設備投資13%増!中小企業経営者が急務の設備投資と補助金とは
10月に発表された日銀短観において、2023年度の設備投資計画は前年度比13.0%増加となりました。中小企業の経営者は同業他社の投資に遅れをとらないよう、攻めの投資を検討する必要があります。
本記事では設備投資計画の概況と、いま経営者が検討したい設備投資とその支援策について解説します。
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2023年における設備投資の増加は上方修正
10月2日発表の日銀短観では、2023年度の設備投資計画は前年度比13.0%の増加となりました。
前回調査(2023年6月)における11.8%を超えて上方修正されています。また前年度の9.2%を3.8ポイント上回りました。
大企業から中小企業まで増加
企業規模別でみると、大企業から中小企業までのすべての規模で設備投資が増える計画です。
大企業では13.6%、中堅企業では15.9%増加の計画となり、中小企業における設備投資も前年度比8.0%増加となっています。
中小企業については設備不足感が強いといわれる非製造業において、投資予定が14.8%の増加へと急増しています。
設備投資計画額(含む土地投資額) 前年度比 |
2022年度 |
2023年度計画 |
||||
3月調査 |
6月調査 |
9月調査 |
||||
全規模合計
|
全産業 |
9.2% |
3.9% |
11.8% |
13.0% |
|
(製造業) |
(9.0%) |
(6.3%) |
(15.1%) |
(15.0%) |
||
(非製造業) |
(9.3%) |
(2.4%) |
(9.9%) |
(11.8%) |
||
|
大企業 |
全産業 |
11.7% |
3.2% |
13.4% |
13.6% |
(製造業) |
(6.5%) |
(5.8%) |
(19.3%) |
(20.0%) |
||
(非製造業) |
(14.8%) |
(1.6%) |
(10.1%) |
(10.1%) |
||
中堅企業
|
全産業 |
5.2% |
9.7% |
16.0% |
15.9% |
|
(製造業) |
(10.2%) |
(12.9%) |
(19.4%) |
(16.2%) |
||
(非製造業) |
(2.3%) |
(7.5%) |
(13.8%) |
(15.8%) |
||
中小企業
|
全産業 |
3.9% |
2.2% |
2.4% |
8.0% |
|
(製造業) |
(17.2%) |
(1.0%) |
(-3.1%) |
(-3.0%) |
||
(非製造業) |
(-3.0%) |
(1.4%) |
(5.8%) |
(14.8%) |
土地投資は減速するも中小企業のソフトウェア投資は大幅増加好調な設備投資ですが、土地投資額については前年度を下回る予定です。大企業では-16.5%、中小企業についても-10.1%となっています
一方でソフトウェア投資は増加する見通しです。大企業では13.6%、中小企業では21.8%増加の見通しとなっており、中小企業におけるソフトウェア投資の増加が目立ちます。
非製造業では設備不足が続く見通し
『生産・営業用設備判断』(過剰と回答した企業の%-不足と回答した企業の%)によると、中小企業の全産業での同指標は-3%ポイントとなり、設備不足感が続いています。
中小企業における設備不足感は今後強まる見通しです。非製造業は最近時点での-4%ポイントから-7%ポイントへと設備不足感が強まる見通しとなっています。製造業についても最近時点の1%ポイントから先行きは-1%ポイントへと設備不足に転じる予想となっています。
いま中小企業が検討したい設備投資とおすすめの補助金など5選
中小企業においても前年度を上回る設備投資が計画されている中、中小企業の経営者としては同業他社に遅れることなく、自社において必要な投資を検討することが求められます。
中小企業を取り巻く経営環境で最も喫緊の課題は人手不足とコスト上昇です。これらへの対策に使える公的支援策のうち、おすすめ5選を紹介します。
IT化、DX化投資が対象となる『IT導入補助金』
IT導入補助金は、会計システムや受発注システムの刷新などソフトウェア投資が対象となる補助金です。補助率は最大4分の3、補助上限額は最大350万円です。
インボイス制度、2024年1月に開始される電子帳簿保存法、そして電子商取引に対応するためのシステム投資を自社に導入する時に役立ちます。
中でもデジタル化基盤導入類型は、PCやタブレット、決済端末などのハードも補助対象となります。
【参考】IT導入補助金2023|IT導入補助金 後期事務局
新製品開発、生産性向上のための投資は『ものづくり補助金』
新製品の開発や生産性向上などの投資に使える補助金です。補助率は最大3分の2、補助上限額は最大5,000万円です。
自社の業務フローを見える化できる生産管理システムの導入や、生産性の優れた機械装置の導入なども対象となります。
【参考】ものづくり・商業・サービス補助金 公募要領概要版(2023年7月28日更新版)|ものづくり補助金事務局
成長を加速するM&Aに使える『事業承継・引継ぎ補助金』
事業承継やM&Aにより経営を引き継ぐとともに、新製品開発など新たな取組みをおこなう企業が対象となります。
例えばM&Aにより経営を引き継いだ企業に新しい生産方式を導入するとともに、デジタル化による生産性向上
を図るケースなどです。
補助率は最大3分の2、補助上限額は最大800万円です。
【参考】事業承継・引継ぎ補助金(7次公募のご案内)|事業承継・引継ぎ補助金事務局
人手不足対策と賃上げが対象『業務改善助成金』
人手不足対策として賃上げをおこなうと同時に、設備投資による生産性向上投資をおこなう企業が増えています。
賃上げとともに自動化投資や教育訓練をおこなう企業が対象の助成金が業務改善助成金です。
事業場内最低賃金の引上げ幅と対象人数に応じて、助成率は最大10分の9、助成上限額600万円が支給されます。
2023年8月31日に下記のとおり対象が拡充されました。従来は対象外であった場合は、自社が拡充範囲に該当しているか再確認しておきましょう。
- 地域別賃金と事業場内最低賃金の差額を50円以内に拡大(従来は30円)
- 賃金引上げ計画の提出が不要(50名以下の事業場かつ2023年12月31日までの賃上げが対象)
- 助成率区分の見直し(例 事業場内最低賃金額が930円の場合の助成率を4分の3から5分の4へ引上げ)
補助金と併用できる税制優遇がある『経営力向上計画』
競争力向上のための設備投資について経営力向上計画の承認を受けると、さまざまな税制優遇措置を受けることができます。A4サイズ約3枚で申請が可能な制度であり、累計で161,454件が認定されています。
- 小規模事業者持続化補助金の申請時における加点措置
- 設備投資についての即時償却または取得価額の10%の税額控除が可能
税額控除または特別償却については補助金との併用が原則として可能であるため、設備投資前に承認をとることを検討しましょう。
【参考】中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き|中小企業庁
【参考】中小企業経営強化税制 Q&A集(ABCD類型共通)|中小企業庁
まとめ
設備投資計画が上方修正され、中小企業においても活発な投資がおこなわれています。同業他社の設備投資に自社が遅れをとった場合、自社の競争力の低下につながる危険性があります。
また人手不足に悩む中小企業においては、人手不足対策のひとつとして生産性の向上が欠かせません。またインボイス制度や2024年1月から始まる電子帳簿保存法における対応で、社内の事務が増加することとなります。
自社の効率化は工場や店舗だけでなく、総務や経理などのバックオフィス業務を含めた検討が効果的です。
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