
日銀の物価高予測は3年連続の上昇!中小企業がおこなう物価上昇対策は
日銀は1月に2024年の物価上昇率を+2.4%となるとの予測を発表しました。物価上昇率の2%超えは2022年から3年連続となる予測であり、今後のゼロ金利政策の転換なども予測されています。
本記事では、日銀が予測する物価上昇と中小企業における対応策を解説します。
目次[非表示]
日銀が物価予測を発表!2024年度の物価見通しは+2.4%、2025年度も+1.8%の予測
2024年1月23日に日銀が『経済・物価情勢の展望』(展望レポートと呼ばれます)を発表しました。日銀の予測によると、2024年の物価上昇率は前年度比+2.4%、2025年についても前年度比+1.8%と物価が上昇し続けると予測しています。
対象年度 |
消費者物価指数 |
消費者物価指数 |
2023年度 |
+2.8% |
+3.8% |
2024年度 |
+2.4% |
+1.9% |
2025年度 |
+1.8% |
+1.9% |
2024年度のインフレ見通しは+2.4%
1月発表の展望レポートにおける2024年の物価上昇率の+2.4%は、2023年10月の展望レポート発表時から0.4%引き下げられています。
物価見通しを下方修正した理由は、値上げ品目数や輸入品価格などが落ち着いているためです。
2025年度も+1.8%のインフレ見通し
2025年度の物価上昇見通しは+1.8%にやや落ち着くと予測されています。2024年度まで価格転嫁による物価上昇が浸透した後は物価上昇がやや落ち着くとみられているためです。
日銀が目指す物価上昇率2%は達成間近?ゼロ金利解除も?
日銀が今回発表した物価上昇率が予測通りとなった場合、2022年から2024年まで3年間連続で物価上昇率が2%を超えることとなります。
日銀は物価上昇率2%を安定的に達成するまで、ゼロ金利など金融緩和政策を継続する姿勢にあります。今後も物価上昇が見通せる場合、早ければ2024年4月からゼロ金利政策が転換される可能性があるといわれています。
物価高倒産が急増!中小企業の物価高対策5選
物価高が続く影響で倒産が急増しています。
民間信用調査会社である帝国データバンクによると、2023年1月から12月までの倒産件数(負債総額1,000万円以上の法的整理のみ)は8,497件、前年から33.3%の急増です。また倒産件数8,497件のうち物価高による倒産件数は過去最多の775件となり、前年から2.4倍に達しています。
今後も物価高が続くと予測されているため、中小企業は物価上昇に負けない体質への改善が喫緊の課題です。中小企業が検討したい物価高対策の代表例は下記の5つです。
地方公共団体の助成金
物価高対策として、県や市町村などの地方公共団体が独自に助成金制度を設けています。地方公共団体により制度の有無や対象が異なります。
補助金や助成金などの公的支援策は数千種類あるとも言われています。自社で受給できる可能性がある公的支援策の申請もれを防ぐためには、F&M Clubの『公的支援無料診断サービス』など検索ツールの利用が効率的です。
価格転嫁(販売価格の見直し)
原材料や人件費の上昇については、販売価格の引き上げを積極的に検討しましょう。販売価格の引き上げは利益の改善に直結します。
値上げや販売価格転嫁がすすんでいる中、コスト上昇の価格転嫁率(コスト上昇に対して一部でも価格転嫁できた企業の割合)は45.7%とみられています。
また価格転嫁の内訳をみると、原材料費の上昇分の価格転嫁率は45.4%とすすんでいる一方で、人件費の上昇分に関する価格転嫁は36.7%(2023年9月時点)とみられています。
このため岸田総理は2024年1月22日の「政労使会議」において、人件費の上昇分を含めた価格転嫁への支援を表明しています。
【引用】価格交渉促進月間(2023年9月)フォローアップ調査の結果について(確報版)(2024年1月)|中小企業庁
【引用】政府側の対応状況(2024年1月22日)|内閣官房
コスト削減
物価上昇における対策の代表例がコスト削減です。コスト削減の主な例は次のとおりです。
- 電気照明のLEDへの変更
- 廃棄ロスの削減
- 不要な倉庫などの解約
- 生産性の向上による残業時間の削減
- 不要なシステム保守サービスの解約
- 自家消費用太陽光発電の導入
賃上げ、インフレ手当の支給
物価高に伴い、従業員がより給料水準が高い企業へ転職する可能性があります。離職の増加を防ぐためには、賃上げなどの昇給やインフレ手当など特別手当の支給などが必要です。
生産性の向上
物価高と人手不足に対応するためには企業の生産性を上げる必要があります。また2030年には労働需要人口7,312万人のうち12.1%が不足すると予測されており、現状の8割の従業員数で企業を維持することとなります。
生産性の向上は製造現場だけでなく、総務や経理などバックオフィス部門についても検討することが可能です。主な例は次のとおりです。
- 検査・検品・仕分けシステムなど即効性がある省力化機器を導入する
- 顧客管理システムの導入やオンライン商談により営業活動を効率化する
- 受発注システムと在庫管理システムを連動させることで在庫確認作業を削減する
- 会計システムや勤怠管理・給与計算システムを刷新し、総務事務を合理化する
【引用】国内投資促進パッケージ(施策集)省力化投資補助枠(カタログ型)|内閣官房
賃上げ対応、省力化投資は補助金・助成金を活用!
賃上げの実施はお金がかかるうえ、省力化投資も資金が必要です。補助金や助成金など外部の力を積極的に活用しましょう。
中小企業におすすめの補助金など公的支援策の主な施策は次のとおりです。
経営者が検討したい『ものづくり補助金』と『省力化投資補助枠(カタログ枠)』
新製品開発や省力化・合理化投資が対象となる補助金の代表格は『ものづくり補助金』と『省力化投資補助枠(カタログ型)』です。概要は次のとおりです。
-
ものづくり補助金
18次公募が発表されました。補助率は最大3分の2、補助上限額は最大1億円です(補助枠、従業員数によって異なります)
【引用】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)1.0版|ものづくり補助金事務局
-
省力化投資補助枠(カタログ型)
汎用的なロボットやシステムをカタログから選ぶ方式の補助金として新設予定です。補助率は2分の1、補助上限額は200万円から1,500万円です。(従業員数により異なります)
【引用】令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)(2023年11月)|経済産業省
賃上げ額の最大45%が税額控除『賃上げ促進税制』(令和6年度税制改正)
賃上げ促進税制とは、賃上げをおこなった企業を対象として、給与等支給額の増加額の最大45%が税額控除される制度です。2024年4月1日以降の開始する事業年度から対象となります。
【引用】賃上げに取り組む経営者の皆様へ|中小企業庁
パートタイムは扶養の範囲を超えても働いてもらえる制度を活用
人手不足対策として、パートタイムなどの短時間勤務の従業員により長い時間勤務してもらう方法があります。
扶養の範囲内で働くように勤務時間を調整している短時間従業員については、『年収の壁・支援強化パッケージ』の活用が検討可能です。
-
年収106万円の超えることで負担が発生する社会保険料を支援する企業への助成金
従業員1名あたり最大50万円が支給されます。 -
年収130万円を超えても扶養から外れないようにする
事業主の証明による被扶養者認定の円滑化により、最大2年間、年収130万円を超えても扶養に入ったままとすることができます。
【引用】「年収の壁・支援強化パッケージ」リーフレット|厚生労働省
まとめ
日銀が発表した展望レポートによると、2024年の物価上昇率は2.4%、2025年も1.8%とインフレが続く予測です。中小企業は物価高、人件費の上昇、そして人手不足に対応していくことが生き残りの条件といえます。
物価高に負けない企業体質への変革のお悩みはエフアンドエムがサポートします。
エフアンドエムは中小企業のバックオフィスのサポートに特化したサブスクサービス『F&M Club』を提供しており、累計38,000社が利用しています。
また国内トップクラスの補助金申請件数、採択件数の実績がある補助金・助成金の申請サポートも行っています。
人材採用から資金繰りの改善、補助金申請のサポートなど、経営者のさまざまな内部課題の解決をトータルでサポートするエフアンドエムへ、お気軽にご相談ください。