
融資の借り換えとは?メリットや審査のポイントまでわかりやすく解説
中小企業の資金繰り改善方法のひとつが融資の借り換えです。事業資金として借り入れしている融資の返済で資金繰りが厳しい企業の場合、融資を借り換えすることで、借入金の元金返済を軽くできる可能性があります。
本記事では、融資の借り換え方法や借り換えローンの審査ポイント、借り換えするときの注意点について解説します。
目次[非表示]
- 1.「借り換え」とは?借り換えのメリットデメリット
- 1.1.借り換え方法は大きく2つ
- 1.2.借り換えと追加融資・リスケジュールの違い
- 1.3.借り換えのメリット
- 1.4.借り換えの具体例
- 1.5.借り換えのデメリットと注意点
- 2.融資の借り換え方法
- 2.1.民間金融機関(銀行、信用金庫、信用組合など)
- 2.2.日本政策金融公庫
- 2.3.信用保証協会
- 2.4.消費者金融(ノンバンク)
- 3.借り換えの審査のポイント
- 4.コロナ融資はいつまで借り換えできる?もうできない?
- 5.融資の借り換え以外の資金繰り改善策
- 6.融資の借り換えでよくある質問
- 6.1.借り換えローンはデメリットがある?
- 6.2.日本政策金融公庫の融資で借り換えするとバレる?
- 6.3.個人事業主も借り換えできる?
- 7.F&M Clubのサービスを活用
- 8.まとめ
「借り換え」とは?借り換えのメリットデメリット
融資の借り換えとは、現在返済している融資を新しい融資(借り換え融資)で一括返済し、新しい融資へ切り替えることです。
借り換えは、返済中の融資を別の融資へ借り換える場合と、複数の融資をひとつの融資へまとめて切り替える場合があります。
借り換え方法は大きく2つ
現在返済中の融資を借り換えする方法は大きく分けて次の2つです。
- 融資を受けている金融機関から新しく借り換え融資をしてもらう
- 返済している金融機関とは別の金融機関から新規融資を受けて乗り換える
借り換えと追加融資・リスケジュールの違い
借り換えとは、新しい融資へ乗り換えることです。今まで返済していた融資は新しい融資で完済するため、新たに借り入れした融資が残ります。
追加融資とは、今ある融資とは別に融資を受けることです。借り入れや元金返済は2つ以上となり、新たに元金返済が増えることとなります。
リスケジュールとは、返済している融資の元金返済額を減額してもらうことです。元金返済が難しくなっている企業が利用することが多く、自社の信用が低下するなどのデメリットがあります。
借り換えのメリット
借り換えのメリットは元金返済額を減らせる可能性があることです。特に利益以上の元金返済で資金繰りが厳しい企業においては、有効な資金繰り改善策となります。
借り換えのメリットをまとめると次のとおりです。
【融資を借り換えするメリット】
- 元金返済額を減らせる可能性がある
- 複数の融資をまとめることで融資数が減り、返済管理が楽となる
- 借り換え融資の利率が良い場合、金利支払い額を減らすことができる
借り換えの具体例
借り換えの具体例は次のとおりです。
【借り換え前】
A銀行からの融資残高500万円、月元金返済額20万円
A銀行からの融資残高300万円、月元金返済額15万円
合 計:融資残高800万円、月元金返済額35万円
↓
【借り換え後】(A銀行から800万円の借り換え融資を受けて期間5年間で返済)
A銀行:融資残高800万円、月元金返済額13万円
上記の例では、融資残高が増えることなく、元金返済額を22万円減らすことができています。
借り換えのデメリットと注意点
借り換えは自由にできるとは限りません。また借り換えによって次のようなデメリットが発生することがあるため、事前に金融機関や詳しい専門家へ相談することがおすすめです。
【融資を借り換えするデメリットと注意点】
- 借り換えできない場合がある
- 借り換え融資を受けるための審査が必要であり、時間がかかることがある
- 借り換え融資の条件によって、現状よりも利率が高くなることがある
- 借り換えに伴い手数料が発生することがある
融資の借り換え方法
事業資金の融資を借り換えするときの主な相談先となる金融機関は次のとおりです。
民間金融機関(銀行、信用金庫、信用組合など)
現在融資を受けている金融機関から借り換え融資を受けることが一般的です。
それ以外に、融資を受けている金融機関とは別の金融機関から借り換え融資を受けて、金融機関ごと乗り換える場合があります。この場合、融資を返済することとなる金融機関との信頼関係を損なう可能性があることに注意しましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は国の制度融資を取り扱っており、借り換えできる制度と借り換えできない制度があります。
借り換えできる融資制度については、国民生活事業の借り換え融資(「おまとめ融資」または「現貸」(げんがし)と呼ばれます)、中小企業事業の公庫融資借換特例制度などで借り換えできる可能性があります。
日本政策金融公庫からの融資を使い民間金融機関から受けている融資を返済した場合、資金使途違反として一括返済を求められることがあります。
信用保証協会
民間金融機関から受けている融資を信用保証協会が保証している、保証付き融資については借換保証制度があります。
信用保証協会の保証制度は種類が多く、複雑です。保証付き融資を借り換えしようと考えている場合は保証付き融資をしている民間金融機関などへ事前に相談することがおすすめです。
【参考】借換保証|全国信用保証協会連合会
消費者金融(ノンバンク)
ノンバンクから、借り換えを資金使途として認めているビジネスローンやカードローンを使って借り換えする方法があります。
ノンバンクとは、銀行や信用金庫など以外の貸付業務を専門とする金融機関のことです。
審査が通りやすい、融資までの時間が早いなどのメリットがあるものの、金利が高くなることが多いため、利用にあたっては十分に検討しましょう。
借り換えの審査のポイント
借り換え融資においても、今後の返済に支障がないかなどが審査されます。借り換え融資の審査ポイントは通常の融資と同じく、企業の財務状況や今後の見通しなどです。
主な借り換え融資の審査ポイントをまとめると次のとおりです。
【借り換え融資で審査されるポイント】
- 現在の返済状況
- 企業の財務状況
- 今後の見通しや事業計画書の妥当性
- 借り換え可能な融資(制度など)であるか
- 借り換え後の返済見通し
今後の返済見通しを説明するときは事業計画を作成しておくと効果的です。
事業計画書によって、現在の財務や借り入れ状況を踏まえて今後の資金繰り改善や返済に支障がないことを説明することができ、借り換え融資の審査が円滑となるためです。
事業計画を作成する際の主な記載事項は以下のとおりです。
- 経営者のプロフィール
- 企業ビジョン
- 事業内容
- 自社の強み
- 市場環境や競合
- 販売方法、生産方法など
- 売上に関する計画
- 利益に関する計画
- 資金調達に関する計画
コロナ融資はいつまで借り換えできる?もうできない?
コロナ融資(ゼロゼロ融資)は多くの企業が利用し、返済が負担となっている企業も多いでしょう。コロナ融資制度による借り換えは取り扱いが終了しました。
現在、資金繰りが厳しい中小企業向けの借り換え保証制度が2025年3月に見直しされ、新たな借り換え保証制度が創設されています。
コロナ融資など資金繰り支援策は2025年3月までに相次いで終了
コロナ禍で影響を受けた中小企業向けの資金繰り支援策は、次のとおり2025年1月から3月にかけて相次いで見直しされます。
- 国のコロナ融資(2024年12月まで)
- 国のコロナ資本性劣後ローン(2025年2月まで)
- 国のセーフティネット融資の金利引き下げ措置(2025年3月まで)
- 経営改善サポート保証(コロナ対応)(2025年3月まで)
- コロナ借り換え保証(石川県内一部地域)(2025年3月まで)
新たな資金繰り支援策「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」
2025年3月14日、中小企業庁は新たな借り換え保証制度である「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」を発表しました。
本制度は経営改善サポート保証(コロナ対応)の後継制度となっており、保証限度額は2億8,000万円、保証料率は0.3%(国による補助後)です。
本制度を利用するためには、経営サポート会議や経営改善計画策定支援事業(405事業)によって経営改善計画を作成することが条件となっています。
【参考】経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)について(2025年3月14日)|中小企業庁融資の借り換え以外の資金繰り改善策
融資の借り換え以外の主な資金繰り改善策をまとめると次のとおりです。
追加融資
金融機関から追加で融資を受ける方法です。
現在の借入金に追加されるため、手元資金が増えるものの、毎月の返済額も増えるため注意が必要です。
繰り上げ返済
繰り上げ返済とは、融資の残高の全額を一括して支払うことです。
融資の残高を一括返済すると月々の返済がなくなります。
リスケジュール
リスケジュール(またはリスケ)とは、現在の融資の返済額を減らす方法のことです。業績悪化などで資金繰りが厳しい場合に金融機関へ申し入れ手続きをおこないます。
リスケジュールは現在の借入金を返済できない状態を意味することが多く、新規の融資を受けにくくなる可能性があります。
融資の借り換えでよくある質問
事業資金として借り入れした融資を借り換えするときの、よくある質問は次のとおりです。
- 借り換え融資(借り換えローン)のデメリットとは?
- 日本政策金融公庫の融資で借り換えするとバレる?
- 個人事業主も借り換えできる?
借り換えローンはデメリットがある?
事業資金の融資を借り換えするときに考えられるデメリットは次のとおりです。
- 手数料が発生することがある
- 返済期間が長くなり、総支払い額が増えることがある
- 借り換え融資の金利が現状よりも高い場合、利息支払い額が増える
- 借り換え融資の返済期間が現状よりも短い場合、元金返済額が増える
日本政策金融公庫の融資で借り換えするとバレる?
日本政策金融公庫から融資を受けた後、融資金の使途について確認調査されることがあります。また追加融資の申込み時に提出した決算書・申告書などで判明する可能性もあります。
日本政策金融公庫の融資を民間金融機関の借り換えに利用することは原則禁止されており、違反が判明した場合は融資金の一括返済や違約金の支払いを求められる可能性があります。
個人事業主も借り換えできる?
個人事業主であっても借り換えできることが多くあります。
個人事業主の確定申告書は貸借対照表がないことが多いため、財務状況を明確に説明できるようにしておきましょう。
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まとめ
融資の借り換えによって返済額を減らし、資金繰りを改善できる可能性があります。
人件費などのコストや金利の上昇などで企業のキャッシュフローが悪化しており、資金繰りが厳しい状態ではいずれ破綻してしまう可能性があります。そのようにならないためには、資金繰りを見直して、財務改善をおこなわなければなりません。
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