岸田内閣の経済対策は17兆円!補助金・人手不足対策など経営者必見の支援策7つを解説
岸田内閣は11月2日、総合経済対策を発表しました。財政規模で17兆円、国や金融機関の融資などを含めた事業規模で37兆円を見込んでおり、賃上げや前向きな投資を支援する内容となっています。
本記事では、今回の経済対策の中でも中小企業の経営者が注目しておきたい施策について解説します。
目次[非表示]
- 1.岸田内閣の経済対策17兆円の内容
- 2.経済対策で中小企業が注目したい7つの支援策
- 2.1.中小企業向け支援策の重点
- 2.2.中小企業向け税制優遇などの賃上げ支援策
- 2.3.人手不足企業を支援!育児休業に関する応援手当の助成
- 2.4.価格転嫁の指針の整備
- 2.5.省エネ設備導入への支援
- 2.6.より申請しやすい補助金⁉生産性向上支援策の新設
- 2.7.事業承継予定の経営者必見!事業承継税制の延長
- 2.8.中小企業の経営者が待望!経営者保証が不要な保証制度
- 3.まとめ
岸田内閣の経済対策17兆円の内容
岸田内閣としては3回目となる総合経済対策が発表されました。財政支出額として13兆円、定額減税を含めて17兆円を裏付けとして、経済押し上げ効果としと19兆円を見込んでいます。
経済対策の重点分野として、以下の5分野を柱としています。
- 物価高対策:財政支出額6.3兆円
- 持続的な賃上げ、地方の成長:同上3.0兆円
- 国内投資の促進:同上4.7兆円
- 人口減少対策など社会変革:同上1.6兆円
- 国土強靭化:同上6.1兆円
物価高対策
物価高から国民生活を守る対策として以下が挙げられています。
- 所得税3万円、住民税1万円の定額減税(2024年6月から)
- 住民税非課税世帯向け10万円の給付
- 原油、電気、ガス価格の激変緩和措置を2024年4月末まで延長(5月以降は縮小)
賃上げ、地方の成長
持続的な賃上げや『年収の壁』を超えて働く人材不足対策や生産性向上における支援策などが盛り込まれています。具体的な施策は次の内容です。
- 賃上げ促進税制の見直し(赤字企業での適用拡充など)
- 賃上げによる価格転嫁のための指針の策定
- 最低賃金の継続的な引き上げ(2030年代半ばまでに1,500円へ)
- 省力化、生産性向上における支援
- 『年収の壁・支援強化パッケージ』(2023年10月開始済)
- リスキリングなど人材育成
国内投資促進
経済成長率を引きあげるための投資促進など、以下の施策などがあげられています。
- 研究開発、GX・DXの推進
- 対日直接労使の促進
- ストックオプション税制の充実
- 事業承継税制の延長
人口減少、社会変革
教育におけるデジタル化の推進などのほか、人手不足対策、外国人材の活用などが講じられます。
- 『物流革新緊急パッケージ』の推進
- 建築業における価格転嫁、監理者配置の柔軟化
- 医療、介護施設における人員基準の柔軟化
- 外国人材に関する特定技能分野の拡大
国土強靭化
防災や減災のための対策があげられています。また経済安全保障のためのサプライチェーン強靭化や食料安全保障のための国内肥料などの生産・利用拡大などがあげられています。
経済対策で中小企業が注目したい7つの支援策
今回の総合経済対策は定額減税だけでなく、中小企業への支援策も講じられています。
中小企業向け支援策の重点
今回の経済対策におおける中小企業への支援策については、主に以下の3つに重点が置かれています。
- 人手不足対策
- 省エネ設備の導入
- 省人化、省力化などの前向きな投資
中小企業向け税制優遇などの賃上げ支援策
人手不足対策など賃上げが続く中、2023年9月に発表された『年収の壁・支援強化パッケージ』によって、いわゆる「106万円の壁」「130万円の壁」を超えて従業員が働く企業への支援策が講じられています。
- 年収106万円を超えた従業員へ支給する社会保険適用促進手当は、企業、従業員ともに標準報酬月額・標準賞与額から除外
- 年収130万円を超えても扶養から外れない『事業主の証明による被扶養者認定の円滑化』
【参考】「年収の壁・支援強化パッケージ」について|厚生労働省
今回は更に次の施策が講じられることが検討されています。
- 賃上げ促進税制の強化
具体的には、赤字企業を含めた繰越控除制度の創設、期限の在り方について検討するとしています。
また従業員の子育てをサポートする企業を認定する『くるみん』、女性の活躍を推進している企業が対象である『えるぼし』などの認定を受けている女性の活躍を支援している企業については税額控除の上乗せ措置を創設するとしています。
【引用】総合経済対策 政策ファイル|内閣府
【参考】 次世代育成支援対策推進法関係リーフレット|厚生労働省
【参考】 えるぼし認定、プラチナえるぼし認定|厚生労働省
人手不足企業を支援!育児休業に関する応援手当の助成
育児休業している従業員をカバーするために業務を代替しているほかの従業員への応援手当を助成する制度です。
両立支援等助成金を拡充し、新たに『育休中等業務代替支援コース』(仮称)が新設されます。育児休業する従業員1人あたり最大125万円、1年につき10名までが支給されます。
価格転嫁の指針の整備
賃上げに伴う販売価格転嫁を支援するため、価格交渉に関する指針を策定することを予定しています。
【引用】「デフレ完全脱却のための総合経済対策」について|内閣府
省エネ設備導入への支援
企業におけるエネルギーコストを削減するための設備導入を補助金などで複数年にわたって支援する方針としています。
より申請しやすい補助金⁉生産性向上支援策の新設
中小企業における人手不足対策として、導入が容易な省人化投資を簡便に選択できる支援措置が講じられる予定です。
【引用】総合経済対策 政策ファイル|内閣府
経済産業省が発表した補正予算案においては『中小企業省力化投資補助事業』として記載されているため、事業再構築補助金の拡充によるものと推測されています
【引用】経済産業省関係令和5年度補正予算案の概要|経済産業省
事業承継予定の経営者必見!事業承継税制の延長
中小企業の事業承継時に負担となる相続税や贈与税の負担を猶予する『事業承継税制』について、承継計画の提出期限を現行の2024年3月末から延長することが示されています。
中小企業の経営者が待望!経営者保証が不要な保証制度
金融機関からの借入において代表者が連帯保証することを減らすため、信用保証協会の保証料を上乗せすることにより、経営者の保証なしで借入できる制度が検討されています。
【引用】経済産業省関係令和5年度補正予算案の概要|経済産業省
具体的には、『経営者保証ガイドライン』の要件を緩和した新たな要件を充たす中小企業について、通常の保証料率に0.25%(または0.45%)を上乗せすることで、代表者の連帯保証がない信用保証制度を新たに設ける予定です。
保証料率(上乗せ分を含む)の一部ついては補助される見通しです。
【引用】中小企業政策審議会金融小委員会(第11回)事務局説明資料|中小企業庁
まとめ
岸田内閣が総合経済対策を発表しました。1人4万円の定額減税だけでなく、中小企業が悩む人手不足、賃上げにおける支援策や、省人化などの前向きな設備投資を支援する内容が盛り込まれています。
具体的な支援策として事業再構築補助金の拡充などが予想されているため、設備投資を計画している中小企業の経営者は今後の制度改正に注意が必要です。
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