法人がやるべき節税方法はこれ!基本知識や具体的な方法を解説
基本的に、法人は利益を出して納税しなければなりません。納税の義務があるため、事業活動において利益を得たならば、適切な金額を納めることが重要です。
ただし、手元のお金の減少を最小限に抑えるために、節税を意識しなければなりません。今回は法人が取り組みたい節税方法や注意点を解説します。
目次[非表示]
- 1.法人の節税とは
- 1.1.損金の増加により納税額が下がる
- 1.2.節税と脱税の違い
- 1.3.意味のある節税と意味のない節税とは
- 2.法人が取り組みたい8つの節税方法
- 2.1.赤字の繰り越し
- 2.2.貸倒引当金の計上
- 2.3.役員報酬の最適化
- 2.4.未払費用の計上
- 2.5.出張手当の支給
- 2.6.役員・社員の自宅を社宅化
- 2.7.経営セーフティ共済に加入
- 2.8.短期前払費用の活用
- 3.法人が節税する際の注意点
- 4.エフアンドエムにご相談ください
- 5.まとめ
法人の節税とは
法人の節税を具体的にイメージできていない人もいるでしょう。最初に節税の意味合いについて触れておきます。
損金の増加により納税額が下がる
法人における節税とは、損金を増加させることで、課税所得を減らす行為を指します。税金は大雑把に、売上から損金を差し引いた金額で算出されるため、損金が増えると納税額が減少します。
「損金は計上して当たり前」と考える方は多いですが、実際には計上が漏れているケースが多々見受けられます。また、一部の支出については、損金として扱うような支払いへと切り替えることで、節税に役立てられるかもしれません。
節税と脱税の違い
節税と間違えられやすいキーワードに「脱税」があります。これらは意味が大きく異なり、合法的に税金を節約することを節税で、違法な行為により税金を納めないことが脱税です。例えば、違法に経費を増やしたり納税したりしないことを指します。
なお、このような行為は法律に触れるため、処罰の対象となりかねません。また、通常よりも多くの税金を課される原因ともなり、節税とは大きく意味が異なります。
意味のある節税と意味のない節税とは
節税は「合理的な手法で損金を増やし、納税額を減少させることで、キャッシュフローに余裕を持たせること」が目的です。とにかく、損金を増やして納税額を増やすという考え方ではありません。
例えば、想定よりも利益が多くなることが見込まれる際に、取引先との会食を増やすことは意味のない節税です。このような行為は、手元の現金を減らす行為であり、実質的にはキャッシュフローを悪化させています。これは意味のある節税とはいえず、意味のない節税です。
法人が取り組みたい8つの節税方法
損金を増やすことで、法人は課税所得が下がり節税を実現できます。合理的な手法で損金を増やすために、以下の節税方法を活用してみましょう。
赤字の繰り越し
法人でも赤字を繰り越すことで、節税を実現できます。青色申告を選択している場合、最大10年まで赤字を繰り越せるため、これを活用した節税が可能です。
赤字を繰り越しておくと、翌年以降に黒字になった際、過去の赤字(欠損金)と所得を相殺できます。結果、過去の赤字によって課税所得が減少するため、納税額も減る仕組みです。ただ、課税所得が0円になっても、法人住民税の均等割は課されるため、注意しなければなりません。
貸倒引当金の計上
取引先が倒産する可能性があるなど、リスクのある売掛金や貸付金のうち、一部を貸倒引当金として計上できます。実際に未回収になっていなくとも、回収できないリスクが高まった状況で処理できる仕組みです。損失はありませんが、計上することで節税できます。
なお、貸倒引当金の計上には合理的な見積もりが必要です。基本的には、国税庁が示す「実績繰入率」の計算を踏まえ、社内の担当者あるいは顧問税理士が算出します。自由に計上し、損金を減らせる仕組みではありません。
役員報酬の最適化
役員報酬を最適化すれば、全体での節税が期待できます。法人と個人に課される税金のバランスを踏まえて、役員報酬を決定することが重要です。例えば、所得に課される所得税と法人税のバランスや住民税と法人住民税のバランスが該当します。
なお、日本の税制は法人と個人で税金の算出方法が異なります。個人は累進課税であるため、役員報酬の額によっては結果的に納税額が増えかねません。法人として節税するために役員報酬を増やしすぎると、個人の税金が増えてしまいます。
未払費用の計上
決算直前に大きな効果が期待できる方法が、未払費用の計上です。未払費用とは、今期中に発生した費用のうち、支払いが来季にずれ込むものを指します。これを今期の経費として計上してしまうことで、損金が増加する仕組みです。
未払費用はさまざまなものが計上可能であり、状況に応じて幅広く節税できます。
例えば、社会保険料は未払い費用として計上可能です。翌月に支払う予定の社会保険料を今期の決算に含めると、損金が増えるため節税が期待できます。また、状況によっては、従業員の給与を計上することも可能です。
未払費用は高額になることが多く、計上することで大きな節税効果が期待できます。特に決算の直前は、該当する費用がないか確認してみましょう。
出張手当の支給
出張手当を支給することでも、節税効果が期待できます。特に出張が多い法人ならば、出張手当の支給を検討してみましょう。
実費とは別に出張手当を支給すると、発生した経費より多くの損金を計上可能です。それだけ法人の現金は減少してしまいますが、節税という観点では大きな意味があります。また、出張した側のモチベーションを高めるなどの効果もあるでしょう。
ただ、出張手当を支給して節税するためには、旅費規程の作成が必要です。適切な規定を定める手間はかかりますが、完成してしまえば長く節税効果を発揮してくれます。
役員・社員の自宅を社宅化
役員や社員の自宅を法人で手配して「社宅」にすることで節税できます。会社として住居を借りることで、家賃を経費として計上できるようになり、課税所得が減少する仕組みです。
なお、従業員に対しては社宅として住居を手配するのではなく、住宅手当として支給する方法もあります。従業員が契約した住居の家賃を、法人が充当する仕組みです。福利厚生の一環で従業員からの満足を得られやすく、節税にもつながります。
ただ、社宅や住宅手当の利用にあたっては、居住者の自己負担が必須です。おおよそ半分は本人が負担しなければならず、全額を支給して損金を増やすことはできません。
経営セーフティ共済に加入
経営セーフティ共済に加入しておくと、年間240万円まで掛金を損金に計上できます。節税しながら、万が一にも備えられる制度です。
共済に加入しておくと、取引先が倒産した際に経営セーフティ共済から借り入れができます。金融機関からの資金調達が間に合わなくても、スピーディーに調達できる仕組みです。また、取引先の倒産以外でも、緊急で資金が必要となった際に借り入れを利用できます。
しかも、12ヶ月以上加入していれば、掛け金の80%以上が解約返戻金として入金される仕組みです。節税対策となるだけではなく、最終的には解約払戻金が手に入る可能性があるため、基本的には加入しておいて損はありません。
短期前払費用の活用
短期前払金とは、これから受ける予定のサービスで生じる費用を前払いすることによる経費です。毎月払っていた費用を年払いに切り替える行為などが該当します。
例えば、事務所の家賃は毎月支払っていることが多いでしょう。これを1年分前払いするように切り替えれば、短期前払金として計上できます。
節税に役立つ方法ですが、支払先がこれに応じてくれなくてはなりません。また、短期前払金として計上した費用については、翌期以降も同様に処理することが求められます。短期的には法人の節税に役立ちますが、長い目での評価も必要です。
法人が節税する際の注意点
法人が節税する際は、会計処理と計画性に注意しなければなりません。
まず、節税のためには明確な会計処理が求められます。現状を正しく把握して、合理的に損金を計上しなければなりません。また、節税に取り組んだにもかかわらず、損金として計上しない状況を避けることも大切です。実施だけではなく、会計処理まで含めての節税と考えましょう。
また、節税方法の中には、時間を要するものがある点も注意しなければなりません。計画的に節税へ取り組むことで、法人全体で納税額を下げられる可能性が高まるため、できるだけ早く計画を立ててから進めることを心がけましょう。
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まとめ
法人が意識したい節税について解説しました。合理的な方法で損金を増やすことで、課税所得が減少し、納税額も減少する仕組みです。紹介したとおり、8つの節税方法の中から取り組めるものを採用することをおすすめします。
なお、損金はむやみに増やせば良いというものではなく、キャッシュフローの最適化を意識することが重要です。損金を増やすために、法人が有する現金を無駄に減らしては意味が薄れてしまいます。合理的な支出によって損金を増やすことが重要です。