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中小企業向け資金繰り支援策|2025年1月以降はこう変わる

2025年1月から中小企業向け資金繰り支援策の重点が変わります。
コロナ対応としての資金繰り支援策が終了し、中小企業の経営改善・事業再生・成長促進を後押しすることが主な目的となり、企業は自ら資金繰り改善に力を入れる必要があります。
 
本記事では、2025年1月以降におこなわれる中小企業向け資金繰り支援策の見直し内容と、中小企業が取り組みたい資金繰り改善策について解説します。



目次[非表示]

  1. 1.2025年1月以降におこなわれる資金繰り支援策の変更
    1. 1.1.2025年1月から3月で終了する資金繰り支援策
    2. 1.2.2025年1月以降に始まる5つの資金繰り支援策
  2. 2.2025年の中小企業向け資金繰り支援策①プロパー融資と信用保証付き融資とを組み合わせた協調融資制度【創設】
  3. 3.2025年の中小企業向け資金繰り支援策②経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)【創設】
  4. 4.2025年の中小企業向け資金繰り支援策③早期経営改善計画策定支援【拡充】
  5. 5.2025年の中小企業向け資金繰り支援策④資本性劣後ローン【拡充】
  6. 6.2025年の中小企業向け資金繰り支援策⑤危機対応後経営安定貸付【創設】
  7. 7.2024年の倒産件数は1万件超!自社を倒産させない資金繰り改善策5選
    1. 7.1.値上げ
    2. 7.2.補助金・助成金で前向きな投資
    3. 7.3.借換で資金繰りを改善
    4. 7.4.“採用力”の強化と定着率の向上
    5. 7.5.賃上げ・年収の壁見直し対応は助成金を活用
  8. 8.中小企業の資金繰り改善はF&M Clubがトータルでサポート


2025年1月以降におこなわれる資金繰り支援策の変更

2024年12月、中小企業庁は2025年1月以降の中小企業向け資金繰り支援策を発表しました。
2025年1月から3月にかけて、従来講じられていたコロナ対応のための資金繰り支援策が終了し、今後は中小企業が経営改善・再生・成長促進をおこなうための資金繰り支援が重点となります。


2025年1月以降に廃止される支援策と新たに講じられる支援策は次のとおりです。

【参考】資金繰り支援のご案内(2025年1月以降の支援メニュー)|中小企業庁


2025年1月から3月で終了する資金繰り支援策

2025年3月までに終了する資金繰り支援策は次のとおりです。

【2025年3月までに終了する中小企業向け資金繰り支援策】

  • 国のコロナ融資:2024年12月で取り扱い終了
  • 国のコロナ資本性劣後ローン:2025年2月まで
  • 国のセーフティネット融資の金利引き下げ措置:2025年3月まで
  • 経営改善サポート保証(コロナ対応):2025年3月まで
  • コロナ借換保証(石川県内一部地域):2025年3月まで


2025年1月以降に始まる5つの資金繰り支援策

2025年1月から4月にかけて、次の資金繰り支援策5つが新たに始まります。
 
【2025年1月以降に開始する新たな中小企業向け資金繰り支援策】

  1. 【創設】プロパー融資と信用保証付き融資を組み合わせた協調融資制度
  2. 【創設】経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)
  3. 【拡充】早期経営改善計画策定支援の対象企業
  4. 【拡充】資本性劣後ローン対象企業の拡大
  5. 【創設】危機対応後経営安定貸付制度の創設


2025年の中小企業向け資金繰り支援策①プロパー融資と信用保証付き融資とを組み合わせた協調融資制度【創設】

金融機関からのプロパー融資(保証協会の保証を付けない融資)を促進するための新たな保証制度が新設されます。
保証協会保証付きの融資と組み合わせたプロパー融資を円滑とすることで、人手不足対応などの経営改善を支援することがねらいです。
本制度の詳細は今後発表予定であり、現時点で公表されている内容は次のとおりです。

【プロパー融資と信用保証付き融資とを組み合わせた協調融資制度】


保証料率


引き下げ予定

保証上限額

2.8億円

保証期間

10年

据置期間

設備資金3年以内
運転資金1年以内

保証割合

80%

【参考】資金繰り支援のご案内(2025年1月以降の支援メニュー)|中小企業庁
【参考】2025年1月以降の中小企業向け資金繰り支援について|中小企業庁

2025年の中小企業向け資金繰り支援策②経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)【創設】

2025年3月、民間ゼロゼロ融資の借換に活用された経営改善サポート保証(コロナ対応)の取り扱いが終了します。
2025年4月からは、新たに経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)が創設される予定です。
本保証制度は中小企業活性化協議会などの支援を受けて経営改善計画を策定し、計画を実施するために必要な資金を保証協会保証付き融資で支援する仕組みです。据置期間は従来の経営改善サポート保証(コロナ対応)よりも短い3年となります。本制度の概要は次のとおりです。


【経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)の概要】



経営改善・再生支援強化型
(2025年4月創設予定)

証料率

0.3%

保証上限額

2.8億円

保証期間

15年

据置期間

3年

借換対象借入

100%保証借入を100%保証借入で借換可能

経営改善計画策定

中小企業活性化協議会の支援や経営改善計画策定支援事業(405事業)などで策定された計画が必要

【参考】資金繰り支援のご案内(2025年1月以降の支援メニュー)|中小企業庁
【参考】2025年1月以降の中小企業向け資金繰り支援について|中小企業庁


2025年の中小企業向け資金繰り支援策③早期経営改善計画策定支援【拡充】

早期経営改善計画策定支援(ポストコロナ持続的発展計画事業またはポスコロ事業)とは、認定経営革新等支援機関の資格をもつ専門家の支援を受けて経営改善計画を策定することを支援する制度です。
本事業を活用すると、企業が専門家へ支払う計画策定費用などの3分の2(上限15万円または25万円)が補助されます。
早期経営改善計画策定支援は2025年2月以降、次のとおり改正されます。

  • 民間金融機関が計画策定を支援する場合の取り扱い期限を2028年1月まで3年間延長
  • 対象企業として民間ゼロゼロ融資残高が2,000万円超の企業を追加



【早期経営改善計画策定支援の概要】(下線部が2025年2月以降の改正部分)

計画策定支援者

認定経営革新等支援機関

民間金融機関

実施期間

2025年2月から2028年1月

伴走支援

1年

3年

補助率

3分の2

3分の2

補助上限額

計画策定費用、伴走費用などの合計25万円

計画策定費用15万円

対象企業

中小企業・小規模事業者および個人事業主

  • 中小企業・小規模事業者および個人事業主
  • 民間ゼロゼロ融資の残高がある
  • 原則としてメインバンクが支援をおこなう
  • 支援金融機関の融資残高が4,000万円以上
  • 支援金融機関の融資残高のうち民間ゼロゼロ融資の保証残高が50%以上

【引用】「早期経営改善計画策定⽀援」を活⽤した⺠間⾦融機関による経営改善⽀援の更なる促進(2024年12月3日)|中小企業庁

2025年の中小企業向け資金繰り支援策④資本性劣後ローン【拡充】

資本性ローンとは、期限一括返済型(返済期間中は利払いのみで元金返済がない)である、融資残高の一部を自己資本とみることができるなどの特徴がある融資のことです。
コロナ禍における対応として創設されたコロナ資本性劣後ローンの取り扱いは、2025年2月で終了します。

2025年3月以降は通常の資本性ローンへ移行し、同時に省力化投資などに取り組む企業が対象に追加されます。


【参考】挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)|日本政策金融公庫国民生活事業

2025年の中小企業向け資金繰り支援策⑤危機対応後経営安定貸付【創設】

危機対応後経営安定貸付制度は、国のコロナ融資や返済期限が到来するコロナ資本性劣後ローンを借換できる制度融資として創設されました。2025年1月から日本政策金融公庫で取り扱っています。

本制度は融資期間が20年となっており、借換によりコロナ融資の返済負担を軽減することができます。


【参考】危機対応後経営安定貸付|日本政策金融公庫


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2024年の倒産件数は1万件超!自社を倒産させない資金繰り改善策5選

中小企業向けの資金繰り支援策が見直しされ、2025年1月以降はコロナ禍対応のための有利な支援策が終了します。
一方で中小企業の事業環境は厳しく、2024年の年間企業倒産件数は11年ぶりに1万件を超える10,006件となりました。
中小企業の経営者は、自社を倒産させないために「資金繰りの改善」に、より力を入れる必要があります。中小企業の主な資金繰り改善策は次の5つです。


値上げ

コスト高を転嫁する販売価格の「値上げ」は、利益の増加に直結するため、積極的に取り組みたい改善策です。


補助金・助成金で前向きな投資

人手不足に対応するための省人化・省力化投資を検討している企業は、投資に必要な資金の負担を軽減できるよう、補助金や助成金を積極的に活用しましょう。

2025年は、ものづくり補助金や省力化補助金の改正、事業再構築補助金の最後の公募などがおこなわれています。自社の投資計画が対象となる補助金や助成金があるかどうか、確認しましょう。
中小企業がおこなう前向きな投資を支援する、主な有名補助金は次の4つです。


  • IT導入補助金

DX化のためのシステム導入費用などが対象です。補助率は2分の1から5分の4、補助上限額は450万円です。
 
【参考】IT導入補助金2025チラシ(2024年12月版)|中小企業庁

  • ものづくり補助金

新製品の開発などによる生産性向上と賃上げに取り組むための投資が対象です。補助率は2分の1または3分の2、補助上限額は4,000万円です。
 
【参考】令和6年度補正予算ものづくり補助金チラシ|中小企業庁

  • 事業再構築補助金

新事業進出などによる付加価値の増加と賃上げに取り組む企業が対象です。補助率は2分の1または3分の2、補助上限額は1億円です。
2025年1月10日から3月26日が公募期間である13回公募が最後となります。
 
【参考】事業再構築補助金 13回公募チラシ|事業再構築補助金事務局

  • 持続化補助金

商工会議所などの支援を受けて経営計画を策定し、販路開拓などに取り組む企業が対象です。補助率は3分の2、補助上限額は200万円(共同・協業型を除く)です。
 
【参考】持続化補助金の概要(2024年12月20日)|中小企業庁


借換で資金繰りを改善

「利益が出ているのにお金が残らない」状態となっている企業もあります。よくある原因のひとつは、利益以上に借入返済をおこなっているためです。
経営改善サポート保証などを活用して借換すると、返済金額が減り、資金繰りを改善させることが可能です。


“採用力”の強化と定着率の向上

人手不足の時代であっても、円滑に採用活動をおこなっている中小企業もあります。
「応募が集まりやすい求人募集となっているか」「求職者が関心をもつような求人票を作成できているか」「従業員が定着する社内環境となっているか」などについて再確認しましょう。

求人票の記載テクニックや自社に合った求人媒体の選択、社員の人材育成制度の導入などは、専門家のアドバイスを受けることで効率的に実施できます。


賃上げ・年収の壁見直し対応は助成金を活用

賃上げや年収の壁見直しに伴い、給料・社会保険料の負担が増えている企業は、助成金の活用を検討しましょう。
助成金は種類が多く、要件が細かく定められていることが多いため、詳しい専門家のアドバイスをもらうことが効率的です。

賃上げなどが対象となる、主な助成金は次の3つです。

  • 業務改善助成金

賃上げとともに生産性向上のための設備投資をおこなうときの費用の一部が助成されます。助成上限額は600万円です。(従業員数や賃上げ幅により異なります)
 
【参考】人材確保等支援助成金 業務改善助成金(2025年度)|厚生労働省
【参考】2024年度業務改善助成金のご案内|厚生労働省
 

  • キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

パートタイム従業員など、短時間勤務の従業員が新たに社会保険に加入する際の手当支給などが助成される制度です。対象従業員1名あたり22.5万円から50万円が支給されます。(対象メニューにより異なります)
 
【参考】2025年度概算要求の概要(雇用環境・均等局)|厚生労働省

  • 人材開発助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

新規事業展開やDX化のために従業員に受講させるスキルアップ費用が助成されます。助成額は従業員1名1時間あたり960円(中小企業の場合)、経費について75%です。
 
【参考】人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)(2024年11月5日)|厚生労働省



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中小企業の資金繰り改善はF&M Clubがトータルでサポート

2025年1月以降からの中小企業向け資金繰り支援策は、借換による返済負担軽減や省力化などに取り組む企業への支援に重点が移ります。
中小企業は今後施行される新しい資金繰り支援策を活用しつつ、資金繰りを自ら改善させることが求められるでしょう。
 
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