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中小企業が絶対にすべきパワハラ対策【本当に怖い労働トラブル】

近年、「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」が施行され、中小企業においても「パワハラ防止対策」が義務化されるなど、パワハラに対する考え方は益々厳しくなっています。

会社においてパワハラが起きた場合、場合によっては「損害賠償」や「慰謝料」を請求され、会社の社会的信頼の損失につながるほどのトラブルとなります。

中小企業が絶対にすべきパワハラ対策について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.職場におけるパワハラとは
    1. 1.1.精神的な攻撃
    2. 1.2.身体的な攻撃
    3. 1.3.過大な要求
    4. 1.4.過小な要求
    5. 1.5.人間関係からの切り離し
    6. 1.6.個の侵害
  2. 2.パワハラの事例と法的責任
    1. 2.1.身体的・精神的攻撃:【結果】100万円の損害賠償
    2. 2.2.精神的攻撃:【結果】200万円の慰謝料
    3. 2.3.身体的・精神的攻撃:【結果】5400万円の損害賠償
    4. 2.4.人間関係からの切り離し・過小な要求:【結果】1357万円の損害賠償
  3. 3.パワハラ問題が起きてしまったら?
    1. 3.1.相談窓口を設置する
      1. 3.1.1.相談を受けたときは
    2. 3.2.再発防止策の検討
  4. 4.パワハラ問題のリスクを最小限におさえるために
  5. 5.就業規則診断サービス・まかせて規程管理
    1. 5.1.F&M Clubで経営課題を解決しましょう
  6. 6.まとめ

職場におけるパワハラとは

厚生労働省では、職場のパワハラ(パワーハラスメント)について6類型に分けて紹介しています。

精神的な攻撃

精神的な攻撃によるパワハラとは「人格を否定するような言動」や「侮辱的な言動」に該当する行為を指します。

具体的には、以下のような行為です。

  • 同僚の前で叱責する
  • 他の社員も宛先に含まれたメールで、罵倒する
  • 長時間にわたり、必要以上に繰り返し執拗に叱る

身体的な攻撃

身体的な攻撃によるパワハラとは、殴る・蹴るなどの暴行・傷害を加える行為を指します。

具体的には、以下のような行為です。

  • 殴る、蹴る、叩くなどの暴行
  • 物を投げつける

過大な要求

過大な要求によるパワハラとは、「業務上明らかに不要なこと」や、「遂行不可能なこと」の強制・仕事の妨害に該当する行為を指します。

具体的には以下のような行為です。

  • 仕事のやり方が分からない新入社員に対し、他の社員の仕事をおしつける
  • 業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的におこなわせる

過小な要求

過小な要求によるパワハラとは、業務上の合理性なく「職種や能力、経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる」ことや、「仕事を与えないこと」を指します。

具体的には以下のような行為です。

  • 事務職にもかかわらず、倉庫作業だけを命じる
  • 気に入らない社員に対し、嫌がらせのために仕事を与えない

人間関係からの切り離し

人間関係からの切り離しによるパワハラとは、「隔離・無視・仲間外し」に該当する行為を指します。

具体的には以下のような行為です。

  • 1人だけ別室に席を移動する
  • コミュニケーションを取らない
  • 歓迎会や送別会など会社行事に呼ばない

個の侵害

個の侵害によるパワハラとは、「私的なことに過度に立ち入ること」に該当する行為を指します。

具体的には以下のような行為です。

  • 家族に対する悪口を言う
  • 交際相手の有無など、プライベートについて執拗に問う​​​​​​​



パワハラの事例と法的責任

職場におけるパワハラ問題では、加害者本人の不法行為責任(民法第709条)が問われる場合のほか、会社(使用者)も、使用者責任(民法第715条)や安全配慮義務違反(民法第415条)が問われ、法的責任を負わなければならない場合もあります。

【事例参考】NOパワハラ〜事業主のみなさまへ〜|厚生労働省

身体的・精神的攻撃:【結果】100万円の損害賠償

「上司のパワハラで部下3名が会社と上司に損害賠償請求」が認められたケースでは、被告である上司が、部下(ABC)に対し、扇風機の風邪を当て続ける、「今後このようなことがあった場合には、どのような処分を受けても一切意義はございません」という始末書を提出させる、「お前はやる気がない、明日から来なくていい」と怒鳴り、背中を殴打し、面談中に膝を蹴るなどしていました。

判決では、抑うつ状態となり休職した部下Aについては約100万円の損害賠償、部下BとCについてはそれぞれ40万円と10万円が慰謝料として認められました。

また、会社に対し、被告上司のパワハラ行為は、会社の事業の執行に際しておこなわれたものであるとされ、会社も使用者責任を負うとされました。

精神的攻撃:【結果】200万円の慰謝料

「上司ではない優越的な地位にある同僚のパワハラに対して慰謝料請求」が認められたケースでは、被告である同僚Aは原告Bに対し、Aが経営する別の会社の業務をおこなわせ、入力業務を怠ったとして怒鳴り、上司や同僚らの前で「子宮でものを考えている」「不要な人間なのに会社にいられることに感謝していない」などと怒鳴りつけたり、上司や同僚らも宛先に入ったメールで、「怠け者は嫌いです」「貴方はどんなに頑張っても秘書業務では秘書に勝てません」などという内容のメールを送信したりしました。

判決では、同僚Aは、原告Bの直属の上司ではないものの、社内で重要な立場にあると認識されており、原告Bよりも優越的な立場にありました。

同僚Aがその優越的な地位を利用して原告Bよりパワハラをおこなったとして、慰謝料200万円の支払いを命じられました。

身体的・精神的攻撃:【結果】5400万円の損害賠償

「仕事上のミスに対する叱責の枠を超えた暴言、暴行、退職強要による自殺」のケースでは、会社の代表取締役Aは、社員Bに対して、仕事上のミスについて、「てめえ、何やってんだ」「どうしてくれるんだ」「ばかやろう」などと汚い言葉を大声で怒鳴ったり、頭を叩いたり、殴る、蹴るなどの暴行を加えたほか、仕事上のミスによる損害を賠償するよう求めたり、退職願を書くように強要していました。

社員Bは妻とともに警察に相談するなどしていましたが、数日後、自殺しました。

判決では、代表取締役Aの暴言・暴行は仕事上のミスに対する叱責の域を超え、社員Bを威迫し、激しい不安に陥れるもので、不法行為にあたるとされました。

Aと会社に対し、妻と3人の子に対する損害賠償として、5400万円あまりを支払うよう命じられました。

人間関係からの切り離し・過小な要求:【結果】1357万円の損害賠償

「内部告発等を契機とした職場いじめと会社の法的責任」のケースでは、Aはマスコミに自分の会社にかかわる違法なヤミカルテの存在を告発したところ、その後20数年にわたり、教育研修所の配属となり、ほかの社員と離れた個室に席を配置され、研修生の送迎等、雑務しか与えられませんでした。

判決では、Aの内部告発は正当な行為であるとしたうえで、「使用者は、信義則上、雇用契約の付随的義務として、その契約の本来の趣旨に則して、合理的な裁量の範囲内で」人事権を行使すべき義務を負っているとして、「不法行為」「債務不履行責任」により、1357万円の損害賠償を命じました。


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パワハラ問題が起きてしまったら?

パワハラ問題は、使用者責任を問われるケースもあり、十分に注意しなければならない労働問題です。

しかし、予防策を講じていたとしてもパワハラ問題が起きてしまうこともあるでしょう。

パワハラ問題が起きてしまったときは、以下のような取り組みを実施します。

相談窓口を設置する

相談窓口を設置し、窓口では相談者の秘密が守られることや不利益な取り扱いを受けないこと、相談窓口でどのような対応を取るのか、明確にし、運用方法を定めます。

相談時間は、長くても1時間程度にしておきましょう。


相談を受けたときは

相談を受けたときは、以下の流れで対応します。

1.事実関係の確認

相談者の了承を得たうえで、行為者や第三者に事実確認をおこないます。

相談者と行為者の意見が一致しない場合に、第三者に事実確認をおこないます。

2.行為者・相談者への取るべき措置の検討

以下の要素を踏まえ、行為者・相談者への取るべき措置を検討します。

  • 相談者の被害の大きさ
  • 事実確認の結果
  • 行為者または相談者の行動や発言に問題があったと考えられる点
  • 就業規則の規定
  • パワハラについての裁判例

3.行為者・相談者へのフォロー

相談者・行為者の双方に対して、会社として取り組んだことを説明します。

行為者の行動や発言にどのような問題があったかを伝え、同様の問題が起こらないようフォローアップします。

再発防止策の検討

再発防止のために、行為者に対する再発防止研修をおこない、継続的に予防策に取り組みましょう。

定期的に、取り組み内容の検証・見直しをおこない、効果的な再発防止策の策定、実施を心がけることが大切です。

【参考】NOパワハラ〜事業主のみなさまへ〜|厚生労働省

パワハラ問題のリスクを最小限におさえるために

パワハラ問題のリスクを最小限におさえるために、就業規則・規程の整備をおこないましょう。

就業規則や規程で、あらかじめパワハラについて「対処法」などが定められていれば、万が一、パワハラ問題が起きたときでもリスクを最小限におさえられる可能性が高まります。

就業規則診断サービス・まかせて規程管理

F&M Club「就業規則診断サービス」では、自社の就業規則がトラブルに備え、適切に作成できているかを診断し、適宜必要に応じてアドバイスします。

また「まかせて規程管理」では、労務管理に必要な規程や協定書を整え、クラウド上で管理可能となるようにサポートします。

自社の就業規則や規程が「適切に作成できているか不安」「トラブルに対応できる内容となっているか心配」など、疑問や不安を抱えている経営者様は、ぜひご活用ください。

※規程作成や変更・管理、助成金申請代行等はエフアンドエム社会保険労務士法人(法人番号第2712006号)をはじめとする株式会社エフアンドエムが紹介する社会保険労務士が提供します。

F&M Clubで経営課題を解決しましょう

F&M Clubでは「就業規則診断サービス」「まかせて規程管理」以外にも、会社の経営力向上につながる、さまざまな支援サービスを提供しています。

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「自社の就業規則を見直したい」、「パワハラ問題をはじめ、労働トラブルに備えたい」、「離職率を下げたい」、「資金繰りを改善したい」など、バックオフィスにかかわるお悩みがある経営者様は、ぜひご相談ください。


まとめ

パワハラ問題は、日頃から予防策を講じていたとしても、100%回避できるとは限らず、思わぬトラブルにより、会社が使用者責任を問われる場合もあります。

会社の社会的信頼を損失しないためにも、日頃からパワハラ防止策を講じるとともに、就業規則や規程管理を徹底しましょう。

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