自己資本を増やす」必要があります。
自己資本を増やすためには、「出資する」、「内部留保(社内留保)を増やす」方法がありますが、有利子負債を抱えている状況では、どちらも現実的に厳しく、短期間で改善することは難しいでしょう。
負債を減らす
有利子負債比率を改善するためには、「自己資本を増やす」以外に、「負債を減らす」必要があります。
借入金などの有利子負債を減らせば、有利子負債比率の数値は下がります。
有利子負債を減らす方法として、受取手形がある場合は、手形割引をし、割引料を差し引いた資金や、株式などの投資有価証券などを売却した資金で、金融機関からの借入金返済に回すという手段があります。
有利子負債比率を改善するために、上記のような方法もありますが、根本的な改善としては、事業の収益をアップさせることが重要です。
早めの財務対策が重要!
企業が、経営難に陥り、最悪の場合倒産するなどのリスクを避けるためには、定期的に財務状況を確認、把握し、必要に応じて早めの財務改善を施す必要があります。
自社の財務状況が健全であるかどうかを判断するためには、「決算書」をはじめとする財務データ、指標について、正しく読み取るスキルが必要です。
F&M clubの財務改善サービス
F&M club では、お金の流れを捉え、資金計画をアドバイスする「財務状況分析」や、金融機関からの借入内容を一覧で整理する「返済予定表管理サービス」、収益計画と連動した資金繰り表を作成する「簡易資金繰り表作成支援」など、財務改善に役立つサービスを多数提供しています。
ぜひ、貴社の財務改善にお役立てください。
まとめ
企業が良好な経営状況を保つためには、財務状況の把握が大切です。
先を見据えた長期的な財務計画を心がけ、必要に応じて、早めの財務改善を施しましょう。