
新入社員が入社してすぐ辞める理由は?退社の兆候と予防策を併せて解説
新入社員がすぐに辞めることは、会社の大きな課題と考えられます。コストを掛けて新入社員を採用しても、短期間で辞めてしまうと費用に見合いません。
状況によりますが、新入社員がすぐ辞める背景には代表的な理由があります。今回はこれらの理由と退社の兆候や予防策を解説します。
目次[非表示]
- 1.新入社員が入社してすぐ退職する代表的な8つの理由
- 1.1.仕事内容が合わない
- 1.2.人間関係が苦痛
- 1.3.労働環境が悪い
- 1.4.評価や給与が良くない
- 1.5.ワークライフバランスの不満
- 1.6.求人内容と配属先の違い
- 1.7.勤務地の立地
- 1.8.ほかの仕事への興味
- 2.新入社員が入社してすぐ辞めるデメリット
- 2.1.採用コストが高騰する
- 2.2.企業のイメージが低下して人材確保が難しくなる
- 2.3.既存社員の負担が大きくなる
- 3.新入社員が退社する3つの兆候
- 3.1.服装が普段よりも整っている
- 3.2.社員とのコミュニケーションが減った
- 3.3.勤務態度が悪化した
- 4.新入社員が辞めないようにやるべき5つのこと
- 4.1.採用前に福利厚生や休日・給与などの情報を正しく発信する
- 4.2.社員との懇親会
- 4.3.業務内容の最適化
- 4.4.コミュニケーションの強化
- 4.5.メンタルケア
- 5.入社してすぐ辞める新入社員を選考で見分けるためにやるべきこと
- 5.1.応募者が企業に求める条件を把握する
- 5.2.適性検査を実施する
- 5.3.AIを採用プロセスで活用する
- 6.新入社員の退職に関するよくある質問
- 6.1.新入社員は最短何日で辞められる?
- 6.2.突然の退職は法的に問題ない?
- 7.新入社員が辞めることにお困りならばエフアンドエムにご相談ください
- 8.まとめ
新入社員が入社してすぐ退職する代表的な8つの理由
新入社員がすぐ辞める代表的な理由が8つあるため、これらについて解説します。
仕事内容が合わない
辞める理由として特に多いものが、仕事内容が自分に合わないということです。学生時代に学んだ内容や自分の性格を踏まえ、配属された仕事が適さないことで辞めてしまいます。仕事に対するモチベーションを得られないとも表現できるでしょう。
ただ、仕事内容が自分に適しているか判断できる前に辞める人もいます。最初の印象で「仕事が合うかどうか」を判断される場合があり、注意が必要です。
人間関係が苦痛
上司や同僚との人間関係が苦痛となり、これが辞める理由になるかもしれません。上司だけではなく、新入社員同士でも人間関係が苦痛になってしまうことも考えられます。
人間関係が苦痛になると、鬱などのトラブルに発展してしまうかもしれません。そうすると、本人は中長期的に仕事ができなくなる可能性があります。この事態を避けるためにも、自分を守る意味で仕事を辞めてしまいます。
労働環境が悪い
労働環境が悪いと、新入社員のモチベーションを下げてしまいます。結果、新入社員が仕事を辞める理由になりかねません。ほかの社員にまで影響してしまう可能性があります。
例えば、パワハラやセクハラが横行していると、労働環境が悪いと考えられます。この環境下では、新入社員を含め、快適に仕事ができません。会社側が辞める理由を生み出しているような状況です。
評価や給与が良くない
評価や給与など、処遇に関する部分が原因となり、新入社員が辞めることも考えられます。給与は生活に直結する部分であり、評価はモチベーションに影響する部分です。どちらかに不満があると、辞める可能性があるでしょう。
ただ、新入社員のうちは大きな仕事に就ける機会が少なく、評価や給与が上がりにくいことが大半です。その状況で辞めてしまうことは、浅はかともいえるでしょう。会社としてフォローすることで、辞めることを事前に回避できる可能性があります。
ワークライフバランスの不満
残業の時間が長いなど、ワークライフバランスに影響があると、新入社員が辞める原因となります。近年は、今まで以上にライフワークバランスが重要視されています。同業他社と比較して大きく見劣りしていると、新入社員が退職してしまうでしょう。
新入社員に限らず、ワークライフバランスの重要性は高まっています。何かしらの問題を抱えているならば、根本的な改善を意識した方が良いでしょう。
求人内容と配属先の違い
求人内容と業務内容にギャップがあると、新入社員が辞めてしまいます。主に、初回の配属先が求人内容と違うと、短期間で辞める原因となりかねません。例えば、エンジニアを希望していながら、営業に配属されると辞めてしまうでしょう。
新入社員向けの求人に、業務内容を明記しているならば、そのとおりに配属すべきです。多少の都合はあるかもしれませんが、辞めるなどトラブルの原因となってしまいます。
勤務地の立地
勤務地の立地に不満があり、新入社員が辞めてしまうことがあります。例えば、自宅からの距離が遠く通勤を負担に感じ、辞めてしまうなどです。また、勤務地の周辺に食事する場所が少ないなどの理由から、辞めてしまうこともあります。
通勤電車の混み具合など、実際に入社してみなければ分からない部分はあるでしょう。ただ、入社前に調査していれば判断できたであろう要素で、退社してしまうことも事実です。
ほかの仕事への興味
ほかの仕事に興味が湧き、仕事を辞めてしまうケースが見受けられます。社会に出ることで、就職活動とは異なった世界が見え、辞めてしまうことはある程度やむを得ません。業界分析や会社分析に力を入れていても、現実とのギャップを感じる可能性はあります。
自社以外の業界に興味をもつならば、引き止める方法はないと考えましょう。残念ではありますが、無理に引き止めたとしても、モチベーションの低下などを招きかねません。
新入社員が入社してすぐ辞めるデメリット
新入社員が早期に退職することは、企業にとって多くのデメリットをもたらします。以下に、新入社員がすぐ辞める主な影響と詳細を解説します。
採用コストが高騰する
新入社員が短期間で退職すると企業は再び採用活動をおこなわなければならず、求人広告の掲載費用や、採用担当者の人件費などコストが余計にかかる点がデメリットです。
たとえば、エン・ジャパンの試算によれば、社員1名が入社後3カ月以内に離職した場合の損失概算は187.5万円に上るとされています。 さらに、新たに採用した社員の教育や研修にも追加の費用と時間が必要で、これらのコストが累積すると企業の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
企業のイメージが低下して人材確保が難しくなる
新入社員がすぐ辞めると、企業のイメージが低下して人材確保が難しくなる点がデメリットです。早期離職が頻発する企業は、外部から「働きにくい職場」と見なされるリスクがあります。
現代ではSNSや口コミサイトでの情報共有が盛んであり、ネガティブな評判が広がると優秀な人材の応募が減少する可能性が高いです。実際、離職率が高い企業は求職者から敬遠される傾向があり、必要な人材の確保が難しくなって企業の成長や競争力が鈍化する恐れがあります。
既存社員の負担が大きくなる
新入社員の早期退職は、既存社員に追加の業務負担をもたらす点がデメリットです。離職者の業務をカバーするために既存社員が余分な業務を引き受けることになり、結果として労働時間の増加やストレスの蓄積を招く可能性があります。
また、既存社員のモチベーションが低下し、さらなる離職を引き起こす連鎖反応が生じるリスクがあります。業務の引き継ぎや新入社員の再教育にも時間と労力が必要となり、生産性の低下を招くケースも多いです。
新入社員が退社する3つの兆候
新入社員は突然辞めることもありますが、退社する前には、以下のとおり3つの兆候があります。
服装が普段よりも整っている
新入社員の服装が、普段よりも整っているならば注意しましょう。例えば、クールビズの期間であるにもかかわらず、ネクタイを着用しているなどです。これは、他社への面接やエージェントとの面談を控えている可能性があります。退社する可能性があるため、様子を伺い、引き止めるなどのアクションが必要です。
社員とのコミュニケーションが減った
ほかの社員とのコミュニケーションが減少していると、退職の兆候かもしれません。人間関係に疲れを感じ、コミュニケーションを拒んでいる可能性があります。また、後腐れなく退職できるように、人間関係を縮小しているのかもしれません。特に、今までと比較してコミュニケーションが減っている際は注意が必要です。
勤務態度が悪化した
良好であった勤務態度が、悪化してきた場合、退職する可能性があります。今の仕事にモチベーションを感じなくなり、やる気を失っているかもしれません。身だしなみや新しい業務への興味、言葉遣いなど幅広い観点から評価が必要です。強く指導せず、何かしら不満を抱えていないかフォローしてみましょう。
上記のように、新入社員が辞める理由や徴候はさまざまで、新入社員の早期退職は珍しいことではありません。
しかし、大企業でそのような話はあまり聞かないのではないでしょうか。
社員が長く働くことで企業とともに成長する、大企業がその流れを作ることができる秘訣をぜひおさえてください。
新入社員が辞めないようにやるべき5つのこと
新入社員が辞めないようにするためには、会社として対策が求められます。
採用前に福利厚生や休日・給与などの情報を正しく発信する
新入社員の早期離職の一因として入社前の期待と現実のギャップが挙げられるため、採用段階での正確な情報提供が不可欠です。具体的には、福利厚生・休日・給与などの労働条件を正確かつ詳細に伝える必要があります。
まず、福利厚生については健康保険や年金制度、各種手当、社内イベントなど社員が受けられるすべてのサービスを明示しましょう。
次に、休日に関しては年間休日数や有給休暇の取得率、休暇制度の利用実績などを公開すれば、ワークライフバランスを重視する求職者に安心感を与えられます。また、給与に関しては、基本給や昇給制度、賞与の有無などを具体的に示すと金銭面での不安を解消できます。
社員との懇親会
入社前に社員との懇親会を実施してみましょう。事前にギャップを埋めておくことで、入社してからの退職を防ぎやすくなります。また、本人の興味などを聞き出せれば、配属の判断材料として活用可能です。
懇親会は負担にならないよう、短時間の開催をおすすめします。会議室を利用して、軽食を交えながら交流するだけでも良いでしょう。
業務内容の最適化
可能な限り本人の要望を踏まえ、業務を最適化することが重要です。例えば、部署の内部でも割り振る仕事を可能な限り最適化します。
一般的に、人材が不足している部分に新しい人を割り当てることが多いはずです。ただ、それでは本人の特性と合致しない可能性があります。育成の過程ではやむを得ないですが、本人のスキルや希望が明確になるにつれて、最適化しなければなりません。
コミュニケーションの強化
日頃からコミュニケーションを取り、帰属意識を高めておきましょう。「孤立している」と感じると、退社の原因となりかねないため、コミュニケーションを強化しなければなりません。また、困りごとを速やかにキャッチして、フォローすることも重要です。
ただ、コミュニケーションに力を入れすぎると、人間関係が苦痛になり、辞める可能性があります。新入社員の様子を見ながら、さじ加減を考えることが大切です。
メンタルケア
悩み事がないかを確認するなど、メンタルケアにも注力しましょう。会社がすべての事柄をフォローできるとは限りませんが、職場に関することはケアすべきです。
例えば、上司との人間関係に疲れているならば、チームを変更するなどの対応が求められます。また、リフレッシュのための制度を、福利厚生に含めることも良いでしょう。メンタルケアを怠ると、退職や休職につながる可能性があるため、全社的な取り組みが求められます。
入社してすぐ辞める新入社員を選考で見分けるためにやるべきこと
新入社員の早期離職を防ぐためには採用選考時の見極めが重要で、以下に企業が実施すべき具体的なポイントを解説します。
応募者が企業に求める条件を把握する
採用選考において「応募者が企業に何を求めているか」を理解することは、早期離職を防ぐ上で重要です。応募者の期待と実際の労働条件や職場環境にギャップがあると、入社後の不満や離職につながる可能性があるためです。
たとえば、労働条件や給与に対する不満は若手社員の早期離職の主要な理由のひとつとされています。 そのため、面接や応募書類で応募者が重視する条件やキャリアビジョンを具体的に確認しなければなりません。
適性検査を実施する
応募者の適性を見極めるために、適性検査の導入は有効な手段です。適性検査は応募者の性格特性や能力、価値観などを客観的に評価できる検査であり、職務適合性を判断する材料となります。
適性検査と面接を組み合わせれば、企業文化や職務内容に適した人材をより正確に選べるため、早期離職のリスクを低減できます。
AIを採用プロセスで活用する
近年、採用プロセスにおけるAIの活用が注目されており、大量の応募者データを迅速かつ正確に分析して適切な候補者を選別するのに役立ちます。たとえば、履歴書や職務経歴書を自動で分析し、書類選考をサポートするAIツールがあります。
また、AIを用いた面接では応募者の表情や声のトーンを分析し、コミュニケーション能力やストレス耐性などの客観的な評価が可能です。
上記のAI技術を活用すれば、採用担当者だけで選考を実施するよりも選考プロセスの効率化と精度向上が期待できます。ただし、AIの導入には応募者の人間性やポテンシャルを見落とすリスクも伴うため、結果を参考にしつつ最終的な判断は人の手でおこなうことが重要です。
新入社員の退職に関するよくある質問
新入社員の退職に関して、よくある質問は以下の2つです。
● 新入社員は最短何日で辞められる?
● 突然の退職は法的に問題ない?
新入社員の退職に関して疑問がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
新入社員は最短何日で辞められる?
法律上、正社員など期間の定めのない雇用契約の場合は退職の意思を会社に伝えてから2週間後に退職が成立します。上記は民法第627条に基づくもので、入社後すぐであっても適用されますが、会社と合意が取れれば2週間以内での退職も可能です。
また、労働条件が事前の説明と大きく異なる場合など、特別な事情がある場合には即時退職が認められるケースもあります。しかし、上記は例外的なケースであり、一般的には2週間前の通知が必要です。
【参考】民法 | e-Gov 法令検索
突然の退職は法的に問題ない?
労働者には職業選択の自由が保障されており、退職の意思を示すこと自体は法的に問題ありません。しかし、突然の退職、特に引き継ぎをおこなわずに退職することは会社に損害を与える可能性があります。上記のような場合、会社側は損害賠償を退職者に対して請求できる可能性があります。
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まとめ
新入社員が辞める理由は多岐にわたり、本人の感情から会社の環境や采配まで考えられます。これらのなかには、会社が事前に察知して、退職を予防できるものが含まれます。そのため、可能な限り対策して、退社を防止するようにすべきです。
ただ、新入社員が辞める傾向を察知する、もしくは事前に対策することは難しいと感じるかもしれません。自社だけでの対応が難しいと考えるならば、エフアンドエムへご相談ください。
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