企業に必要な財務改善の正しい方法とは
中小企業経営者で財務改善を行いたいものの、具体的に何をすればよいのかがわからないという方も多いのではないでしょうか?
多くの経営者は会社の財務改善を行いたい、財務体質を強化したいと考えています。
本記事では財務改善を行う手法や、企業の財務管理などについてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.財務改善とは
- 2.財務改善の3ステップ
- 2.1.財務分析
- 2.2.財務体質の改善
- 2.2.1.▼金融機関からの評価
- 2.2.2.▼経営方針
- 2.2.3.▼財務方針
- 2.2.4.▼具体的な融資の打診
- 2.2.5.▼回答期日の確認
- 2.3.財務管理体制の構築
- 3.杜撰な財務管理は倒産リスクが高まる
- 3.1.自社の資金状況は大丈夫?
- 3.2.資金繰りの思わぬ落とし穴
- 4.財務改善には適切な資料作りが必要
- 5.財務改善の正しい方法:まとめ
財務改善とは
財務改善とは、財務分析を行って会社の課題を把握し、その課題を改善することで財務体質を強化することです。
財務体質を強化することによって、金融機関から資金調達をしやすくすることや、経営を安定的に行うことで、会社の積極投資を通じて成長につなげられます。しかし財務改善を行うにあたって、本質的な改善ができず枝葉末節に終始してしまうことが多いのが現状です。
財務改善を行うには、次でご紹介するステップが重要となります。
財務改善の3ステップ
財務改善は次の3ステップを行う必要があります。
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それぞれご紹介します。
財務分析
財務分析とは、会社の財務状況を定量的に調査し、分析することです。
財務状況を定量的に調査するには、キャッシュフローの状況や経常運転資金、債務償還年数を分析するとよいでしょう。
▼キャッシュフロー
キャッシュフローとは、企業活動を行って年間どのくらいの現金が増減したのかを把握するものです。多くの中小企業において、利益が出ているもののキャッシュが0円、またはマイナスとなっていることがあります。
金融機関からの融資がなければ、資金繰りを回すことができず、資金繰りに失敗すると、倒産のリスクがあるので注意しましょう。
キャッシュフローが0円、またはマイナスとなる原因には、資金の使い道に問題があることが考えられます。
キャッシュフローを把握する上では、営業活動、投資活動、財務活動の3つの活動を見るようにしましょう。
1.営業活動によるキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは、本業によるキャッシュの増減を示したものをいいます。
3つのキャッシュフローのうち1番重要で、本業を通じてキャッシュを増やせなければ、企業活動に持続性がないのと同じです。
2.投資活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフローは、固定資産の売却や設備投資などによるキャッシュの増減を示したものをいいます。
キャッシュの増減は、固定資産の売却によってキャッシュが増え、設備投資を行うことでキャッシュが減ります。
3.財務活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローは、借入や配当金の支払いなどによるキャッシュの増減を示したものをいいます。
キャッシュの増減は、借入や増資を行うことでキャッシュが増え、返済や配当金の支払いによってキャッシュが減ります。
▼経常運転資金
経営運転資金とは、長期の借入と短期の借入のバランスの適正額を算出するものです。
次の計算式で算出します。
(売掛金+受取手形+棚卸資産)-(買掛金+支払手形)=経常運転資金 |
経常運転資金がマイナスになると、帳簿上黒字の場合でも倒産する可能性があるため注意が必要です。
もしマイナスになるようであれば、資金調達を行うようにしましょう。
▼債務償還年数
債務償還年数とは、借入金などの債務の返済を行うにあたり必要な期間を示すものです。
次の計算式で算出します。
(有利子負債合計-正常運転資金)÷キャッシュフロー=債務償還年数 |
金融機関にとっては企業の返済能力を測るための指標でもあります。
債務償還年数が長い場合、利益に対して借入額が大きいことを意味し、評価がマイナスとなります。
債務償還年数が短い場合には、利益に対して借入が小さいことを意味するため、評価がプラスとなり、借入が可能になるでしょう。
業種によって多少の差があるものの、目安期間は10年以内で、10年を超える場合は危ないと見た方がよいです。
財務体質の改善
財務体質とは、企業の基本となる財務状況のことです。
自己資本比率が高く、少ない負債で経営をしている場合、財務体質が良い状態といえます。
財務体質を改善するには、金融機関からの借入などの負債状況を見直すことが大切です。
財務分析においてキャッシュフローがマイナスの場合、プラスにするために売上を伸ばすことは重要ですが、売上を伸ばすことだけでは解決が難しいでしょう。
キャッシュフローの改善には効果が出るまでに時間がかかります。
そのため、もし借入金がある場合、借入の組み換えを行うことなどが、即効性があるといえます。
借入の組み換えを行うにあたって、金融機関に依頼する場合、次の5つの情報を確認しておきましょう。
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▼金融機関からの評価
企業がやりたいことを金融機関に伝える前に、金融機関からの企業評価を確認しましょう。評価や課題としていることが同じであれば、相談する際に適切な解決策へと導くことが可能です。
▼経営方針
企業経営において何をビジョンとして、また、何を目標として掲げているのかを金融機関に伝えましょう。
経営方針がなければ財務改善を取り組む意味や、借入の組み換えが本当に必要なもののかがわかりません。
▼財務方針
経営方針の次に財務面において、どのような目標を掲げているのかを金融機関に伝えましょう。
財務方針があることによって今後どのように取り組んでいくのかがわかるようとなります。
▼具体的な融資の打診
金融機関に借入の組み換えを行うにあたり、具体的にいつ融資の打診を行って、いつまでに必要なのかなどを伝えましょう。
また企業のキャッシュフロー表や資金繰り表などの必要な財務資料を提出することがあるため、あらかじめ準備しておくとよいです。
▼回答期日の確認
金融機関に融資の打診をされた場合、回答期日がいつなのかを確認しておきます。
金融機関から借入の組み換えを行うことができ、借入金の状況を改善できれば、健全な財務体質を実現するために売上を伸ばしてキャッシュフローをプラスにするようにしましょう。
財務管理体制の構築
財務管理体制の構築とは財務体質の改善後、持続可能な財務体質を維持するために行うことです。次の仕組みを構築して管理します。
- 月次業績管理
- 経営指標による管理
- 財務担当者の育成
- 財務状況を経営役員に共有
構築した仕組みをPDCAサイクルで回して、持続可能な財務体質を維持し、財務基盤を強化していきます。
杜撰な財務管理は倒産リスクが高まる
自社では適切な財務管理ができているでしょうか?
もし資金繰りの見方が適切でなければ、財務管理を誤ってしまい、不確実性が高い今の時代において、簡単に資金ショートしてしまいます。
資金ショートしないためには、適切な財務改善と管理を行いましょう。
自社の資金状況は大丈夫?
会社のキャッシュを確認する上で、キャッシュフローについて紹介しました。
営業活動によるキャッシュフローが、マイナスの場合は要注意です。
マイナスの場合には、投資活動によるキャッシュフローの固定資産の売却や、財務活動によるキャッシュフローの金融機関からの借入などによって、キャッシュを増やすこととなります。
マイナスにならないように、キャッシュが残るようにしていきましょう。
資金繰りの思わぬ落とし穴
資金切りする上で注意しなければならないことが、黒字倒産です。
黒字倒産は帳簿上利益が出ているものの、支払いに必要な資金が不足したことで起きる倒産のことをいいます。
通常の倒産は、利益が出せず債務の支払いができないことで倒産します。
しかし、利益が出ていても会社のキャッシュがないことで黒字倒産となることもあるので注意しましょう。
黒字倒産にならないためには、キャッシュフローの他、資金繰り表を確認します。
資金繰り表は、経常収支、経常外収支、財務収支の3種類に分かれます。
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▼経常収支
経常収支とは本業の事業活動による収入と支出のことです。
もし商品売買などの決済において掛け取引を行っている場合、売掛金の回収が後で、先に買掛金の支払いが迫っているようなときは、支払いができなければ黒字倒産となってしまいます。
買掛金の支払いができなければ倒産するため、経常収入や財務収入などで資金繰りを行います。
▼経常外収入
経常外収支は、本業の事業活動以外から出た収入と支出です。
例えば、助成金や固定資産の売却などの収入や、設備投資を行った際の支出などがあります。
▼財務収支
財務収支は借入や借入金の返済など財務活動や投資によって出た収入と支出のことです。例えば、買掛金の支払いができず、金融機関から借入を行う場合は、財務収入がプラスとなります。
以上のように、キャッシュフローの他、資金繰り表も確認するようにしましょう。
黒字や赤字倒産にならないようにするには、財務基盤を整える必要があり、財務基盤を整えるためには財務体質を改善しなければなりません。
倒産の危機がある場合、早めの資金繰り対策が必要です。
また、今後倒産の危機に陥らないためには、財務改善が必要となることを覚えておきましょう。
財務改善には適切な資料作りが必要
財務改善を行うにあたり、適切な財務分析をしなければなりません。
そのためには適切に管理された財務資料と、正しく読み取るスキルが必要です。
財務資料を作成するにあたって、キャッシュフロー表の作成や資金繰り表の作成をします。
キャッシュフローの管理において多くの中小企業経営者が肌感覚で行っており、適切な管理ができていない状況です。
キャッシュフロー表は過去を示すだけのものではなく、将来の経営予測を行うためにも必要なものです。
資金繰り表においても現状の資金繰りを確認するだけではなく、事業活動の継続や財務体質の強化を行うために必要となります。
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財務改善の正しい方法:まとめ
会社の財務改善を行うにあたり、財務分析、財務体質の改善、財務管理体制の構築の3つのステップをご紹介しました。
財務分析に関し、中小企業経営者は、肌感覚で行っていることが多いため注意が必要です。
財務体質の改善を行うには、適切な財務分析をしなければなりません。
まずは本記事の内容を参考にして財務分析などを行うとよいでしょう。