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キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?要件や注意点、準備方法を解説【2022年5月最新】

多くの業種で人手不足が深刻化しており、せっかく採用した従業員もミスマッチのために早期退職してしまうと、企業は再度採用活動からやり直さなければなりません

ミスマッチの理由はさまざまですが、雇用の流動化が進む現代では「責任感を持って仕事ができ、自身の成長が期待できる」職場へ転職する場合もあります。

そのため、助成金を活用して長期雇用の促進を図りたいという企業が増えており、その代表的な助成金がキャリアアップ助成金(正社員化コース)です。

今回はキャリアアップ助成金(正社員化コース)を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.助成金を受ける前に
  2. 2.キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは
  3. 3.キャリアアップ助成金を受けるための条件
    1. 3.1.キャリアアップ助成金の支給対象となる事業主
    2. 3.2.キャリアアップ助成金の対象となる労働者
    3. 3.3.キャリアアップ助成金における用語の定義の改正
    4. 3.4.キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額
      1. 3.4.1.加算措置
    5. 3.5.キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受けるための取り組み
  4. 4.キャリアアップ助成金(正社員化コース)の活用事例
    1. 4.1.キャリアアップ助成金(正社員化コース)の失敗事例
  5. 5.キャリアアップ助成金(正社員化コース)例外的な取扱い
  6. 6.キャリアアップ助成金(正社員化コース)に必要な必要書類
  7. 7.最後に

助成金を受ける前に

助成金の原資は企業が支払っている雇用保険料の一部が活用されています。

今まで助成金を受けたことがない企業でも要件を満たした場合は申請し、審査後に受給できる場合もあるため、支払っている雇用保険料を有効活用するためにも、必要な準備を進めておきましょう。

しかし、助成金を受けるためには必要な書類の準備や要件を確認しておく必要があります。

ひとつずつ確認していきましょう。


キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは

キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは、採用後に企業内でのキャリアアップを図り、その一部を支援するために設けられた助成金です。

就業規則または労働協約そのほかこれに準ずるものに規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合に助成されます。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、支給される助成金を基に労働者の雇用の安定、処遇の改善を推進することが目的です。


キャリアアップ助成金を受けるための条件

キャリアアップ助成金を受けるためには、事業主と労働者のそれぞれが、対象となる条件を満たす必要があります。

キャリアアップ助成金の支給対象となる事業主

まずは➀雇用保険適用事業所であることが必要です。

労働者を一人も雇用していない場合や雇用していたとしても同居の家族だけでの経営であった場合、雇用保険に加入していないことから支給対象外となります。

次に➁雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いておくことです。

キャリアアップ管理者とはキャリアアップに関する必要な知識および経験を有する者で、事業主や役員が就任することも可能です。

そして、③雇用保険適用事業所ごとに対象労働者に対してキャリアップ計画書を作成し、管轄労働局長の認定を受けた事業主であることが最初の条件となります。

さらに、④該当するコースの措置に係る対象労働者に対する労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明確に示すことが可能な事業主であること、また、⑤キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であることが条件となります。

キャリアアップ助成金の対象となる労働者

キャリアアップ助成金の対象となる労働者は、以下の条件に該当する労働者です。

  • 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上の有期雇用労働者または無期雇用労働者
  • 有期雇用労働者から転換する場合、雇用された期間が通算して3年以内であることが要件です。

以下の場合、支給対象外となるため、注意が必要です。


1. 正規雇用労働者として雇用することを約束して雇入れられた場合

2. 事業主または取締役の3親等以内の親族の場合
※関係性が密接であることから対象外とされているものと考えます。

3. 支給申請日に離職している場合

4. 転換または直接雇用日から、定年までの期間が、1年以上ない場合

5. 支給対象事業主において、定年を迎えた者


キャリアアップ助成金における用語の定義の改正

2022年10月1日以降の正社員転換より、以下の定義についての改正が適用されます。

  • 正社員の定義


現行
同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者
改正後

同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者


ただし、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限る
  • 非正規雇用労働者の定義


現行
6か月以上雇用している有期または無期雇用労働者
改正後
賃金の額またが計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6か月以上受けて雇用している有期または無期雇用労働者

【参考】キャリアアップ助成金が変わります|厚生労働省

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額


条件
受給額
①有期雇用労働者 → 正規雇用労働者への転換
一人当たり57万円<72万円>
②無期雇用労働者 → 正規雇用労働者への転換
一人当たり28万5千円<36万円>

※<>は生産性の向上が認められる場合の額で、生産性向上の要件を満たした場合、一定額付加された助成金が支給されます。

※2パターンを合わせて、1事業所あたりの1年間における支給申請上限人数は20人までです。

  生産性要件で助成金がアップ!知っておくべきポイントや注意点を解説 生産性向上への取り組みをおこなった企業に対して助成金の割増がおこなわれる場合があります。生産性要件算定シートや助成金額に加えて、雇用保険被保険者数や必要書類等、申請における注意点を解説します。 株式会社エフアンドエム



加算措置

  • 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用する場合

1人当たり28万5千円<36万円>

  • 対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合

(転換等した日において母子家庭の母等または父子家庭の父である必要があります)

①の場合:1人当たり9万5千円<12万円>、②の場合:4万7,500円<6万円>

  • 人材開発支援助成金の特定の訓練修了後に正規雇用労働者へ転換等した場合

①の場合:1人当たり9万5千円<12万円>、②の場合:4万7,500円<6万円>

  • 「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換等した場合

1事業所当たり9万5千円<12万円>

【参考】キャリアアップ助成金のご案内|厚生労働省

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受けるための取り組み

助成金を受け取るためには、キャリアアップ計画書を出すだけでは足りません。

就業規則に有期雇用労働者等を転換する制度を明文化する必要があります。

また、転換時の必要な手続き、正社員転換にあたっての必要な要件なども定めておかなければなりません。

その後、有期雇用労働者等を6か月以上雇用し、転換させることとなりますが、転換後6か月間の賃金を転換前6か月間の賃金より3%(令和3年3月以前は5%であった)以上増額させていることが条件です。

これは基本給および定額で支給される諸手当を含む賃金の総額となりますが、原則として所定労働時間1時間当たりの賃金で比較します。

手当については名称の如何を問わず実費弁償的なもの毎月の状況により変動することが見込まれるものは除かれます。

尚、諸手当を含める場合、当該手当の決定および計算の方法(支給要件を含む)が就業規則に記載されているものに限定されます。

転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に当該転換をおこなった事業所において、雇用保険被保険者を解雇等事業主都合により離職させた場合は支給対象外となります。


キャリアアップ助成金(正社員化コース)の活用事例

「すぐに正社員として雇用することはリスク」と考える企業の場合、まずは有期雇用労働者として募集し、一定のスキルを身に付けてもらった後に正社員登用試験に合格した際には正社員として登用するという流れが最も標準的な活用例です。

助成金を活用しながら採用リスクを減らし、社員のスキルアップにもつなげられるという多くのメリットがあります。

一方で、キャリアアップ助成金は当初から正規雇用で募集をかけてしまうと対象外となることから注意が必要です。


キャリアアップ助成金(正社員化コース)の失敗事例

キャリアアップ計画書の提出忘れは、その後挽回の余地がなく、支給対象にならないため、忘れる前に早めに提出しておきましょう。

また、賃金3%上昇要件として認められないものとして、賞与や実費補填的な手当が該当します。

例えば通勤手当や住宅手当はキャリアアップと関係性が乏しく、賃金に含めて考えることができません。

尚、厚生労働省のホームページには賃金3%以上の増額ができているかを確認できるツールがあります。

転換前後で所定労働時間や給与支給形態に変更がない場合は、転換後6か月の賃金総額から転換前6か月の賃金総額を引き転換前6か月の賃金総額で除した後に100を乗じて3%以上であるか否かを確認します。

転換前後で所定労働時間や給与形態に変動があった場合は賃金を所定労働時間で除し、1時間あたりの賃金を算出した上で比較することとなります。

他には就業規則への転換規程を明文化していないという失敗事例が報告されています。

転換の手続き、要件、採用時期は必ず規定しておかなければなりません。また、転換後は6か月間の賃金を支給し、そこから2か月以内に申請する必要があります。

よって、2か月を過ぎてからの申請では助成金を受け取ることができません。


キャリアアップ助成金(正社員化コース)例外的な取扱い

転換日が賃金締め切り日と一致しない場合の取り扱いを解説します。

例えば、毎月10日締め当月25日払いの場合で4月1日に転換したと想定します。

その場合、転換前6か月を9月11日~3月10日とし、転換後6か月を4月11日~10月10日として確認をおこないます。

上記以外の算定方法でも合理的な算定方法と認められる場合は支給対象となることから予め労働局に確認しておきましょう。


キャリアアップ助成金(正社員化コース)に必要な必要書類

指定の申請書の他に会社として用意しなければならない書類が複数あります。

  • 転換制度が明記されている就業規則または労働協約等
  • 転換前後の雇用契約書または労働条件通知書
  • 賃金台帳(転換前後の6か月分)および賃金3%以上増額に係る計算書
  • 出勤簿またはタイムカード(転換前後の6か月分)

上記は最低限必要となる書類です。

不明点は専門家を活用するなどして速やかに準備しましょう。


最後に

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を活用するためには、適切な労務管理ができていることが前提です。必要な要件を満たしている場合は積極的に活用しましょう。

従業員の正社員化は従業員のモチベーションを高め、企業への帰属意識を強化することにつながります。また、労働生産性の高い従業員を積極的に正社員化することは、企業に営業利益の強化にもつながります。

今後、多様な働き方を認めなければ、優秀な従業員は企業に集まってこないと言っても過言ではありません。人手不足や労働トラブルは企業を危機的状況にオチ入れるきっかけとなり得ます。

助成金を積極的に活用して、労働環境の整備と優秀な人材の従業員の確保・維持に努めましょう。

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みのだ社会保険労務士事務所 蓑田真吾
みのだ社会保険労務士事務所 蓑田真吾
東京都社会保険労務士会(登録番号 第13190545号) 千葉経済大学経済学部経済学科卒業後、鉄鋼関連の企業に総合職として就職し、その後医療機関人事労務部門に転職。約13年間人事労務部門で従業員約800名、新規採用者1,000名、退職者600名の労務、社会保険の相談対応にあたる。社労士資格取得後にみのだ社会保険労務士事務所を開設し、独立。 https://www.minodashahorou.com/
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