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事業再構築補助金のグリーン成長枠とは?事例や公募要領、複数回採択などわかりやすく解説


「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルスの影響による売上減少などの影響が続く中、新規事業展開や、業態などを通じて、事業の再構築を目指す中堅・中小企業を支援する補助金制度で、コロナ渦における支援制度のひとつとしても注目されています。

また、事業再構築補助金の新たな申請類型として、令和3年度補正予算より「グリーン成長枠」が新設されました。事業再構築補助金「グリーン成長枠」について解説します。


参考:事業再構築補助⾦令和4年度第⼆次補正予算の概要│経済産業省


目次[非表示]

  1. 1.事業再構築補助金「グリーン成長枠」とは
    1. 1.1.グリーン成長戦略とは
    2. 1.2.「グリーン成長枠」の対象となる事業者
    3. 1.3.「グリーン成長枠」の補助上限額・補助率
  2. 2.事業再構築補助金「グリーン成長枠」のメリット
    1. 2.1.上限2回までの採択が可能
      1. 2.1.1.追加提出書類と審査内容
  3. 3.事業再構築補助金「グリーン成長枠」の想定事例
    1. 3.1.「水素」分野における想定事例
      1. 3.1.1.現状と課題
      2. 3.1.2.想定される申請事例
    2. 3.2.「情報通信産業」分野における想定事例
      1. 3.2.1.現状と課題
      2. 3.2.2.想定される申請事例
  4. 4.事業再構築補助金を活用するためには事業計画の作成が重要
    1. 4.1.確実に採択されるためには
  5. 5.F&M Clubの「経営力向上計画の支援サポート」を活用する
  6. 6.まとめ

事業再構築補助金「グリーン成長枠」とは

事業再構築補助金「グリーン成長枠」とは、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、グリーン分野での事業再構築(グリーン成長戦略)を通し、さらなる成長を目指す事業者を対象に、条件を満たした場合、最大で1億5千万円の補助金が受けられる新しい類型です。

また、事業再構築補助金は、「コロナ渦における売上減少」の影響を受けている事業者が対象前提のため、「売上高10%減少要件」が科せられていますが、「グリーン成長枠」では、本要件が科せられていないこともポイントです。


グリーン成長戦略とは

グリーン成長戦略(2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略)とは、2050年までに、二酸化炭素などの「温室効果ガス」の排出量を「全体としてゼロ」にする、「カーボンニュートラル」を達成するための国の政策です。

太陽光発電やバイオ燃料などの「グリーンエネルギー」を積極的に取り入れ、環境保護を促進させつつ、社会経済の成長を目指すことを目的としています。

【参考】グリーン成長戦略とは|経済産業省


「グリーン成長枠」の対象となる事業者

「グリーン成長枠」には、研究開発等の要件を緩和した類型「エントリー」とこれまでの「スタンダード」がそれぞれ設けられています。エントリー枠、スタンダード枠それぞれの対象となる事業者の条件は以下のとおりです。

【共通必須要件】

①事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること

②事業計画を認定経営⾰新等⽀援機関や⾦融機関と策定し、⼀体となって事業再構築に取り組むこと

【エントリー】

①補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均4.0%以上増加⼜は従業員⼀⼈当たり付加価値額の年率平均4.0%以上増加

グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発⼜は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせておこなうこと

③事業終了後3~5年で給与⽀給総額を年率平均2%以上増加させること

【スタンダード枠】

①補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加⼜は従業員⼀⼈当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加

グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、その取組に関連する2年以上の研究開発・技術開発⼜は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせておこなうこと

③事業終了後3~5年で給与⽀給総額を年率平均2%以上増加させること

参考:事業再構築補助金【サプライチェーン強靱化枠を除く】公募要項(第10回)l事業再構築補助金事務局


「グリーン成長枠」の補助上限額・補助率

条件を満たす場合、「グリーン成長枠」の補助上限額・補助率は以下の通りです。

※事業実施期間中に中⼩企業から中堅企業へ成⻑する事業者等に対する上乗せ枠(卒業促進枠)⼜は継続的な賃⾦引上げに取り組むとともに従業員を増加させる事業者に対する上乗せ枠(⼤規模賃⾦引上促進枠)に同時応募可能

【エントリー】


従業員規模 / 補助金額
補助率
中小企業
20人以下 / 4,000万円
21人〜50人 / 6,000万円
51人〜 / 8,000万円 

1/2
⼤規模な賃上げ※を⾏う場合2/3
中堅企業
 - / 1億円
1/3

⼤規模な賃上げ※を⾏う場合1/2

【スダンダード】


従業員規模 / 補助金額
補助率
中小企業
 - / 1億円
1/2

⼤規模な賃上げ※を⾏う場合2/3

中堅企業
 - / 1億5,000万円
1/3

⼤規模な賃上げ※を⾏う場合1/2

また、グリーン成長枠には、⼤幅賃上げ・規模拡⼤へのインセンティブが新設され、助事業期間内に、以下をいずれも達成した場合、補助率を2/3(中堅は1/2)に引き上げられます。

①給与⽀給総額を年平均6%増加

②事業場内最低賃⾦を年額45円以上の⽔準で引き上げ

※ただし、事業終了後3〜5年で給与⽀給総額を年率平均2%以上増加させることが出来なかった場合、差額分(補助率1/6分)

の返還を求めます。

参考:事業再構築補助⾦令和4年度第⼆次補正予算の概要│経済産業省

  補助金はもらえる?探し方と経営への活用をわかりやすく解説!【2022年11月拡充発表】 | 株式会社エフアンドエム 仕入価格の高騰や賃金引上げへの対処、インボイス制度に対応するための投資など、補助金制度の主な目的対象が変わってきています。 また、2022年11月8日、2022年度第2次補正予算案に基づく補助金の拡充が発表されました。 自社で受給できるはずの補助金のに確認漏れはありませんか? 本記事では、自社にあった補助金の探し方と活用法をわかりやすく解説します。 株式会社エフアンドエム

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事業再構築補助金「グリーン成長枠」のメリット


「グリーン成長枠」では、特例的に複数回採択が認められています。


上限2回までの採択が可能

事業再構築補助金では、本来、1事業者につき支援を受けることができる回数は、本来1回限りとされていますが、「グリーン成長枠」については特例的に、過去に(第1回~第5回公募)支援を受けたことがある事業者も、第6回公募から再度申請が可能となり、採択された場合には支援が受けられるようになりました。ただし、支援が受けられる回数は、上限2回までとされています。


追加提出書類と審査内容

既に過去の公募回で採択され、事業再構築に取り組んでいる状態で、再度申請をおこなう場合は、通常の申請に加えて、以下の2つの資料の提出が必要です。

①既に、事業再構築補助金で取り組んでいる事業再構築とは異なる事業再構築であることの説明資料

②既存の事業再構築をおこないながら、新たに取り組む事業再構築をおこなうだけの体制や資金力があることの説明資料

通常の審査に加え、一定の減点を受けたうえで、これらの資料ついても考慮したうえで採択の可否が判断されます。

【参考】事業再構築補助金令和3年度補正予算の概要|経済産業省



事業再構築補助金「グリーン成長枠」の想定事例


「グリーン成長枠」では、具体的にどのような事例で活用(採択)されるのか、想定事例について、重点となる14の分野より一部分野を抜粋して紹介します。


「水素」分野における想定事例

発電・産業・運輸など幅広く活用されるカーボンニュートラルのキーテクノロジーである「水素」は今後、新たな資源と位置付け、自動車用途だけでなく、幅広い事業分野で活用されることが期待されます。


現状と課題

モビリティにおける水素利用については、燃料電池自動車の普及と水素ステーション整備の支援を実施しており、欧州や中国なども商用車の FC 化(燃料電池化)に積極的に取り組んでいるため、日本企業も企業間連合を組んで、乗用車での知見も生かしつつ、開発に力を入れていく必要がある。


想定される申請事例

  • 航空機部品製造で培ったノウハウを活かした、水素ステーション用部品の製造をおこない、事業再構築を図る。
  • 水素ステーション用部品は、加工精度要求が極めて高く、自社の強みである加工技術をさらに強化させる必要があるため、大手自動車メーカーや、燃料輸送事業者との共同研究により、技術レベルの向上を図る。

以上のことを踏まえ、コロナ前、「航空機部品の製造」をおこなっていた「製造業」の場合、新分野展開として、コロナ後は、「水素ステーション部品の製造」を視野に入れた事業計画が想定されます。


「情報通信産業」分野における想定事例

「情報通信産業」では、デジタル化によるエネルギー需要の効率化(「グリーン by デジタル」)と、デジタル機器・情報通信の省エネ・グリーン化(「グリーン of デジタル」)の二つのアプローチを軸とした推進が期待されます。


現状と課題

大半の企業は現在、DX に全く取り組んでいないか、ようやく取り組み始めたに過ぎず、産業・企業全体として危機感の共有や経営改革には至っていない状況。


想定される申請事例

  • 電気工事業で培ったノウハウを活かし、既存顧客(従業員数300人以下の製造業)向けに、設計から、ソフトウェア提供、保守までを一気通貫でおこなうデジタル化支援事業に進出し、事業再構築を図る。
  • 事業実施にあたり、本事業の担当スタッフがソフトウェアメーカへ出向し、持ち帰ったノウハウを通じて、社内人材の育成をおこなう。

以上のことを踏まえ、コロナ前、「電気工事事業者」をおこなっていた「設備工事業」の場合、新分野展開として、コロナ後は、「製造業のデジタル化支援」を視野に入れた事業計画が想定されます。

【参考】事業再構築補助金「グリーン成長枠」想定事例集|中小企業庁

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事業再構築補助金を活用するためには事業計画の作成が重要


事業再構築補助金「グリーン成長枠」の支援を受けるためには、事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定し、採択されなければならず、申請すれば必ず支援が受けられるわけではありません。

確実に採択されるためには

確実に採択されるためには、「合理的で説得力のある事業計画を策定する」ことが重要です。

「合理的で説得力のある事業計画の策定」とは、補助金の目的を理解し、事業計画を明確にし、適切に計画書を作成することです。

事業計画は、審査員に向けたプレゼンであるため、定量的な表現を用い、わかりやすく要約されていなければなりません。

事業計画を正しく策定し、補助金制度の利用につなげましょう。

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  事業再構築補助金の採択率を高めるポイントとは? 事業再構築補助金は、コロナ時代の経済社会を支えるために、新分野展開や、事業転換、事業再編などの事業再構築を目指す中小企業を支援するための補助金として、注目されています。事業再構築補助金は、要件を満たした場合、最大で1億5千万円もの補助を受けられる制度であり、コロナ渦で経済的打撃を受けた企業にとって大変魅力的な支援制度です。 事業再構築補助金の採択率をあげるポイントについて解説するページです。 株式会社エフアンドエム


F&M Clubの「経営力向上計画の支援サポート」を活用する


F&M Clubでは、補助金申請に関する「経営力向上計画」の支援サービスを提供しています。

補助金の公募は、この先もずっと続くとは限りません。

そのため、チャンスを逃さないためには、早めに行動し、無駄のないよう、確実に採択されるような計画書を作成する必要があります。

効率的に計画書の作成をおこなうためには、プロによる支援を受けながら、ポイントをおさえた計画書の作成が有効です。

F&M Clubの「経営力向上計画の支援サポート」を活用し、採択率アップを目指しましょう。

  事業再構築補助金はF&Mの策定支援サポートで採択率アップ 事業再構築補助金は、コロナ渦で経営ダメージを受けた中小企業にとって、事業を再構築する際の有効的な補助金制度です。 しかし、補助金制度の申請は、事業計画書の策定など、準備が大変な面もあるため、興味があっても諦めてしまう企業も多いのではないでしょうか。事業再構築補助金を利用する際に活用できる、「策定支援サポート」について紹介するページです。 株式会社エフアンドエム

まとめ

「事業再構築補助金」は、コロナ渦で大きな打撃を受けた事業者が、事業再建を目指す場合に大変有効的な制度です。

補助金制度を利用するためには、正しい事業計画の作成が必要であり、事業計画の作成は、良好な経営活動をおこなっていくうえで必要不可欠といえます。

事業計画の作成が、適切におこなえていない事業者は、事業の現状や、中長期的な事業予測ができておらず、資金繰りにも影響します。

事業の存続を守るためにも、事業計画の作成は、適切におこないましょう。



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