
労働時間規制緩和とは?中小企業における対策を解説
労働時間規制の緩和とは、労働時間の法的な上限や規制などを見直し、より柔軟な働き方ができるようにすることです。
本記事では、労働時間規制緩和の検討状況とその賛否、2026年の労務管理の改正点、中小企業が備えておきたい対策について解説します。
労働時間規制緩和とは
労働時間規制の緩和とは、法律などによる労働時間の制限を見直すことです。高市首相が『心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討』を上野厚生労働大臣に対して指示したことで、注目を集めています。
単に労働時間の上限を引き上げることではなく、デジタル化や副業の解禁、フレックス勤務の推進など、働き方を多面的に検討する予定であるといわれています。
現行の労働時間規制と今回の議論の方向性、議論の背景は以下のとおりです。
現行の労働時間規制|原則1日8時間・週40時間
現行の労働時間規制は労働基準法が中心です。労働基準法における所定労働時間は1日8時間・週40時間以内、所定外労働時間(残業時間)の上限は月45時間・年360時間とされています。
労働時間規制緩和の内容|副業解禁、年収の壁などとともに議論の予定
議論が予定されている労働時間規制の緩和とは、単なる長時間労働の容認でなく、フレックス勤務、デジタル化や副業解禁、そして年収の壁における対応などを含めて検討されるといわれています。
労働時間規制緩和が動き始めた理由|2024年問題、人手不足対策など
労働時間規制緩和が検討される主な理由は以下のとおりです。
2024年問題など人手不足の緩和
「働きたい意欲」など柔軟な働き方の選択
労働者の年収増加
労働時間規制緩和はいつから|今後、検討がなされる予定
現時点において、労働時間規制緩和の時期は未定です。2025年12月24日におこなわれた厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会においても議論がなされ、今後も継続的に検討される予定です。
【参考】労働時間法制の具体的課題について(2025年12月24日)|厚生労働省
労働時間規制緩和に賛成?反対?メリットと中小企業の課題とは
労働時間規制緩和に対しては賛成意見と反対意見が出ています。中小企業における主なメリットと課題は以下のとおりです。
労働時間規制が緩和される場合のメリット|人手不足の緩和など
人手不足の緩和があげられます。希望する従業員は、より長時間働くことができるためです。
労働時間規制が緩和される場合の課題|労務管理の複雑化など
企業における労務管理が複雑化する可能性があります。長時間労働による健康被害を防止する措置を講じる、多様な働き方を管理するなどです。
2026年の労働基準法改正は見送り予定、ほかの施策は施行相次ぐ
上記の労働時間規制緩和に先行し、労働基準法の大幅改正が議論されていましたが、2026年通常国会への法案提出は見送り予定であると報道されています。
検討されていた労働基準法改正案の内容と、2026年から施行される主な労働関係施策の改正は以下のとおりです。
労働基準法の改正(案)7つ
今回国会提出が見送りとなったといわれている、労働基準法の主な改正案の内容は以下の7つです。
14日間以上の連続勤務の禁止
勤務間インターバル制度の義務づけ
法定休日の明確化
有給休暇取得時における通常賃金計算方式への統一化
副業がある従業員の割増賃金通算管理の廃止
休日などにおける従業員への連絡禁止「つながらない権利」ガイドラインの策定
法定労働時間週44時間の特例廃止
労働基準法改正以外の人事労務の改正が続く
労働基準法の改正だけでなく、2026年は労務管理に関する法改正の施行が続きます。主な施行予定は以下のとおりです。
- (2026年4月1日から)フリーランスへの委託時を労災防止対策の対象へ拡大
- (2026年4月1日から)従業員数101名以上の企業における男女間賃金差異や女性管理職比率の公表
- (2026年7月1日から)障がい者雇用率の引き上げ
- (2028年5月までに施行)従業員50名未満の事業所におけるストレスチェックの義務化
【参考】労働安全衛生法および作業環境測定法改正の主なポイントについて|厚生労働省
【参考】障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について|厚生労働省
【参考】労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について(報告)|厚生労働省
労働時間規制緩和に備える中小企業の対策とは
労働時間規制が緩和されると、企業がおこなう労務管理が複雑となる可能性があります。また近年相次いで改正された労働関係法令における対応も必要です。
中小企業がおこなっておきたい主な対策は以下のとおりです。
基本的な労務管理体制の整備|就業規則・労務管理規程の見直し
就業規則の整備など従業員が安心して働くことができる環境整備があげられます。
就業規則を最新の法改正にあわせて見直す、通勤手当の非課税限度額の引き上げ(2026年4月開始)にあわせてマイカー通勤規定を改正するなどです。
多様な働き方に対応する労務管理体制の整備|フレックス勤務、副業など
多様な働き方とそれに合わせた労務管理体制の導入があげられます。フレックス勤務の導入、副業の解禁などです。
厚生労働省の資料によると、フレックスタイム制を導入している企業の割合は7.2%となっており、一層の浸透を図るために制度の見直しなどをすすめるとされています。
バックオフィス業務のデジタル化|助成金や補助金の活用
総務、人事、給与計算などの業務をデジタル化することがあげられます。
バックオフィス業務の生産性を向上させるための投資については、助成金や補助金の活用、少額減価償却資産の即時償却など税制優遇制度の活用を検討できます。
【参考】労働時間法制の具体的課題について(2025年11月18日)|厚生労働省
労働時間規制緩和に関するよくある質問(FAQ)
労働時間規制緩和に関して、よくある質問とその回答は以下のとおりです。
Q1:労働時間規制の緩和が検討され始めた理由は何ですか?
A.はい、主な理由として「人手不足」「労働者の年収増加」などがあげられます。
Q2:労働時間の上限規制を守らないと罰則がありますか?
A.はい、労働基準法に定める労働時間を超えて働かせた場合、企業に対して罰則が科せられる可能性があります。また企業名が公表されることがあり、新規採用が難しくなる、取引先や金融機関からの信用が低下するなどの影響があります。
Q3:労働時間規制の緩和に若者が賛成といわれている理由は何ですか?
A.はい、主な理由は収入の増加です。厚生労働省が発表した資料によると、残業時間を増やしたい理由のトップが「残業代を増やしたいから」(67.5%)となっています。また従業員においても成長したいというニーズがあるとされています。
【参考】労働時間法制の具体的課題について(2025年12月24日)|厚生労働省
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高市首相が心身の健康維持と従業者の選択を前提に労働時間規制緩和の検討を指示したことをきっかけとして、労働時間規制を緩和する議論がすすむとみられています。
方向性として、フレックスタイム制度の見直しなど柔軟な働き方の浸透を含めた議論となるといわれています。
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