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長期借入金の利息を計算する方法とは?短期との違いや利息計算やシミュレーションを解説

資金繰り改善のためにキャッシュを増やすにあたって、長期で借り入れる方法があります。その場合、長期借入金の利息がどのくらいかかるのかを計算しておく必要があるでしょう。

利息の計算方法や、長期借入金と短期借入金にどのような違いがあるのかも合わせて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.長期借入金の利息とは
  2. 2.長期借入金と短期借入金の違い
    1. 2.1.長期借入金のメリット
    2. 2.2.長期借入金のデメリット
  3. 3.長期借入金の利息の計算方法
    1. 3.1.元金均等返済
    2. 3.2.元利均等返済
  4. 4.金利・利息を低くするポイント
  5. 5.利息計算にシミュレーションツールを活用する
  6. 6.F&M Clubのサービスを活用
  7. 7.まとめ

長期借入金の利息とは

長期借入金は、返済期日が1年を超えるものをいいます。

借入金の返済額を計算するためには、金利から利息を算出します。金利は、借入金に上乗せされる金額の割合。金利2%との表示は、1年あたり2%の利率です。利率に基づいて利息が算出されます。

金利の上限は、利息制限法で定められています。

  • 10万円未満の場合…20%
  • 10万円以上100万円未満の場合…18%
  • 100万円以上の場合…15%

上限の範囲内であれば、金融機関が自由に設定可能です。



長期借入金と短期借入金の違い


長期借入金は、返済期日が1年を超えるものに対し、短期借入金は、1年以内の返済期日のものをいいます。

主な違いとして、メリットとデメリットを紹介します。


長期借入金のメリット

長期借入金は、借入金によってキャッシュを増やすことができ、毎月の返済額が少なくなるため、安定した資金として設備投資などに活用できます。

設備投資は、業績が好調で収益性をさらに高めるため、あるいは古くなった設備を新しくするためにおこないます。ただし、導入には大きな費用が必要です。

導入時はキャッシュが少なく利益も取りづらいため、長期借入金の利用により、毎月の返済額が少なくなると都合がいいでしょう。また、設備投資にかけた金額を回収できるようになったら、繰越返済などをおこなって返済する方法もあります。

一方の短期借入金は、審査が通りやすく利率が低くなるため、現金が急に必要となった場合に利用できます。

取引先の倒産によって、入金予定が取り消しとなった場合、他の取引先への支払いができなくなるケースもあります。短期借入金を利用することで、急な問題への対処や、余裕をもって事業を進めることが可能です。


長期借入金のデメリット

長期借入金は、借り入れ時の審査が厳しくなります。短期借入金は、1年以内の返済期日となるため1回の返済額が大きく、借り換えを拒否されるかもしれません。

また、毎月返済しなければならず、返済の遅延は大きな信用問題となります。借り入れ時にしっかりと返済計画を立てて、毎月返済するようにしましょう。

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長期借入金の利息の計算方法


長期借入金の利息を計算するには、以下の計算式でおこないます。


利息=元金×利率÷365日(閏年は366)×借入日数

利息の計算は、日割りが一般的です。利息の計算例は以下のとおりです。



1年後に返済したときの利息

10年後に返済したときの利息

年2%で1,200万円借り入れした場合

1,200万円×0.02÷365日×365日=24万円
1,200万円×0.02÷365日×3,650日=240万円

年3.2%で1,000万円借り入れした場合

1,000万円×0.032÷365日×365日=32万円

1,000万円×0.032÷365日×3,650日=320万円

年3.5%で700万円借り入れした場合

700万円×0.035÷365日×365日=24万5,000円

700万円×0.035÷365日×3,650日=245万円
年7%で280万円借り入れした場合

280万円×0.07÷365日×365日=19万6,000円

280万円×0.07÷365日×3,650日=196万円


借入金の返済方法


返済には、一括返済と分割返済があります。一括で返済すればかかる利息は少なくなり、分割返済すれば利息は増えていくでしょう。さらに、分割返済には、「元金均等返済」と「元利均等返済」の2つがあります。


元金均等返済

元金均等返済は、元金を一定にして毎月返済する方法です。元金を一定にしているため、始めの返済額が最も高くなり、返済が進むにつれて少なくなっていきます。

元金均等返済は、以下の計算式で返済額を算出します。


元金返済額=借入金額÷返済回数

利息返済額=直前の借入残高×月利

毎月返済額=元金返済額+利息返済額

計算例

  • 借入金額:1,000万円
  • 借入期間:10年(返済回数120回)
  • 金利:3.2%


元金返済額

1,000万円÷120=8万3,333円


利息返済額

1,000万円×(3.2%÷12)=2万6,666円(1ヶ月目)

991万6,667円×(3.2%÷12)=2万6,444円(2ヶ月目)

以降120ヶ月まで繰り返して、利息の返済が完了します。


毎月返済額

8万3,333円+2万6,666円=10万9.999円(1ヶ月目)

8万3,333円+2万6,444円=10万9,777円(2ヶ月目)

以降120ヶ月まで元金返済額に利息を上乗せして、返済が完了します。



返済額
元金分
利息分
借入残高
1ヶ月目

10万9,999円

8万3,333円

2万6,666円

991万6,667円
2ヶ月目

10万9,777円

8万3,333円
2万6,444円

983万3,334円

3ヶ月目
10万9,555円
8万3,333円
2万6,222円
975万1円
4ヶ月目
10万9,333円

8万3,333円

2万6,000円

966万6,668円
5ヶ月目
10万9,110円
8万3,333円

2万5,777円

958万3,335円
6ヶ月目
10万8,888円
8万3,333円
2万5,555円
950万2円
7ヶ月目

10万8,666円

8万3,333円

2万5,333円
941万6,669円
8ヶ月目
10万8,444円

8万3,333円

2万5,111円
933万3,336円
9ヶ月目

10万8,221円

8万3,333円

2万4,666円

925万3円

10ヶ月目
10万7,999円

8万3,333円

2万4,666円

916万6,670円
11ヶ月目

10万7,777円

8万3,333円

2万4,444円

908万3,337円

12ヶ月目
10万7,555円

8万3,333円

2万4,222円
900万4円



元利均等返済

元利均等返済とは、元金と利息を一定にして毎月返済する方法です。元金と利息を一定にしているため、始めの返済額を少なくできるものの、元金均等返済と比べると総返済額が多くなります。

元利均等返済は、以下の計算式で返済額を算出します。


元金返済額=借入金額÷返済回数

利息返済額=直前の借入残高×月利


毎月返済額=(借入金額×月利×(1+月利)返済回数)÷(1+月利)返済回数-1

利息返済額=直前の借入残高×月利

元金返済額=毎月の返済額-利息返済額



計算例

  • 借入金額:1,000万円
  • 借入期間:10年(返済回数120回)
  • 金利:3.2%


毎月返済額

(1,000万円×(3.2%÷120)×(1+(3.2%÷120))120)÷(1+(3.2%÷120))120-1

=9万7,486円


利息返済額

1,000万円×(3.2%÷12)=2万6,666円(1ヶ月目)

992万9.180円×(3.2%÷12)=2万6,477円(2ヶ月目)

以降120ヶ月まで繰り返して利息の返済が完了します。


元金返済額

9万7,486円-2万6,666円=7万820円(1ヶ月目)

9万7,486円-2万6,477円=7万1,009円(2ヶ月目)

以降120ヶ月まで元金返済額に利息を差し引いて返済が完了します。


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金利・利息を低くするポイント

利息は、金利を下げることで低くなります。金利を下げるためには、金融機関への信用度を高めることが重要です。信用度を高めるためには、以下の方法を挙げられます。

  • 業績を上げる企業の業績が上がっていれば、信用度が低いといわれることはなく、金融機関側から借り入れの声がかかることもあります。毎年黒字にしていくことが、信用度を高める近道といえるでしょう。
  • 予実管理をおこなう予実管理とは、予算と実績の管理です。自社の事業計画を金融機関に提示して、目標に対して実績の達成状況が出ていると信用度を高めることにつながります。業績を上げるツールとして予実管理をおこないましょう。
  • 「中小企業の会計に関する指針」に従って会計処理する中小企業の会計に関する指針とは、日本税理士会連合会や日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって作成した会計指針です。指針に従った会計処理をおこなっていると、健全な企業として信用度を高めることができます。


利息計算にシミュレーションツールを活用する


長期借入金の利息の計算について解説してきました。

インターネット上では、利息計算をシミュレーションできる便利なツールがあります。シミュレーションツールでは、借入金額や金利、借入期間の入力によって、毎月の返済額などが算出可能です。

ただし、シミュレーションツールでは、金融機関からの借り入れにかかる手数料などは含まれていません。細かく算出するには、直接、金融機関などで相談する必要があります。

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まとめ

金融機関から長期の借り入れをおこなうには、金利から利息を計算し、返済計画を立てる必要があります。企業は、決算時に利益が出ていても、キャッシュがなく資金繰りに行き詰れば、倒産のリスクもあるでしょう。

一方で、利益の見込みもなく、一時的にキャッシュを増やすために借り入れしても、かえって返済額が増え、返済できずに倒産するかもしれません。

資金繰りが行き詰っている場合、借り入れのみで対処するのではなく、根本的な資金繰りの見直しや財務改善をおこなわなければ、先行きは不透明のままです。

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