【2024年3月更新】両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の変更点と注意点を解説
出生数の減少は喫緊の課題であり、持続的な社会保険制度の運営においても重要な問題です。
生まれてくる子供の数が少ないということは当分の間、少子高齢化社会の解消が難しいことを意味し、継続的な労働力人口の減少は否めません。
ただ、このような現状を国として改善するため、いくつかの助成金が設けられるようになりました。それらの中でも、今回は育休取得を促進する助成金として、両立支援等助成金(育児休業等支援コース)にフォーカスをあて解説します。
目次[非表示]
- 1.そもそも両立支援等助成金とは
- 1.1.育児休業等支援コース
- 1.2.出生時両立支援コース
- 1.3.介護離職防止支援コース
- 2.育児休業等支援コースの2つの支給要件
- 2.1.育休取得時・職場復帰時
- 2.2.業務代替支援
- 2.2.1.要件
- 3.2024年度の両立支援等助成金における育児休業等支援のポイント
- 4.両立支援等助成金(育児休業等支援コース)を申請する際の注意点
- 5.両立支援等助成金の申請ならばF&Mへご相談ください
- 6.まとめ
そもそも両立支援等助成金とは
両立支援等助成金とは、どのような制度であるのか3つのコースに分けて解説します。
育児休業等支援コース
育児休業等支援コースは、育児しながら働く労働者を雇用する中小企業向けの制度です。このような労働者を企業が支援するためには、何かしらの支出が発生します。これの補填として、助成金を利用可能です。
例えば、育児を想定した有給休暇制度や両立を支援するための制度が該当します。男女ともに利用できる制度を設立するという観点で、以下で解説する出生時両立支援コースとは目的が異なります。
出生時両立支援コース
出生時両立支援コースは、男性労働者の育児休暇制度の確立を支援するものです。育児休暇中、新たな人材を雇用したりそもそも育休制度を定めたりすることで利用できます。なお、制度を確立させるだけではなく、男性労働者には出生後8週間以内に育児休暇を取得してもらわなければなりません。
介護離職防止支援コース
介護離職防止支援コースは、介護により離職せざるを得ない状況を防ぐための制度です。介護専用の休暇を設けたり、介護しつつ働きやすい制度を整えたりすることによって申請できます。柔軟な労働形態制度を導入し、実際に労働者がこれを利用することによって、補助金が支給されるものです。
【参考】令和5年度 両立支援等助成金 l 厚生労働省
育児休業等支援コースの2つの支給要件
育児休業等支援コースの支給要件は、大きく3つに分かれています。なお、2022年5月とは 支給額が異なっているため 注意してください。また、 生産性要件を満たした場合の加算はなくなりました。
育休取得時・職場復帰時
育休を開始する前に業務引き継ぎの段取りなどを示した「育休復帰支援プラン」を策定しておくなど、円滑な休暇の取得や職場復帰を制度化した事業者向けの制度です。要件は育休取得時と職場復帰時で分かれています。なお、支給額と主な要件は以下のとおりです。
支給額 |
|
育休取得時 |
30万円 |
職場復帰時 |
30万円 |
※1事業主あたり2名まで支給
育休取得時
● 事業者は育休の取得や職場復帰について、事前に定めたプランによって支援することを周知
● 育休を取得する労働者と面談し、今後の働き方が復帰の条件について「育休復帰支援プラン」を策定
● 対象者が連続3ヶ月以上の育休を取得
職場復帰時
● 事前に定めたプランに基づいて職場復帰を支援
● 育休終了前に、上司または人事労務担当者が面談し、その結果を記録
● 原職への復帰を原則として、育休を取得した労働者を申請までの間、雇用保険被保険者として6ヶ月以上継続雇用
なお、職場復帰の条件については助成金支給の対象となった人物と同一でなければなりません。複数の人物が育休を取得している場合でも、同一人物で申請の要件を満たすことが求められます。
業務代替支援
育休取得者の業務を代替する代替要員を確保し、なおかつ育休を取得した労働者も原職等に復帰させた場合に申請できる補助金です。新規雇用や代替要員への手当受給などについて補助金が支給されます。また、代替要員が有期雇用労働者の場合は、支給額が加算されます。なお、支給額と主な要件は以下のとおりです。
支給額 |
|
新規雇用(A) |
50万円 |
手当支給など(B) |
10万円 |
有期雇用労働者加算 |
10万円 |
※初回から5年以内に1年度10人まで
要件
● 育休取得者を、休業終了後に原職などへ復帰させる旨を就業規則等に規定
● 対象者が3ヶ月以上の育休を取得し、その間の代替要員を新たに確保(A)または、既存の労働者により業務をカバー(B)
● 原職への復帰を原則として、育休を取得した労働者を申請までの間、雇用保険被保険者として6ヶ月以上継続雇用
2024年度の両立支援等助成金における育児休業等支援のポイント
2024年度の育児休業等支援コースについては、以下のとおり注目したいポイントが2つあります。
新型コロナウイルス感染症対応特例の終了
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い「新型コロナウイルス感染症対応特例」が再開されていました。しかし、昨今の状況を踏まえ、2023年度限りで制度の廃止が決まっています。今までは、条件を満たしている場合、1人あたり10万円(1事業主につき10人まで)が支給されましたが、これが利用できなくなります。
育児休業等支援コース(職場復帰後支援)の廃止
2023年度までは「育児休業等支援コース(職場復帰後支援)」と呼ばれる、職場に復帰した後の支援および支援を受けるための要件が定められていました。しかし、2024年度はこちらの要件が削除され、新しく「選べる働き方制度支援コース(仮称)」が設置される予定です。今までの制度はなくなってしまいますが、支援自体がなくなるわけではありません。
ただ、新制度は検討中の段階にあり、どのような内容になるかは確定していません。2024年度を迎えるにあたり、詳細が公開されると考えられるため、最新情報を待つようにしましょう。
【参考】
令和6(2024)年度 両立支援等助成金の制度変更予定等をお知らせしますl 厚生労働省
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)を申請する際の注意点
育児休業等支援コースへ申請する際は、期日管理が特に重要です。
申請する内容によって、期日が異なるため、超過することがないように注意しなければなりません。期日が過ぎてしまうと、申請を受け付けてもらえなくなります。
例えば、育休取得に関する申請は「育児休業開始日から起算して3ヶ月を超過する日の翌日から2ヶ月以内」と定められています。
それに対して、職場復帰や代替要員確保時は「育児休業終了日の翌日から起算して6ヶ月経過する日の翌日から2ヶ月以内」です。これを誤っていると、受け取れるはずの助成金を受け取れなくなってしまいます。
また、職場復帰の時期が変更になってしまった場合も注意が必要です。例えば、職場復帰を予定していたものの、保育所に入所できないケースが考えられます。この場合、育児休業の延長が発生する可能性があり、それに伴い申請期日が変更になる流れです。どうしても、流動的になりやすい部分であるため、適切な管理が求められます。
他にも、労働者が育休を取得する際の申請書などを管理しなければなりません。いつから育休を取得したのか証明できなければ、申請要件を満たせない可能性があります。
申請書や育休からの復帰プラン、事前の面談結果などを文章で残すようにしてください。
両立支援等助成金の申請ならばF&Mへご相談ください
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自社だけで助成金を申請することに不安を感じる経営者の方も多いでしょう。もし、このような不安をお持ちであれば、ぜひともご相談ください。
まとめ
両立支援等補助金の中でも、育児休業等支援コースについて解説しました。近年は育休の導入が増えてきていますが、中小事業者では導入が進んでいない状態です。今回説明したとおり、制度を確立して利用してもらうことで助成金を受けられるため、この機会に労働環境を見直してみると良いでしょう。
申請にあたっては、事前準備を含めていくつもの手順が設けられています。申請タイミングや要件も複雑であるため、適切に申請できるかどうか不安な経営者の方も多いでしょう。もし、助成金の申請手続きに不安な部分があるならば、F&M Clubへご相談ください。