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借入金の返済にあたっての注意点とは?計算方法や仕訳方法まで解説

企業の資金調達の方法として、金融機関からの借り入れがあります。借入金には、金利に基づく利息の支払いがあり、返済期間が長くなれば、その分、利息を含んで返済総額は増えます。

本記事は、借入金や返済の注意点、計算方法、仕訳方法まで解説します。


目次[非表示]

  1. 1.借入金と返済の注意点
    1. 1.1.借入金とは
      1. 1.1.1.借入金の種類
      2. 1.1.2.金利は2種類のタイプがある
    2. 1.2.返済の注意点
      1. 1.2.1.複数社から借入金がある
      2. 1.2.2.返済額を他社からの借り入れで返済する
  2. 2.借入金返済のシミュレーション
    1. 2.1.利息の計算方法
    2. 2.2.元利均等返済
    3. 2.3.元金均等返済
  3. 3.借入金の仕訳方法
    1. 3.1.入金時の仕訳
    2. 3.2.返済時の仕訳
    3. 3.3.長期借入金の返済期限が1年以内になった場合の仕訳
  4. 4.F&M Clubのサービスを活用
  5. 5.まとめ

借入金と返済の注意点

企業が借り入れる主な目的は、設備投資のための資金調達や、資金繰りの悪化によるキャッシュ不足などの理由が多いです。

借入金や返済の注意点について解説します。


借入金とは

借入金には、「証書貸付」「手形貸付」「手形割引」「当座借越」の4つの方法があります。

証書貸付とは、一般的な借入金のことで、貸し手と借り手で金銭貸借契約を締結して借り入れることです。契約に際して、「金銭消費貸借契約証書」を交わします。

手形貸付とは、金銭消費貸借契約書の代わりに、約束手形を銀行に発行してもらい、手形に記載された金額を借り入れる方法です。

手形割引とは、企業の依頼により、他社に発行した期日前の手形を、額面金額から期日までの割引料を差し引いた金額で、金融機関に買い取ってもらう方法となります。

当座借越とは、設定された融資限度額までの金額を自由に借り入れたり、返済したりできる借り入れ方法です。使いやすさがある反面、金融機関の審査は厳しくなります。


借入金の種類

借入金は、1年以内の「短期借入金」と、1年を超える「長期借入金」の2種類に分かれます。短期借入金は、返済額が高くなる傾向があり、長期借入金の場合、毎月の返済額は少ないものの、返済総額は多くなる特徴があります。


金利は2種類のタイプがある

金利には、「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。

固定金利は、借り入れ時に金融機関と契約した利率が、完済まで変更されません。例えば、物価が継続的に下落するデフレ経済下においては、金融緩和などの影響によって金利も下がります。この時に固定金利で借り入れして、その後、景気が回復して金利が上昇するようになれば、利率が変わらないため相対的に低い利率で返済が可能となるでしょう。


変動金利とは、金融機関の短期プライムレートを基準に、借り入れしている間に利率が変動するものです。短期プライムレートは、1年以内の短期貸出金利となります。景気が良い状態であれば金利が上昇するため、変動金利で借り入れていると利息が増えていきます。しかし、景気が悪くなって金利が下がるようになれば、同様に下がっていくでしょう。



返済の注意点

借入金を返済する際の注意点を解説します。


複数社から借入金がある

複数の金融機関から借り入れている場合、個々に返済をしなければならないため、毎月の返済額が増えてしまいます。毎月の返済額が増えればキャッシュが残らず資金繰りを悪化させてしまうため、複数の金融機関を1つの金融機関にまとめた方が、毎月の返済額を下げることができるためおすすめです。なお、まとめるに際して審査を通らなければならないため注意が必要です。



返済額を他社からの借り入れで返済する

現在の返済に対応できず、その月の返済期限に間に合わせるため、他の金融機関から借り入れて返済すると、返済総額が増えて、悪循環に陥る可能性があります。

もし返済額を借り入れて返済した場合、現在の借り入れ状況と資金繰り状況を確認し、流動費や固定費の見直し、固定資産の売却などをおこなう必要があるでしょう。また、借り入れている条件よりも良いものがあれば、借り換えを検討しても良いです。


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借入金返済のシミュレーション

借入金返済には、一括返済と分割返済の2種類があり、さらに分割返済には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。

一括返済は、借入金を一括で返済しなければならないため、一気にキャッシュがなくなるものの、利息額は少なくすみます。

分割返済の1つである元利均等返済は、借り入れた元金と利息を一定にして毎月返済する方法で、もう1つの元金均等返済は、元金を一定にして毎月返済する方法です。

元金均等返済は、元利均等返済と比べると、返済始めから元金を一定にして返済するため、総返済額が少なくなる特徴があります。

借入金の利息の計算は、利息計算をシミュレーションできるツールがあるため、返済にあたって活用するといいでしょう。


利息の計算方法

借入金の利息を計算するためには、以下の計算式で算出します。


利息=元金×利率÷365日(閏年は366)×借入日数

利息の計算例は以下の通りです。



2年後に返済したときの利息
8年後に返済したときの利息
年2.2%で2,200万円借り入れした場合

2,200万円×0.022÷365日×730日=96万8,000円

2,200万円×0.022÷365日×2,920日=387万2,000円
年3.4%で1,500万円借り入れした場合
1,500万円×0.034÷365日×730日=102万円
1,500万円×0.034÷365日×2,920日=408万円
年8%で300万円借り入れした場合
300万円×0.08÷365日×730日=48万円

300万円×0.08÷365日×2,920日=192万円



元利均等返済

元利均等返済は、以下の計算式で算出します。


元金返済額=借入金額÷返済回数
利息返済額=直前の借入残高×月利

毎月返済額=(借入金額×月利×(1+月利)返済回数)÷(1+月利)返済回数-1

利息返済額=直前の借入残高×月利

元金返済額=毎月の返済額-利息返済額



計算例

  • 借入金額:5,000万円
  • 借入期間:10年(返済回数120回)
  • 金利:2.4%

毎月返済額

(5,000万円×(2.4%÷120)×(1+(2.4%÷120))120)÷(1+(2.4%÷120))120-1

=46万9,079円

利息返済額

1ヶ月目:5,000万円×(2.4%÷12)=10万円

2ヶ月目:4,963万921円×(2.4%÷12)=9万9,261円

120ヶ月まで利息を返済します。

元金返済額

1ヶ月目:46万9,079円-10万円=36万9,079円

2ヶ月目:46万9,079円-9万9,261円=36万9,818円

120ヶ月目まで毎月返済します。


元金均等返済

元金均等返済は、以下の計算式で算出します。


元金返済額=借入金額÷返済回数

利息返済額=直前の借入残高×月利

毎月返済額=元金返済額+利息返済額

計算例

  • 借入金額:5,000万円
  • 借入期間:10年(返済回数120回)
  • 金利:2.4%

元金返済額

5,000万円÷120=10万円

利息返済額

1ヶ月目:5,000万円×(2.4%÷12)=10万円

2ヶ月目:4,958万3,334円×(2.4%÷12)=9万9,166円

120ヶ月まで利息を返済します。

毎月返済額

1ヶ月目:41万6,666円+10万円=51万6,666円

2ヶ月目:41万6,666円+9万9,166円=51万5,832円

120ヶ月まで毎月返済します。


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借入金の仕訳方法

借入金の経理処理について、具体的な仕訳方法を解説します。

入金時の仕訳

金融機関から借り入れた際に、企業の口座に振り込まれたら仕訳をおこないます。

例として、銀行から5,000万円の融資を受けて、企業の口座に入金されました。5,000万円のうち、1,000万円は短期借入金、4,000万円は長期借入金として借り入れました。その場合の仕訳は、以下となります。


借方
貸方
普通預金
5,000万円
短期借入金
1,000万円


長期借入金
4,000万円

融資は預金口座に振り込まれるため、資産計上として借方となり、借入金は負債計上となるため、貸方となります。なお、1年以内の借入金は短期借入金、1年を超えるものを長期借入金として仕訳します。

借方
貸方
支払利息
1万円
普通預金
1万円

利息を金融機関に支払ったら、仕訳をおこないます。

例として、利息1万円のみを支払うために、普通預金から支払いました。

支払利息は、費用の発生となるため借方となり、預金の減少は貸方という仕訳となります。なお、支払利息は、営業外費用の区分の勘定科目です。



返済時の仕訳

借入金を金融機関に支払ったら、仕訳をおこないます。

例として、短期借入金の元本100万円と利息10万円を支払い、普通預金から110万円を返済。そして、長期借入金の元本40万円と利息4万円を支払って、普通預金から44万円を返済したとしましょう。


借方
貸方
短期借入金
100万円
普通預金

110万円

支払利息
10万円


長期借入金
40万円
普通預金
44万円
支払利息
4万円



借方は、負債である短期・長期借入金の減少と支払利息の発生となり、貸方は預金の減少という仕訳となります。


長期借入金の返済期限が1年以内になった場合の仕訳

長期借入金として借り入れていたものが、時間が経って、1年以内の返済期限となった場合、「短期借入金」に仕訳します。

例として、決算時に来年度の返済予定額である400万円を振り替えました。


借方
貸方
長期借入金
400万円
短期借入金
400万円

借方は、長期借入金が減少して、貸方には、短期借入金に振り替える仕訳となります。

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まとめ

借入金の返済で資金繰りが悪化している場合、返済計画を立て直す必要があります。とくに毎月の返済額を別の金融機関から借り入れて返済するようになると、悪循環に陥ってしまいます。

悪循環に陥らないためには、借入金返済をシミュレーションし、返済計画を立てましょう。また、借入金が入金されたら、仕訳方法を確認して、会計処理すると良いです。

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