くるみん認定助成金の申請はお済ですか?メリットや認定基準を解説【2022年度最新版】
2019年に統計開始後初めて出生数が90万人を下回り、国難ともいえる少子化社会が当分の間続くことがより鮮明になりました。晩婚化が進んだだけでなく、男性の育児休業取得率も諸外国に比べて上昇が進んでいない状況です。
そこで、国としては新たな施策として助成金を活用し、少子化に歯止めをかけるべく舵を切りました。
今回解説するいわゆる「くるみん認定助成金」は、一定の行動目標を達成した暁に認定される「くるみん認定」を受けた中小企業に対して助成金が支給されますので、内容を確認していきましょう。
目次[非表示]
- 1.次世代育成支援対策推進法とは
- 2.くるみん認定とは
- 3.プラチナくるみん認定とは
- 4.くるみん認定 10の基準
- 4.1.適切な行動計画の策定
- 4.2.計画期間
- 4.3.計画実施後の目標達成
- 4.4.行動計画の公表および周知
- 4.5.以下の(1)または(2)のいずれかを満たしていること
- 4.6.女性労働者の育児休業等取得率が75%以上
- 4.7.3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、「育児休業に関する制度、所定外 労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること
- 4.8.計画期間の終了日の属する事業年度において次の(1)と(2)のいずれも満たしていること
- 4.9.次の(1)~(3)のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施している こと
- 4.10.法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと
- 5.最後に
次世代育成支援対策推進法とは
次世代育成支援対策推進法は、労働基準法と比較すると聞きなれない法律名かもしれませんが、後述する「くるみん認定」に関する法律です。
次世代育成支援対策推進法では、実務上最も馴染みるいものとして労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」という計画の届出が挙げられます。
尚、届け出義務の対象は常時使用する労働者数が101人以上となっており、100人以下の企業は努力義務となっています。
届け出先は常時使用する労働者数に関わりなく都道府県労働局です。
尚、100名以下であっても届出をおこない、後述する助成金の受給に繋げられるメリットがあります(詳細は後述)。
次世代育成支援対策推進法の目的は、次代の社会を担う子供が健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することです。
くるみん認定とは
くるみん認定とは後述する一定の取り組みをすることで厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受け、助成金を受け取れます。
くるみん認定を受けた企業が、より高い水準の取り組みをおこない一定の基準を満たすと、特例認定(プラチナくるみん認定)を受けることができます。
▼くるみん認定のメリット
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助成金対象事業主
- 子ども子育て支援法に規定する一般事業主(事業主拠出金を納付している事業主)であること
- 前年度または当年度においてくるみん認定を受けたこと
- 中小企業事業主(常時雇用する労働者数が300人以下の事業主)であること
助成額
くるみん認定を受けることにより1回につき50万円
実施期間
2021年10月~2027年3月末
※始まったばかりの助成金で今後、Q&A等の詳細が発表されていきます。
プラチナくるみん認定とは
くるみん認定企業の中で更に高い水準の取組をおこなった企業が、一定の要件を満たした場合、申請をおこなうことにより、「優良な子育てサポート企業」としてプラチナくるみん認定を受けることができます。
助成金対象事業主
- 子ども子育て支援法に規定する一般事業主(事業主拠出金を納付している事業主)であること
- 前年度または当年度においてプラチナくるみん認定を受けたこと
- 中小企業事業主(常時雇用する労働者数が300人以下の事業主)であること
助成額
プラチナくるみん認定を受けた翌年度から(認定が取り消されない限り)2026年度まで毎年度50万円助成されます(申請は毎年度必要)。
実施期間
2021年10月~2027年3月末
※始まったばかりの助成金で今後、Q&A等の詳細が発表されていきます。
くるみん認定 10の基準
くるみん認定を受けるには原則として以下の10の基準があります。
適切な行動計画の策定
注意点として、制度導入にあたってはその制度が関係法令を上回る内容となっていることが求められ、計画期間の開始時に既に実施している場合は認定対象となりません。
【例】妊娠中の労働者及び子育てをおこなう労働者等の職業生活と家庭生活との両立等を支援するための雇用環境の整備等が挙げられます。
計画期間
行動計画の計画期間が2年以上5年以下であること
計画実施後の目標達成
策定した行動計画を実施し、目標を達成することが要件となります。
例えば数値目標を設定した場合には男性育児休業取得率を30%以上にするとした場合、証明できる書類を提出する必要があります
※証明書類の添付については育児休業取得率だけでなく他の項目も同様
行動計画の公表および周知
くるみん認定を受けるためには行動計画を策定した際に、外部へ公表し、労働者へ周知している必要があります。
尚、公表および労働者への周知は行動計画を策定した時から概ね3か月以内におこなう必要があります。
以下の(1)または(2)のいずれかを満たしていること
- 計画期間において、男性労働者で、育児休業等を取得した割合が7%以上であること
- 計画期間において、男性労働者で、育児休業等を取得した者および企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した者の割合が合計15%以上であり、かつ、育児休業等を取得した者が1人以上いること
女性労働者の育児休業等取得率が75%以上
計画期間内に以下の要件であることが必要です。
育児休業等を取得した者の数/計画期間内に出産した者の数≧75%
尚、計画期間内に出産または育児休業等をした有期契約労働者のうち、育児介護休業法上、育児休業等の対象とならない者は、計算から除外しても問題ありません。
3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、「育児休業に関する制度、所定外 労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること
例としては以下のものが挙げられます。
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尚、上記の措置は、計画期間前から実施されているものでも可能であり、また、 計画期間終了時までに実施されていれば対象となります。
これらの措置は、3歳から小学校就学前の子を養育する全ての労働者に適用する必要があります。有期契約労働者だけを除外することはできません。
計画期間の終了日の属する事業年度において次の(1)と(2)のいずれも満たしていること
- フルタイムの労働者等の法定時間外、法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること
- 月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいないこと
次の(1)~(3)のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施している こと
- 所定外労働の削減のための措置
- 年次有給休暇の取得の促進のための措置
- 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと
「その他関係法令」とは、例えば以下の法令違反等を指します。
▼代表的な法令違反
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最後に
くるみん認定を取得するためにおこなう数々の取り組みを通じて、従業員に子育てに対する取り組みを積極的におこなう企業であることを示すことができます。
また、子育てに関する取り組みは社内だけに留まらず、社外にも伝わるもので、助成金を受給できるだけのメリットに留まりませんが、活用できる助成金は是非とも活用してください。