
事業再構築補助金と新事業進出補助金の違いは?比較・申請ポイントを紹介
事業再構築補助金と新事業進出補助金は、中小企業の挑戦を支援する国の主要な補助制度です。
本記事では、それぞれの補助金の目的・補助率・申請要件などをわかりやすく比較します。
2025年4月22日に公開された最新の公募要領をもとに、新事業進出補助金の申請準備に役立つ情報も掲載しているため、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.事業再構築補助金と新事業進出補助金の違い
- 2.事業再構築補助金と新事業進出補助金を徹底比較
- 2.1.補助上限額と補助率の違い
- 2.2.申請要件の違いから見る対象企業の特徴
- 2.3.対象経費の違い
- 3.新事業進出補助金のスケジュール
- 4.新事業進出補助金の採択率を高める申請書類作成と審査ポイント
- 4.1.事業計画書作成時に押さえるべきポイント
- 4.2.新事業進出補助金基本要件と審査事項
- 5.新事業進出補助金の採択率を上げるための具体的な方法
- 6.新事業進出補助金の申請前にやるべきこと
- 6.1. GビズIDを取得する
- 6.2.認定経営革新等支援機関を探しておく
- 7.まとめ
- 8.申請から事業化状況報告までエフアンドエムがフルサポート
事業再構築補助金と新事業進出補助金の違い
事業再構築補助金と新事業進出補助金は、いずれも中小企業の挑戦を支援する国の代表的な補助金制度です。
両者の大きな違いは、政策目的が「回復支援」から「成長促進」へとシフトしている点にあります。
事業再構築補助金とは?コロナ禍からの事業転換を支援する制度
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営環境に直面している中小企業等の事業転換を支援するために創設された制度です。この補助金は2021年に経済産業省が打ち出したもので、コロナ禍において売上が減少した事業者が、新分野展開や業態転換、事業転換、業種転換など思い切った事業再構築に挑戦することを強力に後押ししていましたが、新規の応募申請受付は第13回公募で終了となりました。
新事業進出補助金とは?中小企業の新たな事業展開を後押し
新事業進出補助金とは、事業再構築補助金の後継制度です。
新市場・高付加価値事業 への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上 を図り、賃上げにつなげていくことを目的として創設されました。
事業再構築補助金と新事業進出補助金を徹底比較
事業再構築補助金と新事業進出補助金は、目的や対象企業、補助内容において明確な違いがあります。
新事業進出補助金の申請を検討している場合は、以下の比較内容を参考にしてください。
補助上限額と補助率の違い
補助金名 |
補助上限金額 |
補助率 |
事業再構築補助金 |
1,500万円(2,000万円)〜1億円(1.5億円) |
中小1/2(※2/3) |
新事業進出補助金 |
2,500万円(3,000万円)〜7,000万円(9,000万円) |
1/2 |
新事業進出補助金は、事業再構築補助金よりも補助率が下がっているため、企業側の負担が大きくなる可能性があります。
つまり、事業再構築補助金は自己負担をできるだけ軽くしたいケースや比較的コンパクトな計画に向いていましたが、新事業進出補助金はある程度の自己資金を準備できる場合や、より大きな投資を伴う計画に適しているといえるでしょう。
申請要件の違いから見る対象企業の特徴
事業再構築補助金と新事業進出補助金は申請要件に大きな違いがあります。事業再構築補助金は「コロナの影響からの回復」を目的としているため、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3~4%(事業類型により異なる)以上増加 や、従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3~4%(事業類型により異なる)以上増加というような要件が設けられていました。
一方、新事業進出補助金は「新たな挑戦」を支援する位置づけで、成長志向の強い企業、デジタル技術活用に積極的な企業が対象となります。特に、従業員の賃上げやIT投資を計画している企業に対して加点評価があることが特徴です。
対象経費の違い
補助金名 |
対象経費 |
事業再構築補助金 |
建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費・専門家経費、広告宣伝費・販売促進費、研修費、廃業費 |
新事業進出補助 |
機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進 |
計画立案時には対象経費と非対象経費を正確に区分することが採択への近道です。
判断に迷う場合は、認定経営革新等支援機関に相談することで適切なアドバイスを受けられるでしょう。
新事業進出補助金のスケジュール
令和7年(2025年)4月22日(火)より、新事業進出補助金の第1回公募が開始されました。申請の受付は同年6月頃から開始される予定で、応募の締切は7月10日(木)18時までです。
なお、補助金の交付候補者に関する採択結果の発表は、同年10月頃に予定されています。
【引用】新事業進出補助金
補助金申請から採択までは、綿密なスケジュール管理が不可欠です。まず申請準備段階では、新事業進出補助金の公募スケジュールを確認し、逆算して計画を立てましょう。申請書類作成には通常1〜2ヶ月かかるため、余裕を持った準備が重要です。
採択後は、交付申請から実績報告まで一連の手続きがあります。特に注意すべきは、設備導入や工事などの発注タイミングです。交付決定前の契約や発注は補助対象外となるため、タイムラインを明確にしておく必要があります。
また、事業実施中は定期的な進捗管理が重要です。計画と実際の進捗にズレが生じた場合は、早めに事務局への相談や計画変更申請を検討しましょう。
補助金申請はゴールではなく、新しい事業成長の始まりです。スケジュール管理を徹底し、補助金を最大限に活用した事業展開を実現しましょう。
新事業進出補助金の採択率を高める申請書類作成と審査ポイント
新事業進出補助金の申請において採択されるためには、単に書類を揃えるだけでは不十分です。審査で重視されるポイントを的確に押さえた事業計画書の作成が鍵を握ります。ここでは「市場性」「実行可能性」「社会的意義」などの審査基準に対応するための記載内容や、加点を狙う工夫について具体的に解説します。
事業計画書作成時に押さえるべきポイント
新事業進出補助金では「市場性」と「革新性」が重視されるため、新規市場の成長性と自社の強みを結びつける記載が求められます。
計画書は箇条書きを活用し、要点を明確にすることで読みやすくなります。特に経営状況分析では数値データの視覚化が効果的です。また、実現可能性を示すために具体的な市場調査結果や実施スケジュールを盛り込むと説得力が増します。
申請前に認定経営革新等支援機関に相談し、客観的な視点からアドバイスを受けることも採択率向上につながります。審査員が「この事業は成功する」と確信できる具体性のある計画書を心がけましょう。
新事業進出補助金基本要件と審査事項
新事業進出補助金の基本要件は以下の通りです。
詳細は「中小企業新事業進出促進補助金 公募要領 (第1回)」P.16をご参照ください。
基本要件 |
内容 |
①新事業進出要件 |
「新事業進出指針」に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること |
②付加価値額要件 |
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定すること |
③賃上げ要件 |
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと ⑴ 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること ⑵ 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること |
④事業場内最賃水準要件 |
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること |
⑤ワークライフバランス要件 |
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること |
⑤ワークライフバランス要件 |
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること |
⑥金融機関要件 |
補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること |
特例 |
内容 |
賃上げ特例要件 |
補助事業実施期間内に、以下の要件をいずれも満たすこと |
また、新事業進出補助金の審査では、以下7点が重要視されます。
- 補助対象事業としての適格性
- 新規事業の新市場性・高付加価値性
- 新規事業の有望度
- 事業の実現可能性
- 公的補助の必要性
- 政策面
- 大規模な賃上げ計画の妥当性(賃上げ特例の適用を希望する事業者に限る)
新事業進出補助金の採択率を上げるための具体的な方法
採択率を向上させるためには、以下の加点項目への対応が効果的です。
加点項目 |
内容 |
①パートナーシップ構築宣言加点 |
「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表している事業者 |
②くるみん加点 |
次世代法に基づく認定(トライくるみん、くるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた事業者 |
③えるぼし加点 |
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」に基づく認定(えるぼし1~3段階又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている事業者 |
④アトツギ甲子園加点 |
アトツギ甲子園のピッチ大会に出場した事業者 |
⑤健康経営優良法人加点 |
健康経営優良法人2025に認定されている事業者 |
⑥技術情報管理認証制度加点 |
技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者 |
⑦成長加速化マッチングサービス加点 |
成長加速マッチングサービスにおいて会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者 |
⑧再生事業者加点 |
中小企業活性化協議会等から支援を受けており、以下のいずれかに該当している事業者 |
⑨特定事業者加点 |
「2.補助対象者(3)特定事業者の一部」に該当する事業者 |
これらのポイントを踏まえ、事業計画書の作成や申請準備を進めることで、新事業進出補助金の採択率を高められます。
新事業進出補助金の申請前にやるべきこと
新事業進出補助金の申請前にやるべきこととして、以下の2つがあげられます。
- GビズIDを取得する
- 認定経営革新等支援機関を探しておく
GビズIDを取得する
新事業進出補助金の申請には、GビズIDプライムアカウントの取得が必須です。GビズIDは政府の電子申請システムを利用するための共通認証システムで、取得方法はオンライン申請と書類郵送申請の2通りがあります。
オンライン申請ではマイナンバーカードと対応するスマホが必要で、最短即日での発行が可能です。書類郵送申請の場合は印鑑証明書や申請書を郵送し、約1週間程度で審査が完了します。郵送申請は時間がかかるため、特別な事情がない限りはオンライン申請でGビズIDプライムアカウントを取得しましょう。
認定経営革新等支援機関を探しておく
新事業進出補助金の申請前に、相談する認定経営革新等支援機関を探しておきましょう。
認定経営革新等支援機関は中小企業の経営改善や新規事業展開を支援する専門家集団で、全国に多数存在します。具体的には、商工会議所や商工会、金融機関、税理士法人などが該当します。認定支援機関のサポートを受けることで事業計画の質を高め、採択率を向上させやすくなる点もメリットです。
まとめ
事業再構築補助金と新事業進出補助金は、いずれも中小企業の挑戦を支援する強力な制度ですが、目的や対象、補助内容には明確な違いがあります。コロナ禍からの回復を目的とした「事業再構築補助金」に対し、「新事業進出補助金」は今後の成長を見据えた前向きな投資を支援する制度です。
新事業進出補助金の申請を検討している場合は、採択率を高めるためにも、制度の正しい理解と入念な事前準備が欠かせません。
申請から事業化状況報告までエフアンドエムがフルサポート
事業再構築補助金は建物の建築費用が含まれる、補助上限額が大きいなどの魅力がある制度です。審査項目を踏まえた計画書の作成で採択を目指しましょう。
計画書の作成に加えて、四半期ごとの事業化状況報告など採択後の作業が負担となるため、計画書の作成にあたっては、採択後の作業を含めて相談できる認定支援機関との連携がおすすめです。
事業再構築補助金で採択を目指す経営者様、採択後の事務の負担を軽減したい経営者様は、国内トップクラスの補助金申請件数・採択件数の実績があるエフアンドエムへご相談ください。
エフアンドエムは累計4,800件(2025年3月1日時点)の採択実績があり、申請から採択後までをサポートする『F&M補助金申請支援サービス』を提供しています。
【エフアンドエム『F&M補助金申請支援サービス』を選ぶメリット5つ】
1. 豊富な実績で安心のサポート体制
累計5,000社以上の採択支援実績! 採択・不採択の傾向を熟知した専門コンサルタントが、企業様ごとの強みを引き出しながら事業計画の策定をお手伝いします。
2. 負担軽減の手厚い支援
計画書の作成だけでなく、交付申請・実績報告までワンストップでサポート。 本業が忙しい企業様にも「手間が少ない!」とご好評をいただいています。
3. 採択後まで見据えた“安心”の計画設計
事前の面談で経営者様の想いを汲み取りつつ、採択後の注意点まで見越した計画を一緒に作成。 面接対応が必要な補助金も、模擬面談でしっかり準備できます。
4. はじめやすい価格設計
申請支援は10万円から対応可能! 初めての補助金申請でもチャレンジしやすい安心の料金プランです。
5. 継続支援が可能
補助金の申請がゴールではありません。 F&Mでは、事業の実行・運用・報告に至るまで、中長期で企業様に伴走します。