
中小企業で人事評価はどうすべき?解決できる課題や導入方法を解説
中小企業において、人事評価を実施することは重要です。これにより、従業員のモチベーション向上などの効果を生み出せます。また、個人のパフォーマンスが高まり、全社的にも大きな影響を及ぼします。
ただ、中小企業での人事評価は浸透していない状況です。今回は人事評価の方法や導入によって解決できる課題、導入方法を解説します。
あわせて、人事評価制度の策定とセットで実践すると効果的な、「優秀な人材を採用し定着させる26の方法」もオススメです。
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中小企業で人事評価制度は確立されにくい
中小企業診断協会が提供する「中小企業における人事評価制度の現状」という論文によると、中小企業では人事評価制度が確立されていないことが示されています。例えば、従業員が30人から99人の事業者においては約40%です。
それに対して、5,000人以上の企業においては約98.3%が人事評価制度を確立しています。規模の違いが、人事評価制度の導入有無に影響していると表現しても過言ではありません。中小企業では人事評価制度が確立されにくいですが、そのような状況を打破していくことが求められます。
【参考】「中小企業における人事評価制度の現状」企業診断ニュース
中小企業が人事評価を導入することで経営課題を解決できる
中小企業で人事評価を導入すると、経営面の課題解決につながります。解決の具体例としては以下のとおりです。
社員の定着率が高まる
適切に人事評価を運用することで、社員の定着率を高められます。つまり、離職しやすいという課題を解決することが可能です。従業員の離職率に悩んでいるならば、人事評価の導入を積極的に検討してみましょう。
一般的に、従業員が適切に評価を受けていないと感じると、職場を辞める原因になってしまいます。仕事に対して正確な評価がなければ、従業員には長く働いてもらえません。
個人のパフォーマンスを高められる
人事評価を導入することで、個人のパフォーマンスを高めることが可能です。会社として評価する部分を明確にすることで、その部分を中心としたスキルアップを計画できます。
評価される部分が明確になれば、従業員や上司が何をすれば良いかも明確になるはずです。適切な業務配置や教育の実施、自己啓発などを実現しやすくなり、パフォーマンスの向上へとつなげられます。
上司と部下の信頼関係を築ける
人事評価を実施するためには、上司と部下のコミュニケーションが必須です。定期的にコミュニケーションを取るようになり、上司と部下の信頼関係を築くことに役立ちます。話す機会が少ない職場でも、人事評価を導入することで一定のコミュニケーションを生み出せるでしょう。
上司と部下の信頼関係が築き上げられていないと、業務運営に支障が出るかもしれません。例えば、円滑に意思疎通ができず、無駄なやり取りが生じてしまうからです。人事評価をひとつのきっかけとして、上司と部下の信頼関係が確立できれば、長い目で見て会社が良い方向に進むでしょう。
中小企業で人事評価制度を導入する方法
中小企業で人事評価を導入する場合、課題となりやすいことは導入の方法です。以下2種類の方法から、人事評価制度の導入を検討してみましょう。
- 社内で人事評価制度を確立する
- コンサルティング会社に依頼する
社内で人事評価制度を確立する
自社のペースで人事評価制度を導入したいならば、社内で検討するのが一番です。総務部などを中心に、人事評価制度の確立に向けたチームを立ち上げ、検討を重ねていきましょう。役員など経営層も参画し、全社的にルールを定めていきます。
ただし、社内だけで人事評価制度を制定するためには、有識者が必要だと考えましょう。例えば、他の会社で人事を経験し、人事評価に携わってきた人です。そのような人材なしに、ゼロから人事評価制度を構築することは現実的ではありません。ナレッジが不足してしまい、実運用に適さない人事評価制度が制定されるリスクがあります。
コンサルティング会社に依頼する
社内だけで人事評価制度の制定が難しいならば、コンサルティング会社に依頼することが無難です。人事関連の業務を支援する会社が存在するため、そちらに相談してみましょう。
コンサルティング会社を利用すれば、ヒアリングをもとに最適な人事評価制度を提案してくれます。さまざまなナレッジをもとにした制度を制定してもらうことが可能です。社内に有識者がいなくとも、コンサルタントから説明を受けながら、制度を完成させられます。
一般的にコンサルティング会社に依頼すると、ある程度まとまった費用が必要です。ただ、社内だけで取り組み失敗してしまうリスクを考えると、十分なリスクヘッジといえるでしょう。
人事評価制度の作り方は3ステップ
人事評価制度の作り方は難しいイメージがあるかもしれませんが、大きく分けて3ステップで進められます。
- 目的の明確化
- 評価基準の決定
- 評価手法の選定
目的の明確化
最初に人事評価制度を導入する目的を明確にしましょう。「とにかく人事評価制度を導入しておきたい」と考える人が見受けられますが、これはおすすめできません。目的が明確でなければ、人事評価制度の検討方針に誤りが生じる可能性があります。
例えば、社内の給与制度を明確化するために、人事評価制度を導入することがあるでしょう。この場合、給与に直結しやすい要素を中心に、評価制度を検討しなければなりません。
これは一例ですが、目的に応じて必要とされる人事評価制度は変化します。漠然とした理由ではなく、明確な理由であることが重要です。
評価基準の決定
人事評価にあたっては、基準を設けなければなりません。基準が設けられていないと、評価する側の一存ですべてが決定されてしまいます。これでは、人事評価制度を導入した意味がありません。
評価基準は、可能な限り客観的な内容を意識しましょう。個人の主観を中心としたものは、評価基準の意味をなさない可能性があります。定量的、定性的な基準を設け評価者によって大きな差異が生じないように心がけることが重要です。
ただ、個人の主観をまったく含めないように、評価基準を定めることは現実的ではありません。多少はそのような要素が含まれています。無理やり排除しようとすると失敗しかねないため、その点は留意が必要です。
評価手法の選定
最後に、評価手法も定めておかなければなりません。人事評価制度を運用する段取りと考えてよいでしょう。
例えば、半年に1回、上司と部下が面談して評価を決定する方法が考えられます。部下の意見と上司の評価をすり合わせ、最終的な人事評価を決定する流れです。また、コミュニケーションを取り、日頃の成果を踏まえて上司が判断する方法もあるでしょう。
中小企業が人事評価制度を運用する手法
最後に、中小企業が人事評価制度を導入する場合、どのような運用とすれば良いのか解説します。
紙
簡単に人事評価制度を導入したいならば、紙を利用した運用を開始してみましょう。人事評価に関する項目を一覧化して印刷物とし、関係者に配布して運用します。事前に必要な資料作成しておけば、すぐに導入できる運用方法です。
ただ、紙のような印刷物で運用する場合、管理が手間になると考えられます。枚数が増えるとかさばってしまうなど、部下の多い上司ほど負担が増してしまうでしょう。また、印刷物は経年劣化する可能性があり、そのような観点でも理想的な運用方法ではありません。
中小企業で人数が少ないならば、印刷物での運用からスタートしても良いでしょう。ただ、中長期的にはおすすめできない方法です。
Excel
印刷物を利用するよりも、ITテクノロジーを利用することが無難です。そのため、Excelを利用した運用を考えてみましょう。
上記で解説した紙での運用を実現するためには、記入するためのフォーマットが必要です。これをExcelファイルとして作成し、社内にデータで展開して運用します。印刷物を作る際も、データをつけるケースが多いと思われるため、それを展開すると良いでしょう。
エクセルであれば使い慣れている人が多く、操作感が障壁になることは少ないでしょう。すでにExcelを導入している中小企業へ、特におすすめする方法です。
人事評価システム
人事評価制度に力を入れたいならば、人事評価システムを導入する選択肢もあります。専用の機能が実装されたシステムであり、導入することで素早く人事評価制度を利用可能です。
「システムを導入するなど大層なことだ」と考えてしまうかもしれません。しかし、現在は中小企業での利用を想定した、小規模なシステムが多数存在します。それらの導入であれば、想像しているほど大きな負担にはならないはずです。
しかも、システムを導入するとなれば、開発ベンダーのサポートを受けられる可能性があります。サポートがあれば、人事評価制度の制定からシステムの設定まで依頼可能です。
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まとめ
中小企業における人事評価について解説しました。制度化できていない企業は多く、それがいくつもの課題につながっている状況です。課題を解決するためにも、適切な人事評価の導入は必須であると考えましょう。
とはいえ、中小企業で人事評価制度を導入することは難しいと考えられます。そのため、社だけでの対応が難しいと考えるならば、エフアンドエムへご相談ください。