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9割の経営者が知らない中小企業経営者のための財務対策3選

2023年4月以降は、新型コロナウイルス感染症が発症した時期に受けていた融資の返済が始まる企業が増えてきます。しかし企業によってはようやく売上が改善されてきたものの、キャッシュが少なく、どのように返済していくべきか悩んでいる企業も多い現状があります。


本記事では、中小企業経営者のための財務対策として3つ解説します。

目次
1.中小企業経営における環境
 1.1. 環境や技術対応による負担増
 1.2. 従業員数の減少
 1.3.労働時間の減少
 1.4 賃金・社会保険料などの負担増
2.正しい財務対策を実行するための財務指標
 2.1. 簡易キャッシュフローの把握
 2.2. 債務償還年数の把握
3.中小企業経営者がおこなうべき財務対策3選
 3.1. リファイナンス
 3.2. 資本制劣後ローンの検討
 3.3. 経営者にしかできないお金の意思決定
4.F&M Clubでできること
5. まとめ




中小企業経営における環境

中小企業の経営状況において、2008年に起きたリーマンショックよりも2020年に起きた新型コロナ感染症の方が経営に与えた打撃が大きい状況です。しかし国や金融機関がコロナ融資を多くおこなったことで、倒産する企業はリーマンショックよりも多くありません。


2023年4月以降に、コロナ融資の据置期間が終了するため、借入した元本の返済が始まる企業も増えてきます。コロナ禍よりも売上が改善されてきたものの、手元のキャッシュフローが改善されていなければ、返済が始まって倒産する可能性が出てしまいます。


キャッシュがなくなることで倒産するため、借入増加に対する収益回復が必要です。もし3か月後や半年後に資金ショートする可能性がある場合、早めに対応するようにしましょう。


またコロナだけではなく中小企業経営において、取り巻く環境がより厳しくなることが考えられます。


環境や技術対応による負担増

経営環境において、国や社会全体として、省エネやCO2の削減目標といった環境対応に迫られることが多く、もし自社が環境対応していなければ、環境対応している企業に取引先が変更されることがあります。


またロシアのウクライナ侵攻への影響から原油や穀物価格の上昇に伴って、物価高が続いている状況であり、さらにアメリカの景気後退や日銀の金融緩和の影響によって一時期140円ぐらいまで円安が進みました。物価高と円安によって国内企業の影響は大きく、負担が増えている状況です。


環境や技術については、今後も加速していくことが考えられ、物価高や円安の影響もしばらくは続く見込みとなるため、その環境下で経営していくしかありません。


従業員数の減少

経済がコロナ禍を脱して円安の影響もあり、徐々に景気が上向きつつある状況の中、大企業において賃上げも耳にします。また少子高齢化の影響もあるため、中小企業の採用競争が激化しており、技能実習生などの確保が困難な状況となってきました。


従業員数が減少することで、売上が拡大できないため、賃上げするなど雇用確保に向けた対応が迫られます。


労働時間の減少

国の働き方改革の影響から、残業規制や有給休暇取得の義務化があって総労働時間が減少しています。経営者として、今までのような働かせ方では難しく、効率や成果を上げていくために、事業の効率化や従業員教育も実施して、少ない労働時間で成果を出せるようにする必要があります。


賃金・社会保険料などの負担増

最低賃金が上昇し、社会保険の適用が拡大されていることで従業員1人あたりの負担が増えています。2002年から2021年の約20年間で最低賃金が1.5倍まで増えており、また賃金が増えることで企業が折半している社会保険料も増えるため二重の負担増となっています。


最低賃金の上昇や社会保険の適用拡大については、今後も増加していく傾向となるため、少ない従業員で大きな成果が出せるようにしていく必要があるでしょう。


正しい財務対策を実行するための財務指標

2023年3月に決算を迎えた企業は、2023年度決算も厳しくなるという予測を立てている企業が多くあります。企業の営業収支は日々の事業活動から収入を得ており、改善もしているでしょう。しかし併せて財務収支の改善を行うことが大切です。


財務収支を改善し企業経営者が正しい財務対策を実行するためには、「簡易キャッシュフロー」と「債務償還年数」を把握しなければ、正しい財務対策を実行できません。


簡易キャッシュフローの把握

キャッシュフロー計算書は複雑となるため、簡易キャッシュフローで把握することをおすすめします。簡易キャッシュフローは次のとおりです。


項目
直近の決算書
1. 売上高

2. 営業利益

3. 経常利益

4. 減価償却費

5. 簡易キャッシュフロー(3+4)

6. 年間返済額(概算)

7. 年間不足金額(5-6)


決算書の金額を入力した例が次のとおりです。

項目
直近の決算書
1. 売上高
2億円
2. 営業利益
300万円
3. 経常利益
200万円
4. 減価償却費
300万円
5. 簡易キャッシュフロー(3+4)
200万円+300万円=500万円
6. 年間返済額(概算)
1,200万円
7. 年間不足金額(5-6)
500万円-1,200万円=700万円


例で挙げた事例として、700万円の年間不足金額が発生している状況で会社経営できている理由は、不足している金額を金融機関から新規で資金調達しているためとなります。年間不足金額がマイナスになるからといって慌てる必要はなく、まずはどうなっているかを把握することが大切です。


もし年間不足金額がプラスであれば、金融機関から新規で資金調達する必要がなくなり、会社の利益で借入金の返済ができているため問題は少ないといえます。


簡易キャッシュフローよりも年間返済額が多くなっている場合、リファイナンスを検討することをおすすめします。特にコロナ融資が始まることで年間返済額が格段に増える可能性が高まります。またコロナ融資の際は借入がしやすくなっていたものの、今後は借入が厳しくなるため、今ある制度の範囲内でリファイナンスしていく必要があるでしょう。


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債務償還年数の把握

債務償還年数は、借入金を何年で返済できるかを判断する指標であり、15年を超えると金融機関の支援が厳しくなる可能性が高くなります。債務償還年数の計算の仕方は次のとおりです。


項目
直近の決算書
1. 金融機関借入残高(長期借入金のみ)

2. 簡易キャッシュフロー

3. 債務償還年数(概算)(1÷2)


決算書の金額を入力した例が次のとおりです。


項目
直近の決算書
1. 金融機関借入残高(長期借入金のみ)
1億2,000万円
2. 簡易キャッシュフロー
700万円
3. 債務償還年数(概算)(1÷2)
17.14年


企業の1年間のキャッシュフロー全額を使って借入金を返済した場合に何年で返済するかを示します。


金融機関は企業の長期借入金の債務償還年数を見て、債務者区分と引当率で格付けしています。債務者区分と引当率は次のとおりです。


債務区分
開示
引当率
債務償還年
正常先
正常債権

0.23%
10年以内
要注意先 みなし正常先
5%
15年以内
要注意先 要管理先
不良債権
40%
20年以内
破綻懸念先
66%
30年以内
実質破綻先
100%
30年超
破綻先


金融機関は企業に貸付する場合、引当率に応じた貸倒引当金を計上する必要があります。例えば、1億円を正常先の企業に貸す場合は23万円のマイナス計上、要管理先になると4,000万円のマイナス計上をしなければならないため、審査に落ちることで借りられなくなってしまいます。


中小企業経営者がおこなうべき財務対策3選

企業が財務改善するための方法として次の3つがあります。


  • リファイナンス
  • 資本制劣後ローンの検討
  • 経営者にしかできないお金の意思決定

それぞれ解説します。



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