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相互関税とは?関税との違い・仕組み・トランプ関税をわかりやすく解説

「トランプ関税」と呼ばれるアメリカの新しい関税措置に世界中が注目しています。トランプ関税では、日本からアメリカへの輸出品に24%の追加課税がかかる可能性があり、日本からの輸出の減速、日本における企業倒産の増加などが危惧されています。
本記事は、相互関税や関税の仕組み、トランプ関税の概要と中小企業における対策について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.相互関税とは 
  2. 2.関税とは?相互関税・関税・消費税はどう違う?
    1. 2.1.関税の仕組み
    2. 2.2.関税は何のためか
    3. 2.3.関税は誰が払うか
    4. 2.4.相互関税と関税との違い
    5. 2.5.関税と消費税(VAT税)の違い
  3. 3.相互関税とトランプ関税の違い
    1. 3.1.トランプ関税とは
    2. 3.2.トランプ関税は複雑
    3. 3.3.トランプ関税(相互関税)の理由のひとつ「非関税障壁」とは
    4. 3.4.日本製の「緑茶」「おもちゃ」「日本酒」も相互関税がかかる?
    5. 3.5.トランプ関税(相互関税)が及ぼす世界と日本への影響
    6. 3.6.トランプ関税は日本の「自動車・自動車部品」「機械」など幅広い企業へ影響
    7. 3.7.特に影響が危惧される「相互関税・ベースライン関税」と「対中国関税」
    8. 3.8.相互関税で日本の企業倒産は4.4%増との試算
  4. 4.自社の経営改善に向けた取り組みがトランプ関税対策となります
    1. 4.1.トランプ関税対策は主に「価格転嫁」「コスト削減」「販路開拓」
    2. 4.2.コストダウン・生産性向上投資は補助金・助成金を活用
    3. 4.3.経済産業省のトランプ関税対策を活用
    4. 4.4.「トランプ関税」対策融資の利用
  5. 5.エフアンドエムは中小企業の公的支援策のフル活用をサポート
  6. 6.公的支援策の活用はF&M Clubがサポート

相互関税とは 

相互関税とは、輸入する国と輸出する国との関係において、関税負担が対等となる水準の関税を設けることです。
第2次トランプ政権は、多数の国と地域を対象として相互関税をかけると発表し、世界中が今後の動きに注目しています。

一般的な相互関税をわかりやすく説明すると次のとおりです。

  • A国がB国へ輸出するとき、B国においてA国製品に関税25%がかかる
  • A国がB国製品を輸入するとき、A国においてB国製品に関税5%がかかる
  • A国がB国から輸入するときの関税率が低いため、B国からの輸入が増えるなどA国の産業が不利となる可能性がある
  • A国がB国製品を輸入するときの関税を引き上げ、B国がA国製品にかけている関税率と同じ水準とする

関税とは?相互関税・関税・消費税はどう違う?

関税とは、輸入品を対象とする税のことです。自国が外国から輸入する商品の価格や量に応じて、輸入した企業が輸入した国へ納めます。
日本の関税法における関税の納税義務者は輸入者、原則として仕入書(インボイス)または船荷証券に記載されている荷受人となります。

関税の仕組み

関税は、外国から商品を輸入した買い手側である企業が、輸入したときに輸入国の政府へ支払います。日本の企業がアメリカから輸入するときは、日本の企業が日本国政府へ関税を納付します。関税の仕組みを個人輸入の場合でみると次のとおりです。

【引用】個人輸入通関手続き|財務省関税局


関税は何のためか

関税の主な目的は「税収」「自国の産業保護」の2つです。

  • 税収
    関税は、輸入品の量や金額に応じて決まります。輸入する量や金額が増えると関税が増え、輸入 した自国へ納付される税金が増えます。

  • 自国の産業保護
    関税が高いほど輸入品のコストが上昇します。消費者が価格の高い輸入品よりも価格が安い自国の商品を選ぶことが増え、国内の産業を守ることができます。


関税は誰が払うか

関税を支払う義務がある人は、外国から商品を輸入した企業となることが一般的です。
ただし取引当事者間の交渉によって、インコタームズのDDP規則(Delivered Duty Paid :関税込み持ち込み渡し条件)を用いると、売り手である輸出側企業が関税や輸入通関費用などを負担することもあります。
例として、日本から輸入した商品を対象とするアメリカの関税は、買い手であるアメリカの企業がアメリカ政府へ関税を納付することとなります。
従ってアメリカ政府が日本からの輸入に関する関税を引き上げると、アメリカ企業が納付する関税が増える(買い手であるアメリカ企業におけるコストが上昇する)こととなります。


相互関税と関税との違い

一般的な関税は、「輸入する品目」「輸入する相手国(輸出国)」など複数の条件を考慮して、各国政府が独自に決めており、相互関税は、自国と貿易相手国における関税の差に着目して決定することが多いです。


関税と消費税(VAT税)の違い

関税は「輸入する物」を対象とする税金であり、消費税は「国内における消費」を対象とする税金です。日本の消費税は、輸入品・国内産を問わず、サービス料金なども対象です。つまり、輸入品が日本国内で消費される場合は消費税がかかります。
また、日本における消費税と同様の間接税が、EU加盟国などで導入されており、「VAT(税)」と呼ばれています。


相互関税とトランプ関税の違い

アメリカのトランプ大統領は再任後、日本を含めすべての貿易相手国を対象とする相互関税を導入すると発表しました。いわゆる「トランプ関税」です。
この「トランプ関税」は一般的な相互関税と異なる観点を考慮しています。


トランプ関税とは

トランプ関税とは、第2次トランプ政権が発表した一連の関税措置のことです。
トランプ関税は「すべての国からの輸入に一律10%の関税を追加する」「多数の国と地域からの輸入についてさらに個別の追加関税を設ける」など、大きな見直しとなり、世界中が注目しています。


トランプ関税は複雑

トランプ関税は複雑であり、大きくまとめると次の4つの関税で構成されており、特に貿易相手国における関税や非関税障壁などを考慮する「相互関税」が注目されています。

  • 国別関税:カナダ、メキシコ、中国など特定の国からの輸入が対象
  • 品目別関税:鉄鋼・アルミニウム製品、自動車・自動車部品など特定品目の輸入が対象
  • ベースライン関税(一律関税):すべての国からの輸入が対象
  • 相互関税:貿易相手国における関税や非関税障壁、対抗措置などを考慮して決める



トランプ関税(相互関税)の理由のひとつ「非関税障壁」とは

「トランプ関税」における相互関税が一般的な相互関税と異なる点は、相手国の非関税障壁を幅広く考慮対象としていることです。
「非関税障壁」とは、輸入品を対象とする各国内の消費税、輸入品を対象とする検査基準や法令など、輸入品を対象とする関税以外の規制や輸入における障害などを指します。
トランプ関税においては、日本の消費税についてもアメリカ製品の輸入を妨げる一因であると考えられています。



日本製の「緑茶」「おもちゃ」「日本酒」も相互関税がかかる?

トランプ関税では、日本から輸出する「緑茶」「おもちゃ」「日本酒」などについても相互関税の対象となります。自動車などの工業製品だけでなく、”日本食“など日本国内の幅広い産業がトランプ関税の影響を受ける可能性があります。
例として、日本酒をアメリカへ輸出するときのトランプ関税は次のとおりです。

  • 従来:MFN(最恵国待遇)0%
  • 2025/4/5から:MFN0% + ベースライン関税10% = 関税10%
  • 2025/4/9から:MFN0% + 相互関税24% = 関税24%(90日間猶予中)

【参考】米国トランプ政権の関税政策の要旨 FAQ紹介(2025年4月18日)|日本貿易振興機構(ジェトロ)


トランプ関税(相互関税)が及ぼす世界と日本への影響

トランプ関税は世界各国に影響すると予測されています。日本の企業における主な影響は次のとおりです。 

  • アメリカ向け直接輸出・他国経由による輸出の減少
  • アメリカ経済のインフレ加速、個人消費の減速
  • 世界経済の低迷
  • 日本企業における設備投資の減少
  • 日本国内における個人消費の減少


トランプ関税は日本の「自動車・自動車部品」「機械」など幅広い企業へ影響

トランプ関税による影響が大きいと危惧されている業界は、アメリカ向け輸出が多い分野です。経済産業省がトランプ関税についてまとめた資料によると、自動車・自動車部品、建設機械、医療品などにおいて影響が危惧されています。

【引用】米国の日本からの輸入品目と追加関税賦課状況(2025年4月15日時点)|経済産業省


特に影響が危惧される「相互関税・ベースライン関税」と「対中国関税」

トランプ関税は複数の関税措置の組み合わせで構成されています。日本貿易振興機構(ジェトロ)がトランプ関税における影響を調査したアンケートによると、「相互関税・ベースライン関税」の影響がある(可能性がある)とする回答は82.5%に上り、「対中国関税」による影響がある(可能性がある)との回答も73.0%となっています。

【引用】米国トランプ政権の追加関税に関するクイック・アンケート調査結果(2025年4月22日)|日本貿易振興機構(ジェトロ)


相互関税で日本の企業倒産は4.4%増との試算

相互関税が続くこととなった場合、日本国内における企業倒産件数は4.4%増加する可能性があると試算されています。
帝国データバンクが2025年4月16日に発表した試算によると、相互関税24%が続く場合、日本国内における企業倒産件数は10,687件、相互関税適用前の予測より4.4%増加するとみられています。

想定シナリオ


実質GDP成長率
(従来予想比)


国内倒産件数
(従来予想比)

従来予想

1.2%

10,235件

相互関税10%が
90日経過後も継続

0.9%
(-0.3%ポイント)

10,489件
(102.5%)

相互関税24%が継続

0.7%
(-0.5%ポイント)

10,687件
(104.4%)

【引用】トランプ関税が日本経済に与える影響(2025年4月16日)|帝国データバンク


自社の経営改善に向けた取り組みがトランプ関税対策となります

トランプ関税は日本の中小企業においても影響が危惧されます。中小企業の経営者が検討しておきたいトランプ関税対策は主に次のとおりです。トランプ関税における対策としてだけでなく、自社の経営改善の取組みとしても検討すると良いでしょう。


トランプ関税対策は主に「価格転嫁」「コスト削減」「販路開拓」

トランプ関税対策として企業がおこなう対策として、主に次の3つがあげられます。

  • 販売相手への価格転嫁
  • コスト削減(関税増加分を自社で引き受けることを含む)
  • アメリカ以外の国への販路開拓

日本貿易振興機構(ジェトロ)がおこったトランプ関税対策のアンケートによると、「顧客への価格転嫁」(製造業43.9%、非製造業29.4%)が最も多く、「自社内でのコスト削減」(製造業32.4%、非製造業22.5%)、「アメリカ以外の国への販路開拓」(製造業25.5%、非製造業24.9%)となっています。

【引用】米国トランプ政権の追加関税に関するクイック・アンケート調査結果|日本貿易振興機構(ジェトロ)


コストダウン・生産性向上投資は補助金・助成金を活用

相互関税により輸出相手国内における販売価格が上昇すると、自社の商品の価格競争力が落ちてしまいます。
価格競争力を維持するためには、輸出先におけるコスト上昇を自社で吸収するコストダウンが必要となる可能性があります。コストダウンは生産性の向上が重要です。生産性向上は設備投資を伴うことが多く、補助金や助成金の活用を検討しましょう。

【関連記事】中小企業向け主な補助金9種類(2025年実施)をまとめて紹介


経済産業省のトランプ関税対策を活用

2025年4月3日、経済産業省はトランプ関税により影響を受ける企業向けの支援策(短期対応)を発表しました。主な支援内容は次のとおりです。

  • 政府系金融機関のセーフティネット貸付の要件緩和(売上減少実績の緩和)
  • 日本貿易保険(NEXI)による貿易保険金支払い対象などの拡充
  • 自動車業界向けの電動化支援と補助金における優先採択

【引用】米国の自動車関税発効等を受けた短期の支援策(2025年4月3日)|経済産業省


「トランプ関税」対策融資の利用

一部の金融機関や地方公共団体において、トランプ関税により影響を受ける可能性がある企業向け融資の新設が始まっています。

【参考】「米国関税対策特別融資」を創設|福岡県

【参考】環境適応資金(経済対策特別資金(米国追加関税措置枠))|名古屋市

【参考】米国の関税措置にかかる対応について|京都銀行


エフアンドエムは中小企業の公的支援策のフル活用をサポート

相互関税は、貿易相手国の関税に応じて自国の関税を引き上げる関税措置のことです。関税は、輸出相手国におけるコストを左右するため、輸出に取り組んでいる企業に大きな影響を与えます。また、部品メーカーなど中小企業においても、コストダウンや売上減少などの対応が求められるとみられています。
トランプ関税は、今後の国際交渉などにより修正される可能性があるため、中小企業の経営者は、急な情勢変化に対応できるよう最新の動向に注目しておきましょう。
 
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公的支援策の活用はF&M Clubがサポート

トランプ大統領による政策では、関税の見直しなど、日本企業に影響を与える政策が発表されており、中小企業においても影響を受ける可能性があります。中小企業経営者は、トランプ政権の動向に情報感度を高めておくとともに、政策に対応できるよう、自社の経営を見直すことが重要です。
 
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