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個人保証を外す方法は?外す際に必要な財務基盤の強化方法を解説

会社が金融機関から融資を受ける場合、経営者が融資の保証をおこなうために「個人保証」を選択することがあります。

中には、経営者だけではなくほかの株主や親族も含まれることも…。

個人保証によって融資を受けやすくなる一方、経営者を含めたステークホルダー(株主や親族)に負担が発生する恐れがあるため、どこかで個人保証を外したいと思う経営者も少なくありません。

本記事では、個人保証を外す方法や、外すために必要な財務基盤の強化方法について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.個人保証は一定の条件で外せる
    1. 1.1.基準は「経営者保証ガイドライン」
      1. 1.1.1.一定条件を満たせば個人保証を外せる
      2. 1.1.2.法的拘束力はないものの法令に近しいルール
    2. 1.2.個人保証に関する民法の重要改正
      1. 1.2.1.個人根保証契約の制限
      2. 1.2.2.第三者保証の特則
      3. 1.2.3.主たる債務者の情報提供義務
      4. 1.2.4.債権者の情報提供義務
  2. 2.個人保証になる理由
    1. 2.1.会社の融資を受ける際に要求される
    2. 2.2.社長が連帯保証人になる
  3. 3.個人保証を外すには財務基盤の強化を!
    1. 3.1.会社の財務分析
    2. 3.2.財務体質の改善と強化
  4. 4.F&M Clubのサービスについて
  5. 5.まとめ

個人保証は一定の条件で外せる


個人保証は会社が受けた融資の返済ができなくなった場合、経営者が連帯保証人として債務全額に対して支払い義務を負います。

もし会社が債務不履行に陥って倒産した場合、倒産後も個人が会社の債務を支払い続けなければなりません。

つまり、株式会社の代表取締役は本来出資した会社の債務しか負わない間接有限責任であったはずが、個人保証をおこなうことで実質的に直接無限責任となります。

しかし、個人保証は一定の条件で外せるため、ご紹介します。

基準は「経営者保証ガイドライン」

金融機関が会社に融資する場合、個人保証を要求する可否については「経営者保証に関するガイドライン」(経営者保証ガイドライン)を基準としていることが多いです。

経営者保証ガイドラインとは、政府方針として企業の新陳代謝を促すために金融庁と中小企業庁の後押しで、日本商工会議所と全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」が策定した指針です。

指針となるため強制力が伴うわけではありません。

従来であれば金融機関から融資を受けて大胆な経営をしたいと思っても、個人保証があることで、経営が傾いた時を恐れて融資を受けられないことがあります。

この問題を対処するために、経営者保証ガイドラインが策定されました。

【参考】「中小企業や小規模事業者の方へ ご存じですか?「経営者保証」なしで融資を受けられる可能性があります」│政府広報オンライン


一定条件を満たせば個人保証を外せる

経営者保証ガイドラインに記載されている経営状況の場合、経営者の個人保証なしで融資を受けられます。

  • 中小企業が主たる債務者である
  • 保証人が個人であり、主たる債務者である中小企業経営者である
  • 中小企業と保証人となる経営者が弁済に誠実であり、債権者の請求に応じて、財産状況や負債状況を適切に開示している
  • 中小企業と保証人が反社会的勢力ではなく、そのおそれもないこと

上記の基準は新規融資だけではなく既存融資についている経営者の個人保証を外す際の交渉にも適用されます。

法的拘束力はないものの法令に近しいルール

経営者保証ガイドラインは法令ではないため、金融機関に対して法的拘束力はありません。

しかし、金融機関の監督官庁である金融庁や銀行が加盟する業界団体である全国銀行協会などの連携で策定されているため、すべての金融機関が順守すべきものとして期待されています。

つまり、経営者保証ガイドラインは法的拘束力がないものの、金融機関の間では法令に近しいルールとなります。



個人保証に関する民法の重要改正

2020年4月1日に改正民法が施行されており、個人保証に関するルールが変わっています。

もし経営者が個人保証しなければならない場合でも、2020年4月1日以降に締結や更新される保証契約は適用されるため、新しい内容になっているかを確認しましょう。

改正内容は、4点あります。

【参考】民法の一部を改正する法律(債権法改正)の施行に伴う公証事務の取扱いについて│法務省

個人根保証契約の制限

特定の債務だけではなく将来発生する不特定な債務まで保証する根保証契約は、個人が保証人の場合、極度額を定めなければなりません。

もし、極度額を定めなければ効力が無効となります。

経営者が保証人になっている根保証契約があれば、極度額が定められているかを確認しましょう。

※極度額:根抵当権者が根抵当権に基づいて優先弁済を受ける最大限度額

【参照】民法第465条の2

第三者保証の特則

事業用融資を保証人として、経営者や役員ではなく第三者の個人保証の場合、公正証書で保証債務を履行する意思表示をしなければなりません。

もし、公正証書によらなければ無効となります。

ただし、経営者や役員の個人保証の場合、公正証書による必要はありません。

【参照】民法第465条の6、第465条の9

主たる債務者の情報提供義務

主たる債務者は保証契約を締結する際に保証人に対して、財産状況や、すでに負担している債務状況、担保などの提供物や内容の情報提供義務があります。

もし情報提供を怠ることや情報提供されなかったことを債権者が知り、また知ることができた場合、保証契約を取り消すことが可能です。

【参照】民法第465条の10

債権者の情報提供義務

保証人は債権者に対して、主たる債務者による履行状況について情報提供の請求ができます。

また、主たる債務者が期限の利益喪失となった場合、保証人に対して、そのことを知った時から2カ月以内に通知しなければなりません。

期限の利益は、支払期日を待ってもらえることや分割払いによる支払いです。

滞納を繰り返したことで、債権者から一括請求を迫られた場合、期限の利益喪失となります。

【参照】民法第468条の2、第468条の3




個人保証になる理由


会社の経営者が個人保証になる理由は、金融機関から見ればリスクがある融資となっており、返済されるか不安があるからです。

また融資を受けるからには、経営者が責任を持ってもらいたいという通念があります。

会社の融資を受ける際に要求される

金融機関から会社に対して融資を受ける際に、経営者が個人保証を求められやすいと言えます。

会社経営が傾けば、融資の返済が滞ることや自己破産による債務不履行に陥る可能性が高まります。

会社経営に大きな責任を持つ経営者に対して、金融機関は会社経営を安定させ、しっかりと返済をしてもらいたいと考えます。

会社経営が失敗すれば個人にも負担が及ぶことで会社経営に責任を持ってもらうために、個人保証を求めるといえます。

社長が連帯保証人になる

個人保証は一般的に会社の代表者である社長が連帯保証人になりやすいと言えます。

連帯保証人は主たる債務者である会社が支払えなくなった場合、全額支払う責任が発生します。

保証人には「保証人」「連帯保証人」の2つがあり、「連帯保証人」の方が責任が重くなります。

通常、保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」がありますが、連帯保証人にはその3つの権利はありません。


催告の抗弁権:債権者が主たる債務者ではなく保証人に請求した場合、主たる債務者から請求するように主張できる権利


検索の抗弁権:主たる債務者が返済できる資産などを持っていて返済の拒否をした場合、主たる債務者から請求するように主張できる権利


分別の利益:複数の保証人がいる場合,保証人の人数で割った金額のみの返済しか及ばない権利

以上、「連帯保証人」「保証人」が持っている3つの権利を持っていないため、債権者に請求され場合、支払い義務が発生します。

個人保証を外すには財務基盤の強化を!

金融機関から融資を受ける場合やすでに融資を受けている場合でも、個人保証を外せます。

金融機関は「業績がよく今後も継続的に取引したい」と思う会社であれば、個人保証をつけずに取引しやすいといえます。

個人保証を外すには、金融機関との交渉も必要ですが、会社の財務基盤を強化しておくことが何よりも大切です。

個人保証を外すために財務基盤を強化する方法を紹介します。

会社の財務分析

財務分析は会社のキャッシュフロー状況や経常運転資金、債務償還年数を調査して分析します。

キャッシュフローは「企業活動をおこなって年間どのくらいの現金が増減したか」を把握できるため、利益が出ていてもキャッシュがまったくない、またはマイナスになっていることを確認できます。

資金繰りに失敗すれば倒産リスクがあるため、利益だけでなくキャッシュが残るように経営改善することが大切です。

経常運転資金は長期と短期の借入バランスの適正額を算出するためにおこない、マイナスになれば、利益が出ていても倒産リスクがあるため注意しましょう。

償還債務年数は債務返済をおこなう際に必要な期間を示すもので、金融機関から見れば返済能力を測るための指標でもあります。

年数が短ければ利益に対して借入額が小さいことになるため、金融機関にとってはプラスの評価です。

業種によって目安期間が異なるものの、10年を超える場合は危険とみなされるため注意しましょう。

  社⻑はキャッシュフローをこう⾒なさい!キャッシュフローの改善ポイントも解説 キャッシュフローの見方をご存じでしょうか。社長がキャッシュフローの見方を知らなければ、当然ながらキャッシュフローを改善できず、資金繰り悪化や黒字倒産のリスクを招きかねません。 特に中小企業は資金が潤沢ではないケースも多いため、キャッシュフロー計算書や資金繰り表を利用することで現金の状況を把握すべきです。 株式会社エフアンドエム


財務体質の改善と強化

財務体質は自己資本比率が高く負債が少ない経営をおこなっていれば、財務体質が良い状態といえます。

財務体質の改善には金融機関からの借入などの負債状況を確認・見直すことが重要で、売上を伸ばして利益やキャッシュを増やしていかなければなりません。

財務体質の改善と強化に加えて、金融機関に対して適時適切な財務状況の情報開示をおこなうことで、経営の透明性を確保できます。

日頃から会社の財務状況を把握しておくことで、自発的に報告をおこなえます。


F&M Clubのサービスについて

株式会社エフアンドエムは、経営課題を解決するための支援サービスとして月額3万円(税抜)「F&M Club」を提供しています。

F&M Clubは、累計3万5,000社の中小企業経営者様にご利用いただいています。

企業の経営課題のひとつに、資金繰り改善やキャッシュフローの不安定さが挙げられます。

また、顧問税理士に相談しても財務改善の相談に乗ってもらえないこともあります。

F&M Clubでは、資金繰りに悩む中小企業様の財務改善が可能です。

F&M Clubが提供する財務分析では、キャッシュフロー分析や信用保証協会と同じスコアリングシステムを活用する「CRD格付」をおこないます。

分析結果のフィードバックにおいて、課題解決に向けた施策(リファイナンスなどの提案など)を提示させていただきます。

リファイナンスは、これまでの融資をまとめて月々の返済額を圧縮できるため、手元にキャッシュが残る施策です。

F&M Clubは財務改善だけではなく、補助金支援サービスや、人事・労務などのバックオフィス業務の支援などさまざまな経営課題を解決できます。

もし、税理士や社会保険労務士、コンサルティング会社などから適切な改善策を提案してもらえていない場合には、F&M Clubにご相談ください。


  資金繰りを改善したい|中小企業のバックオフィス業務を改善するならエフアンドエム 利益は出ているが、手元にお金が残らない。自社の財務対策は適切なのか分からない。税理士からのアドバイスが少なくて不安だ。資金繰りを安定させるために、非常に多くの悩みをお持ちではないでしょうか?そのようなお悩みを解決いたします。 株式会社エフアンドエム

まとめ

金融機関から融資を受ける場合、経営者の個人保証が必要なことがあります。

しかし経営者保証ガイドラインによって個人保証にしなくても融資を受けられる可能性があり、すでに個人保証をおこなって融資を受けている場合でも個人保証を外せることがあります。

個人保証を外すには会社の財務分析をおこなって、財務体質の改善や強化をおこなうことが必要です。

また適時適切に財務状況の情報開示をおこなって金融機関との信頼関係を築きましょう。

F&M Clubでは、企業の資金繰り改善をおこなうために、資金繰り表の作成や、施策の提案、導入などの支援サービスを専門スタッフがおこなっています。ぜひお気軽にご相談ください。




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