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債務償還年数とは?借入時の対策や目安をわかりやすく解説

銀行からの印象を左右する指標のひとつとして、単純な「黒字・赤字」という概念以外に、「債務償還年数」という指標があります。

今回は債務償還年数という指標の解説に加え、金融機関からの評価を良好にするために押さえておくべきポイントについて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.銀行は「何年で借入を返済できるか」をひとつの目安として見る
    1. 1.1.債務償還年数に基づき、「返済能力(=何年で借入を返済できるか)」を判定
    2. 1.2.債務償還年数が長い=儲け(に減価償却費を加えたキャッシュフロー)に対して借入が多い
    3. 1.3.債務償還年数の計算上、「運転資金」は借入額から控除
  2. 2.債務償還年数を気にして「繰り上げ返済」を無理に進めることはNG!
  3. 3.債務償還年数を改善する
    1. 3.1.改善策1.利益の最大化
    2. 3.2.改善策2.減価償却費の計上
  4. 4. 最後に~税理士への相談をきっかけに、銀行との関係を良好に~


銀行は「何年で借入を返済できるか」をひとつの目安として見る

債務償還年数とは、「何年で借入を返済できるか」を判断するための、借入を返済するまでに必要となる年数を指します。

債務償還年数に基づき、「返済能力(=何年で借入を返済できるか)」を判定

「何年で借入を返済できるか」という指標は、金融機関にとって「返済能力」を測るための指標のひとつです。

もっともシンプルな計算式としては、

債務償還年数=借入金÷(経常利益+減価償却費ー法人税等)

と計算します。

上記の式のうち、「経常利益+減価償却費」にあたる項目が、一般的に「キャッシュフロー」と呼ばれています。

例えば、「借入金が1億円、キャッシュフローから法人税等を差し引いた金額が1,000万円」の企業を仮定した場合、

債務償還年数=借入金(1億円)÷税引後キャッシュフロー(1,000万円)=10年

となります。

この計算式を見るとわかる通り、借入金が多い(少ない)ほど債務償還年数は長く(短く)なり、反対にキャッシュフローが多い(少ない)ほど債務償還年数は短く(長く)なるという関係性があります。

債務償還年数が長い=儲け(に減価償却費を加えたキャッシュフロー)に対して借入が多い

債務償還年数が長くなるほど、金融機関にとってみれば儲けに対する借入額が大きいことを意味し、マイナス評価となります。

この時点で、具体的に債務償還年数が何年を超えると危険信号と見なされ、何年以内だと適正値と見なされるか、その目安を記しましょう。

金融機関の一般的な見方としては、「10年以内であれば健全な財務状況」であると見なされ、反対に「10年を超えると危険信号」であると見なされます。

ただし、この目安には業種によって多少の差があります。

例えば、製造業のように大規模な設備・装置が必要な業種の場合、必然的に多額の運転資金が必要になるため、健全さの目安は「20年」程度となることが一般的な金融期間の見方です。

債務償還年数の計算上、「運転資金」は借入額から控除

ご自身の会社の債務償還年数を計算してみて、10年越え(製造業であれば20年越え)の水準だった場合、「これじゃあ金融機関からの融資が不利になるかもしれない...」と不安になるかもしれません。

しかし、ここまでの前提としてきた計算式は比較的厳しい計算式であり、多くの金融機関は実際にはもう少し緩やかな計算基準を用いています。

金融機関の間で一般的に用いられる「緩やかな計算基準」とは、

債務償還年数=(借入金ー運転資金)÷(経常利益+減価償却費ー法人税等)

です。

ここまでの説明してきたシンプルな計算式と比較した違いは運転資金を借入金から差し引いて計算することにあります。

例えば、先にあげた「借入金が1億円、キャッシュフローから法人税等を差し引いた金額が1000万円」の企業例に当てはめて考えてみましょう。

企業の借入金1億円のうち、2000万円が運転資金としての借入だった場合、債務償還年数の計算は

債務償還年数={借入金(1億円)ー運転資金(2000万円)}÷税引後キャッシュフロー(1000万円)=8年

となり、運転資金を考慮しないシンプルな計算式と比べて債務償還年数が短くなるため、企業にとっては有利な判定となります。

運転資金については前回のコラム『会社経営に必須の運転資金とは?資金繰り表から所要運転資金を察知しよう』で詳しく説明していますので、あらためてご参照ください。

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債務償還年数を気にして「繰り上げ返済」を無理に進めることはNG!

債務償還年数は銀行が財務状況を判断するうえでの重要な指標のひとつであり、できるだけ短い年数に判定されるよう意識すべきです。

しかし、債務償還年数を縮めようと強く意識するあまり、手元資金をギリギリにしてまで繰り上げ返済しようとする経営判断は危険です。

手元資金に余剰がない状況で市場環境に変化が起こり、キャッシュフローが悪化してしまえば、途端に経営が苦しくなってしまうかもしれません。

実際、繰り上げ返済には債務償還年数をはじめとした財務指標を改善して金融機関からの評価を向上させ、支払い利息を削減できるメリットがあることには間違いありません

ただし、金融機関からの評価アップや僅かの利息カットを優先したばかりに、経営が不安定になり、経営危機に陥ってしまっては意味がありません。

繰り上げ返済を進めること以外にも、債務償還年数を改善する方法は存在します
債務償還年数改善のための具体的な方法を解説します。

債務償還年数を改善する

債務償還年数の改善方法として、借入額そのものを減らすという手段以外に、「利益の最大化」とと「減価償却費の適正化」が挙げられます。

債務償還年数を計算する式の分母にあたるキャッシュフローは「経常利益+減価償却費」であるため、「経常利益」と「減価償却費」に当たる項目をそれぞれ大きく計上できれば、債務償還年数を計算する上で有利に働きます

改善策1.利益の最大化

利益を大まかな式にすると「売上ー経費」ですが、売上自体をアップさせることは経理上の施策としておこなうものではないので、ここでは経費の適正化についてお話しします。

経営者自身が無駄にお金を使っている自覚がなかったとしても、よくよく検証すれば「実は無駄な支払いだった」と浮き彫りになってくるものがあります。

例えば、長年の仕入れ先を見直して見ることで、もっと安価な調達先が見つかり、仕入にかかる費用を大幅に削減できた、という話もあります。

特に2代目、3代目企業の場合、先代の個人的交友関係の延長として仕入先となっている業者があったりするものですが、こうした「長年の信頼関係」という概念に隠れた馴れ合いの部分にメスを入れることで、経営状況を改善した実例もあるのです。

確かに、商売にとって信頼は大切ですが、「合理性を損ねてまでの信頼」となっていないかどうかについてはあらためて考え直してみる必要があるでしょう。

取引先の見直しの他にも、使っていない法人カードの年会費や、加入を続けるメリットが薄い保険の料金など、より適正化しやすい部分もあります。

この機会に、税理士のような第三者の視点も借りて、経営上の無駄な支出がないか見直してみましょう。

改善策2.減価償却費の計上

例えば、事業のために取得する備品などを購入した際、これらの費用を経費として計上することによって帳簿上の利益を小さくすることができるため、節税の観点から有利であるとされています。

ただし、節税のために利益を圧縮することと、銀行からの評価を高めることは相反してしまう場合があります。

今回のテーマは債務償還年数なので、「金融機関からの評価を高める」ことを目的とする観点に立っています。

例えばオフィス用品を購入した場合、「消耗品費」として経費計上すると、帳簿上の利益が減り、ひいてはキャッシュフローが減少してしまうため、債務償還年数は長くなってしまいます。

一方で、購入費用を「減価償却費として計上すれば、キャッシュフローを増加させる結果に繋がるため、計算上の債務償還年数は短くなります。

減価償却費の計上について、経営者自身では計上の適正なやり方が分からない場合があるため、できるだけ税理士に相談しつつ実施する方が無難です。

 最後に~税理士への相談をきっかけに、銀行との関係を良好に~

今回の記事では、債務償還年数の概念と、施策として反映させる方法について解説してきました。

会計上の施策については、理論としてはご理解頂けたとしても、実際に自社の経理業務に反映させるのは困難かもしれません。

そこで、信頼できる税理士と二人三脚となって施策を実施していくことが大切です。

多くの経営者は商売のプロでありながら、銀行に評価される決算書づくりのプロではありません。
銀行は、経営者の人柄といった定性的評価よりも財務数値に表れる定量的評価をはるかに重要視しています。

そのため、銀行員の前でどんなに雄弁に自社のビジョンを語ったとしても、財務諸表上の数値が銀行の判断基準からして「弱い」と映れば、銀行との関係にとって不利に働きかねません。

銀行対策を考える上では、税理士のサポートが欠かせません
今回ご説明した「債務償還年数」についても、自社の状況について、一度相談してみるべきではないでしょうか。

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