再構築採択企業必見!補助金活用のために経営力向上計画と先端設備等導入計画を忘れずに策定しよう
経営力向上計画と先端設備等導入計画は、事業再構築補助金と併用できます。経営力向上計画とは、自社の生産性や収益性を向上するための計画です。先端設備等導入計画とは、先端の設備導入を通じて生産性向上を図る計画を指します。
自社における2つの計画が政府・地方自治体から認定を受けると、補助金額アップや税制優遇などの支援の範囲が広がるなどのメリットをもたらします。
本記事では、経営力向上計画と先端設備等導入計画の違いやメリット、策定から申請、実行までの流れを詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.【一覧】経営力向上計画と先端設備等導入計画の違い
- 2.経営力向上計画の概要と具体的なメリット
- 2.1.税制優遇(即時償却と税額控除)
- 2.2.金融支援(低金利貸付・信用保証・債務保証など)
- 2.3.法的支援(事業承継における特例)
- 3.先端設備等導入計画のメリット
- 3.1.税制優遇(固定資産税の負担軽減)
- 3.2.金融支援(信用保証協会による追加保証)
- 4.事業再構築補助金と「経営力向上計画・先端設備等導入計画」の併用メリット
- 5.経営力向上計画の策定から申請、実行までの流れ
- 6.先端設備等導入計画の策定から申請、実行までの流れ
- 6.1.1.市区町村の「導入促進基本計画」を確認する
- 6.2.2.設備の取得日を確認しておく
- 6.3.3.先端設備等導入計画を策定する
- 6.4.4.先端設備等導入計画を申請する
- 6.5.5.税制措置・金融支援を受けて計画を実行する
- 7.F&M Clubの補助金活用サポート
- 8.まとめ
【一覧】経営力向上計画と先端設備等導入計画の違い
以下の表は、経営力向上計画と先端設備等導入計画の違いです。
経営力向上計画 |
先端設備等導入計画 |
|
申請書の提出先 |
各事業分野の窓口 |
市区町村 |
申請方法 |
郵送、電子申請 |
市区町村への郵送、持参 |
支援範囲 |
税制措置、金融支援、法的支援 |
税制措置、金融支援 |
税制措置の内容 |
即時償却・税額控除 |
固定資産税軽減 |
申請期限 |
設備取得から60日以内 |
設備取得日よりも前 |
経営力向上計画の概要と具体的なメリット
経営力向上計画は、中小企業等経営強化法に基づく制度の1つです。自社経営における課題を明確にし、解決するための具体的な取り組みを計画します。
経営力向上計画の具体的なメリットは主に以下3つです。
- 税制優遇(即時償却と税額控除)
- 金融支援(低金利貸付・信用保証・債務保証など)
- 法的支援(事業承継における特例)
税制優遇(即時償却と税額控除)
経営力向上計画は一定の設備において、即時償却や税額控除の税制措置を受けられます。一定の設備とは機械装置や工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウェアなどです。
たとえば、経営力向上を目的として新たに機械や設備を導入した場合、導入初年度に一括で経費として計上が可能です。もしくは自社の資本金3,000万円以下の場合、新設備の取得価格額における10%の税額控除も選択できます。資本金が3,000万円超1億円以下の場合は7%の税額控除となります。
【参考】中小企業庁|中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き
金融支援(低金利貸付・信用保証・債務保証など)
経営力向上計画の認定を受ければ、各種金融機関から受けられる支援が大きくなる可能性があることもメリットです。たとえば経営力向上計画に認定された事業者が設備投資をおこなう場合、日本政策金融金庫の審査に通過すれば基準利率(1.02~1.60%)で融資を受けられます。また2億7,000万円までの融資の場合、金利は特別利率②(0.37~0.95%)です。
ほかにも信用保証協会から普通保険などとは別枠で追加保証・保証枠の拡大、中小企業基盤整備機構による債務保証(最大25億円)などの支援を受けられます。経営力向上計画の認定により、通常と比べて低金利で融資を受けられることがあるため、企業は資金調達をおこないやすくなるでしょう。
【参考】
中小企業庁|中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き
日本政策金融金庫|中小企業事業(主要利率一覧表)
法的支援(事業承継における特例)
経営力向上計画に認定された場合、事業承継に関する以下の特例措置を受けられます。
- 許認可承継の特例
- 組合発起人数の特例
- 事業譲渡の際の免責的債務引受けの特例
たとえば許認可承継の特例では、事業承継などによって事業者が変更された場合において、許認可に係る地位などをそのまま引き継げます。
また組合発起人数の特例のメリットは、中小企業者が協同組合を設立するために必要な発起人数が4人から3人への緩和です。事業譲渡の際の免責的債務引受けの特例では、1か月以内に返事がなければ旧事業者の同意を得たものとしてスピーディに債務を移転できます。
【参考】中小企業庁|中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き
先端設備等導入計画のメリット
先端設備等導入計画とは、労働生産性の向上を図るために先端的な設備の導入する計画のことです。導入促進基本計画に同意している市区町村に提出し、認定を得ることでさまざまな支援を受けられます。
先端設備等導入計画の認定の具体的なメリットは主に以下2つです。
- 税制優遇(固定資産税の負担軽減)
- 金融支援(信用保証協会による追加保証)
税制優遇(固定資産税の負担軽減)
先端設備導入計画の認定を受けた場合、認定後3年間において固定資産税が2分の1となります。さらに従業員の給料を上げることを計画に入れると、5年間(令和6年3月末までに設備取得の場合)または4年間(令和7年3月末までに設備取得の場合)にわたって固定資産税が3分の1に軽減されます。
【参考】中小企業庁|先端設備等導入計画策定の手引き
金融支援(信用保証協会による追加保証)
先端設備等導入計画の認定により、中小企業信用保険法の特例が適用され、信用保証協会から通常枠とは別枠で追加保証が受けられる可能性があります。中小企業信用保険法の特例は、経営力向上計画の金融支援にも含まれるものです。
先端設備等導入計画の認定を得た企業は、信用保証協会の審査に通過すれば以下のように別枠で追加保証を受けられます。
通常枠 |
別枠 |
|
普通保険 |
4億円(組合:8億円) |
4億円(組合:8億円) |
無担保険 |
1億6,000万円 |
1億6,000万円 |
特別小口保険 |
4,000万円 |
4,000万円 |
事業再構築補助金と「経営力向上計画・先端設備等導入計画」の併用メリット
事業再構築補助金と経営力向上計画・先端設備等導入計画を併用する大きなメリットは、補助金で新しい設備を導入しつつ、設備にかかる税額負担を軽減できる点です。
事業再構築補助金の対象となる経費には「機械装置・システム構築費」が含まれます。機械装置・システム構築費とは、新事業に必要と認められる機械装置や工具・器具、ソフトウェア・情報システムの購入もしくは構築にかかる費用のことです。
事業再構築補助金に採択されると、設備を導入するために必要な費用が補助されます。
一方で経営力向上計画は設備の「即時償却もしくは取得価格額7~10%の税額控除」が可能です。
また先端設備等導入計画は「固定資産税が2分の1もしくは3分の1」といった税制優遇を受けられます。
つまり、新たな設備導入にかかる費用を補助金でまかないつつ、その設備に関して節税対策をおこなえる可能性があるということです。事業再構築補助金と経営力向上計画・先端設備等導入計画の税制優遇により企業のキャッシュフローは改善され、経営の安定につながるでしょう。
経営力向上計画の策定から申請、実行までの流れ
経営力向上計画の策定から申請、実行までの流れを解説します。
1. 制度の適用要件をチェックする
2. 経営力向上計画を策定する
3. 経営力向上計画の申請をおこなう
4. 税制措置・金融支援・法的支援を受けて計画を実行する
それぞれ順に解説します。
1.制度の適用要件や必要書類をチェックする
経営力向上計画における支援内容によって準備は異なるため、まずは制度の適用要件や必要書類などをチェックしましょう。たとえば、税制優遇を受ける条件の1つとして「資本金または出資金が1億円以下の法人」があげられます。
また設備投資における税制措置を受けたい場合は、計画の申請時に工業会証明書や経産局確認書などの提出が求められます。税制措置・金融支援・法的支援ごとに内容が異なるため事前に詳細を確認しておきましょう。
【参考】中小企業庁|中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き
2.経営力向上計画を策定する
次に経営力向上計画を策定します。策定する際は、あらかじめ自社の事業が「日本標準産業分類」において自社の事業が該当する事業分野を確認します。
経営力向上計画は、事業分野ごとに定められた「事業分野別指針」に沿って策定することが重要です。たとえば「製造業」における経営力向上を実施する際は、IoTやビッグデータ収集・解析、AIなどの新しい技術の積極的な活用が推奨されています。
【参考】中小企業庁|製造業に係る経営力向上に関する指針
3.経営力向上計画の申請をおこなう
経営力向上計画を策定したあとは各事業分野における主務大臣に計画申請書提出します。申請方法は郵送による必要書類の送付と経営力向上計画申請プラットフォームによる電子申請の2つです。
認定を受けた場合、計画認定書と計画申請書の写しが交付されます。申請から認定までの期間は14日間~約1か月半となっています。
【参考】中小企業庁|経営力向上計画策定の手引き
4.税制措置・金融支援・法的支援を受けて計画を実行する
税制措置・金融支援・法的支援を受けて経営力向上計画を実行しましょう。認定を受けたあとに経営力向上のための設備を追加したい場合、変更申請をおこなえます。ただし、資金調達額の若干の変更や法人の代表者の交代といった軽微な変更は申請不要とされています。
先端設備等導入計画の策定から申請、実行までの流れ
先端設備等導入計画の策定から申請、実行までの流れは以下のとおりです。
1. 市区町村の「導入促進基本計画」を確認する
2. 設備の取得日を確認しておく
3. 先端設備等導入計画を策定する
4. 先端設備等導入計画を申請する
5. 税制措置・金融支援を受けて計画を実行する
それぞれ順に解説します。
1.市区町村の「導入促進基本計画」を確認する
先端設備等導入計画を申請するためには、設備が所在する市区町村が「導入促進基本計画」を策定している必要があります。導入促進基本計画とは、中小企業者が設備投資などを通じて労働生産性を図るために市区町村が策定する計画のことです。
市区町村によっては、認定の対象外となる業種や地域があるため事前に確認しておきましょう。
【参考】中小企業庁|先端設備等導入計画策定の手引き
2.設備の取得日を確認しておく
設備を新しく取得する日も必ず確認しておく必要があります。税制優遇などの措置を受けるためには、新規取得設備の取得日よりも前に先端設備等導入計画を策定し、認定されなければなりません。
新設備の取得日よりもあとに策定した場合や、既存の設備を取り入れた計画は認定されないため注意しましょう。申請から認定までには一定期間を要するため、あらかじめ制度の適用要件を核にし、余裕をもって準備することが重要です。
【参考】中小企業庁|導入促進基本計画に関するQ&A
3.先端設備等導入計画を策定する
先端設備等導入計画を策する際は、市区町村の導入促進基本計画の内容に沿っているかをチェックしましょう。導入促進基本計画には、自治体ごとに課題や目標が定められています。
設備が所在する市区町村の方針に合わせて計画を策定することが重要です。具体的な導入促進基本計画は、各自治体の公式ページで確認できます。
【参考】渋谷区|中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」について
4.先端設備等導入計画を申請する
先端設備等導入計画を策定したあとは市区町村に認定申請書を提出します。申請する前に認定経営革新等支援機関に計画内容の確認を依頼し、確認書の交付を受けましょう。認定経営革新等支援機関とは、中小企業庁が認定した商工会議所や金融機関などのことです。
経営力向上計画とは異なり、先端設備等導入計画では支援機関の確認書がなければ認定されません。確認書を受け取ったあとは幾町村長に認定申請書と必要書類を提出します。
5.税制措置・金融支援を受けて計画を実行する
認定を受けると、市区町村から認定書が交付されます。税制措置や金融支援を受けながら、計画を実行しましょう。
市区町村によっては、先端設備等導入計画の実施状況について報告が求められる場合があります。
F&M Clubの補助金活用サポート
F&M Clubは累計38,000社の中小企業様を支援した実績があるバックオフィス支援サービスです。公的制度活用・人事・労務・財務・IT活用などに特化し、月額3万円(税別)で、企業様の抱える課題や目的に対応した34コンテンツを使い放題でご利用いただけます。
F&Mは事業再構築補助金の活用、経営力向上計画や先端設備等導入計画の策定支援など、継続的なサポートを実施します。「計画を策定する方法がわからない」「計画を策定してみたが、認定されやすい内容となっているか不安」などのお悩みの経営者様はぜひご相談ください。
まとめ
事業再構築補助金と経営力向上計画・先端設備等導入計画を併用すると、補助金で設備投資を実施するとともに、設備の即時償却・税額控除や固定資産税の負担軽減が見込めます。
「事業再構築補助金のメリットをさらに活かしたいが、具体的に何から始めれば良いのかわからない」と不安に感じる経営者の方もいるでしょう。そのようなお悩みをお持ちであれば、ぜひF&M Clubをご活用ください。