運転資金を融資で調達?目安金額や依頼先とポイントを解説
会社を安定して運営していくためには「運転資金」を確保しなければなりません。資金繰りが悪化すると安心して経営できないだけではなく、最悪の場合は行き詰まり倒産してしまいます。可能な限り資金に余裕を持った経営が理想的です。
しかし、実際にはさまざまな理由から運転資金に余裕がなくなることがあるでしょう。この場合は、速やかに融資を検討し、資金繰りに余裕を持たせる必要があります。今回は、運転資金の融資が必要なケースからその時の目安額、具体的な依頼先について解説します。
目次[非表示]
- 1.運転資金を融資してもらう5つのケース
- 1.1.資金繰りの悪化
- 1.2.仕入れや固定費の増加
- 1.3.売上の低迷
- 1.4.社会情勢の変化
- 1.5.事業拡大
- 2.理想とする運転資金の目安金額
- 2.1.目安金額の算出方法
- 2.2.3ヶ月から6ヶ月程度を確保
- 3.運転資金を融資してもらえる4つの依頼先
- 4.運転資金を融資してもらうための3つのポイント借入金額と理由の明確にする
- 4.1.余裕を持った返済計画を示す
- 4.2.自己資金に余裕がある段階で申し込みしておく
- 5.運転資金に余裕を持たせるためにもF&MClubへご相談ください
- 6.まとめ
運転資金を融資してもらう5つのケース
運転資金を融資してもらう代表的なケースを5つ紹介します。
資金繰りの悪化
資金繰りの悪化が原因となり、運転資金の融資が必要となるケースが多くあります。例えば、企業間の取引は信用取引が中心であり、売掛金が増えすぎた場合などです。売掛金が増えている状態で、仕入れなど買掛金の支払いを迎えてしまうと、手元の資金が大きく減少してしまいます。このような状況を改善するために、融資による運転資金の確保が必要です。運転資金を確保できないと、最悪の場合は黒字倒産に陥ってしまうため、速やかに対応しなければなりません。
仕入れや固定費の増加
仕入れや固定費の増加によって、一時的に支出が増えてしまう際に、運転資金を融資してもらう可能性があります。例えば、近年は小売業・飲食業・製造業など、多くの業界で仕入れ費用などが高騰している状況です。また、光熱費や人件費なども以前より高まっています。このような煽りを受けて、運転資金の不足が見込まれる場合は、融資を受けて余裕を持たせた方が良いでしょう。十分な資金がなければ、製品やサービスへ原価の高騰を転嫁させる前に、資金不足で倒産してしまいます。
売上の低迷
純粋に売上が低迷していると、手元に入ってくるお金が少なくなってしまいます。その結果、会社運営に問題が生じる場合は、融資を受けて運転資金を確保すべきです。運転資金を確保できないと、売上の増加に向けて立て直す前に倒産してしまいます。売上を増やすためには一定の期間が必要となるため、その期間に耐えるだけの資金が必要です。融資を受けられるとは限りませんが、運転資金に余裕を持てれば、さまざまな施策に取り組めるでしょう。
社会情勢の変化
社会情勢の変化によって、運転資金に問題が生じ、融資を受けるケースが考えられます。例えば、現在は新型コロナウイルスによる生活様式の変化やウクライナ情勢の影響によって、売上が下がったり原価が高まったりすることがあるでしょう。外的な要因によって、運転資金が不足することは十分にあり得るため、このような状況を融資で解決します。なお、日本経済に大きな影響を与えるような社会情勢の変化は、公的機関からの融資などが優遇される場合もあります。
事業拡大
事業拡大に向けて、運転資金の融資が必要になるケースもあるでしょう。例えば、高額な設備を購入することになり、まとまった出費が生じる場合に融資で運転資金を確保します。事業拡大の影響で運転資金が枯渇しては本末転倒であるため、枯渇を防ぐために融資を受けておく仕組みです。特に、事業拡大のタイミングを逃せない場合は、融資を受けてでも拡大することを検討しなければなりません。
理想とする運転資金の目安金額
資金繰りを安定させるためには、理想とする運転資金の目安を理解すべきです。融資を依頼する際にも考慮する必要があるため、以下の式で算出しましょう。
目安金額の算出方法
運転資金の目安金額は、以下の計算式で算出します。
運転資金=売掛債権+棚卸資産-仕入債務
算出に利用する値は、貸借対照表を参照するようにしましょう。売掛債権(売掛金)や棚卸資産(在庫)、仕入債務(買掛金)がまとめられているはずです。感覚的な値ではなく、正確な値を採用しなければ意味がありません。例えば、売掛金が500万円、棚卸資産が200万円、仕入債務が300万円の場合に必要な運転資金は以下のとおりです。
運転資金=500万円+200万円-300万円=400万円
もし、手元の資金が400万円に満たない場合は、以下で解説する融資を利用して調達することを検討しなければなりません。
3ヶ月から6ヶ月程度を確保
目安としては3ヶ月から6ヶ月程度の資金を確保しておくと良いでしょう。ただ、運転資金の必要額は業界や業種によって大きく異なります。
例えば、小売店や飲食店のように、頻繁に現金が入ってくる業種は仕入れから回収までの期間が短く、運転資金は少なくとも差し支えありません。逆に、建設業や運送業など支払いサイトが長い業界は、運転資金を多く確保しておく必要があります。
これは一例ですが、3ヶ月あれば十分とも6ヶ月あれば十分とも断言はできません。自社の特性なども踏まえて、必要な資金を認識することが重要です。
運転資金を融資してもらえる4つの依頼先
運転資金の融資を検討する場合、候補となる依頼先は以下のとおり4つあります。
依頼先 |
民間銀行 |
信用金庫 |
政府系金融機関 |
ノンバンク |
メリット |
高額な融資にも対応 |
中小企業でも融資を受けやすい |
無担保かつ低金利 |
素早い審査で資金調達が可能 |
デメリット |
審査が難しい場合がある担保や保証人が必要 |
所轄の信用金庫へ依頼が必要 |
融資までの手続きが複雑で時間を要する |
金利が高い |
民間銀行
民間銀行は、メガバンクと呼ばれるような都市銀行や地域密着の地方銀行などを指します。銀行の規模によって、融資の上限額や審査の難易度に違いがあるため、申込先はよく検討することが重要です。例えば、一般的に中小企業の場合はメガバンクからの融資は難しく、地方銀行のほうが良いと考えられています。
また、民間銀行から運転資金を融資する場合には、担保となる不動産の提供や経営陣などの連帯保証人が必要となりがちです。契約にあたっての注意点となりえるため、そこは理解してから利用すると良いでしょう。
信用金庫
信用金庫は、地域の中小企業などを資金面で支援し、地域の活性化を目指すための組織です。中小企業の支援を目的としているため、民間銀行では運転資金の融資が難しいような中小企業でも契約できる可能性があります。また、利益を追求した組織ではないため、審査が柔軟であるなどの点も魅力です。
ただ、地域に根付いた組織であるため、融資の対象となるエリアに制限があります。例えば、東京信用金庫は東京都と埼玉県の一部、大阪信用金庫は大阪府と兵庫県や和歌山県の一部です。会社の所在地を踏まえて、そこを管轄する信用金庫へ相談するようにしましょう。
政府系金融機関
政府系金融機関は、日本政策金融公庫などを指し、中小企業の活躍や経済発展を目的とした非営利の組織です。国が100%出資した金融機関であるため、政府系金融機関と呼ばれます。運転資金はもちろん、幅広い融資に対応していて、担保が不要であったり低金利であったりすることが特徴です。
担保や金利の面で魅力はありますが、申込みの手続きが複雑で融資までに時間を要する点は注意しなければなりません。また、書類を準備するだけではなく、事前に商工会議所からの推薦を受ける手続きが求められることもあります。
ノンバンク
ノンバンクは「銀行」以外の金融機関で、消費者金融や信販会社などです。選択肢は非常に多く、上場企業から地域密着のサービスを提供する企業まであります。これらは「ビジネスローン」として事業用資金の融資を実施しているため、これを利用して運転資金を確保する仕組みです。
民間企業であるため、融資までの期間が短かったり準備が簡単であったりする特徴があります。ただ、営利企業であり、金利が高めに設定されていることは考慮しなければなりません。
運転資金を融資してもらうための3つのポイント借入金額と理由の明確にする
融資を依頼する際は、借入金額とその理由を明確にすることが重要です。例えば、運転資金のうち「従業員への給与」「仕入先への支払い」「設備の改修」など、どのような用途であるかを明確にします。これが明確でなければ、借入金額の妥当性を評価できず、融資してもらえない可能性があるからです。言い換えると、金額と理由が明確であれば、妥当性を評価できるようになり、交渉を進めやすくなります。
余裕を持った返済計画を示す
融資の申込時に返済計画を示す必要があり、これは余裕を持って作成することが重要です。例えば、理想的な売上が得られたケースは想定せず、8割程度の売上を想定します。経営は想定どおり進まないケースが大半であるため、万が一の場合でも返済できる計画にしなければなりません。余裕がない返済計画は、リスクが高いと判断され、融資してもらえないことが考えられます。
自己資金に余裕がある段階で申し込みしておく
自己資金に余裕がある段階で、融資を申し込みしておくことが重要です。明確な基準は公開されていませんが、ある程度の自己資金がなければ審査に通過できないと考えられます。これは、自己資金が少ないほど貸し倒れのリスクが高まってしまうからです。運転資金に切羽詰まる段階で申し込みせず、懸念点があるならば、その段階で融資を検討したほうが良いでしょう。
運転資金に余裕を持たせるためにもF&MClubへご相談ください
運転資金が枯渇すると倒産してしまうため、余裕を持たせておくことが重要です。ただ、皆さんの中には万が一に備えた余裕がなく、不安を感じる方がいるのではないでしょうか。もし、危機感をおぼえたならばF&MClubをご検討ください。
F&Mクラブは、累計38,000社の中小企業様を支援した実績をもつエフアンドエムによる、バックオフィス支援サービスです。月額3万円(税別)で、企業様の抱える課題や目的に応じて、財務・労務・採用・IT活用などの34コンテンツをすべて使い放題でご利用いただけます。
財務関連のサービスを活用いただければ、資金繰り表の作成支援や内容についてアドバイスを受けることが可能です。また、補助金・助成金の活用についてアドバイスを受けられるサービスもあります。運転資金を確保するためには、定期的な資金繰りの見直しが重要となるため、ぜひご活用ください。
まとめ
会社を安定して経営し続けるためには、余裕を持った運転資金の確保が必須です。もし、何かしらの理由で運転資金が不足するリスクがあるならば、できるだけ早く融資を検討しましょう。審査などに時間を要する可能性があるため、素早く行動することが重要です。