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日本政策金融公庫や銀行の融資が断られるこれだけの理由

コロナ禍で経営に行き詰りつつある中小企業の経営者や、失業を余儀なくされた人がスタートアップ企業を立ち上げる際、資金調達面で心強い存在となっている日本政策金融公庫が注目されています。

日本政策金融公庫の設立目的や理念から、当該融資の審査は甘いと考える経営者がいらっしゃることも事実です。

しかし、実際には審査落ちしてしまう会社もあり、融資を断られる理由は大きく2つに分類できます。

当記事では日本政策金融公庫融資の特徴をあげながら、審査がおらない企業や経営者の特徴を紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.日本政策金融公庫の融資審査が甘いと考える経営者が多い理由
  2. 2.日本政策金融公庫の融資の特徴
    1. 2.1.日本政策金融公庫の基本となる3つの融資事業
      1. 2.1.1.1.国民生活事業の主な融資
      2. 2.1.2.2.中小企業事業の主な融資
      3. 2.1.3. 3.農林水産事業の主な融資
    2. 2.2.新型コロナウイルス感染症特別貸付もある
      1. 2.2.1.国民生活事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要
      2. 2.2.2.中小企業事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要
  3. 3.日本政策金融公庫の融資で断られる2つの理由
    1. 3.1.信用情報の毀損・返済遅延・滞納・融資返済の滞り実績
    2. 3.2.経営方針や経営計画に乖離がある
      1. 3.2.1.1.経営計画や事業計画に矛盾が生じている場合
      2. 3.2.2.2.面談時に融資資金活用をしっかりと説明できない場合
      3. 3.2.3.3.自己資金がほぼない場合
  4. 4.融資審査が通りやすい経営体質が会社を発展に導く
  5. 5.F&M Clubでは財務サポートをおこなっています
  6. 6.まとめ


日本政策金融公庫の融資審査が甘いと考える経営者が多い理由

一般的に金融機関の融資は担保や保証そして実績を重視する傾向にあります。

資金繰りの苦しい会社やスタートアップ企業への融資のハードルが高いことが良い例といえます。

日本政策金融公庫は一般の金融機関融資のハードルを超えられないとされる企業や経営者の受け皿とする一面もあり、「融資審査が甘い」と認識されがちです。

結論からいうと、日本政策金融金庫は一般の金融機関と比較して融資審査が甘いことは確かです。

しかし、一般金融機関の融資と比較しての仮定であり、融資審査を通過しない企業や経営者が存在することも事実です。

「借入の審査過程の本質は銀行融資とほぼ同じである」と認識しておきましょう。


日本政策金融公庫の融資の特徴

日本政策金融公庫中小企業の発展支援やグローバル化支援を通して、国民経済の成長をもたらすことを目的として設立されました。

一般の金融機関の融資はハードルが高いとする会社経営者にとっては、日本政策金融公庫の融資は頼みの綱といえます。

多くの会社経営者や個人事業主が頼る日本政策金融公庫融資は、従来型の融資と新型コロナウイルス支援融資の2つに分類できます。

日本政策金融公庫の基本となる3つの融資事業

日本政策金融公庫の従来型の融資事業は以下の3つから構成されています。

この融資制度を利用して成長を果たした企業は数多く、経営者として積極的に活用したいところです。

資金繰り面で課題を持つ企業が企業経営のステップとして融資制度を活用し、事業拡大や経営課題の打開に期待がもてる融資制度ともいえます。

1.国民生活事業の主な融資

国民一般向けの融資事業であり、融資資金の活用用途が広い特徴があります。

個人事業主向け融資が該当し、主に下記の2点の支援が受けられます。

  • 小口の事業資金融資
  • 創業支援、事業再生支援、事業承継支援、ソーシャルビジネス支援、海外展開支援

さまざまな場面で融資を受けられる可能性があります。

個別具体的なものに関してはご相談されることをおすすめします。

2.中小企業事業の主な融資

中小企業に対する中長期事業資金の融資を通し、企業経営を応援する目的の融資事業です。

主に以下の資金繰り支援をおこなっています。

  • 新事業支援、事業再生支援、事業承継支援、海外展開支援、証券化支援

上記の資金繰り援助を通して中小企業を支えています。

なお、1.国民生活事業との主な違いは、個人事業向けか法人向けかの違いです。

 3.農林水産事業の主な融資

日本政策金融公庫の融資事業は農林水産事業者向けの融資も実施しています。

第一次産業の課題解決のための融資を積極的におこなっています。

  • 事業の担い手を育てて支える農林水産業者向けの融資
  • 食の安全確保や農食連携を支える加工流通分野向けの融資

衰退する日本の第一次産業の立て直しに寄与する融資制度として期待がかかります。



新型コロナウイルス感染症特別貸付もある

新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の規制により、経営面で大打撃を被る中小企業が後をたちません。

資金不足により存続危機を招きかねない企業が多くあり、日本経済全体の課題として懸念されており、日本政策金融公庫は打開策として国民生活事業と中小企業事業に新型コロナウイルス特別貸付を加えた経緯があります。

国民生活事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要

国民生活事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用するための要件は以下のとおりです。

融資条件の変更や郵政制度そのものの廃止もありえる融資です。

融資制度の利用を検討している経営者は、融資制度の概要確認や借入対策も含め早めの対応が求められます。

【図表1】新型コロナウイルス感染症特別貸付(国民生活事業)の概要

対象者

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している方であって、次の1または2のいずれかに該当し、かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる方


1.最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高が前4年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方

2.業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高(業歴6ヵ月未満の場合は、開業から最近1ヵ月までの平均売上高)が次のいずれかと比較して5%以上減少している方

(1)過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高

(2)令和元年12月の売上高

(3)令和元年10月から12月の平均売上高

資金使途
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および運転資金
融資限度額
8,000万円(別枠)
利率(年)

基準利率

ただし、6,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%(注)、4年目以降は基準利率

返済期間

設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)


運転資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
担保
なし
(注)一部の対象者については、基準利率-0.9%の部分に対して中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることにより、当初3年間が実質無利子となります。

【参考】新型コロナウイルス感染症特別貸付(国民生活事業)|日本政策金融公庫

個人事業主は国民生活事業の申込対象になります。

中小企業事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要

中小企業向けの新型コロナウイルス感染特別貸付は下記のとおりです。

【図表2】新型コロナウイルス感染症特別貸付(中小企業事業)の概要

対象者

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、次のいずれにも当てはまる方


1.最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含む。)の平均売上高が前4年のいずれかの年の同期に比し5%以上減少していることまたはこれと同様の状況にあること(注1)

2.中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること

資金使途

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および長期運転資金

長期運転資金には、建物等の更新に伴い一時的に施設等を賃借するために必要な資金を含みます。
融資限度額
直接貸付 6億円
利率(年)

基準利率

ただし、3億円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%(注2)、4年目以降は基準利率

返済期間
20年以内(うち据置期間5年以内)
担保等
無担保
融資の申込み

直接貸付

日本公庫各支店の中小企業事業の窓口

(注1)業歴が3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含む。)の平均売上高(業歴6ヵ月未満の場合は、開業から最近1ヵ月までの平均売上高)が、次のいずれか(※)と比較して5%以上減少していることをいいます。


① 過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む。)の平均売上高

② 令和元年12月の売上高

③ 令和元年10月~12月の平均売上高


(注2)一部の対象者については、基準利率-0.9%の部分に対して中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることにより、当初3年間が実質無利子となります。

【参考】新型コロナウイルス感染症特別貸付(国民生活事業)|日本政策金融公庫

法人化されている企業の適用対象は中小企業事業です。

日本政策金融公庫の融資で断られる2つの理由

経営者や個人事業主が資金繰りに困った時こそ頼りにしたい融資が日本政策金融公庫の融資です。しかし、当該融資であっても銀行の一般融資と同じように審査があることはいうまでもありません。

日本政策金融公庫における融資と銀行融資の審査方法や基準に共通点が見受けられるかぎり、融資するに値しない企業や経営者がいることも確かです。

どのような企業や経営者が融資するに値せず、融資申込を断られてしまうかは大きく分けて2つに分類できます。

信用情報の毀損・返済遅延・滞納・融資返済の滞り実績

支払の滞納などは、返済面での信頼を失墜しかねません。下記の具体例を確認しましょう。

  1. 経営者の信用情報が信用情報機関の信用情報に問題がある場合
  2. 税金を滞納する、多数の延滞実績がある場合
  3. 公共料金の支払いを滞納してる、多数の延滞実績がある場合

税金の滞納や公共料金の滞納など、信用情報にひびく支払いの延滞は避けなくてはいけません。

経営方針や経営計画に乖離がある

貸付による資金使途が適正な目的で使われるかについて、金融機関は細かく確認します。

以下、金融機関が厳しく確認する内容を確認しましょう。

1.経営計画や事業計画に矛盾が生じている場合

融資した資金が借り手である会社にとって有効に活用できるかを審査しています。

経営計画や事業計画に乖離があると融資が断られる要因になりかねないため、融資を受けるための準備は重要です。

経営計画や事業計画と照らし合わせ、融資を受けることがどのような効果や期待をもたらすかを説明できるようにしておくことが求められます。

※金融機関にとって費用対効果はもっとも重視するひとつといえるため

融資の申込先が日本政策金融公庫だとしても、同じ認識でいることが融資審査にとおる最低限の認識と理解しましょう。

2.面談時に融資資金活用をしっかりと説明できない場合

融資する金融機関側の懸念は、融資資金がしっかりと事業計画にのっとったものに充てられるかです。

融資資金の活用がしっかりと説明できないと、資金使途が不透明と判断されて融資を断られる可能性が高まります。

なぜ融資を受けるかを融資申込みの前にしっかりと整理しておく必要があります。

3.自己資金がほぼない場合

いくら資金繰りがおもわしくないとはいえ、ある程度の余剰資金を持つことは重要です。

融資元である金融機関は、返済面を考慮する上でも会社や経営者の余剰資金の確認は重要事項とされます。

返済の目途を確認してもらう意味でも、日頃から余剰資金を準備しておく心構えが必要です。



融資審査が通りやすい経営体質が会社を発展に導く

金融機関から融資を受けられないから日本政策金融公庫を頼るということは間違ってはいません。しかし、融資審査を受ける意味においてはなんら変わりありません。

融資基準も一般の金融機関と基本的には大きく変わらないため、いざ融資を受けるときに困らないように身を引き締めておく必要があります。

日本政策金融公庫や一般の金融機関の融資条件の共通点は、財務面での健全性といえます。

財務面の健全性は会社だけにとどまらず、経営者の財務的な健全性を高めておくことも融資を受ける上で大事な要素です。

日本の99%は中小企業といわれていますが、その多くの経営者が中小企業だからこそ活用できる融資制度や補助金を利用しています。

融資申込時に困らないよう、経営者が日頃から会社の財務体質をプロに相談することも効果的な取り組みとなります。

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まとめ

日本政策金融公庫で融資を受けることに対し、楽観視している経営者が多く見受けられます。

確かに日本政策金融公庫は、金融機関でなかなか融資を受けられない会社や経営者の受け皿としての側面もあります。

しかし金融機関における融資同様、貸付審査があることを忘れてはなりません。

融資の申込時に困ることがないよう、会社のみならず経営者の支払いの滞りや財務の健全性を高めておく必要性が求められます。


 





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