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人材確保等促進税制は労働生産性向上に不可欠!集計方法も解説

新卒や中途採用によって、外部人材の獲得や人材育成への投資を積極的に行う企業は増えています。

そのような企業に対し、新規雇用者給与等支給額の一定割合を法人税額や、所得税額から控除する制度として、人材確保等推進税制が挙げられます。

人材確保等推進税制は、適切に活用することで、企業内の労働生産性の向上にも寄与するため、現在注目されている制度です。

人材確保等促進税制にフォーカスをあて、解説します。



目次[非表示]

  1. 1.人材確保等促進税制とは
    1. 1.1.適用事業者・適用期間
    2. 1.2.所得拡大促進税制との違い
  2. 2.人材確保等促進税制の用語の定義・算出方法
    1. 2.1.控除対象新規雇用者給与等給付額
    2. 2.2.そのほかの定義
  3. 3.人材確保等促進税制の適用要件と税額控除
    1. 3.1.通常要件の場合
    2. 3.2.上乗せ要件の場合
  4. 4.人材確保等促進税制のメリット
  5. 5.人材確保等促進税制:まとめ

人材確保等促進税制とは

新型コロナウイルスの感染拡大を契機に社会経済情勢に大きな負の影響がもたらされており、企業経営にも直接的または間接的に影響が及んでることに異論はないでしょう。

企業経営と人材採用は切り離して考えることができず、このままこのような状態が続くことの負の影響は決して無視できません。

そこで、新卒、中途採用による採用活動を積極的におこなう企業に対して法人税等の税額から一定の控除がされる制度が、人材確保等推進税制です。


適用事業者・適用期間

適用対象は、青色申告書を提出する全企業であり、適用期間は、2021年4月1日から2023年3月31日までの間に開始する各事業年度です。


所得拡大促進税制との違い

「所得拡大促進税制」とは、中小企業者等が、青色申告書を提出していることが前提で、ほかの一定の要件を満たした上で、前年度より給与支給額等を増加させた場合、その増加額の一部を法人税から税額控除できる制度です。

尚、個人事業主の場合は、所得税から税額控除できる制度となります。

所得拡大促進税制との違いのひとつとして、人材確保等促進税制は新たに新卒または中途採用を通じて新たな人材を雇用するという点があげられます。


人材確保等促進税制の用語の定義・算出方法

まず、本制度の適用要件である、「通常要件新規雇用者給与等支給額が、前年度より2%以上増えていること」の部分について、「新規雇用者給与等支給額」とは、国内新規雇用者のうち「雇用保険の一般被保険者」に対し、その雇用した日から1年以内に支払う給与等の支給額を指します。

また、本制度には「上乗せ要件」があり、「教育訓練費」の額が、前年度より20%以上増えていることという要件があります。この「教育訓練費の額」とは、国内の雇用者の職務に必要な技術または知識を習得させ、または向上させるために支出する費用のうち一定(事前に要確認)のものを指します。

尚、要件を満たした場合は、税額控除され、控除対象新規雇用者給与等支給額の15%を法人税額または所得税額から控除となります。

そして、上乗せ要件を満たした場合は、控除対象新規雇用者給与等支給額の20%を法人税額または所得税額から控除となりますが、税額控除額は、法人税額または 所得税額の20%が上限です。


控除対象新規雇用者給与等給付額

控除対象新規雇用者給与等給付額とは、適用年度において、国内新規雇用者に対し、雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額を指します。

新規雇用者給与等支給額との相違点は、国内新規雇用者を「雇用保険の一般被保険者」に限定しない点と、雇用安定助成金額を除く点です。


そのほかの定義

尚、「国内雇用者」とは、国内の事業所に勤務する雇用者で国内に所在する事業所において作成された賃金台帳に記載された労働者を指します。

よって、パートタイマーやアルバイトなどの名称を問わず、日雇労働者も含むという理解です。ただし、使用人兼務役員、役員等は除かれます。

次に、「雇用保険の一般被保険者」とは、雇用保険の適用事業所に雇用される労働者であり、1週間の所定労働時間が 20時間以上であることおよび同一の事業所に継続して31日以上雇用される労働者の場合は、原則として、(雇用関係にない代表取締役や役員等を除き)被保険者となります。

雇用保険については、逆選択(加入するかしないかを選べる)ができず、要件に合致した場合は加入しなければならない保険です。


「一般被保険者」とは、「被保険者」の区分は4つの区分がありますが、一般被保険者は、65歳以上の被保険者を指す高年齢被保険者、季節労働者が該当する短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者以外の被保険者のことを指します。

また、「給与等」とは、給料、賃金、賞与等、労働の対価としての性質を有する給与(給与所得にあたるもの)を指します。しかし、退職金など、給与所得に含まれないものについては、原則として「給与等」に含まれません。

なお、新規雇用者給与等支給額等において、月数が1か月に満たない端数が発生した場合には1か月として扱います。


最後に、「一時的」に海外で働いている労働者については国内雇用者に該当するのかという疑問も生じ得ます。

この場合、「国内雇用者」の要件としては「国内に所在する事業所において作成された賃金台帳に記載された者」と定義されます。

よって、単に海外に「長期出張」をしていた場合でも、国内の事業所で作成された賃金台帳に記載されており、かつ、給与所得となる給与等の支払いを受けている方は、海外で一時的に勤務をしていても国内雇用者にあたるという考え方です。


人材確保等促進税制の適用要件と税額控除

次に、人材確保等促進税制の通常要件の場合と、上乗せ要件の場合の適用要件について確認していきましょう。


通常要件の場合

通常要件は、新規雇用者給与等支給額が2%以上前年度より増えていることが要件です。

税額控除は、控除対象新規雇用者給与等支給額の15%を法人税額または所得税額から控除 されます。


上乗せ要件の場合

上乗せ要件は、教育訓練費の額が20%以上前年度より増えていることが要件です。

税額控除は、控除対象新規雇用者給与等支給額の20%を法人税額または所得税額から控除されます。


人材確保等促進税制のメリット

事業拡大等を視野に入れ、新規で労働者を積極的に採用する場合、必然的に人件費が増えるのが通常です。

また、長期雇用へのインセンティブを感じてもらうために、給料支給額を増やすことで、会社が納めるべき税金を低くできるというメリットが挙げられます。

この制度を活用することで、コロナ禍により思い切って事業拡大に踏み切れなかった会社や事業拡大は既に計画していたけれど、不透明感が際立つ現在では継続して給与を支払い続けられるか不透明であったため、採用を先送りしていた会社が、会社として、納めるべき税金が低くおさえられることで、より早期に積極的な雇用の拡大を進められることにもつながるでしょう。

採用した人の数だけ、直ちに生産性が上がるとは断言できませんが、事業拡大をおこなう場合においては、ある程度の人員が必要不可欠であるため、積極的に活用したい制度です。

しかし、青天井に人員を増やすとなると、月々の人件費が経営を圧迫することにも繋がりかねないために、計画的に推し進めるべきことは言うまでもありません。

なお、中小企業向け所得拡大促進税制との併用はできず、いずれか一方のみの選択となります。


人材確保等促進税制:まとめ

本制度を利用するにあたっては、事前に認定を受ける必要はありません。

しかし、本制度の適用を受けるためには、一定の諸手続きが必要であり、その内容は、法人税の申告の際、確定申告書等に、適用額明細書、税額控除の対象となる控除対象新規雇用者給与等支給額、控除を受ける金額およびその金額の計算に関する明細書を添付しなければなりません。

そのほか、個別の論点は税理士等の専門家等に相談し、早期に解決しておくことが適切です。

優遇税制の活用は、中小企業の労働生産性の向上や優秀な人材を確保するための源となります。

他にも見逃している優遇税制や補助金などがあるかもしれません。少しでも気になった場合、お気軽にF&M Clubにご相談ください。






みのだ社会保険労務士事務所 蓑田真吾
みのだ社会保険労務士事務所 蓑田真吾
東京都社会保険労務士会(登録番号 第13190545号) 千葉経済大学経済学部経済学科卒業後、鉄鋼関連の企業に総合職として就職し、その後医療機関人事労務部門に転職。約13年間人事労務部門で従業員約800名、新規採用者1,000名、退職者600名の労務、社会保険の相談対応にあたる。社労士資格取得後にみのだ社会保険労務士事務所を開設し、独立。 https://www.minodashahorou.com/
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