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設備投資で経営力を向上!目的や判断基準、減価償却費との関係性を解説

設備投資は、企業が規模拡大するために重要です。設備投資の目的は事業のさらなる拡大、老朽化による買い替え、経営改善によるものがあります。

毎年会計年度に減価償却として費用計上しますが、固定資産とはどのような関連性があるのか、そして設備投資をおこなうに際し、どのような判断基準で設備投資を検討するのかについて説明します。

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目次[非表示]

  1. 1.設備投資の考え方とは?わかりやすく解説
    1. 1.1.設備投資とは
    2. 1.2.設備投資の目的
    3. 1.3.経費との違い
    4. 1.4.財務諸表での確認方法
    5. 1.5.設備投資をおこなう前に必ず確認すること
  2. 2.減価償却費との関係性
    1. 2.1.減価償却費とは 
    2. 2.2.設備投資との関係性
  3. 3.経営力アップにつながる設備投資の判断基準
    1. 3.1.回収期間法
    2. 3.2.現在価値法
    3. 3.3.内部収益率法
  4. 4.F&M Clubでは経営力向上につながるサポートをおこなっています
  5. 5.設備投資:まとめ

設備投資の考え方とは?わかりやすく解説

設備投資は、固定資産を購入することで事業拡大などを図るためにおこないます。

企業はどのような意思決定で実施するのか、また経費との違いはどういった点があるのかを解説します。

設備投資とは

設備投資とは、企業が事業拡大を図るため必要な固定資産に投資することです。

具体的には、「土地」「建物」「機械」「備品」「車両」や「ソフトウェア」「特許権」「商標権」などが該当します。通常、数年から数十年かけて使用する固定資産に投資します。

例えば、自動車工場で、自動車を製造するための工場や工作機械など目に見える資産「有形固定資産」といいます。また、自動車を開発するにあたってのシステム開発費用のような目に見えない資産「無形固定資産」といいます。

設備投資を続けていることは企業自体が成長していることを意味します。企業の成長ぶりを知りたい場合は、設備投資額の増減をチェックすることも有効な手段だといえるでしょう。



設備投資の目的

投資の目的はさまざまですが、主に三つの理由があります。

  1. 売上拡大による設備投資
    企業の売上、利益とも順調に推移し、現在の設備では増産に追いつかない場合、設備投資をおこない商品の増産を見込める機材の投入でさらなる事業の拡大が見込まれます。そのためには、市場のニーズを的確に把握することが重要です。
  2. 老朽化や経費削減による設備投資
    長年使用した老朽化した設備を交換せずに使用すると、生産効率が以前ほど稼働していないケースも。また修理や点検などにより費用がかかるような場合、新しい機材を購入し設備投資すれば、生産効率の向上、維持費用の削減にもつながります。
  3. 経営改善の実施による設備投資

    人員削減などにより、少ない労働者で生産効率を上げるためには省力化、合理化を図らねばなりません。少ない人員で操作できる設備が必要となります。

    例えば、ロボットなどヒトに代わる設備の導入により生産性の向上が可能です。

経費との違い

設備投資と経費との違いは、購入しているモノが損得益計算書の「販売費・一般管理費」に含まれる「経費」であるのか、それとも貸借対照表の「有形固定資産」「無形固定資産」であるかの違いです。

確かに、キャッシュフロー面ではマイナスとなりますが、設備投資は有形(無形)固定資産の購入であるため経費ではありません。

貸借対照表上では、「現金(または預金)」という資産が減少し、「設備」という(固定)資産が増加したことになり、資産勘定の合計額に変動はありません。例えば、「現金1,000万円で建物を購入した場合、建物は経費でなく資産である」と考えるとわかりやすいでしょう。

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財務諸表での確認方法

「設備投資額」を確認するために、財務諸表のどこの項目を見たらいいでしょうか。

上場企業では、有価証券報告書に「有形固定資産等明細表」の項目があります。設備投資をおこなっている企業はそこで当期増加額の欄を確認します。「設備投資等の概要」に項目ごとの設備投資額を確認することが可能です。

一方、中小企業では、上場企業のように有価証券報告書を作成しないため設備投資額を確認できません。

ただ、決算書では、


  • 別表十六(一) 旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
  • 別表十六(二) 旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書


が添付されており、これらから、定額法(または定率法)で償却している減価償却資産の今期減価償却額、減価償却累計額の確認が可能です。


設備投資をおこなう前に必ず確認すること

設備投資は無計画に実施して良いものではなく、十分に検討して根拠に基づいた意思決定が必要です。例えば、以下の観点から確認しましょう。
●     どの支出について削減が見込めるか
●     何年でいくらの削減につながるか
●     設備投資に充てる現金は持ち合わせているか
●     資金調達が必要ならば実現性はあるのか

「設備投資=コストの削減」とは断言できません。そのため、設備投資の前には「本当にコスト削減につながるか」を期間も含めて評価すべきです。また、資金繰りに影響が出ないかどうかも必ず確認しましょう。


減価償却費との関係性

設備や機械などの固定資産は、決められた年数(法定耐用年数)まで資産の価値を減少することとなります。資産価値を減少させることを「減価償却」と呼びます。

ここでは、固定資産と減価償却との関連性について説明します。



減価償却費とは 

国税庁によると、事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていくため、このような資産を「減価償却資産」と呼びます。

ただし、土地や骨とう品などのような時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。

減価償却資産の取得にかかった金額は、取得した時に全額必要経費でなく、その資産が使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費として計上しましょう。使用可能期間、つまり「法定耐用年数」は財務省令で定められています。

建物や機械、車両など、年数が経過すれば傷んだり消耗したりするため、法定耐用年数に応じて減価償却資産を当初取得した価格より差し引いて評価してください。

ただし、減価償却費は通常、損益計算書での「販売費及び一般管理費(販管費)」として経費計上して売上総利益より差し引きます。

一部の有形固定資産の法定耐用年数は下記のとおりです。

固定資産
内容
法定耐用年数
建物
木造(事務所用)
24年

木造モルタル造(事務所用)
22年

鉄筋コンクリート造(事務所用)
50年

車両

自動車(一般用)

4年

自動車(運送事業用)
3年
器具・備品
事務机(金属製)
15年

パソコン
4年

【参考】 主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁


設備投資との関係性

企業は、長い期間(2期以上)で会社を成長させるために、資金を使って設備投資をおこないます。設備投資は固定資産の購入であるため、経費計上はおこないません。ただ、機械などは、年数が経過すれば摩耗や消耗などにより購入時点とより劣化するため、減価償却費という勘定科目で費用計上します。

購入当初は設備投資であるため、固定資産の増加となるものの、決算ごとに減価償却費として固定資産の一部が経費計上されることとなります。設備投資と減価償却は、密接に関係しています。

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経営力アップにつながる設備投資の判断基準

設備投資する際、「本当に投資に見合った収益が上がっているのだろうか」と不安になるかもしれません。このとき判断基準としては2つの観点があります。
●     投資対効果が見込めるか:削減されるコストの額・回収期間など
●     資金繰りに悪影響はないか:預貯金の残高・収入と支出のバランスなど

これらの観点を踏まえ、設備投資が適しているのかを判断する基準として、次の3つの考え方があります。


回収期間法

回収期間法とは、設備資金に費やした資金がどれだけの期間で回収されるのかを分析する方法です。

回収期間は、以下の計算で求めます。

回収期間=設備投資額/各期の平均キャッシュフロー

例えば、設備投資1,000万円、各期の平均キャッシュフローを200万円とすると、回収期間は5年です。

このように計算が単純でわかりやすい点がメリットです。

反面、次のようなデメリットもあります。

  • 設備資金を回収後のキャッシュフローについては考慮されていない

この例であれば、回収期間5年目以降も設備として使用するなら、設備を使用する効果が判断できない点がデメリットです。

  • 貨幣の時間価値を考慮していないため、判断することを誤る

毎期の平均キャッシュフローが200万円ですが、1期目の200万円と2期目の200万円とでは価値が異なるという点です。1期目の200万円は運用利息がつくため、現在の200万円以上の価値となります。

回収に必要な期間を算出することで、キャッシュフローへの影響を中長期的に評価できます。
もし、負担が大きいと感じるならば、余裕を持った金額や返済計画で融資を受けるなどの検討が必要です。

また、期間を踏まえて「本当に投資対効果があるのか」の評価も可能です。回収期間が10年など長期に及ぶならば、投資効果は薄いかもしれません。


現在価値法

現在価値法(NPV法)とは、将来の価値を現在の貨幣価値に置き換えて計算した金額が設備投資金額を上回っているかどうか判断する手法です。

例えば、毎年10%の利回りで運用でき、平均キャッシュフローを200万円とすると、1年後の200万円は、現在価値では(100%+10%)で割った1,818,181円です。つまり、1,818,181円は1年後200万円となります。

特徴として、貨幣の時間的価値を織り込んでいる点は回収期間法より優れていますが、毎年の利回りをいくらで設定するか判断が難しいです。


内部収益率法

内部収益法(IRR法)とは、設備投資により将来生み出すキャッシュフロー利回り(内部収益率)を算出し、設備投資に関して企業が考えている内部収益率が上回っているのかどうかを判断する方法です。

設備投資に企業が求める利回りをどの程度に設定するのかがとてもシビアな問題であります。また、表計算ソフトでIRR関数を使用することにより、簡単に計算できます。

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設備投資:まとめ

設備投資は、企業が企業拡大を図るために必要な固定資産を購入することです。設備投資の目的売上拡大、老朽化による買い替え、経営改善によるものがあります。

会計では年数が経過すると生産性の低下、資産の劣化などを考慮して減価償却し、固定資産影額より差し引くといった会計処理をおこないます。

減価償却は、それぞれの固定資産の法定耐用年数に応じて毎年費用として計上します。そのため、設備投資と減価償却とは密接に関わっています。

設備投資をおこなう判断基準として、回収期間法と現在価値法、内部収益法がありますが、現在価値法、内部収益法は設定利回りなど決定判断が難しく、中小企業では現在価値法を使用することが適切です。

設備投資には多額の資金が必要です。将来に向けた業績の見通しから、投入した資金が回収できるかを十分検討し、設備投資をおこないましょう。

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宮本建一
宮本建一
大阪府立大学経済学部卒業後、第二地方銀行に勤務し、預金業務、融資業務に従事。銀行破綻後、消費者金融会社で債権回収業務に従事。その後信用組合へ転職。融資業務、経理、内部監査、審査管理等に従事。退職後、ライターとして活動中。主に資金調達関連、事業承継関連、不動産関連記事を執筆。FP2級技能士。AFP。趣味はマラソン、楽器演奏。
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