経営改善計画策定支援事業(405事業)を有効活用し事業再生を図りましょう
コロナ禍の影響による売上の減少や借入金の増加により、多くの中小企業や小規模事業者は、費用負担が発生することから専門家などの助言による経営改善計画の策定が難しい状況です。経営改善計画策定支援事業は、財務状況が厳しい企業の経営改善計画の策定を支援し、企業の財務負担を軽減します。
目次[非表示]
- 1.経営改善計画策定支援事業(405事業)とは
- 2.早期経営改善計画策定支援事業との違い
- 3.経営改善計画策定支援事業(405事業)のメリット
- 3.1.国が費用負担をしてくれる
- 3.2.資金繰りの安定
- 3.3.客観的な視点でみられる
- 3.4.方向性が明確になる
- 4.事業再生には早期の改善計画が重要
- 4.1.支援制度を積極的に活用しましょう
- 5.経営改善計画策定支援事業(405事業)の活用事例
- 5.1.具体的なアクションプランにより売上が増加
- 5.1.1.支援事業活用の経緯
- 5.1.2.具体的な取り組み内容
- 5.1.3.経営改善計画の結果
- 6.経営改善計画策定支援事業(405事業)活用時の注意点
- 6.1.事業計画の作成は時間と手間がかかる
- 6.2.全額負担ではない
- 7.信頼できる支援会社を活用する
- 8.まとめ
経営改善計画策定支援事業(405事業)とは
経営改善計画策定支援事業(405事業)とは、金融期間の支援を必要とする経営改善を取り組もうとする中小企業・小規模事業者を対象とし、士業などの専門家による認定支援機関のサポートを通じて、経営改善計画を策定および経営改善の取り組みを促すことを目的としています。
対象事業者
経営改善計画策定支援事業の対象となる事業者は、借入金の返済負担などにより、企業の財務状況に問題を抱えており、自社の力で経営改善計画などを策定することが難しいものの、支援機関による策定支援を受けることにより、支払条件変更や新規融資などの金融機関からの支援が見込める中小企業・小規模事業者です。
また、過去に利用した事業者は原則対象外となりますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業が悪化した事業者は対象です。
支援金額
経営改善支援センターにより、経営改善計画策定支援に要する計画策定費用およびフォローアップ(事業進捗のモニタリング)費用の2/3(上限200万円)が負担されます。
経営改善計画の内容
経営改善計画策定支援事業対象となる経営改善計画の内容には、以下が記載されている必要があります。
- ビジネスモデル俯瞰図
- 会社概要表(株主、役員構成、沿革など)
- 資金繰り実績表
- 経営改善計画に関する具体的施作および計画実施時期
- アクションプランおよびモニタリング計画(原則約3年)
- 資産保全表
- 貸借対照表、損益計算表などの計数計画
- 金融支援の依頼内容
早期経営改善計画策定支援事業との違い
早期経営改善策定支援事業は、認定支援機関の支援を受けながら、資金繰り計画や財務管理などの基本的な内容の経営改善計画を策定し、策定にかかる費用の2/3(上限20万円)が支援される制度です。
条件変更などの金融支援を必要としない簡潔な経営改善計画のため取り組みやすく、経営改善計画策定支援事業を受ける前段階の取り組みとして活用されています。
早期経営改善計画策定支援事業について詳しくはこちらの記事をご参考ください。
経営改善計画策定支援事業(405事業)のメリット
経営改善計画策定支援事業の活用には、以下のメリットがあります。
国が費用負担をしてくれる
国が経営改善計画策定にかかる費用の2/3(最大200万円)を負担するため、通常かかるコストよりも低コストで専門家による計画策定支援が受けられます。
資金繰りの安定
専門家による助言や、金融機関への返済条件などの変更により、危機的状況である財務状況の改善を図り、安定した経営管理の再建が図れます。
客観的な視点でみられる
認定支援機関の専門家による第三者の声が聞けるため、自社内だけでは気付けなかった課題や解決策がみつけやすくなります。
方向性が明確になる
経営改善計画を策定することで、自社の現状を把握でき、課題や最善策をみつけやすくなります。また、計画策定後も継続的なフォローアップ(モニタリング)が受けられるため、計画して終わりではなく、実行性が高まります。
事業再生には早期の改善計画が重要
売上減少や借入金返済などにより悪化した財務状況を改善するためには、企業の財務計画を見直し、課題や問題点を分析したうえで、早めに改善策へ取り組むことが大切です。
支援制度を積極的に活用しましょう
専門家による計画策定支援、国からの補助金支援は、計画策定にかかる時間と費用の削減に繋がり、効率的に企業経営の立て直しが図れます。
国による支援制度を知っているか知らないかでは、企業経営に大きく影響するため、活用できる支援制度について理解しておくことが大切です。
経営改善計画策定支援事業(405事業)の活用事例
経営改善計画策定支援事業は、業種問わず幅広い分野で活用されています。支援事業を活用し、売上増加を実現した企業事例について紹介します。
具体的なアクションプランにより売上が増加
パンの製造販売、喫茶事業を運営する食品製造業N社は、具体的な経営改善計画を策定、実行したことにより、売上を大幅に増加させました。
支援事業活用の経緯
N社は、業況拡大に向けて他店舗展開をしたものの、業績悪化に陥り多額の損失を計上。
売上の確保は安売りセールの実施により維持している状況でした。
売上状況が厳しくなる中、金融機関およびコンサルタントから、支援制度利用の推奨を受け、一部費用負担に抵抗があったものの、利用を決意しました。
具体的な取り組み内容
目標を達成するためには、何をどれだけ販売すればよいのか具体的なアクションプランを策定。
細かい計画を策定することにより、必要とされる行動が明確となり、予算管理や数値目標などの財務計画に対する認識も向上しました。
計画策定時は、金融機関やコンサルタントと何度も議論を重ね、計画策定後も、毎月ミーティングを実施し、進捗状況などを共有しています。
経営改善計画の結果
専門家によるアドバイスをもとに来客が増える時間帯に合わせて商品を提供、利益率をもとに販売する商品を選択、数値管理の徹底などの取り組みにより、前年同月比で約28%の売上増加を成功させました。
また、店長を含めたミーティングや、全従業員を対象とした全体会議を実施し、売上や利益などの情報を共有することで、社員それぞれが自社の状況を把握し、数値を意識するようになり、従業員の行動にも変化が表れるようになりました。
【参考】経営改善計画策定支援事業(概要と活用事例)|中小企業庁
経営改善計画策定支援事業(405事業)活用時の注意点
経営改善計画策定支援事業は、経営改善に取り組みたい企業にとってメリットの豊富な制度ですが、利用するにあたり、いくつか注意点もあります。
事業計画の作成は時間と手間がかかる
経営改善計画は、「ビジネスモデル俯瞰図」や「資金繰り表」、「アクションプラン」など、多数の項目を準備、記載する必要があり、作成に時間と手間がかかります。
どんなに時間や労力を費やして作成した計画であっても、無駄となってしまうこともあります。
企業運営において、時間や労力、費用のリスクは大きく影響するため、リスクは最小限におさえるべきです。リスクを最小限に抑えるためにも、事業計画の作成は、経験や知識が豊富な専門家に依頼しましょう。
全額負担ではない
経営改善計画策定支援事業は、計画策定にかかった費用の全額が負担されるわけではありません。計画策定にかかった費用の1/3は自己負担となります。
そのため、策定する経営改善計画は、再現性が高く、投資金を回収できるような事業計画でなければなりません。
信頼できる支援会社を活用する
適切な経営改善計画を策定し、効率よく支援事業を活用するためには、信頼できる支援会社を利用し、経験や実績が豊富な専門家によるコンサルティングサービスの活用が有効的です。
F&M clubでは、財務改善をはじめとする企業の経営改善に関するコンサルティングサービスを提供しています。
経営改善計画の作成は、F&M clubにご相談ください。
まとめ
企業の経営状況を立て直すためには、適切な経営改善計画が必要であり、経営改善にかかるコストを削減するために、国の支援制度について把握しておくことも大切です。
企業の貴重な時間や労力を無駄にしないためにも、経営改善計画の作成は、知識や経験が豊富な信頼できる専門家や支援企業と一緒におこないましょう。