法人で借入する方法とは?必要書類から審査の流れとポイントを解説
法人がおこなう資金調達の多くは金融機関からの借入です。円滑な借入は企業の安定や成長に貢献しますが、もしも借入に失敗した場合は、企業や保証している経営者の破産を招く可能性があります。
本記事では法人で借入する方法、審査の流れと必要書類、借入の審査をより円滑とするポイントについて解説します。
また、資金繰り改善策を「劇的に成長した企業がやっている プロが教える財務の打ち手31選」にて網羅的にまとめました。合わせてご確認ください。
目次[非表示]
- 1.法人が借入で資金調達する方法
- 1.1.カードローン
- 1.2.ビジネスローン
- 1.3.民間金融機関(銀行など)の融資
- 1.4.政府系金融機関(日本政策金融公庫など)の融資
- 1.5.地方公共団体の融資
- 1.6.保証協会からの融資
- 2.法人が融資を受けるまでの流れ
- 2.1.金融機関への相談
- 2.2.審査で必要となる書類の準備
- 2.3.融資の申込み
- 2.4.金融機関の審査
- 2.5.借入の契約
- 3.法人が借入するときに必要となる書類
- 4.法人の融資審査で高く評価されるポイント5点
- 4.1.資金繰り表・事業計画書は評価が高い
- 4.2.自社の事業内容、財務状態はわかりやすくする
- 4.3.金融機関が納得するポイントは「収支見通し」と「投資目的」
- 4.4.社外の専門家の力を借りる
- 4.5.経営者自身への評価
- 5.保証人なしの融資は約3割!法人の借入で保証人なしとする方法
- 5.1.保証人なしの融資は約3割
- 5.2.保証人不要の基準に該当する企業は約5割
- 5.3.連帯保証人なしの融資制度を使う
- 5.4.経営者保証ガイドラインで保証人を外す
- 5.5.自社の財務を改善させる
- 6.借入審査で高評価となるには?財務が良くなるヒントはF&M Clubを活用
法人が借入で資金調達する方法
中小企業における資金調達方法としては金融機関からの借入が多くを占めています。中小企業庁の発表によると、資金調達方法のうち借入が占める割合は中規模企業においては33.9%、小規模企業は60.2%となっています。
法人が借入する主な方法は次の6つです。
カードローン
個人向けのカードローンと同じく、法人が事業用資金をATMや振込により借入する方法です。
カードローンによる資金調達のメリットは、無担保・無保証人が主流、限度額の範囲内で借入と返済が自由、即日融資など審査期間が短いなどです。デメリットは金利水準がやや高め、借入金額が少額であるなどです。
ビジネスローン
カード会社や消費者金融、信販会社などノンバンク、一部の金融機関が扱っている事業資金向けの融資のことです。
カードローンよりも融資上限額が高額となることが多い、金融機関からの一般的な融資と比べると審査が簡便または早いことが多いなどのメリットがありますが、金利が高め、融資限度額が少ないことが多いなどのデメリットがあります。
民間金融機関(銀行など)の融資
銀行や信用金庫など民間金融機関による審査を受けて借入する方法です。
カードローン、ビジネスローンなどよりも審査のハードルが上がるほか、担保や保証人を求められることがありますが、より高額の融資を受けることが可能です。
金融機関からの借入を大きく分けると次の3種類です。
- 手形貸付(手形借入)
企業が金融機関へ手形を差し入れし、その金額を借入する方法です。
- 当座貸越(当座借越)
企業が金融機関と当座貸越契約を結び、その限度額の範囲内で融資・返済を自由におこなうことができる方法です。
- 証書貸付
借入ごとに利率や返済方法などを取り決め、企業と金融機関が契約を結ぶ方法です。
政府系金融機関(日本政策金融公庫など)の融資
政府系金融機関とは国が政策的な目的に基づいて設立した金融機関のことです。日本政策金融公庫や商工中金(商工組合中央金庫の略称)が代表的です。
政府系金融機関が扱っている融資は、借入できる企業の条件や使い途、融資期間などがあらかじめ定められている制度融資が主です。
地方公共団体の融資
都道府県や市区町村が独自の融資制度を設けていることがあります。
地方公共団体が審査するわけではなく、取り扱っている民間金融機関、信用保証協会などが申込みの受付、審査などをおこないます。
保証協会からの融資
信用保証協会からの融資という言い方がありますが、正確には保証協会が融資するわけではありません。
企業が民間金融機関から借入するときに、公的な機関である信用保証協会が保証人となることで企業が借入しやすくなる仕組みです。
信用保証協会は保証するか否かを独自に判断しています。
どのように使い分けるべきか迷った場合は、「借入金は種類が豊富!自社に合う借入金の種類と使い分けポイントを解説! 」もご覧ください。
法人が融資を受けるまでの流れ
法人が金融機関から借入するまでの一般的な流れは次のとおりです。
金融機関への相談
金融機関の窓口で相談する、融資の担当者に来社してもらうなどの方法で接触し、借入を相談します。
自社の事業内容を説明する資料や決算書などを準備しておくと、よりに明確に説明することができます。
審査で必要となる書類の準備
金融機関が融資の審査を進めるために、法人に関するさまざまな書類を提出します。
金融機関が融資の可否を判断するうえで、資料は単なるデータ以上の意味をもっています。
企業における資料の作成が早いか、どの程度詳しい資料を社内でもっているかなども金融機関はみています。
融資の申込み
審査のための書類を整え、借入の申込みをします。
金融機関の審査
金融機関による融資の審査は提出された資料のほか、経営者との面談結果などを踏まえて総合的に判断されます。
借入の契約
金融機関の審査に通過すると、金融機関と融資の契約をおこないます。契約は借用証書へ企業が押印・署名するのみの場合と、企業と金融機関の双方が押印する場合があります。
はじめて借入する金融機関の場合は、同時に銀行取引約定書による基本契約を結びます。銀行取引約定書とは、金融機関との継続取引契約のことです。
法人が借入するときに必要となる書類
法人が金融機関から借入するときに必要となる主な書類は次のとおりです。
金融機関へ提出する書類に不備や不足があると審査期間が長引きます。また提出するときは下記について事前に確認しておきましょう。
- 提出期限はいつまでか
- 原本かコピーか
- 金融機関所定の様式があるか
- 提出法は紙かデータか
法人が借入するときに金融機関へ提出する主な書類 |
登記事項証明書(履歴事項証明書など4種類) |
印鑑証明書 |
定款 |
納税証明書(6種類) |
会社紹介、会社パンフレット |
許認可証 |
決算書 |
資金繰り表 |
試算表 |
事業計画書 |
借入の使い途、借入の効果などを説明する資料 |
法人の融資審査で高く評価されるポイント5点
法人が金融機関から融資を受ける際、金融機関から評価される主なポイントは次のとおりです。
資金繰り表・事業計画書は評価が高い
事業計画書や資金繰り表を作成し提出すると、金融機関から評価されやすくなります。
事業計画と資金繰り表は金融機関が重視する資料であるとともに、「自社のことを把握している」「経営者や従業員がしっかりとしている」とみられるためです。
自社の事業内容、財務状態はわかりやすくする
事業の内容や財務の現状をわかりやすく表示した資料は評価が高くなります。
金融機関が融資の可否を決めるレポートを作成するときに参考となり、レポートの作成が円滑にすすむためです。
金融機関が納得するポイントは「収支見通し」と「投資目的」
法人が借入するときに金融機関へ重点的に説明している内容は次の5つです。
- 今後の収支見通し
- 投資目的
- 経営課題とその対応方針
- 投資計画を踏まえた返済見通し
- 足元の財務内容・収支状況
借入が円滑にすすむ企業は、上記のうち「今後の収支見通し」と「投資目的」を重点的に説明しています。
社外の専門家の力を借りる
金融機関へ提出する資料において大切な点は、数値が正確、課題と解決策が一貫しているなどです。自社で作成することが難しい場合は、資金調達に詳しい税理士など専門家を活用しましょう。
経営者自身への評価
金融機関へ資料を説明するときは、法人の代表者など責任がある立場の人がおこないましょう。
法人の借入においては、代表者が経営上の課題や計画を理解しているかなども審査されているためです。
保証人なしの融資は約3割!法人の借入で保証人なしとする方法
経営者としては、法人の借入時に経営者保証が必要となるか、気になるでしょう。
経営者保証とは、法人として金融機関から借入するときに経営者個人が法人の借入を連帯保証することです。
もしも法人が倒産した場合は経営者個人が返済を求められ、返済できないときは個人としても破産することとなります。
法人で借入する場合に経営者保証は必須ではありません。ただし法人が経営者保証なしで借入するためには財務面が良好であることが求められます。
保証人なしの融資は約3割
中小企業庁が発表した資料によると、中小企業が民間金融機関から借入するときに経営者が保証している割合は67%です。33%は経営者保証なしで借入しています。
また信用保証協会の保証が付いている融資のうち71%について経営者が保証しています。
【引用】中小企業政策審議会金融小委員会今後の間接金融のあり方について(2023年6月29日)|中小企業庁
保証人不要の基準に該当する企業は約5割
経営者が連帯保証している法人の借入のうち48.3%は経営者の保証が不要となる要件(金融機関連携型)を満たしていると中小企業庁が発表しています。
【引用】ウィズコロナ・ポストコロナの間接金融のあり方について(2022年6月)|中小企業庁
連帯保証人なしの融資制度を使う
法人が借入している融資の経営者保証を後から外してもらうことが難しい場合があるため、最初から経営者保証が不要の借入を検討しておきましょう。
借入時点から経営者個人の保証が不要となる『事業者選択型経営者保証非提供制度』などがあります。
経営者保証ガイドラインで保証人を外す
経営者保証ガイドラインとは、経営者保証が不要となる3つの要件をまとめた参考となる基準のことです。3つの要件とは次のとおりです。
- 資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に分離
- 法人のみの資産や収益力で返済可能
-
適時適切な財務情報の開示
自社の財務を改善させる
法人が借入するときに経営者の保証なしとするために最も確実な方法は、法人の財務を改善させることです。自社の財務を改善させる主なメリットは次のとおりです。
【法人の財務を改善させるメリット】
- 借入利率が低くなる
- 法人の借入に経営者保証が不要となる
- 信用保証協会の保証が不要または保証料が安くなる
借入審査で高評価となるには?財務が良くなるヒントはF&M Clubを活用
法人で借入するときに次のようなお悩みをお持ちではありませんか。
「融資を断られた理由がわからない」
「事業計画を提出してほしいといわれたが、作り方がわからない」
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