
ものづくり補助金は2025年も継続!19次公募の改正点と手続き・採択ポイント予想をわかりやすく解説
2024年度(令和6年度)補正予算が2024年12月17日に成立し、ものづくり補助金は2025年も継続して実施されることとなりました。
経済産業省が発表した制度概要によると、補助枠を2つへ再編、基本要件を見直し、従業員数51名以上の区分を新設する、などの改正がなされています。
本記事では、ものづくり補助金について2025年からの改正点と制度概要、審査に採択されるためのポイントなどについて解説します。
目次[非表示]
- 1.2025年ものづくり補助金(19次公募以降)における5つの改正点
- 1.1.【改正】基本要件の見直し2つ
- 1.2.【再編】補助枠は3枠から2枠へ
- 1.3.【拡充】従業員数51名以上区分の新設と補助上限額の変更
- 1.4.【新設】「最低賃金引き上げ特例」による補助率2/3への引き上げ
- 1.5.【廃止】収益納付の廃止
- 2.2025年ものづくり補助金の概要
- 2.1.2025年ものづくり補助金の補助枠・補助対象経費・補助率・補助上限額
- 2.2.ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の補助対象となる要件
- 2.3.ものづくり補助金(グルーバル枠)の補助対象となる要件
- 3.2025年ものづくり補助金の特例①大幅賃上げで補助上限額1,000万円引き上げ
- 3.1.大幅賃上げ特例の要件は2つ
- 3.2.大幅賃上げ特例が適用されない企業
- 4.2025年ものづくり補助金の特例②最低賃金引き上げで補助率2/3へ引き上げ
- 5.ものづくり補助金のスケジュールと手続きの流れ
- 6.ものづくり補助金19次公募は難化?採択されるポイントとは
- 6.1.ものづくり補助金の近年の採択率(14次公募から18次公募)
- 6.2.2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント①早めの情報収集
- 6.3.2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント②審査項目に着目
- 6.4.2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント③加点措置を活用
- 6.5.2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント④採択事例を参考
- 6.6.2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント⑤専門家の活用
- 7.2025年ものづくり補助金などの申請はF&M Clubがサポート
2025年ものづくり補助金(19次公募以降)における5つの改正点
ものづくり補助金(正式名称はものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は経済産業省が管轄する国による補助金のひとつです。
2024年12月に経済産業省が発表した「ものづくり補助金の制度概要」によると、2025年に実施予定の19次公募以降では、前回(18次公募)から改正されている点があります。
2025年からの主な改正点は下記の5つです。
- 基本要件を見直し(給与支給総額の年平均成長率を2.0%以上へ引き上げなど)
- 補助枠を3枠から2枠へ再編
- 従業員数51名以上の区分を新設し補助上限額を引き上げ
- 最低賃金引き上げ特例の適用時は補助率を2/3へ引き上げ
- 収益納付を廃止
【改正】基本要件の見直し2つ
すべての補助枠に共通する基本要件が改正されました。改正点は次の2つです。
①給与支給総額の年平均成長率の変更
地域別最低賃金の年平均成長率以上または+2.0%以上へ引き上げ
②次世育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表など
2024年まで加点措置であった要件を基本要件へ組み入れ
基本要件の改正前と改正後をまとめると以下のとおりです。(下線部が改正点)
ものづくり補助金の基本要件 |
改正前 (18次公募) |
改正後 |
付加価値額の年平均成長率 |
+3.0%以上増加 |
同左 |
1名あたり給与支給総額の年平均成長率 |
+1.5%以上増加 |
地域別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上 |
事業所内最低賃金の引き上げ |
地域別最低賃金+30円以上 |
同左 |
一般事業主行動計画の公表など |
記載なし |
(従業員21名以上の場合) |
【引用】令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(2024年12月18日)|中小企業庁
【再編】補助枠は3枠から2枠へ
ものづくり補助金は補助枠のうち省力化(オーダーメイド枠)が廃止され「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つとなります。F
廃止となる省力化(オーダーメイド枠)については、拡充される「中小企業省力化投資補助金(一般型)」において同様の内容が対象となる予定です。
改正前 |
改正後 |
製品・サービス高付加価値化枠 |
製品・サービス高付加価値化枠 |
グローバル枠 |
グローバル枠 |
省力化(オーダーメイド枠) |
廃止(※) |
【拡充】従業員数51名以上区分の新設と補助上限額の変更
製品・サービス高付加価値化枠に、新たな従業員区分として『従業員数51名以上』が新設されます。この区分は補助上限額が3,500万円(大幅賃上げ特例適用時)へ引き上げられます。
同時に従業員数21名以上50名以下の区分においては、旧通常類型から補助上限額が引き上げられています。
改正前
(18次公募)
|
改正後 (2025年公募) |
|||
補助枠 |
製品・サービス高付加価値化枠 (通常類型) |
製品・サービス高付加価値化枠
|
||
補助上限額 |
従業員数 |
750万円 |
従業員数 |
750万円 |
従業員数 |
1,000万円 |
従業員数 |
1,000万円 |
|
従業員数 |
1,250万円 |
従業員数 |
1,500万円 |
|
従業員数 |
2,500万円 |
【引用】令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要(2024年12月18日)|中小企業庁
【引用】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 18次公募要領 概要版|ものづくり補助金事務局
【新設】「最低賃金引き上げ特例」による補助率2/3への引き上げ
「最低賃金引き上げ特例」に該当する中小企業(小規模企業または再生企業を除く)は補助率が2/3へ引き上げられる特例が新設されます。
最低賃金引き上げ特例とは、3か月以上にわたって地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上となっている企業とされています。
【廃止】収益納付の廃止
ものづくり補助金は2025年公募から収益納付が廃止されました。
2025年ものづくり補助金の概要
経済産業省が発表した資料から、2025年に実施されるものづくり補助金の概要を紹介します。なお公募要項は未発表であり、今後内容が変更される場合もあります。
【引用】令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要(2024年12月18日)|中小企業庁
2025年ものづくり補助金の補助枠・補助対象経費・補助率・補助上限額
2025年に実施予定であるものづくり補助金の補助条件額などの概要は次のとおりです。
【2025年ものづくり補助金(19次公募)の補助上限額・補助率・補助対象経費】(予定)
補助枠 |
製品・サービス高付加価値化枠 |
グローバル枠 |
補助対象経費 |
<共通> |
<共通> <グローバル枠のみ> |
補助上限額 |
従業員数により |
3,000万円 |
補助率 |
中小企業1/2 |
中小企業1/2 |
ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の補助対象となる要件
製品・サービス高付加価値化枠の対象要件は「革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化」が要件とされています。
詳細は公募要領において発表される予定です。
ものづくり補助金(グルーバル枠)の補助対象となる要件
グルーバル枠の対象要件は「海外事業の実施による国内の生産性向上」とされています。
詳細は公募要領において発表される予定です。
2025年ものづくり補助金の特例①大幅賃上げで補助上限額1,000万円引き上げ
2025年のものづくり補助金においても、大幅な賃上げを実施する企業へ補助上限額を100万円から1,000万円引き上げる特例措置が講じられます。(引き上げ額は上記のとおり従業員数によって異なります)
大幅賃上げ特例の要件は2つ
大幅賃上げの特例の適用条件は次の2つを満たすことです。
① 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加
② 事業所内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上の水準
上記の要件①と②のいずれか一方でも未達の場合は、補助金返還義務があるとされています。
大幅賃上げ特例が適用されない企業
最低賃金引き上げ特例により補助率を引き上げる場合は、大幅賃上げ特例による補助上限額引き上げの対象外となります。
2025年ものづくり補助金の特例②最低賃金引き上げで補助率2/3へ引き上げ
最低賃金引き上げに取り組む中小企業は、補助率1/2が2/3へ引き上げられる特例が新設されます。
最低賃金引き上げ特例の要件
指定される一定期間において、3か月以上にわたり最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上を占めている企業が対象です。
IT導入補助金2025における補助率の特例対象である「最低賃金近傍の事業者」と同じ要件となると予測されています。
最低賃金引き上げ特例による補助率の引き上げが適用されない企業
小規模企業と再生企業は最低賃金引き上げ特例の適用がなくとも補助率が2/3となっており、最低賃金引き上げ特例はありません。
ものづくり補助金のスケジュールと手続きの流れ
ものづくり補助金19次公募の要領は今後発表予定です。
手続きやスケジュールについて早めに情報収集しておき、手続きに遅れが生じないよう注意しましょう。
参考として18次公募における事務手続きの流れは次のとおりです。
STEP1:GビズIDプライムアカウントの取得 |
【参考】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金事務局
ものづくり補助金19次公募は難化?採択されるポイントとは
ものづくり補助金は前回(18次)公募時に難化し、採択率は約1/3と低くなっています。
2025年にものづくり補助金の申請を検討している方の中には「審査で採択されるか不安である」と感じている方も多いでしょう。
ものづくり補助金の、近年の採択率の推移や審査内容から「採択されるための5つのポイント」を紹介します。
ものづくり補助金の近年の採択率(14次公募から18次公募)
ものづくり補助金の採択率は約50%で推移していましたが、前回(18次公募)、採択率が大きく低下し35.8%となりました。
2025年にものづくり補助金の申請をお考えの方は、事前にしっかりと準備して申請に臨む必要があります。
【参考】採択結果|ものづくり補助金事務局より作成
2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント①早めの情報収集
制度の改正内容や公募要領の発表は、メルマガやLINEによる通知などで早めに入手できる環境を整えましょう。
補助金・助成金制度は頻繁に改正されます。また、補助金は公募ごとに公募要領が変わることも多いです。申請書類の作成や見積書の入手に時間がかかる可能性などもあるため、早めの準備を心がけましょう。
2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント②審査項目に着目
計画書を作成するときに大切な点は「審査項目を意識すること」です。
審査員は審査項目という観点から採択または不採択を判断します。
また、審査項目について表やグラフを使用する、明確に表現する、などすべての審査員にとってわかりやすい記載が求められます。
2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント③加点措置を活用
特定の認定を受けている企業などは、審査点数が加算され、採択されやすくなります。
過去の公募要領を参考に、自社が取り組み可能である加点措置があれば、事前に取得できるようにしておきましょう。
ものづくり補助金18次公募における主な加点措置は次のとおりです。
- サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用
- DX認定の取得
- 健康経営優良法人の認定
- 事業継続力強化計画の認定
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定と公表(従業員数1名以上20名以下の企業)
2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント④採択事例を参考
ものづくり補助金は累計約4万件が交付決定されており、前例が豊富であるため、多くの採択事例を参考としながら自社の計画を作成できます。
しかし、多数の採択事例から自社において参考となる内容を調べ、自社の取り組み内容を踏まえた計画書として完成させることは、忙しい経営者にとって負担が重くなるでしょう。
そのような場合は、ものづくり補助金に詳しい専門家を活用することが効率的です。
2025年のものづくり補助金で採択されるためのポイント⑤専門家の活用
ものづくり補助金など、審査が難しいといわれる補助金の申請は、詳しい専門家の活用がおすすめです。
事業計画書を作成するときに、審査項目を意識した記載内容であり、わかりやすく説明できている点をおさえていることは、採択されやすくなるポイントとして重要です。
また、ものづくり補助金の申請をサポートする専門家を選ぶ際は、申請件数・採択件数などの実績に加えて、事業化状況報告など交付決定後のサポートの有無を考慮することがおすすめです。
2025年ものづくり補助金などの申請はF&M Clubがサポート
ものづくり補助金の概要が発表され、自社の事業計画において、補助金申請を検討中である企業も多いでしょう。
ものづくり補助金は、前回公募時の採択率は35.8%となっており、3件中2件が不採択となってしまいます。今後発表される公募要領など、情報収集にアンテナを高くするとともに、投資計画の検討など、事前準備をしっかりとすすめ、補助金採択を目指しましょう。
「ものづくり補助金の情報をいち早く知りたい」「ものづくり補助金以外に自社で使える可能性がある補助金・助成金を探す時間がない」「事業化状況報告など採択事後手続きをサポートしてほしい」など、補助金・助成金申請について、お悩みの経営者様はF&M Clubをご活用ください。
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