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就業規則の整備はすすんでいる?「ない」に等しい就業規則の特徴は?

会社のルールブックとして、就業規則があります。

就業規則は常時10人以上の従業員を雇用する場合に作成、届出、周知をしなければなりませんが、近年は10人未満であっても就業規則の作成を進めるケースがあります。

その背景として従業員の権利意識が高まっていることや、多様な働き方に対応する必要性が高くなってきたことが挙げられます。

今回は就業規則における注意点を確認していきましょう。


目次[非表示]

  1. 1.就業規則で押さえて項目べきポイントとは
    1. 1.1.直近の法改正で盛り込みたい内容
    2. 1.2.休職・解雇関連で盛り込みたい項目
    3. 1.3.就業規則は必ず周知を
  2. 2.テレワークの就業規則について
  3. 3.副業・兼業に関する就業規則について
  4. 4.就業規則の不整備によるリスク事例
  5. 5.なぜ就業規則の整備が会社を守ることになるのか


就業規則で押さえて項目べきポイントとは

常時10人以上の従業員を雇い入れる場合は就業規則の作成、届出、周知をしなければなりません。

働き方改革により多様化尊重の社会情勢が一般化しつつあり、日本の高度経済成長期を支えた終身雇用は今後、継続的に持続することは困難となりました。

今後、様々な形態で雇用を推し進める場合に従業員が10人以下という理由で就業規則を作成しないことは企業にとってリスクとなり得ます。

また、作成はしていたとしても周知されていない場合や、法改正に追い付いていない就業規則は従業員との信頼関係を毀損するリスクが生じます。


直近の法改正で盛り込みたい内容

  • 年5日の有給取得に際しての時季指定義務への対応
  • 民法改正に伴う入社時の身元保証書の提出
  • 試用期間中に本採用拒否が選択肢に浮上した場合の延長規定

上記の内容は業種にかかわらず時代に合致した項目といえます。

その他の懸念事項として、休職・解雇に関する項目が挙げられます。


休職・解雇関連で盛り込みたい項目

疾病や病気に罹患し、労務の提供が困難となった場合はすぐに解雇とするのは適切ではありません。

休職期間を経て再度議論をするために、休職期間の設定(休職期間中は無給とすること自体は問題ない)職場内の秩序維持の為の服務規程などが挙げられます。

解雇関連では、SNSの取り扱い(企業内の機密情報を流布してはならない旨の確認的な規定整備)などは令和時代に盛り込みたい項目といえます。

また、withコロナ時代の働き方として離れた場所で働くことはむしろ一般化しつつあります。管理職の監督能力を補助するために、時間外労働の許可制を設置することは、部下の健康確保と人件費の削減にも効果があります。

以上のことから従業員数が10人を下回っているから就業規則は作成不要と考えるのはリスクが大きいといえます。

休職関連:休職期間の設定、職場内の服務規程
解雇関連:SNSの取り扱い
管理職関連:時間外労働の許可制を設置



就業規則は必ず周知を

就業規則は周知していなければ十分な法的効果を享受できません。

人事労務担当者間でも認識齟齬があったがゆえに、せっかく就業規則を整備していたとしても就業規則は「ない」と答えてしまったがゆえにトラブルに発展してしまったケースもあります。

職場内でのトラブルは帰属意識の低下や労働生産性を下げることもあり、最悪の場合、退職率の増加に繋がります。法人化をする前の個人事業主であっても、就業規則は雇用主を守る意味で作成するケースは増えてきています。


テレワークの就業規則について

一部のエッセンシャルワーカー(日常生活を支える上で必要不可欠な仕事を担う労働者)を除き、テレワーク制度が全く整備されていない企業は従業員の安全確保や採用の視点でマイナスの印象を持たれてしまいます。

2020年の緊急事態宣言を受け、整備前にテレワークを実施した企業が緊急事態宣言明けから将来に備えてテレワーク規定の整備を進める動きが活発になっています。

テレワークの規定内容を作成する上でまず対象者を明確にしましょう。

テレワークは(対面時よりも)ハラスメントが起こりづらいなどの良い面もありますが、社員研修前の新人もベテラン従業員も画一的にテレワークを行うとなると労働生産性が担保されない可能性があります。

また、テレワークであっても労働基準法は遵守しなければならず、労働時間管理や残業代の支払いは通常のオフィスワーク時と同様の扱いとなります。

残業や深夜労働(22時から翌5時の時間帯)を行う場合は事前の許可制(または原則不可とする)とするなどの規定整備が必要です。

通信費や各種経費を誰が負担するかも考慮しなければなりません。

例えば会社が貸与する情報通信機器を利用する場合の通信費は会社負担とし、テレワーク(特に在宅勤務)によって生ずる水道光熱費はテレワーク勤務者の負担とするなど、明文化しておくことでその都度疑義が生ずることもなく、無用なトラブルを回避することができます。


副業・兼業に関する就業規則について

テレワークと同時に時代の主流になりつつあるのが副業・兼業です。

「労働者」として副業・兼業を行う場合は労働時間の通算規定が課せられることから、就業規則上でも周知が必要です。

原則として副業・兼業者の労働時間の考え方は「後から契約した」事業所が割増賃金の負担義務を負います。

例えば、アルバイトとして雇用した従業員に対して、以前から雇用されている就業先があるか否かを面接の時点で確認しておくことや、労働時間の管理だけでなく、健康管理問題として他の事業所での労働時間を管理することで、会社としての安全配慮義務の履行に繋がります。


就業規則の不整備によるリスク事例

就業規則に定めているからといって画一的に懲戒処分が下せるということにはなりません。

しかし、就業規則を定めていなければ、企業は懲戒処分を下す根拠すらない状態といえます。

例えば刑事事件を起こした従業員の解雇を例にとると、社会的な影響の度合い等を総合考慮することにはなりますが、就業規則上に処分の対象や手続きを明記しておくことで、懲戒処分になり得る背信行為への抑止効果にもなります。

また、横領事件を起こした従業員が音信不通になった場合に、身元保証書の提出があったとこをきっかけに解決に至るケースもあります。

身元保証書は取り扱いに細心の注意を要する情報が含まれることから提出を拒む従業員も見受けられます。しかし、身元保証書の必要性を就業規則に明記し、かつ、その必要性を説明することで納得感を得ることができるでしょう。


なぜ就業規則の整備が会社を守ることになるのか

就業規則は膨大な量の会社のルールを定めたもので、全文を暗記することは不可能です。また、定常業務の中で毎日就業規則を目にする機会はないといえます。

しかし、有事の際(例えば損害賠償請求の可能性が浮上した際)には就業規則がないことで、会社として処分の検討すらできない状態に陥る危険性があります。

例えば、会社の義務のひとつにとして、健康診断の実施が挙げられます。生産性のある働き方をする根幹には健康であることが必要です。

年に1度の定期健康診断の実施や年5日の有給取得義務など、コンプライアンス違反になってしまうと企業イメージの低下につながります。

2019年の労働基準法改正により年10日以上有給休暇を付与する場合は年5日の取得が義務化されました。

1年経過前に取得日数が不足している場合などは会社として時季を指定して有給休暇を付与する義務が発生します。

本来であればこのような状態になる前に定期的に取得出来ている状態が望ましいですが、繁忙期が続いた場合や、職場内での入退職が続いた場合などは特定の従業員が取得出来ていないというケースも多く見受けられます。

尚、労働時間等が労働基準法上適用除外となる管理監督者であっても有給休暇の法規制の対象です。

有給休暇の定期的な取得を促すことは退職時に有給休暇の一括請求されるリスクも低減できます。

有給休暇は雇用関係が消滅する退職日後は取得することはできません。よって、退職の申し出があった場合、退職日付近に一括して請求することが想定されます。

しかし、後任への引継ぎや代替要員の確保が困難な場合は会社として時季変更権を行使し、他の労働日に取得してもらうなどの対応が必要です。

退職時にトラブルが発生すると残された従業員の職場環境の悪化や新たな求人を募集する際にもレピュテーションリスク(企業・組織の評判に起因して経営にダメージを 与えるリスク)が顕在化し、採用活動が難航することも想定されます。

就業規則だけでは会社を守ることはできませんが、少なくとも就業規則がない状態は会社にとって大きなリスクとなり得ることを理解しておきましょう。​​​​​​​


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