
秘密保持に関する誓約書(NDA)とは?無料テンプレートで作成ポイントを解説
会社はさまざまな情報やノウハウで競争しています。
製法上の秘密だけでなく、事前に公開したくない情報や、法律で管理が必要な情報もあります。
本記事では、営業秘密の管理において必須となる秘密保持について、無料テンプレートで作成するときのポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.秘密保持に関する誓約書(NDA)とは
- 1.1.秘密保持に関する誓約書(NDA)とは
- 1.2.秘密保持に関する誓約書が必要な理由
- 1.3.秘密保持に関する誓約書の法的効力
- 1.4.契約書・誓約書・念書の違い
- 2.【無料】秘密保持に関する誓約書のテンプレート・サンプル
- 3.秘密保持に関する誓約のタイミング
- 4.秘密保持に関する誓約書の書き方
- 4.1.表題や提出先の氏名・日付を記載
- 4.2.誓約する内容を条文として記載
- 4.3.作成者が署名・押印
- 5.秘密保持に関する誓約書を作成する5つのポイント
- 6.秘密保持に関する誓約書を書く際の注意点
- 7.秘密保持に関する誓約書は就業規則と一緒に作成
- 8.秘密保持に関する誓約書のテンプレも無料!バックオフィス業務はエフアンドエムがサポートします
- 9.秘密保持に関する誓約書でよくある質問
- 9.1.秘密保持に関する誓約書の作成は義務?
- 9.2.秘密保持に関する誓約書に割印は必要?
- 10.まとめ
秘密保持に関する誓約書(NDA)とは
秘密保持に関する誓約書は、社内に留めておきたい情報を許可なく社外に公開しないように、従業員に約束させる書類で、内容を修正して業務委託している外注先やフリーランスから提出してもらうこともあります。
秘密保持に関する誓約書(NDA)とは
秘密保持に関する誓約書は、従業員が自社に対して約束する形式が主です。
自社が保有している公開してほしくない情報を、従業員が許可なく社外に開示しないこと、情報を流出させた場合の罰則などを定めます。
自社が秘密にしたい情報は多岐に渡ります。
- 製法上の技術、ノウハウ
- 製品の原価
- 新製品の開発計画
- 顧客や取引先
- 顧客の個人情報
- 人事
- 出店計画
- 他社との提携
- 上場(株式公開)予定
秘密保持に関する誓約書が必要な理由
自社内に留めておきたい情報が流出した場合、経営に与える影響は計り知れません。
情報が流出した場合の経営への悪影響は次のとおりです。
- 同業者による類似製品の投入
- 自社のノウハウを利用した同業者の参入
- 顧客からのクレーム、社会的な非難
- 取引先からの信頼の失墜
- 損害賠償
- 法令による罰則
自社の経営と信用を守り、従業員を保護するためにも、秘密保持に関する誓約書が必要です。
秘密保持に関する誓約書の法的効力
秘密保持に関する誓約書は法的効力をもつ文書であり、作成者が署名・押印をおこなうと内容に法的拘束力が生じます。そのため、誓約内容に違反があれば、損害賠償請求の対象となる可能性があります。
ただし、「誓約書の内容が公序良俗に反する」「強制的に署名させられた」場合などは、無効と判断される可能性が高いです。そのため、誓約書の内容は法令に適合したうえで、明確かつ具体的に記載しなければなりません。また、署名者が未成年の場合、法定代理人の同意がないと無効となる可能性があります。
契約書・誓約書・念書の違い
契約書・誓約書・念書は、いずれも約束事を文書化したものですが、性質や法的効力には違いがあります。契約書は当事者双方が権利義務を明確にし、互いに署名・押印をおこなうことで成立する書類です。当事者双方が署名・押印すると、双方が法的拘束力をもつ約束を交わすこととなります。
誓約書は主に一方の当事者が特定の義務の履行を約束し、相手方に提出する文書です。誓約書の場合、署名・押印は誓約する側のみがおこない、受け取る側は必要ありません。念書は作成者が相手方に対して特定の事項を約束する文書で、誓約書と類似していますが、より私的な場面で使用されるケースが多いです。
【無料】秘密保持に関する誓約書のテンプレート・サンプル
自社で利用する場合は、主に「秘密保持に関する誓約書」を用います。
「競業避止義務」を一緒にすることが主流です。
誓約書の作成例は次のとおりです。
競業避止義務とは、従業員が在籍中あるいは退職後に同じような事業をおこなうことを禁止することです。
秘密保持に関する誓約書と類似の言葉に、秘密保持契約書、個人情報保護に関する誓約書があります。
秘密保持契約書は、お互いに義務がある場合に使用します。
会社同士の交渉前などに使用します。
個人情報保護に関する誓約書は、自社が個人情報を取得する際に、個人に対して自社が約束する書類です。
秘密保持に関する誓約のタイミング
秘密保持に関する誓約書をとるタイミングは主に次のとおりです。
入社時
秘密保持に関する誓約書は、入社時に雇用契約書などと同時にとることが最善です。
同時に、自社に在職中あるいは退職後に自社と同じ事業をおこなうことを禁止します。
昇進時
社内での昇進、昇格により、従業員が触れる情報が異なります。
特に管理職や取締役などへの昇進、昇格の場合は、誓約書をとっているかを確認する機会です。
退職前
退職した社員が自社の情報を公開、利用しないように誓約させることも大切です。
退職時の手続きに合わせて、再度提出させることも有効です。
秘密保持に関する誓約書の書き方
秘密保持に関する誓約書を作成する際には、適切な書式と内容を整えることが重要です。
誤った書き方だと、「法的効力がなくなる」「誓約内容が不明確になる」などの可能性があります。本章では、秘密保持に関する誓約書の書き方を3つに分けて解説します。
表題や提出先の氏名・日付を記載
誓約書の冒頭には表題・提出先・日付を記載することが一般的で、表題は「秘密保持に関する誓約書」などと明記し、文書の目的が一目でわかるようにします。
提出先は、誓約書を受け取る企業や担当者の氏名を正式名称で記載します。たとえば、「○○株式会社 代表取締役 ○○様」といった形式で記載するのが適切です。日付は、誓約書が作成・提出された日を明確にするため、和暦または西暦で正確に記載します。
誓約する内容を条文として記載
誓約書の本文では、秘密保持に関する具体的な内容を条文形式で記載しましょう。一般的には、以下のように「第○条」といった形式を用い、誓約者が守るべき事項を明確に示します。
● 第1条(秘密情報の範囲):どのような情報が秘密に該当するのかを定義する
● 第2条(秘密情報の管理):秘密情報の適切な取り扱い方法を定める
● 第3条(違反時における対応):誓約内容に違反した場合の罰則規定を記載する
作成者が署名・押印
誓約書の末尾には、作成者(誓約者)の氏名・住所を記載し、署名と押印をおこないましょう。署名は、直筆でフルネームを記載して本人の意思を明確に示す形式です。
一方で、押印は実印または認印を使用するのが一般的ですが、重要な契約の場合は実印が望ましいです。また、法人の場合は、法人名・代表者氏名・社判を押印して正式な文書とします。署名・押印がなければ、誓約書の効力が無効となる可能性があるため、必ずおこなうようにしましょう。
秘密保持に関する誓約書を作成する5つのポイント
秘密保持に関する誓約書を作成するときは、ポイントが5つあります。
秘密情報の範囲
秘密とする情報の範囲を定めます。
社内の情報は幅広く軽重もあり、すべての情報を列挙することは困難です。
重要な情報の表示とともに、「重要と指定された」情報など、記載する文言にはテクニックが必要です。
秘密保持の期間
自社に在籍している間だけでなく、退職後も含めます。
同業者による引き抜きへの対策ともなります。
自社のノウハウを使った副業や独立開業を防ぐことも目的とします。
目的外使用の禁止
自社の業務の遂行以外での情報公開を禁止する文言を入れます。
個人情報保護
秘密にすべき情報のうち、個人情報に関する流出の禁止は、昨今特に重要です。
対象となる情報は、顧客である個人と従業員である個人を含みます。
秘密漏洩時の措置
秘密情報を社外で公開した場合の罰則を定めます。
『損害賠償の責を負う』などの文言が一般的です。
秘密保持に関する誓約書は抜け漏れがないことが大切です。
公開されている誓約書を、自社にあわせて加工することで簡単に作成できます。
例えば、こちらから無料会員登録でダウンロードできます。
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自社にあわせて加工した後、専門家に点検してもらうこともおすすめです。
秘密保持に関する誓約書を書く際の注意点
秘密保持に関する誓約書を書く際の注意点として、以下の2つがあげられます。
● 相手が同意していない内容について強制しない
● 法令違反に該当する内容が含まれていないか確認する
相手が同意していない内容について強制しない
誓約書を作成する際、相手が納得していない事項を無理に盛り込むことは避けるべきで、一方的な内容は後々のトラブルの原因となります。たとえば、過度に広範な秘密情報の定義や不合理な競業避止義務を科すことは公序良俗に反し、無効と判断される可能性が高いです。
また、相手の職業選択の自由を不当に制限するような条項も法的に問題となる可能性があります。そのため、誓約書の内容は相手と十分に協議し、双方が納得できる形で作成しましょう。
法令違反に該当する内容が含まれていないか確認する
誓約書の内容が法令に違反していないかを確認することは、極めて重要です。たとえば、労働基準法に違反する過度な労働を強制する内容や独占禁止法に抵触する競業避止義務を科すことは、法的に無効とされる可能性があります。
また、不正競争防止法に基づく営業秘密の保護要件を満たしていない情報を秘密情報として指定することも問題となります。さらに、個人情報保護法に違反するような取り扱いを定めることも避けるべきです。上記の点を踏まえ、誓約書の作成時には関連する法令を十分に確認し、必要に応じて弁護士などの意見を求めましょう。
秘密保持に関する誓約書は就業規則と一緒に作成
秘密保持に関する誓約書は入社時にとることが大切です。
情報の保護は誓約書の提出とともに、自社の就業規則(就業規定)にも記載することで「言った、聞いていない」などの無用なトラブルを回避できます。
また、就業規則とは別に誓約書を提出させることで、重要性を従業員に認識させる効果もあります。
自社の就業規則が未整備の場合は、秘密保持に関する誓約書とともに整備します。
自社の労務管理を整備することで、労働トラブルや従業員を守れます。
秘密保持に関する誓約書など従業員の採用時に必要な書類など、従業員の労働環境を適切に整備し、従業員が安心して働ける環境を整備するためには、次の点に注意します。
【適切な労務管理のポイント】
- 法的に必要な書類、手続きを網羅する
- 自社と真面目に働く従業員を守るためのルールを整備する
- 最新の法改正に合わせる
- 損害発生時の賠償責任を明確化しておく
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秘密保持に関する誓約書でよくある質問
秘密保持に関する誓約書でよくある質問として、以下の2つがあげられます。
● 秘密保持に関する誓約書の作成は義務?
● 秘密保持に関する誓約書に割印は必要?
秘密保持に関する誓約書で疑問点がある場合は、上記質問への回答を参考にしてください。
秘密保持に関する誓約書の作成は義務?
秘密保持に関する誓約書の作成は、法律上の義務ではありません。しかし、企業が従業員や取引先と機密情報を共有する際、情報漏洩を防ぐために誓約書を作成するケースが一般的です。
特に、技術情報や顧客情報など競争力に直結する情報を扱う場合、誓約書の存在は重要です。また、誓約書があれば、万が一情報漏洩が発生した際の法的対応が容易となります。さらに、従業員に対して秘密保持の重要性を再認識させる効果も期待できます。
秘密保持に関する誓約書に割印は必要?
秘密保持に関する誓約書に割印を押すことは、法律上の必須事項ではありません。しかし、割印を押せば、契約書の改ざん防止や正本と副本が同一内容であることの証明となります。
割印とは複数の文書にまたがって印鑑を押すことで、各ページが一連のものであると証明が可能です。特に、契約書が複数ページにわたる場合、各ページの間に割印を押すとページの差し替えや改ざんを防ぐ効果があります。
まとめ
秘密保持に関する誓約書は、自社の競争力を守り、従業員が安心して働ける職場を作るために必要です。
公開されているテンプレートを加工することで簡単に作成できます。
秘密保持に関する誓約書は、就業規則とともに整備が必要です。
毎年の法改正にあわせて就業規則を見直しすると同時に、秘密保持に関する誓約書の整備など、自社と従業員を守る職場作りを進めましょう。
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