【8月再開予定】電気代・ガス代補助金が復活!中小企業のコスト高への打ち手とは?
2024年6月21日、政府は電気代・ガス代を対象とする補助金を3か月間限定で開始すると発表し、本補助金制度は、夏の冷房需要の増加に伴う電気代などの上昇を抑えることが目的です。
本記事では、2024年8月分から開始される電気代・ガス代補助金の概要と中小企業におけるコスト削減の打ち手を解説します。
目次[非表示]
- 1.電気代・ガス代補助金が8月から3か月限定で再開予定
- 1.1.電気代・ガス代補助金の概要【2024年8月分から10月分まで】
- 1.2.電気代・ガス代補助金はいつからいつまで?
- 1.3.電気代・ガス代補助金はいくら?
- 1.4.電気代・ガス代補助金は申請不要
- 1.5.補助終了後は再値上げ?エネルギー高で『経営に影響』が約9割!
- 1.6.約1割の企業が『事業継続に不安』
- 1.7.事業継続に不安を感じる企業が多い業種は『運輸業』『宿泊・飲食業』
- 2.中小企業におけるコスト高の主な打ち手
- 3.物価高・賃上げに負けない企業体質となる取り組みとは
- 3.1.原価管理で利益確保と価格転嫁に取り組む
- 3.2.賃上げだけではない人材活性化に取り組む
- 3.3.すぐにおこないたい経費削減20項目
- 4.プロが教える経営改善の打ち手はF&M Clubにご相談ください
電気代・ガス代補助金が8月から3か月限定で再開予定
2024年6月21日、政府は電気代・ガス代補助金となる『酷暑乗り切り緊急支援』を発表しました。
今回の補助金は、2024年8月使用分から10月使用分までの電気代とガス代の一部を政府が負担するという内容です。
エネルギー価格が急騰した影響を緩和する『電気・ガス価格激変緩和対策』が2024年5月使用分までで終了したため、夏場の電気代急増などによる負担を軽減することが目的とされています。
電気代・ガス代補助金の概要【2024年8月分から10月分まで】
今回政府が発表した電気代・ガス代補助金は、使用者における負担が軽減される単価は電気・ガス・LNGで異なり、8月および9月使用分と、10月使用分とで値引きされる単価が異なります。本施策の概要は次のとおりです。
電気代・ガス代補助金はいつからいつまで?
対象となる電気代・ガス代は、原則として2024年8月使用分から2024年10月使用分までです。
例外として、電気代の燃料調整や、ガス代の原料調整に関する価格反映が9月使用分からとなる場合、補助対象は9月使用分から11月使用分までとなります。
【参考】値引きの開始使用月について(電気・ガス)|資源エネルギー庁
電気代・ガス代補助金はいくら?
今回の『酷暑乗り切り緊急支援』における補助金額は、電気とガスにより異なるほか、2024年8月と9月は同額、10月分は補助額が縮小されます。
電気(低圧)代の補助単価は、8月および9月使用分については4.0円/kWh(税込み)、10月使用分については2.5円/kWh(税込み)です。
都市ガス代の補助単価は、8月および9月使用分については17.5円/㎥(税込み)、10月使用分については10.0円/kWh(税込み)となります。
今回の電気代・ガス代補助金の概要をまとめると次のとおりです。
8月および9月使用分 |
10月使用分 |
||
電気
|
低圧 |
4.00円/kWh |
2.50円/kWh |
高圧 |
2.00円/kWh |
1.30円/kWh |
|
都市ガス |
一般家庭および |
17.50円/㎥ |
10.00円/㎥ |
LNG |
21,272円/トン |
12,156円/トン |
【引用】よくある質問・回答(酷暑乗り切り緊急支援)|資源エネルギー庁
電気代・ガス代補助金は申請不要
2024年8月使用分から開始される電気代・ガス代補助金は、電気やガスの小売業者が利用料金から自動的に値引きするため、利用者からの申請手続きは不要です。
補助終了後は再値上げ?エネルギー高で『経営に影響』が約9割!
今回政府が発表した電気代・ガス代補助金『酷暑乗り切り緊急支援』は、2024年8月分から3か月間の期間限定であり、その後は負担軽減策がない価格でエネルギーコストを利用者が負担することとなります。
電気代などエネルギーコストの上昇による経営への影響について、2024年6月に日本商工会議所が実施したアンケートによると、88.1%が「経営に影響がある」と回答しています。
【引用】中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査(2024年6月25日)|日本商工会議所
約1割の企業が『事業継続に不安』
上記のアンケート結果の回答によると、エネルギー価格の上昇の影響を「ほかのコスト削減では吸収しきれない」と回答した企業が約半数の48.2%、「今後の事業継続に不安がある」と回答した企業は約1割の9.2%にのぼります。
事業継続に不安を感じる企業が多い業種は『運輸業』『宿泊・飲食業』
エネルギー価格上昇の影響を業種別でみると、運輸業と宿泊・飲食業における影響が深刻です。
運輸業においては23.5%が「事業継続に不安」を感じており、「ほかのコスト削減では吸収しきれない」と回答した企業も59.3%にのぼります。
宿泊・飲食業においても13.9%の企業が「事業継続に不安」と回答しており、「ほかのコスト削減では吸収しきれない」と回答した企業は53.2%を占めています。
【参考】中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査(2024年6月25日)|日本商工会議所より作成
中小企業におけるコスト高の主な打ち手
電気代・ガス代、そのほかの原料価格など、コスト高騰に対する主な対策は次の3つです。
- 製品・サービスなどの値上げ(価格転嫁)
- 冷暖房などの使用を控えて節約
- 省エネ機器への更新
約4割の企業が電気代・ガス代高騰対策で『値上げ』
電気代やガス代など高騰対策として「値上げ」をおこなう企業は42.8%であり、「省エネ設備への更新・新規導入」が37.0%、「エネルギー以外のコスト削減」が35.6%と続いています。
【参考】中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査(2024年6月25日)|日本商工会議所より作成
省エネ余地は平均20%!『省エネ診断』は全部で3種類
企業の約4割が検討する節電や、省エネ設備の更新・導入は、専門家への相談が効果的です。
専門家から自社における省エネのポイントを助言してもらう公的な支援策として、3種類の『省エネ診断』があります。
省エネ診断3種類 |
診断の概要 |
費用の目安 |
省エネクイック診断 |
|
5,500円 |
省エネ最適化診断 |
|
10,670円 |
省エネお助け隊 |
省エネ診断に加えて、設備の導入や公的支援策の紹介までをサポート |
7,304円 |
「専門家への診断でエネルギーコストをどのくらい削減できるのか」という疑問を抱えている方もいるでしょう。
実際に省エネ診断を受けた事業所は、約2割、平均16.4%の省エネが可能と診断されています。
【引用】2023年度省エネの進め方と省エネ診断事例|一般社団法人省エネルギーセンター
省エネは売上増加と同じ!省エネ投資は都道府県の補助金を活用
省エネは売上増加と同じ効果があります。具体例は次のとおりです。
【省エネ効果を売上高に換算する例】
①電気代・ガス代の年間削減効果 △15万円
②自社の売上高営業利益率 10%
③省エネ効果の売上高換算 150万円(①÷②)
電気代・ガス代などを削減する方法は、「使用料の削減」と「省エネ機器への更新」の2つです。
機器の更新は費用がかかるため、補助金を積極的に活用しましょう。
省エネ投資が対象となる補助金として、国の補助金だけでなく、都道府県や市区町村が独自におこなう補助金が多数あります。
地方公共団体がおこなう省エネ投資が対象となる補助金のうち88種類は「省エネ最適化診断」を受けることが条件です。
【参考】補助金一覧(2024年)|一般社団法人省エネルギーセンター
物価高・賃上げに負けない企業体質となる取り組みとは
エネルギーコストなどの物価高と賃上げなど、企業の収益を圧迫するコスト上昇が続いています。コスト高や人件費の上昇に負けない企業となるための主な取り組みは次の3つから始めましょう。
原価管理で利益確保と価格転嫁に取り組む
まずは販売価格への転嫁(値上げ)を検討しましょう。
価格転嫁は販売先における理解が重要です。
燃料高によるコスト上昇に対して価格転嫁が実現した企業は18.0%、一部転嫁できた企業を含めても51.8%です。
販売先が理解を示しやすくなるためには、値上げを申し出る企業側が根拠となる数字を準備しておく、つまり自社の原価を把握する必要があります。
自社の原価を適切に把握することで、販売先との価格交渉だけでなく、適切な価格設定が可能となる、自社でできるコストダウンのポイントが見えてくるなどのメリットがあります。
【参考】中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査(2024年6月25日)|日本商工会議所
賃上げだけではない人材活性化に取り組む
エネルギー価格の上昇に加えて経営者の悩み事となっているコストが人件費の上昇です。
賃上げによる人件費の増加は、従業員の生産性向上によりカバーしましょう。
中小企業ができる賃上げ以外の人材活性化の主な例は次のとおりです。
- 従業員がスキルアップできる人材育成制度を導入する
- 補助金・助成金を活用し、生産性を向上させる投資をおこなう
- 従業員満足度調査で適性にあった業務を任せる
すぐにおこないたい経費削減20項目
中小企業が今すぐできる経費削減の打ち手20選は次のとおりです。
①法人カードで経費精算
②請求書、見積書などのデジタル化
③経理業務、総務事務のアウトソーシング
④従業員の通勤手当の適正化
⑤接待交際費の見直し
⑥ETCの利用
⑦航空機のマイレージで出張する
⑧タクシー利用の削減
⑨固定電話をIP電話へ変更
⑩ペーパーレス化で紙代・事務用品代を削減
⑪不要なサブスクサービス、保守契約を解約
⑫通信契約の不要なオプションを外す
⑬通信費(インターネット)は乗り換え割引を活用
⑭経費精算システムの導入
⑮コピー機などの事務機器は中古を活用
⑯室内照明をLED照明へ変更
⑰エアコンの定期清掃
⑱オンライン会議で出張費用を削減
⑲紙の支払手形を電子記録債権(でんさい)へ切り替え
⑳タイムカードから勤怠管理システムへ変更
プロが教える経営改善の打ち手はF&M Clubにご相談ください
電気代・ガス代の負担軽減策が打ち出されましたが、2024年8月分から10月分までのわずかな期間だけが対象です。
そのため企業は今回の電気代・ガス代補助金の終了後を見据えて、価格転嫁や経費削減に取り組むことが求められます。
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