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労働基準法が2026年に大改正予定!主な内容と中小企業における対策

労働基準法が大幅に改正される予定です。厚生労働省が発表した資料によると、「14日間以上連続勤務の禁止」「勤務間インターバル制度の義務化」などが盛り込まれています。

中小企業においても、人材不足の加速、管理コストの増加など影響があると予測されています。

本記事では、労働基準法大改正の内容、中小企業に与える影響とその対策について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.2026年労働基準法の主な改正予定とは
    1. 1.1.14日間以上連続勤務の禁止
    2. 1.2.法定休日の明確化
    3. 1.3.勤務間インターバル制度の義務化
    4. 1.4.年次有給休暇中の賃金計算「通常賃金計算方式」の原則化
    5. 1.5.副業がある従業員に関する割増賃金通算管理の廃止
    6. 1.6.「つながらない権利」ガイドラインの策定
    7. 1.7.法定労働時間「週44時間」の特例の廃止
  2. 2.労働基準法の2026年改正はいつから?
  3. 3.労働基準法改正の影響は?中小企業がおこなうべき7つの対応
    1. 3.1.人材採用の強化
    2. 3.2.生産性の向上
    3. 3.3.就業規則・雇用契約書・服務規程などの見直し
    4. 3.4.法定休日の明確化
    5. 3.5.年間カレンダー・勤務シフトの見直し
    6. 3.6.勤怠管理システム・給与計算システムの見直し
    7. 3.7.従業員に対する説明・管理者に対する教育
  4. 4.労働基準法改正に関するよくある質問(FAQ)
    1. 4.1.Q1:就業規則が古いままだと助成金が使えないのですか?
    2. 4.2.Q2:労働基準法に違反すると罰則がありますか?
    3. 4.3.Q3:賃上げが対象となる助成金や補助金、税制優遇制度はありますか?
  5. 5.就業規則や社内規定の見直し・人材採用育成はF&M Clubがサポート
  6. 6.まとめ

2026年労働基準法の主な改正予定とは

労働基準法が約40年ぶりに大幅改正される予定です。厚生労働省の研究会において改正内容が検討されており、今後、詳細な議論を経て、早ければ2026年に法改正へ移行する可能性があるといわれています。

現時点で検討されている主な改正内容は以下のとおりです。

14日間以上連続勤務の禁止

労基法改正予定

22休(2週間のうち休日2日間)

現行

44休(4週間のうち休日4日間)

14日間以上連続する勤務が禁止となります。具体的には、現行法上の特例である「44休」(4週間のうち休日4日間)を「22休」(2週間のうち休日2日間)とする予定です。

現行法においては、勤務期間の最初または最後に4日間の休日を設けることで、連続24日間(休日4日間+勤務24日間)の勤務が可能であるためです。

法定休日の明確化

労基法改正予定

法定休日の明確化を義務づけ

現行

法定休日を明確とする義務なし

法定休日を明確とすることが企業に義務づけられます。

具体的には、就業規則などにおいて「法定休日は毎週日曜日とする」などの明確化が求められる予定です。

現行法においては、法定休日を明確とする義務はありません。

しかし法定休日・法定外休日が不明確である場合、割増賃金に関する労務トラブルが発生する可能性があります。

法定休日に勤務した場合の割増賃金率は35%以上、法定外休日で週40時間を超える部分については25%以上です。休日の種類によって割増賃金が異なるため、賃金トラブルの原因となることがあります。

勤務間インターバル制度の義務化

労基法改正予定

勤務間インターバル(原則11時間以上)を義務づけ

現行

努力義務

「勤務間インターバル制度」が企業に義務づけられます。

具体的には、勤務終了から次の勤務開始までの休息(インターバル)時間を原則11時間以上設ける、確保できない場合は始業時間の繰り下げや代償休暇など代替措置をとることが義務化される予定です。

現行法においては、「勤務間インターバル制度」は努力義務とされ、2024年における本制度の導入率は5.7%にとどまっているためです。

【参考】令和6年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

年次有給休暇中の賃金計算「通常賃金計算方式」の原則化

労基法改正予定

原則、通常賃金計算方式

現行

以下3つのいずれかにより計算

「通常賃金計算方式」

「平均賃金方式」

「標準報酬日額方式」

年次有給休暇期間における従業員の賃金計算方式について、「通常賃金計算方式」が原則となる予定です。

現行法においては、「平均賃金方式」または「標準報酬日額方式」を採用している場合、日給や時給で勤務する従業員は休暇取得により平均賃金が低下し、収入が減少する可能性があるためです。

副業がある従業員に関する割増賃金通算管理の廃止

労基法改正予定

  • 割増賃金の支払いに関する労働時間を通算しない
  • 健康管理に関する労働時間は通算して管理

現行

  • 割増賃金の支払いに関する労働時間は通算して管理
  • 健康管理に関する労働時間は通算して管理

副業・兼業がある従業員について、本業と副業・兼業の割増賃金の支払いに関する労働時間を通算しないこととなります。ただし労働時間の通算管理は継続されます。

現行法においては、割増賃金に関する労働時間の通算管理が複雑であり、企業における負担となっているためです。

「つながらない権利」ガイドラインの策定

労基法改正予定

「つながらない権利」ガイドラインの策定

現行

ガイドラインなどなし

「つながらない権利」とは、勤務時間外における企業からの連絡に対して、従業員が対応しない権利のことです。

今後、勤務時間外に企業から従業員へ連絡をとる場合の基準が、ガイドラインとして定められる予定です。ただし顧客対応など緊急性がある連絡は除きます。

法定労働時間「週44時間」の特例の廃止

労基法改正予定

廃止

現行

特定業種かつ従業員数10名未満の事業場について、法定労働時間を18時間・週44時間へ延長可能

法定労働時間を「1日8時間・週44時間」とする特例が廃止されます。

現行法においては、特例の対象となる事業場の87.2%が利用していないためです。

【参考】労働基準関係法制研究会参考資料(2025121日)|厚生労働省

労働基準法の2026年改正はいつから?

労働基準法の2026年改正はいつから?

労働基準法の大幅改正は、現時点では未決定です。厚生労働省の労働基準関係法制研究会から検討案が示されており、今後、具体的な数値や基準についての議論を踏まえて、法改正を経て施行されます。

研究会の検討案は20251月に発表されており、早ければ2026年に改正される可能性があるといわれています。

労働基準法改正の影響は?中小企業がおこなうべき7つの対応

労働基準法改正の影響は?中小企業がおこなうべき7つの対応

労働基準法改正は中小企業にさまざまな影響をおよぼすと予測されています。主な影響として「人手不足の深刻化」「管理コストの増加」「就業規則などの見直し」があげられます。

本改正において中小企業がおこなうべき対応は以下の7つです。

人材採用の強化

人材を自社に惹きつける「採用力」の強化があげられます。

勤務間インターバル制度の導入、法定労働時間週44時間の特例廃止などにより、長時間労働によって人手不足をカバーすることが難しくなるためです。

中小企業がおこなう採用取り組みの主な例は以下のとおりです。

  • 求人票の見直し
  • 独自の休暇制度や福利厚生制度の導入
  • SNSの活用
  • 自社が求める人材が利用する求人媒体の利用

生産性の向上

全社的な生産性の向上があげられます。生産性の向上は、生産現場だけでなく、総務などバックオフィス部署においても取り組むことがおすすめです。

労働基準法の改正により、労務管理の事務が複雑化する、週40時間超の勤務がすべて時間外労働となり人件費コストが上昇するためです。

主な取り組み例は以下のとおりです。

  • 多能工化
  • 生産工程の省力化・省人化投資
  • 勤怠管理などの省力化
  • 会議や面談のオンライン化
  • IT化による効率的な情報共有

就業規則・雇用契約書・服務規程などの見直し

法改正にあわせた就業規則・雇用契約・服務規程などの見直しがあげられます。

就業規則などは最新の労働基準法に対応することが必要となるためです。

特に、就業規則の「賃金」「休日」などに関する取り決めは大切です。これらが曖昧な場合、労働トラブルの原因となる可能性があります。また、慎重に規程を整えていない場合、思わぬトラブルが経営リスクとなる可能性があります。

少しでも不安がある場合は、詳しい専門家へ相談することがおすすめです。

法定休日の明確化

自社の業務を考慮して、「法定休日は毎週日曜日とする」など明確化が必要です。

法改正における対応だけでなく、労務トラブルの防止を期待できるためです。

年間カレンダー・勤務シフトの見直し

営業日(営業日数)や勤務シフトの見直しがあげられます。

22休や勤務間インターバル時間が確保できる勤務体制とすることが求められるためです。

2026年の営業カレンダーを取引先へ連絡している場合、取引先へ見直しを知らせる必要がある可能性があります。

勤怠管理システム・給与計算システムの見直し

勤怠システムや給与計算システムの改修があげられます。

労働基準法改正により、勤務間インターバル時間を日々確認するなど、以下のような業務が発生または複雑化し、従来の手作業やエクセルによる対応が難しくなる可能性があるためです。

  • 勤務間インターバル時間の日々確認
  • 連続勤務日数が13日以内となるシフト作成
  • 法定休日の勤務と法定外休日の勤務との正確な区別、割増賃金の正確な計算
  • 40時間を超えない時間外労働時間の管理
  • 副業がある従業員についての労働時間の管理

従業員に対する説明・管理者に対する教育

従業員への周知と管理職に対する教育があげられます。

就業規則の改正や新しい社内ルールの導入については、従業員への周知が必要です。また「つながらない権利」など新しい考え方について、管理者を対象とする教育が必要となるためです。 

労働基準法改正に関するよくある質問(FAQ)

労働基準法やその改正に関して、よくある質問とその回答は以下のとおりです。

Q1:就業規則が古いままだと助成金が使えないのですか?

A.はい、就業規則を見直ししていない企業は、雇用関係の助成金を利用できない可能性があります。最新の労働関係法令に合致していない企業であると判断されるためです。

Q2:労働基準法に違反すると罰則がありますか?

A.はい、労働基準法に違反した企業に対する罰則があります。罰則の内容は違反内容により異なります。

また労働基準法に違反した企業は、企業名などが公開されることがあり、社会的な信用を失う可能性があります。

Q3:賃上げが対象となる助成金や補助金、税制優遇制度はありますか?

A.はい、賃上げをおこなう中小企業を対象とする助成金など公的支援策があります。主な公的支援策は以下のとおりです。

  • 業務改善助成金
  • 中小企業省力化投資補助金(一般型)
  • 賃上げ促進税制

【参考】業務改善助成金|厚生労働省

【参考】中小企業省力化投資補助金(一般型)|中小企業基盤整備機構

【参考】中小企業向け「賃上げ促進税制」|中小企業庁

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まとめ

労働基準法が大幅に改正される予定です。主な改正内容は、「14日間以上連続勤務の禁止」「勤務間インターバルの義務化」「法定労働時間週44時間の特例の廃止」などです。

本改正により、中小企業は人材不足の加速、労務管理の複雑化と管理コストの増加などの影響が出る可能性があります。

労働基準法の改正に備えて、就業規則の整備、勤怠管理の見直し、従業員や管理職に対する教育などをおこなうことで、人材採用の促進・従業員定着率の向上・自社の経営安定化を図りつつ、法改正における準備とすることが可能です。

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