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中小企業が法人税増税で受ける影響と具体的な対策方法を解説

中小企業が知っておくべき増税の背景には、防衛力強化のための財源確保があります。特に法人税を軸とした増税案が提案されており、これによって多くの中小企業が影響を受ける可能性があります。
本記事では、中小企業における法人税増税の影響や具体的な増税対策などについて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.中小企業が知っておくべき増税の背景
    1. 1.1.防衛力強化のための財源確保
    2. 1.2.法人税を軸とした増税案
    3. 1.3.多くの中小企業は対象外?
  2. 2.中小企業における法人税増税の影響
    1. 2.1.コスト増や価格競争力低下のリスク
    2. 2.2.赤字経営や倒産の可能性
    3. 2.3.投資や雇用の抑制
  3. 3.中小企業の増税対策
    1. 3.1.助成金や補助金を活用する
    2. 3.2.節税対策やコスト削減を行う
    3. 3.3.事業再構築や多角化を検討する
  4. 4.中小企業が財務力を高める方法
    1. 4.1.増税に関する情報交換や意見交流を行う
    2. 4.2.他社の対応や事例を参考にする
    3. 4.3.協力や連携を強化する
    4. 4.4.コンサルティングを受ける
  5. 5.まとめ

中小企業が知っておくべき増税の背景

中小企業が知っておくべき増税の背景を3つ解説します。

  • 防衛力強化のための財源確保
  • 法人税を軸とした増税案
  • 多くの中小企業は対象外?


防衛力強化のための財源確保

政府が増税を行う目的の1つは、防衛力強化のため財源確保を行い、周辺各国の脅威に対抗するためと言われています。
ロシアのウクライナ侵攻により、各国が相次いで防衛費を増額するなど、世界の安全保障環境が変化しました。
日本では、中国が台湾統一のため武力行使を放棄しない姿勢(※1)や、北朝鮮が弾道ミサイルと核開発の実験を進める(※2)といった状況に置かれています。
世界の安全保障環境が厳しい状況の中、政府は日本を取り巻く脅威に対応するため、防衛力の抜本的強化を重要視しています。
※1:【参考】習国家主席 中国共産党大会 台湾統一には武力行使も辞さない姿勢示す | NHK
※2:【参考】北朝鮮が4月13日に発射した弾道ミサイルについて|防衛省


法人税を軸とした増税案

税府は、2027年度に年間約1兆円の税収増を目指し、「法人税・所得税・たばこ税」を軸とした増税案を検討しています。

法人税の増税は、企業が納税すべき税額に対して、付加税(4〜4.5%)の方式で課税される予定す。
具体的な実施時期は明示されておらず、令和6年(2024年)以降が「適切な時期」とされています。
【参考】令和5年度税制改正大綱 | 政策 | ニュース | 自由民主党


多くの中小企業は対象外?

年間所得2,400万円以下の中小企業は、法人税増税(付加税:4〜4.5%)の対象外です。
政府は法人税増税において中小企業へ負担軽減措置を取ることを検討しており、約94%超の中小企業は対象外となると言われています。

一方、年間所得2,400万円を超える場合においては、中小企業の経営負担を軽減するため、500万円の控除が検討されています。

たとえば、資本金が1億円以下、課税対象所得が3,000万円の中小企業の場合、法人税額は3,000万円×23.2%=696万円です。
この法人税額から、500万円を差し引いた「196万円に付加税の4〜4.5%をかけた額」の7.8〜8.8万円程度を新たに負担します。
企業が負担する合計金額は、「696万円(法人税)+7.8~8.8万円(付加税)=703.8~704.8万円」です。
【参考】令和5年度税制改正大綱 | 政策 | ニュース | 自由民主党

防衛力強化による増税の他、インボイス制度の導入など中小企業に影響する増税スケジュールについては、下記ページとあわせてお読みください。

  増税待ったなし!?岸田内閣の今後予定されている増税スケジュールをまとめてみた | 株式会社エフアンドエム コロナ禍による影響が落ち着き、経済活動が活性化する中で起きた、原材料と燃料費の高騰。追い打ちをかけるように、日米欧の金利差による円安が急激に進み、中小企業の経営を圧迫しています。2022年に発足した第2次岸田内閣発は防衛費の増額や異次元の少子化対策、社会保障改革や税制改革を発表しており、一部の財源は増税で賄うと発表しています。 本記事では、中小企業の経営に影響する、今後予定されている増税スケジュールをまとめてみました。 株式会社エフアンドエム


中小企業における法人税増税の影響

中小企業における法人税増税で考えられる影響として、主に以下3つが考えられます。

  • コスト増や価格競争力低下のリスク
  • 赤字経営や倒産の可能性
  • 投資や雇用の抑制


コスト増や価格競争力低下のリスク

法人税は企業の利益に対して課せられるため、税率が上昇すると中小企業の経営コストが直接的に増加します。自社の余裕資金が減少し、事業活動への投資や新規製品・サービスの開発などの費用捻出が難しくなるでしょう。

また、中小企業は大企業と比べると市場シェアやブランド力が低い傾向にあり、価格競争に巻き込まれやすいです。法人税増税に伴い、その増額分を自社製品の価格に転嫁できなければ、利益率が低下し経営が圧迫されるリスクがあります。


赤字経営や倒産の可能性

増税により中小企業の税負担が大きくなれば、キャッシュフローが悪化して資金繰りが難しくなります。資金に余裕がなくなったり利益が減少したりすると、経営が不安定となる可能性が高まります。

また、大企業と比較すると中小企業は資金調達が難しいこともあるため、増税による財務負担が大きいです。万一、赤字経営となり法人税を支払い続けるといった状況になると、倒産のリスクも捨てきれません。


投資や雇用の抑制

中小企業の税負担が大きくなれば、投資や雇用が抑制され、企業としての成長力と競争力が低下する可能性があります。

増税の影響により企業の利益が減少すると、事業拡大や新規事業へ着手するための投資が抑制されます。
また、税負担が大きくなれば、従業員の給与アップや福利厚生の改善などに取り組むことは困難です。
新規投資や雇用拡大の余裕が失われると、中小企業の成長や市場での競争力維持が見込めず、経営において長期的な安定性を損なうリスクがあります。



中小企業の増税対策

中小企業が実施できる増税対策として、以下の例があげられます。

  • 助成金や補助金を活用する
  • 節税対策やコスト削減を行う
  • 事業再構築や多角化を検討する


助成金や補助金を活用する

中小企業は、助成金や補助金の活用することで、自社が成長するための投資をしやすくなります。
生産性向上や雇用拡大のため施策に取り組む余裕が生まれ、増税による財務負担の軽減が期待できるでしょう。
たとえば、ITツール導入補助金制度では最大450万円の支援を受けることが可能です。
ITツールを導入すれば、業務効率化により、従業員の負担軽減や自社の利益向上が見込めます。

助成金や補助金を活用するためには、政府から発表される最新情報を定期的にキャッチアップすることが重要です。
新しい制度の導入や既存制度の変更点を把握しておくことで、自社の経営安定化につながる適切な制度を選択できます。

中小企業がおさえておきたい補助金や助成金などの制度については、下記ページをご覧ください。

  経営者必見!おさえておきたい助成金・補助金・支援策 | 株式会社エフアンドエム 物価高騰など厳しい経営環境を乗り切るためには、自社を収益体質に変えていく必要があります。経営者が知っておきたい代表的な助成金・補助金・支援策を覚えておき、必要な資金は助成金や補助金を活用しましょう。 株式会社エフアンドエム


節税対策やコスト削減を行う

中小企業は、節税対策やコスト削減を行えば、増税による経営への影響を抑えられます。利益率やキャッシュフローを改善したり、投資や雇用に回せる資金を確保したりできるためです。
たとえば、節税対策として固定資産税の減免制度の活用があげられます。
新たに機械や設備を導入した場合、一定期間税金が免除される制度です。自社の競争力強化に必要な設備投資をしやすくなるでしょう。

税理士などの専門家や経営コンサルタントなどの外部の支援を受けることも重要です。自社の経営状況や目標に合ったアドバイスをもらうことで、増税に対応する適切な準備を行えます。
【参考】固定資産税の減免 | 経済産業省 中小企業庁


事業再構築や多角化を検討する

中小企業は事業再構築や多角化により、経営上のリスク分散や収益源の拡大が見込めます。そのため、増税による経営環境の変化や、コロナ禍のような不測の事態に備えられ、財務負担の軽減が期待できるでしょう。

事業の再構築や多角化を検討するためには、自社の現状分析や市場調査が欠かせません。自社の強みを活かしながら適切な戦略を立てることで、新しい市場や取引先の顧客にサービスを提供することで、競合他社との差別化が図れます。



中小企業が財務力を高める方法

中小企業は財務力を高め、増税による経営環境の変化に備えることが重要です。具体的な方法として、以下4つの例があげられます。

  • 増税に関する情報交換や意見交流を行う
  • 他社の対応や事例を参考にする
  •  協力や連携を強化する
  • コンサルティングを受ける


増税に関する情報交換や意見交流を行う

中小企業同士で情報交換や意見交流を行うことで、最新の税制動向や他社が実施している対策方法を知り、増税に対する自社に合った解決策を見出せるでしょう。
また、共通の課題を見つけ出し、同業者や専門家と協力して効果的な施策を考えることも可能です。
情報交換や意見交流を行う方法として、業界団体や商工会議所の組織への加入、セミナー・イベントの参加があげられます。
また、SNSや交流サイトを通じて中小企業の経営者、専門家とつながることも有効です。


他社の対応や事例を参考にする

他の中小企業の増税への対応や事例を学ぶことも重要です。
前節の情報交換や意見交流を行う方法と相互補完的な関係にあります。他社との交流で得た知識やアイデアを得た上で対応事例を参考にすれば、自社に適切な施策を練られるでしょう。
具体的な方法としては、業界誌やWebサイト、ニュースレターなどのメディア活用、競合他社のベンチマーキングなどがあげられます。


協力や連携を強化する

同業他社や異業種の中小企業と協力・連携を強化すれば、資源やノウハウの共有、新たなビジネスチャンスの創出が見込めます。事業領域を広げたり事業を改善したりすることにつながるため、増税による経営上のリスクを分散できるでしょう。

たとえば、共同購入や共同開発、共同販売などがあります。また、異業種とのコラボレーションにより、新しい製品やサービスの開発ができる場合があります。


コンサルティングを受ける

コンサルティングでは、増税対策のアドバイスや具体的な施策立案、実行の支援などをプロからサポートを受けることが可能です。財務管理などの専門的な知識やノウハウの吸収が可能となり、中小企業の経営力向上が期待できます。

たとえば、F&M Clubは中小企業のバックオフィスを支援するサービスです。補助金・助成金の活用、資金繰り対策などを含めた幅広いコンテンツを提供しています。
中小企業経営者が利用しやすいサポート体制を整え、バックオフィスに関する悩みを解決できるでしょう。


まとめ

中小企業にとって増税は、コスト増や価格競争力の低下などのリスクを伴います。
赤字経営や倒産の可能性も高まり、投資や雇用の抑制が生じるかもしれません。
そのため、中小企業の経営安定化を図るためにも助成金や補助金の活用や、節税対策やコスト削減などが求められます。また、財務力を向上させ増税に備えることも重要です。
中小企業経営者は本記事を参考にしながら、増税に対する対策を検討してください。


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