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中小企業はどう昇給すべき?ベースアップとの違いや昇給制度を解説

働き方改革などの追い風もあり、労働環境の改善が世の中で求められています。中小企業もこの影響を受け、昇給に迫られるケースが増えている状況です。ただ、中小企業では昇給や昇給制度について確立されていないこともあるため、今回は概要から制度の確立までを解説します。



目次[非表示]

  1. 1.中小企業における昇給とは
    1. 1.1.昇給の定義
    2. 1.2.中小企業での昇給状況
    3. 1.3.ベースアップとの違い
  2. 2. ‌中小企業で昇給が必要とされる背景
    1. 2.1.人材の確保・引き止め
    2. 2.2.業績の回復
    3. 2.3.他社への追従
  3. 3.中小企業で昇給制度に反映したい3つの軸
    1. 3.1.‌スキルアップの度合いを踏まえる
    2. 3.2.市場の変化に対応する
    3. 3.3.働き方の多様性に対応する
  4. 4.中小企業で昇給制度を確立する際のポイント
    1. 4.1.基準を明確にする
    2. 4.2.会社の方針と合致させる
    3. 4.3.必要に応じて制度を改める
  5. 5.中小企業の昇給ならばF&Mへ‌
  6. 6.まとめ

中小企業における昇給とは

最初に、中小企業における昇給とはどのような行為を指すのか改めて解説します。


昇給の定義

昇給は給与が上がること全般を指します。給与が上がるタイミングはさまざまですが、日本では勤続年数に応じて毎年安定して給与が上がる「定期昇給」が主流です。また、昇格や昇進にあわせて昇給することもあります。
なお、定期昇給は労働の質と直結しない昇給であるため、職務遂行能力を重視した昇給制度が普及しつつある状況です。特に欧米ではこのような昇給が中心となり、日本とは昇給の意味合いが異なってきています。


中小企業での昇給状況

株式会社エフアンドエムが運営する中小企業総合研究所のレポートを参考にすると、2023年は中小企業の76%で昇給が予定されています。集計する年によって変化はありますが、中小企業でも積極的に昇給されている状況です。「中小企業での昇給は難しい」と考えている人もいるかもしれませんが、まずは世の中の傾向を把握しておきましょう。
【参考】中小総研レポート


ベースアップとの違い

昇給とベースアップは、どちらも社員の給与を上げるための手段です。しかし、以下のとおり目的やタイミング、効果が異なるため、企業の状況に応じて適切なものを選択する必要があります。

項目

昇給

ベースアップ
定義

勤続年数や仕事の成果など
社員毎に異なった割合で
給与が上がること

企業全体の基本給を
一律に上げること

タイミング

年に1回など
一定のタイミングで昇給する

景気動向や人手不足などの
状況に応じて実施される

対象

一部の社員
(制度内容によっては全社員)

全社員

効果

社員のモチベーション向上や
人材の定着

人手不足の解消や
企業の競争力強化


 
‌中小企業で昇給が必要とされる背景



中小企業で昇給が必要とされる背景はさまざまですが、今回は3つに絞って解説します。


人材の確保・引き止め

新しい人材の確保や既存の人材を引き止めるために昇給が必要です。中小企業においても、給料は人材の確保へ大きな影響を与えます。適切な昇給制度がなければ、思うように人材を確保できないでしょう

業績の回復

業績の回復に伴って、昇給させることが考えられます。一時期は悪化していた業績が改善したならば、従業員の賃金へと反映させた方が良いでしょう。
昇給がなければ「業績が賃金に反映されない会社」との認識を持たれてしまいます。これでは従業員のモチベーションが下がり、最悪の場合は離職してしまうでしょう。従業員の活躍に感謝する意味でも、昇給にて還元することが理想的です。


他社への追従

同業他社に追従するために、昇給せざるを得ないこともあります。明らかに賃金が低い状況では、従業員を受け止めることが難しくなり、他社に流出するでしょう会社そのものの維持が難しくなるかもしれません
事業内容にはよりますが、最低限、同業他社と給与水準は揃えるべきです。金銭的に見劣りする部分があると、新しい人材の確保も難しくなってしまいます。


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中小企業で昇給制度に反映したい3つの軸


中小企業でも昇給制度を定め運用すべきです。この時には、以下のとおり3つの観点を軸にしてみましょう。


‌スキルアップの度合いを踏まえる

現在は、スキルに応じた賃金制度が求められています。そのため、スキルアップの度合いを踏まえて、昇給する制度を採用しましょう。会社に貢献するために、スキルアップした従業員に対しては、大幅な昇給を提示します。
日本の昇給制度は、このようなスキルアップが反映されないケースが大半です。これでは従業員の質が上がらないため、スキルを積極的に評価するようにしましょう


市場の変化に対応する

市場の変化に対応できるようにしておくことも重要です。例えば、事業の拡大に伴い市場が大きくなったならば、その段階で昇給させるようにします。
これから伸び盛りの状態においては、多くの人材が求められるはずです。事前に昇給しておかなければ、貴重な人材が他の中小企業へ流出する可能性があります。先行して昇給させることで、人材の安定した確保が可能です。


働き方の多様性に対応する

働き方改革に伴い、働き方の多様性が求められるようになりました。これを考慮した昇給制度がこれからは重要です。
例えば、時短勤務制度を導入するならば、通常勤務の従業員とは異なった制度が求められます。勤務時間も会社への貢献度合いも異なるため、適切な基準で評価しなければなりません。働き方を踏まえ、すべての従業員が、公平な基準で昇給できることが求められます

中小企業で昇給制度を確立する際のポイント

中小企業で昇給制度を導入しても、失敗に終わるケースが見受けられます。これを防ぐために、以下のポイントを意識してください。


基準を明確にする

昇給にあたっての評価基準を、明確にしておくことが重要です。評価基準が曖昧であると、従業員の間で不公平感が生じ、モチベーションの低下につながります
評価基準は、可能な限り定量的・定性的な事項を設けるようにしましょう。評価者の裁量に左右される部分が多いと、昇給制度が失敗に終わる可能性が高まります。例えば、営業成績に応じて一定額昇給したり、独自に算出した会社への貢献度合いによって昇給させたりします。


会社の方針と合致させる

基本的に会社の方針と合致する昇給制度が求められます。不一致があると、従業員が不満を抱く原因となりかねません。
例えば、会社としては残業を減らす方針であるにもかかわらず、積極的に残業する従業員が昇給すると不満を抱くでしょう。会社の方針に合致している従業員は、残業していない側であるため、本来はこちらが昇給すべきです。
これは一例ですが、全社的な方針と昇給制度や実際に昇給する人が一致しなければなりません。従業員のモチベーションを高めるためにも、統一感を意識しましょう。


必要に応じて制度を改める

中小企業では、一度制定された昇給制度が、そのまま運用されるケースが見受けられます。これで差し支えないこともありますが、必要に応じて制度を改めることも重要です。
例えば、今までの昇給制度が勤務年数に基づくものであれば、スキルに基づくものへ変更しても良いでしょう。時代の変化とともに、昇給制度のあるべき姿も変化するため、これを反映させるようにします。
ただ、中小企業で昇給制度を改めると、長く働く従業員から不満が出るかもしれません。結果として悪影響を及ぼすだけのこともあるため、慎重に検討することが重要です。


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まとめ

中小企業でも、昇給制度を導入しているところが多くあり、多少なりとも定期的に昇給しています。現時点で、昇給制度が存在しないならば、まずは導入から検討した方が良いでしょう。
ただ、昇給制度はとにかく導入すればよいわけではなく、導入にあたっての軸やポイントがあります。これらを考慮して、従業員を適切に評価できる制度を確立することが重要です。
とはいえ、昇給制度をゼロから考え、確立することは難しいと考えるかもしれません。もし、従業員の状況についてお悩みであれば、ぜひお問い合わせください。


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