倒産が急増!物価高・人手不足・コロナ融資返済に対抗する秘策とは
信用調査会社の株式会社帝国データバンクがまとめた2023年1月から6月の企業倒産件数は5年ぶりに4,000件を超え、また14年ぶりに全業種で倒産が増加しました。
本記事では、大倒産時代を中小企業が生き抜くための対策について解説します。
目次[非表示]
- 1.2023年上半期の倒産件数4,006件の特徴
- 1.1.業種別倒産件数は飲食店が過去2番目の高水準
- 1.2.倒産要因は販売不振が最多
- 1.3.規模別では小規模な倒産が目立つ
- 1.4.業歴30年以上の会社の倒産件数も4年ぶりの水準
- 1.5.地域別では全国の多くでコロナ禍前を超す倒産が発生
- 2.倒産急増のキーワード「物価高」「人手不足」「ゾンビ企業」
- 2.1.物価高倒産は過去最多
- 2.2.人手不足倒産も過去最多水準
- 2.3.コロナ融資返済で再注目される「ゾンビ企業」
- 3.倒産しないために経営者がとるべき対策
- 3.1.喫緊の対策は「手元資金の確保」
- 3.2.とるべき対策「資金繰りの改善」
- 3.3.抜本的な解決は「事業計画の策定」と「会社の体質改善」
- 4.経営上の課題解決はエフアンドエムがサポートします
- 5.まとめ
2023年上半期の倒産件数4,006件の特徴
2023年6月に倒産が782件発生し、2023年上半期(1月から6月)の倒産件数は4,006件です。2018年上半期以来、5年ぶりに4,000件を超えました。
2023年上半期の倒産の特徴は以下のとおりです。
以下、【引用】全国企業倒産集計2023年上半期報、2023年6月報|(株)帝国データバンクをもとに解説します。
なお本記事で紹介している倒産件数は、負債総額1,000万円以上の法的倒産のみです。負債総額1,000万円未満の法的整理や任意整理(法的な手続きをおこなわない廃業など)は含まれません。2022年における休廃業(法的整理によらずに事業を停止したもの)は53,426件(【引用】2023年版小規模企業白書|中小企業庁)とみられています。
業種別倒産件数は飲食店が過去2番目の高水準
業種別では14年ぶりに全業種で前年を上回りました。特に「建設業」「飲食業」の倒産が急増しています。
建設業では職別工事業や設備工事業の倒産が増加しています。
飲食業の倒産件数378件は、コロナ禍の影響が急拡大した2020年上半期の398件に次いで、過去2番目の倒産件数です。
倒産要因は販売不振が最多
倒産主因別でみると販売不振が最も多い3,130件、全体の78.1%を占めました。また前年同期比でも34.3%増加しています。
経営者の病気、死亡による倒産が132件発生しており、上半期としては3年連続で130件を超えました。
規模別では小規模な倒産が目立つ
倒産時の負債規模別では、負債額5,000万円未満の倒産件数が全体の過半を占めています。
業歴30年以上の会社の倒産件数も4年ぶりの水準
業歴30年以上の企業の倒産1,331件が最も多く、全体の26.9%を占めています。また業歴100年以上の老舗企業の倒産件数は38件に上り、上半期としては4年ぶりに前年を上回りました。
地域別では全国の多くでコロナ禍前を超す倒産が発生
地域別では全地域で増加しました。上半期としては17年ぶりです。特に東北、関東、中部、九州の4地域ではコロナ禍前の2019年上半期を超えました。
倒産急増のキーワード「物価高」「人手不足」「ゾンビ企業」
2023年上半期の倒産急増における注目点は『物価高倒産』『人手不足倒産』です。
これらに加えて下半期以降は、コロナ融資(ゼロゼロ融資)により資金繰りを支えてきた『ゾンビ企業』の倒産増加が懸念されています。
物価高倒産は過去最多
2023年上半期の企業倒産件数のうち375件が『物価高倒産』とみられています。2022年の上半期85件、通年の320件から急増し、2023年は上半期のみで過去最多件数を更新しました。
業種別では建設業が全体の22%を占めて最も多くなりました。
物価高の要因の中では原材料価格が最も多く、エネルギーコストが次いでいます。また人件費の上昇を要因とする倒産(15.2%)は前年同期の5.2%から急増しました。
【引用】全国企業倒産集計2023年上半期報 別紙号外リポート|(株)帝国データバンク
物価高倒産とは『法的整理(倒産)企業のうち、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより、収益が維持できずに倒産』(【引用】全国企業倒産集計2023年上半期報 別紙号外リポート|(株)帝国データバンク)したものを指します。
人手不足倒産も過去最多水準
人手不足を理由とする倒産が過去最多の水準です。2023年上半期の人手不足倒産件数は110件、前年同期の1.8倍に達しています。2013年の集計開始以来初めて半期で110件超となりました。
業種別では建設業が45件(前年同期15件)へと急増。運輸・通信業も20件(前年同期9件)となったほか、急増した小売業8件のうち半数の4件が飲食業です。
人手不足倒産とは『法的整理(倒産)となった企業のうち、従業員の離職や採用難等により人手を確保できなかったことが要因となった倒産』(【引用】全国企業倒産集計2023年上半期報 別紙号外リポート|(株)帝国データバンク)を指します。
コロナ融資返済で再注目される「ゾンビ企業」
コロナ融資(ゼロゼロ融資)後の倒産件数は2023年上半期で304件、半期としては過去最高の件数です。2023年6月単月で63件が倒産し増加が続いています。
コロナ融資により多くの企業の資金繰りが維持される効果があったものの、本来は市場から退出を余儀なくされる『ゾンビ企業』まで延命されてきたといわれています。
2023年7月以降とみられているゼロゼロ融資の元金返済開始のピーク以降、『ゾンビ企業』の動向が再注目されています。
倒産しないために経営者がとるべき対策
企業の倒産は資金繰りの破綻、つまり支払うお金が無くなった時に倒産します。事業が黒字であってもお金が用意できないと『黒字倒産』となります。
自社が倒産しないために優先すべき対策とは次の3点です。
- 資金繰りの見通しを立てる
- 資金を準備する
- 利益を確保できる体質となる
喫緊の対策は「手元資金の確保」
まず手元資金の確認と確保をおこないます。手元資金がなく時間の余裕がない状態では対策が限られます。
資金の準備は次の順序でおこないます。
- 資金繰り表を作成
- 資金不足となる時期と金額を確認
- 資金を準備する方法「定期預金解約」「借入」「資産売却」などを決める
手元資金の不足に備えるためには「資金繰り表の作成」が有効です。資金繰り表の作成に不慣れである場合は税理士への相談や自社で簡単に作成できるフォーマットを活用します。
資金不足時期までに余裕をもって資金の準備をおこないます。金融機関からの借入や資産売却は時間が必要です。普段から一定の預金残高を維持しておくと安全です。
とるべき対策「資金繰りの改善」
資金繰り表を作成することで自社の資金繰りの問題点が見えてくることがあります。
資金繰りを改善させる方法は「収入を増やす、収入が入るまでの期間を短くする」「支払いを減らす、支払時期をなるべく遅くする」「借入金の返済を軽くする」の3つです。
自社の資金繰りを改善する方法の相談は税理士など専門家の意見を活用します。
抜本的な解決は「事業計画の策定」と「会社の体質改善」
借入による資金の確保は抜本的な解決策ではありません。資金繰りの改善は黒字を継続的に計上できるよう「会社の体質改善」を進めることが重要です。
着実に改善するためには、自社において改善すべき課題や時期をまとめた「事業計画の策定」で見える化し、進捗を管理します。
経営上の課題解決はエフアンドエムがサポートします
資金繰りの見直しや労務管理のお悩みは、エフアンドエムが提供するサブスクサービス『F&M Club』がサポートします。
『F&M Club』は中小企業の資金繰り改善や労務管理、人材採用の悩みごとの解決をサポートする34のコンテンツを提供しています。累計38,000社への支援を通じたさまざまなノウハウを月額30,000円(税抜)で利用できます。
【F&M Clubの主なサービス】
- 『補助金・助成金サポート』で取り漏れを防ぐ
- 求人票の添削から階層別従業員研修90講座で採用と教育をサポート
- 『財務サポート』で資金繰り表作成と改善策の立案を相談
- 働き方改革に対応する労働環境の整備は『就業規則サポート』
まとめ
2023年上半期の倒産件数は高水準です。今後も物価高と人手不足による倒産が増加する可能性があります。
自社を倒産させないための対策は、人材採用や働き方改革にあわせた労働環境の見直し、資金繰りの改善など多岐に亘る検討が必要です。
経営者のさまざまなお悩みごとはエフアンドエムにご相談ください。