パート・アルバイトの待遇ルールが変わります 経営者が今すぐ確認したい5つのポイント

株式会社エフアンドエム
「うちはパートが数人だけだから、関係ないのでは?」と思う経営者もいるかもしれません。しかし、今回の見直しは、パート・アルバイトや有期契約社員を1人でも雇用する企業に関係する内容です。
2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働法の施行規則、同一労働同一賃金ガイドライン、雇用管理指針が改正されます。対応は書類への一文追加だけではありません。賞与や各種手当、福利厚生、正社員への転換制度なども点検し、待遇差について質問された際に説明できる状態を整える必要があります。
労働条件通知書だけでなく、手当・福利厚生・正社員転換制度まで。施行前に必要な準備を分かりやすく解説します。
目次
今回の改正で変わることは、大きく3つ
1.雇入れ時に、新しい説明文の明示が必要になる
2026年10月1日以降にパート・アルバイトや有期契約社員を新たに雇う場合、労働条件通知書などに、正社員との待遇差の内容・理由について説明を求められる旨を明示する必要があります。
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記載イメージ |
従来から必要だった「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」に、この項目が加わります。明示義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となります。
注意:待遇差を説明する義務は、今回初めて始まるものではありません。従業員から求められた場合に説明する義務はすでにあり、今回は雇入れ時にその権利を知らせるルールが追加されます。
参考:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001698010.pdf
厚生労働省「改正省令及び告示の周知に係るQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/content/001695919.pdf
2.賞与・手当・休暇などの考え方が、より具体的になる
改正後のガイドラインでは、裁判例などを踏まえ、次の待遇について考え方が追加・明確化されます。
- 賞与・退職手当
- 無事故手当・家族手当・住宅手当
- 病気休職・病気休暇、夏季・冬季休暇
- 福利厚生施設の利用条件
- 一定期間勤続した人への褒賞
- 福利厚生:休憩室や更衣室だけでなく、保育所、図書館、保養施設、駐車場なども、利用しやすいよう配慮する
- 正社員転換:転換制度を設け、複数の機会を用意することが望ましい。面談やメールで本人の意向を確認し、その意向に配慮する
- 待遇差の説明:資料を使って口頭で説明する、または従業員が理解しやすい資料を渡す
待遇に差があること自体が、直ちに違法になるわけではありません。重要なのは、手当や制度の目的と、仕事内容・責任・配置変更の範囲などの違いを照らし合わせ、差を合理的に説明できるかどうかです。
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説明として不十分な例 |
参考:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html
3.福利厚生や正社員転換の運用も見直し対象になる
雇用管理指針の見直しでは、福利厚生施設の利用、正社員への転換、待遇差の説明方法などが示されています。
ここには、法律上の義務だけでなく、配慮が必要な事項や望ましい取り組みも含まれます。すべてを同じ強さの義務として捉えず、自社で優先順位をつけて準備しましょう。
参考:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン及び雇用管理指針に関するQ&A(令和8年改正)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001716915.pdf
中小企業が施行前に進めたい5つの実務
1.労働条件通知書を修正する
パート・アルバイト、有期契約社員向けの様式に、待遇差について説明を求められる旨を追加します。あわせて、相談窓口の部署名・担当者・連絡先が最新か確認しましょう。
参考:厚生労働省「改正後のモデル労働条件通知書」 https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000815925.pdf
2.正社員との待遇差を一覧にする
基本給だけでなく、賞与、退職手当、家族手当、住宅手当、休暇、病気休職、福利厚生などを洗い出します。差がある項目は、制度の目的・支給要件・判断基準まで整理します。
3.評価制度と福利厚生の運用を確認する
雇用形態だけを理由に施設利用を一律に制限していないか、公正な評価が昇給などへ反映されているかを確認します。正社員と共通する仕事には、共通の評価項目を設けることも有効です。
4.正社員転換制度を「使える状態」にする
就業規則に制度が書かれているだけで終わらせず、募集の周知、応募機会、転換試験、意向確認のタイミングを決めます。管理職から人事担当者へ共有する流れも整えましょう。
5.説明資料と社内の対応フローを用意する
従業員から質問を受けたとき、担当者によって説明が変わらないよう、待遇の比較表と説明資料を準備します。「誰が回答するか」「判断できない質問を誰へ引き継ぐか」まで決めておくと安心です。
経営者向け・対応チェックリスト
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確認 |
項目 |
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2026年10月1日以降に使用する労働条件通知書を修正した |
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正社員とパート・有期社員の待遇を一覧にした |
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待遇差がある項目について、目的と判断基準を説明できる |
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評価制度の運用と福利厚生施設の利用条件を確認した |
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正社員転換制度と意向確認の流れを確認した |
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従業員から質問を受けた際の担当者・相談窓口を決めた |
まとめ:書類の修正と、待遇差を説明できる準備を
今回の改正対応で大切なのは、労働条件通知書を直すことに加え、正社員とパート・有期社員の待遇差を整理し、その理由を説明できるようにすることです。人事・労務の専任担当者がいない企業ほど、直前に慌てないよう、まずは現在の書式と制度の棚卸しから始めましょう。
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