賃上げ格差が拡大!賃金格差に負けない中小企業の採用戦略とは
2024年の春闘における平均賃上げ率は5.17%(連合第5回回答集計)でした。企業規模別にみると大企業は平均5.22%、中小企業では平均4.66%となっており、中小企業の人手不足に拍車がかかると予測されています。
本記事では、賃上げ格差とそれに負けない中小企業の人材採用方法について解説します。
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賃上げ格差とは
「賃上げ格差」とは、賃金引き上げ幅の違いにより賃金格差が生じる(広がる)ことを指し、賃上げ格差により、大企業と中小企業との間で給料水準が異なる「賃金格差」が拡大することとなります。
2023年の大企業と中小企業における賃金格差は、大企業100に対して中企業90、小企業85の割合であると厚生労働省が発表しています。
平均賃金額でみると、大企業が34万6,000円、中企業は31万1,400円、小企業は29万4,000円となっており、月5万2,000円の賃金格差があります。
2024年の春闘の平均賃上げ率をみると、大企業の平均5.22%に対して、中小企業は平均4.66%(いずれも連合第5回回答集計結果より)となっており、企業規模による賃金格差がさらに拡大することみられています。
【引用】2023年賃金構造基本統計調査結果 企業規模別|厚生労働省
【引用】2024春闘 第5回回答集計結果について|連合
2024年春の賃上げは大手企業・中小企業の格差がはっきり
国の調査においても2024年の賃上げは大企業が多く、中小企業における賃上げとの格差が広がっていることが明らかとなっています。
【引用】地域企業における賃上げ等の動向について(2024年5月17日)|財務省
大企業の53.8%が5%以上の賃上げ
財務省の調査によると、大企業のうち53.8%が5%以上の賃上げ(ベアと定期昇給の合計)を実施しています。
【引用】地域企業における賃上げ等の動向について(2024年5月17日)|財務省より作成
中小企業における5%以上の賃上げは24.4%にとどまる
中堅・中小企業においては5%以上の賃上げ(ベアと定期昇給の合計)を実施した企業の割合は24.4%にとどまっています。
賃上げが難しい理由として、業績の低迷(63.2%)、価格転嫁が追い付いていない(26.3%)などが上げられています。
【引用】地域企業における賃上げ等の動向について(2024年5月17日)|財務省より作成
大手企業と中小企業の賃金格差は23年間で3倍に拡大
大手企業と中小企業との賃金格差が拡大しています。
商業別労働組合JAMの調べによると、2000年から2023年にかけて、賃金格差が最大3倍に拡大しました。高卒後すぐに入社した30歳の場合、2023年における賃金格差は2万9,184円となり、2000年の9,307円から3.1倍に拡大しています。
【参考】中小、大手との賃金差額が3倍に 春闘、13日が集中回答日|高知新聞
賃金格差で中小企業の人手不足が加速する!?
財務省の特別調査によると「賃上げで一定以上の人材を確保できた」企業は42.8%であり、賃上げをしても人材を確保できていない企業のうち、33.8%は「賃上げが十分ではなかったため」と回答しています。
人手不足が深刻化する中、賃上げ幅によって採用に差が出ており、人材確保がすすんでいない中小企業の事業継続が難しくなると予測されています。
【引用】地域企業における賃上げ等の動向について(2024年5月17日)|財務省より作成
賃金水準を乗り越える中小企業の採用強化策
賃金格差による採用難を乗り越えるためには、価格転嫁や生産性向上によって賃上げすると同時に、人材募集に人が集まる「採用力」の向上が必要です。
中小企業が賃金水準以外の条件により、採用を強化する主な方法は次のとおりです。
ハローワークの活用は求人票がポイント
中小企業における定番の採用方法のひとつがハローワークの活用です。年間約459万人が利用し、約123万人が就職する大規模な求人・求職者紹介所です。
求人掲載料金なども無料で活用できるため、中小企業にとっては人材採用の強い味方となります。
ハローワークを活用した求人のカギである「求人票」を見直すことで、応募が急増する可能性があります。求人票の見直しは、未経験者がわかりやすい表現などのテクニックが必要となるため、専門家からアドバイスを受けることが効果的です。
ホームページ、SNSなどでミスマッチをなくす
入社後すぐに退職してしまう「早期退職」の解決も重要です。早期退職の主な原因は「入社後ギャップ」であるといわれています。入社後ギャップとは、採用時のイメージと入社後の実態が異なることです。
入社後ギャップを減らすためには、採用前に仕事の内容や社内の雰囲気を、応募者(求職者)がイメージしやすくなる取り組みが有効です。例えば、自社のホームページに採用ページを設置して詳細を説明する、SNSで仕事・作業内容、職場の雰囲気を配信するなどです。
福利厚生の見直し
若い世代は勤務地や仕事内容と同じくらい、福利厚生を重視しています。
福利厚生面で希望が多い内容は次のとおりであり、下記にあわせて、週休3日制度や誕生日休暇などを導入する企業も増えています。
- 休暇制度(特別休暇、リフレッシュ休暇など)
- 諸手当(住宅手当、子ども手当、食事手当など)
人事考課・研修制度の整備
採用時に募集を増やすためには、若い世代は自身がスキルアップできる職場を求めていることが多いため、入社後の育成についてのアピールが必要です。採用から育成まで、従業員にあわせた育成の取り組み例は次のとおりです。
- 就業規則の整備
- 新人育成カリキュラムの整備
- 社内外におけるスキルアップ研修の導入
- 先輩従業員など、周囲の従業員との定期面談の実施
補助金・助成金を活用し働きやすい職場を整備する
人手不足により従業員が常に繁忙な企業は従業員の定着率が低くなり、採用においても不利となります。
人手不足を解消する前向きな投資は、従業員の定着率の改善とともに、人が集まる企業となることにつながるため、積極的に活用しましょう。
【補助金・助成金の受給により企業が成長する理由】
① 補助金や助成金の活用で人手不足を解消する投資ができる
② 補助金の受給によって投資することで従業員の負荷が軽くなり、離職が減る
③ 補助金を受給することで、前向きな企業としてのイメージアップが可能
④ 助成金を使って従業員をスキルアップさせることで、定着率が向上する
⑤ 助成金を受給しているホワイトな企業として、社会的な印象が良くなる
⑥ 人が辞めにくい企業として信用が高まり、より良い人材を獲得しやすくなる
補助金や助成金は種類が多く、頻繁に制度が改正されます。自社に合う制度を探すだけでも負担が大きいため、F&M Clubの「公的支援無料検索サービス」など、補助金・助成金情報について簡単に検索可能なツールの利用が効率的です。
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