借入と融資の違いとは?メリットデメリット、審査の流れをわかりやすく解説
借入と融資はどちらもお金を借りるという意味ですが、使い方が異なります。また借入は資金不足や投資のときに必要となりますが、借りるときに注意しておきたいポイントがあります。
本記事では、借入と融資の違いと借入のメリットデメリット、お金を貸す側である金融機関の着眼点と、借入を減らす資金繰り改善策について解説します。
また、資金繰り改善策を「劇的に成長した企業がやっている プロが教える財務の打ち手31選」にて網羅的にまとめました。合わせてご確認ください。
目次[非表示]
- 1.借入と融資の違い
- 2.借入・融資のメリットデメリット
- 2.1. 借入・融資のメリット
- 2.2.借入・融資のデメリット
- 3.必要な資金を借り入れするまでの流れ
- 3.1.資金使途・返済予定を立てる
- 3.2.金融機関への融資申し込み
- 3.3.金融機関の審査
- 3.4.借入の契約
- 3.5.契約条件とおりに返済
- 4.赤字でも借入できる?金融機関の審査目線とは
- 4.1.金融機関は貸借対照表を重視
- 4.2.金利条件を左右する格付とは
- 4.3.CRDスコアで自社に対する評価を知る
- 4.4.赤字決算でも融資は受けられる?
- 4.5.計画書、資金繰り表が審査を円滑とする理由
- 5.借入を減らすためにおすすめの資金繰り改善策6つ
- 5.1.値上げ
- 5.2.経費削減、在庫削減
- 5.3.売上入金時期を早める
- 5.4.支払い時期を遅めに設定する
- 5.5.借入以外の資金調達を検討する
- 5.6.融資を借換する
- 6.借入や資金繰りの改善策はF&M Clubがワンストップでサポート
借入と融資の違い
借入と融資はどちらもお金を借りるときに使う言葉です。
借入という言葉は、お金を借りる行為を借りる側からみたときに多く使われます。また個人が生活費などを借りる場合についても借入と呼ばれます。
融資とは、お金を貸す側からみたときの、お金を貸す行為や商品を指すことが多い言葉です。主に事業のために必要となるお金を貸す場合に多く使われ、事業のために使用する事業用資金を借り入れるときは融資を受けるといいます。
事業経営の場面において使い分けると、お金を借りるときは借入、金融機関がお金を貸すときは融資となります。
借入がしやすく、または融資を受けやすくするためには、融資が円滑に進む会社になる準備をしておくことをオススメします。
借入・融資のメリットデメリット
企業は借入を利用して規模を大きくするなどのメリットがありますが、借りたお金については、利息をつけて返済する義務があります。
経営における借入の主なメリットデメリットは次のとおりです。
借入・融資のメリット
お金を借りることの主なメリットは次のとおりです。
- 資金が不足しているときの穴埋めができる
- 設備の購入費用など自己資金で用意できない大金を準備できる
- 金融機関からの信用を積むことで、次回の借入につながる
借入・融資のデメリット
借入のデメリットは次のとおりです。
- 返済する必要がある
- 利息を支払う必要がある
- 借入するためには金融機関などの審査が必要となる
- 借入が入金されるまで時間がかかる
- 返済できない場合、次の融資を受けられないなど信用が低下する
必要な資金を借り入れするまでの流れ
事業資金の融資を受けるときは手続きが必要です。金融機関から借入するときの一般的な流れは次のとおりです。
資金使途・返済予定を立てる
資金使途とは、借りたお金の使い途のことです。金融機関から借入する場合は必ず問われます。借りたお金を何に使い、その後どうやって返済していくか、返済は無理なく継続できるか事前に計算します。
金融機関への融資申し込み
金融機関へ借入を相談します。事業用資金を借りることができる金融機関は、次のとおり多くあり、金融機関の種類ごとに特徴があるため、自社に合った金融機関へ相談してみましょう。
借入を相談するときは、事業用資金の預金口座を開設している金融機関から相談することがおすすめです。
金融機関の種類 |
主な特徴 |
メガバンク |
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地方銀行 |
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信用金庫・信用組合 |
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日本政策金融公庫 |
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商工組合中央金庫 |
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金融機関の審査
借入を申し込んだ金融機関が内部で審査をおこないます。
審査においてはさまざま資料の提出を求められるため、事前に準備しておきましょう。
借入の契約
融資の審査に通過すると、融資ができるとの連絡が入ります。その後、借入の契約手続きをおこない、自社の預金口座へ借入が振り込まれます。
契約条件とおりに返済
借入したあとは、借入時に決まった返済条件とおりに元金返済と利息の支払いをおこないます。
赤字でも借入できる?金融機関の審査目線とは
借入のときに、経営者が気になる事項のひとつが「赤字でも借入できるか」についてです。
金融機関における融資の審査基準は非公開であるため、自社のことを金融機関がどのように評価しているか気になることでしょう。
金融機関が融資の審査において注目している一般的な内容は、次のとおりです。
金融機関は貸借対照表を重視
経営者の多くは損益(収支)を重視しますが、金融機関は損益(収支)だけでなく、財務についても重視します。
決算書でいえば、金融機関は損益計算書と貸借対照表の両方を重視するということです。金融機関は損益計算書で利益(返済能力)を測定し、貸借対照表で資金繰り(お金の出入り)を推測するイメージです。
金利条件を左右する格付とは
借入を返済するときは、同時に利息の支払いが必要です。利息は主に「残高×利率(%)」で計算されます。
借入の利率は、借入する企業の信用力や借入する期間、担保や保証人の有無により大きく異なります。借入の利率を決定する大きな要素が「格付」と「債務者区分」です。
格付とは、企業の信用力を数値化してランク付けしたものであり、この格付に応じて、融資の利率や債務者区分が決まります。
例として、信用保証協会が公表している「料率区分」(金融機関における格付と同じもの)と、区分に応じた保証料率は次のとおりです。
【引用】信用保証料率表|東京信用保証協会
CRDスコアで自社に対する評価を知る
金融機関や信用保証協会が採用している格付の計算モデルとして「CRDスコア」が有名です。CRDスコアは中小企業についての統計のひとつで、すべての信用保証協会など165金融機関が採用しています。
CRDスコアに準拠した決算分析をおこなうことで、金融機関から自社に対する評価を推し量ることが可能です。
赤字決算でも融資は受けられる?
赤字決算となっている企業が金融機関から借入することは可能です。例えば、創業直後で赤字となった企業、災害や資産売却などにより一時的に赤字となった企業などです。
しかし、上記と異なり、2期以上連続して赤字の企業は融資の審査が厳しくなるといえます。
審査においては経営改善の打ち手を明確に説明する、事業計画書を提出するなどの入念な準備が必要です。
融資を断られる理由や対策方法を把握して、準備しておきましょう。
計画書、資金繰り表が審査を円滑とする理由
金融機関から円滑に借入するためには、事業計画書や資金繰り表を提出することが効果的といえます。当面のお金の出入りや今後の返済見通しを明確に説明することで、金融機関の内部で審査時にレポートを作成しやすくなるためです。
借入を減らすためにおすすめの資金繰り改善策6つ
2024年7月に日銀が追加利上げを発表しました。これに伴い、金融機関が融資の利率を決める基準である「短期プライムレート」を引き上げる動きが相次いでいます。
利上げは変動金利で借入している融資の利率が上がることとなり、企業が支払う利息が増えますが、借入を減らすことで支払う利息を削減することが可能です。
企業が借入を減らす主な方法は、資産の売却または資金繰りの削減であり、中小企業における資金繰り改善策の主な改善策は下記の6つです。
値上げ
販売価格を引き上げることで収入を増やす方法です。
原料価格や電気代、人件費などのコストが上昇している分の価格転嫁を含めて、適正な販売価格への見直しを検討します。
経費削減、在庫削減
社外へ支払うお金を減らす方法の代表例が経費や仕入代金の削減です。
使っていないサービスを解約する、照明をLED照明へ変更するなど、不要な支出の削減やより支出が少ない方法への切り替えを検討します。
また、仕入価格の値引きや在庫として保管する量を引き下げることも検討しましょう。
売上入金時期を早める
入ってくるお金のタイミングを早めることで、資金繰りを改善する方法です。
売掛金が入金されるまでの期間が長い場合は、なるべく早めに支払ってもらうよう、相手先と交渉しましょう。
支払い時期を遅めに設定する
支払い時期を遅らせることで資金繰りが改善します。例えば仕入後すぐに支払っている代金を月末締め翌月末支払いとするなどです。
借入以外の資金調達を検討する
借入は返済が必要となるため、返済しなくてよい資金調達方法を検討します。代表例はクラウドファンディングや増資などです。
融資を借換する
利益が上がっているのにお金が貯まらないとなる主な理由のひとつが、利益以上に借入金を返済している場合です。
この場合は、返済中の借入を新たな借入へ乗り換える借換によって、返済額を減らせる可能性があります。
主な改善策のほかにも、細かな打ち手はたくさんあります。自社にあった手を打つためには、まずどんな選択肢があるかを知ることが重要です。「劇的に成長した企業がやっている プロが教える財務の打ち手31選 」がお役に立てるかもしれません。
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