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【最低賃金の基礎知識】パートタイム・アルバイトの研修期間中の賃金は?

株式会社エフアンドエム

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2025年度の改定により、全国47都道府県の最低賃金の加重平均は1,121円となりました。引き上げ幅は過去最大の66円となり、原材料費高騰や円安の中での負担増に頭を抱える経営者も少なくありません。さらに、次回の改定(2026年度版)も2026年10月1日以降に順次発効する予定であり、今夏に審議が行われます。

現在適用されている過去最大の引き上げに各企業が対応している中、秋にはさらなる引き上げ改定が控えています。とくにパートタイム・アルバイトを多く抱えている企業は、今のうちから研修期間中の賃金・給与規程を含めた労務管理の見直しが急務です。

本記事では、最低賃金の引き上げに対して、最低賃金の確認方法やパートタイム・アルバイトの研修期間中の賃金、給与水準が高い企業ほど給与トラブルが長引く理由を中心に解説します。

最低賃金を守らないとどうなる?

最低賃金は最低賃金制度に基づいて定められており、地域別最低賃金を下回る場合、 最低賃金法第4条1項違反 となり罰則が発生します。

また、最低賃金未払いの罰則は「地域別最低賃金額以上を支払わない場合」「特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合」の2種類が存在します。

 

地域別最低賃金額以上を支払わない場合
50万円以下の罰金(最低賃金法40条)
特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合
30万円以下の罰金( 労働基準法第24条1項違反、同法第120条第1号 )

【参考】最低賃金制度│厚生労働省

各地域の最低賃金目安

地域別最低賃金は各地域にA〜Cランクごとに目安が設定されています。

令和7年度地域別最低賃金額改定の目安は以下となります。

※引き上げ目安はA、Bランクは63円、Cランクが64円です。

ランク 都道府県
Aランク 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
Bランク 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、 長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、 広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡
Cランク 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、 宮崎、鹿児島、沖縄

【参考】令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について│厚生労働省

間違えやすいパートタイム・アルバイトの研修期間中の賃金

パートタイム・アルバイトの研修期間中は基本給の満額を支払う必要はありませんが、「研修期間中であっても労働者として最低限の権利は認められており、労働基準法に抵触する賃金設定を認めることはできない」とされています。

つまり、研修期間中は提示する時給額を支払う必要はありませんが、その時給が最低賃金を下回ることは許されません。

最低賃金の確認方法

最低賃金の確認方法は給与体系毎(時給、日給、月給、出来高払制その他の請負制)に時間単価を割り出して、最低賃金を下回っていないかを確認します。

給与体系

最低賃金の計算式

時給制の場合

時給額 最低賃金

日給制の場合

日給 ÷ 1日の所定労働時間 最低賃金

月給制の場合

月給(※除外賃金を除く)÷1カ月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金

出来高払制その他の請負制の場合

出来高払制その他の請負制による賃金総額 ÷ 賃金計算期間に労働した総労働時間数 最低賃金


基本給が日給で職務手当などの諸手当が月給で支払われる場合、それぞれを時間単価に換算したものが最低賃金以上だと合法となります。

最低賃金の減額の特例許可制度とは

最低賃金には特例があり、使用者が所轄の都道府県労働局長の許可を受けることを条件に最低賃金を下回る報酬で雇用契約を結べますが、以下の労働者に限られます。

  1. 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者
  2. 試の使用期間中の者
  3. 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている者のうち厚生労働省令で定める者
  4. 軽易な業務に従事する者
  5. 断続的労働に従事する者

これらの措置は一律で最低賃金を設定することが、かえって就労機会を妨げるという考えから採用されています。しかし、減額率は厚生労働省によって上限が定められています。

【関連記事】賃金よりも正社員の給料が低い違法とならない賃金見直し方法と補助金の活用を解説

給与周りの労働トラブルの恐怖

最低賃金を下回る給与で労働者を使用した場合、その差額は未払い賃金とみなされ、労働者から訴訟されるリスクが高まります。

近年の労働トラブル裁判では労働者の勝訴が多く、最低賃金違反をした企業は罰金のほか、未払い賃金と裁判費用を負担することとなります。

賃金未払いの時効について 現在の賃金請求権の消滅時効は、一律で3年(当分の間の経過措置)となっています。退職金については5年です。

定期賃金のほか、休業手当、割増賃金、年次有給休暇の賃金等も対象に含まれます。

賃金未払いの事項について

給料全般

時効3

退職金

時効5

最低賃金以外にも法令違反が判明した場合、企業には金銭ダメージのほか、企業イメージの低下にもつながり、採用活動や経済活動にも支障をきたします。

実は賃金水準が高い企業は給与トラブルが多い?

「うちは最低賃金よりもはるかに高い時給を払っているから安心だ」とお考えの経営者様、少しお待ちください。

実は賃金水準の高い企業ほど給与トラブルが長引くことがあるかもしれません。

もちろん、最低賃金で給与を設定している企業(いわゆるブラック企業)でも給与トラブルが発生しているかもしれませんが、以下の理由で表面化していないだけかもしれません。

ブラック企業の給与トラブルが表面化しない理由

  • 同じ水準の企業が他にも多く存在し、転職が容易
  • 給与以外のトラブル(ハラスメント)で退職していく

しかし、給与水準が高い企業は「高い給与」が逆にマイナスの作用が発生している可能性があります。

給与水準が高い企業ほど給与トラブルが発生しやすい理由

  • 同待遇の企業が少なく、転職が容易でない(年収を維持できない)
  • 業績不振による手当カット分を基本給で賄えない
  • 労働組合を通して、待遇改善を求めた方が転職よりもリスクが小さい
  • 高い給料水準が当たり前になる

高賃金・高待遇にしておけば、給与トラブルが起きないわけではありません。

賃金は相場を意識したうえで設定し、評価基準が明確にされた人事考課と一緒に運用しなければいけません。

【関連記事】人事評価基準とは?具体的な項目一覧や作り方も紹介

給与規程管理とともに人事考課の整備を

最低賃金をはじめ、給与は会社で働く従業員のモチベーションを向上する大きな要素です。しかし、最低賃金を満たす、または最低賃金よりも高い水準の給与を支払えば、労働トラブルが起きないとは限りません。

最低賃金制度を遵守した給与規程の管理・整備とともに評価基準を明確にした人事考課の整備が不可欠です。

F&M Clubでは労務管理に必要な規定・協定書を整え、クラウド上で管理できる「まかせて規程管理」動画のガイダンスに従い、エクセルで人事考課表を作成できる「はじめて人事考課」を含むバックオフィス支援サービスが月額3万円(税抜。就業規則などの作成から変更管理まで、すべておまかせの『まかせて規程管理』サービス利用料金2,000円(税抜)が含まれています)でご利用いただけます。

規程作成や変更・管理、助成金申請代行等はエフアンドエム社会保険労務士法人(法人番号第2712006号)をはじめとする株式会社エフアンドエムが紹介する社会保険労務士が提供します。

2026年の最低賃金についてのよくある質問(FAQ)

2026年の最低賃金に関するよくある質問とその回答は以下のとおりです。

Q1:2026年の最低賃金はいつから実施されますか?

A:新しい最低賃金は、2026年10月1日から10月上旬までの間に順次発効します

Q2:最低賃金は企業の所在地ですか?従業員の勤務地ですか?

A: 最低賃金は、企業の本社所在地ではなく、従業員が勤務する都道府県の地域別最低賃金が適用されます。

Q3:リモートワーク(在宅勤務)従業員の地域別最低賃金はどこですか?

A:リモートワーク(テレワーク、在宅勤務)をおこなう従業員の地域別最低賃金は、勤務する事業所が所在する都道府県が基準となります。例として、東京都内の企業に勤務する従業員が神奈川県の自宅で在宅勤務する場合、東京都の地域別最低賃金が適用されることとなります。

Q4:最低賃金の改定で就業規則を見直す必要がありますか?

A:はい、現行の就業規則における従業員の賃金が最低賃金を下回っている場合、賃金の引き上げと就業規則の見直しが必要です。

Q5:最低賃金の引き上げに関する支援策はありますか?

A:はい、厚生労働省等から中小企業・小規模事業者のための様々な支援策が提供されています。代表的なものとして、事業場内最低賃金を引き上げ、設備投資等を行った中小企業等の費用を助成する「業務改善助成金」や、非正規雇用労働者の賃金引き上げ等を支援する「キャリアアップ助成金」、雇用環境の整備等で離職率低下を実現した事業主向けの「人材確保等支援助成金」などをまとめた「『賃上げ』支援助成金パッケージ」が用意されています。

【参考】「賃上げ」支援助成金パッケージ|厚生労働省

まとめ

最低賃金を遵守することは企業の義務です。しかし、最低賃金を満たす、または最低賃金以上の高い給与水準が給与トラブルを防ぐとは限りません。

雇用形態に限らず、業界の賃金相場や最低賃金を意識しながらも評価基準を明確にした人事考課の整備が不可欠です。最低賃金だけを意識せず、従業員が高いモチベーションを維持したまま、働けるためには何が必要かを考えましょう。

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